1月15日に噴火したトンガの海底火山により、日本でも津波注意報・警報が出たことは記憶に新しい。おじさんも炬燵でウトウトしてたら、スマホのエリアメールが鳴り響いて目が覚めた。
トンガ王国にあるフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山が噴火したもので、噴出量の目安となるVEI(火山爆発指数)は確定はしていないものの6程度と言われており、並外れた規模の火山噴火だったのは間違いない。
どれくらい並外れた規模かと言うと・・
トンガの噴火、ニュージーランドやオーストラリアと比べるとその規模感がわかるだろうか pic.twitter.com/FJBTr3f13C
— 走る人参(気象予報士) (@Runninzin) January 15, 2022
核兵器レベルを軽く超える爆発規模だ。
ちなみに、1707年の富士山宝永大噴火はVEI5だったとか。なお、直近のVEI6の噴火は、1991年6月のフィリピン・ピナツボ山噴火がある。
VEI(火山爆発指数)は火山噴出物の量で区分されており、ピナツボ山噴火では10立方キロ噴出したと言われている。この時は、北半球全体に広がった粉塵等がエアロゾル化して日光を遮り、その後の北半球冷夏の原因となった。
日本でも1993年に冷夏からの米不足となり、タイ米などが緊急輸入されたのを若い人は知らないだろう。まあ、おじさんも子供だったからよく知らんけどな。
ちなみに、日本の噴火で引き合いに出される雲仙普賢岳の噴出物は0.2立法キロなので、噴火の規模ももちろん火砕流・サージの規模も比にならない。
ということで、今回のフンガ・トンガ海底火山噴火は並外れてデカイ噴火であり、海底火山の海域にあった285ヘクタール(東京ドーム60個分以上)の島が吹っ飛んだとか。
トンガ火山、陸地が消滅 - 噴火後の衛星写真で、国連https://t.co/GC4L0y1E2j
— 共同通信公式 (@kyodo_official) January 17, 2022
これを見るに、山のてっぺんの噴火口から「ちゅどーん」するこんな感じの噴火・・・
ではなく、地下の膨大なマグマ溜まりが一度に爆発し、マグマの上にあった島や山体を形成してた岩石を吹っ飛ばしたようだようなので、小型の「破局的噴火」だったようだ。
あの究極生命体のカーズさん・・
そんなカーズさんを宇宙に吹き飛ばし、考えるのをやめさせたという噴火パワー。
やはり、噴火は数ある自然災害の中でも抜きん出ている。
しかし、この島を吹き飛ばした噴火規模を見るに、噴出物の量はともかく爆発規模はVEI6相当を超えている感じだ。
なお、さらに上のVEI7の噴火例として1815年4月のインドネシア・タンボラ山噴火がある。その際の噴出物は150立法キロで、フィリピン・ピナツボ山の15倍。有史以降最大の噴火で、いわゆる「破局的噴火」と呼ばれるやつだ。
タンボラ山の噴出物は大気を覆い、噴火翌年のヨーロッパは夏に至るまで長雨や霜被害が相次いだほか、アメリカでは7月に雪が降るなど「夏のない年」として有名で、当然のことながら世界的な大不作からの食糧争奪戦となった。
ちなみに、この年の平均気温がどれだけ低下したかというと、わずか1度に過ぎない。「地球温暖化で平均気温2度上昇」とは相当なものだ。
ということで、今回のフンガ・トンガ噴火は、マグマ溜まりが急激に膨張し山体の一部を吹き飛ばしながら噴火する「破局的噴火」の弱いやつ・・と思われる。
トンガは数百キロ圏内に島が点在する島嶼国なので、火砕流・サージなどによる被害は出ていないようだが、離島などを中心に津波被害がかなり出ているようだ。
壊滅的な津波被害…全容は不明 https://t.co/hrODXKaGaD
— 楽天Infoseekニュース (@Infoseeknews) January 18, 2022
さらに、トンガでは通信網が遮断されているようで、離島を中心に被害状況の把握にかなり手間取っているとか。また、この記事の写真を見ると、全体的にくすんだ感じがあるが・・津波による泥なのか火山灰なのか。
また、少し古い記事になるが、火山灰は65キロ離れた首都ヌクアロファのあるトンガ本島まで届いているとか。
トンガ、通信復旧まで数週間か 降灰で水が汚染、飲料水の確保に課題 https://t.co/ASwFelqwgB
南太平洋のトンガ諸島で起きた海底火山の大規模噴火で、ニュージーランドとオーストラリアは17日、軍哨戒機を現地に派遣し、上空から沿岸部での建物などへの大きな被害を確認しました。
— 朝日新聞 国際報道部 (@asahi_kokusai) January 17, 2022
この朝日の記事で
ヌクアロファの教会の話として、屋根に15センチほどの火山灰が積もっていると伝えた
とあるほか、ニュージーランド外交官が「まるで月面のようだ」と語った言葉も報じられていることから、相当な降灰となっているようで、とても気になっている。
以前に「原田武夫も危惧 近いのは富士山噴火か白頭山噴火か」などで紹介したが、火山灰はかなり厄介だ。
しばらくは、火山灰を吸ったり目に入るなど人体への影響も心配されるほか、車の走行も灰を巻き上げるし滑るしで難しいだろう。
また、17日午前の時点で積灰15センチとのことなので、今は20センチを越えている可能性が高い。降雨などで火山灰が水を吸うと、厚さ10センチ程度で1メートル四方で100キロの重さとなり、建物の倒壊被害が出てくることだ。
トンガはそれなりに雨が多いので、早期の灰下ろしなどが出来ているといいが・・・。
さらに、フンガ・トンガ山からヌクアロファに至るまでの海域に火山噴出物が降り注いでいるだろうから、しばらくは漁も厳しいだろうし、何より火山灰による飲料水汚染や発送電機能停止なども懸念される。
また、火山灰により空港も機能を停止しているようなので、航空機やヘリなど空路による物資輸送は難しそうだが、何とか支援物資を届けてもらいたいところだ。
ただ、今回の破局的噴火で、地下のマグマエネルギーが消えている可能性も考えられる。火山活動さえ落ち着いていれば、今の時点で舞っている灰などが落ち次第、速やかな救助活動が期待できる。
ちなみに、このような破局的噴火の恐ろしさがよく分かる小説を紹介したい。
それがこれ。
死都日本(石黒耀 著)
内容は、霧島の破局的噴火により九州~西日本一帯が壊滅的被害を受け、さらに南海トラフ地震や富士山噴火へと連動するという、災害パニック小説だ。
しかしながら、小説内で描写される破局的噴火災害の異常なまでのリアリティの高さに加え、大量に発生する火山灰が現代の生活に与える影響など、噴火災害に関する様々な事象だけでなく、日本壊滅が世界のパワーバランスに及ぼす影響や食糧価格高騰など世界への影響について金融経済面からも描かれている。
また、この小説では、日本神話における天岩戸の話や黄泉の国に赴くイザナギの話などが、太古の火山噴火の話だった・・などのオリジナルな歴史考察もあり、大変興味深い。
そのような科学的考察の鋭さから火山学者からも好評を得ているようで、現実的に破局噴火が起こった場合に小説に書かれている通りになる可能性は高そうだ。
さらに、小説中の登場人物の・・
地震には上限があるが、火山には上限がない。
とか
歴史上、地震で滅亡した国家はないのですじゃ。それに対して、火山噴火で滅亡した国家や政府はかなりの数に上るんですわい。
などの名言もあり、破局的噴火は「ケタ違いの巨大災害」という事実を、現実感を持って言葉ではなく心で理解することが出来る。
なお、今回のフンガ・トンガ山があるトンガ王国は島が点在するタイプの島嶼国であり、不幸中の幸いにして、火砕流被害などは無さそうではある。
だが、同じような破局的噴火が日本で起こったとするとどんな感じになるのか。
「トンガで大規模噴火」と聞いてもピンと来ない方はこちらをご覧ください。関東と比べてみると、凄まじい規模の噴火だったことが分かります。正確な規模はまだ判明していませんが、富士山で想定されている噴火や、桜島で日常的に起きている噴火とは比べ物にならないくらい大規模です。 pic.twitter.com/Xt4ZwhDCIX
— 人が死なない防災 (@bosai_311) January 15, 2022
噴煙の下は車くらいの大きさの噴石が降り注ぎ、数百度の火砕流が吹き荒れる地獄絵図・・・日本終了となることが頭ではなく心で理解できる。なお、フンガ・トンガ山の噴火は破局的噴火の中では小規模な方だ・・・。
日本では北海道・東北・九州を中心にカルデラは多く存在するし、北朝鮮の白頭山なども日本から近い。環太平洋火山帯が活発化している今、小説「死都日本」は何処かで起こり得るかもしれん。
「原田武夫も危惧 近いのは富士山噴火か白頭山噴火か」などで紹介したように、あの原田武夫氏も今後の自然災害を警告する。
この動画の概要はこんな感じだった。
- 今回、トンガで噴火したが、単なる自然現象の結果ではない。
- 日本の富士山でなくて良かった。日本政府は富士山噴火をあらゆる手段を使って懸命に止めている。あと、(北朝鮮の)白頭山。
- 日本(や北朝鮮)での噴火を止めているため、噴火圧力がプレートで繋がっていて太古のムー大陸の端と端の関係にあるトンガ方面に向かったようだ。
- 高エネルギー性中性子線(宇宙線)について考えなければいけない時に来ており、可視光線の両側(不可視領域)に意識を向けて行かなければいけない。
- 太陽から降り注ぐエネルギーについて、我々には可視光線以外に知見が無い。
- 高エネルギー中性子線は人体にも影響を与えており、こうした災害の発生と人が大きな事件を起こすタイミングは近いものがある。
- また、このタイミングでアメリカの政治は動いていることから、アメリカの政治家たちは、この(高エネルギー中性子線が増幅する)タイミングを見ている。
- 現状では、太陽フレアなど可視光線に頼った観測とならざるを得ず、エネルギーの動きの把握は難しい。
- こうしたエネルギーの動きを把握するために発達したのが、占星術。
- 高エネルギー中性子線など宇宙線のデータは驚くほど公開されていないが、例えば株のボラなどに影響するとなれば秘匿され独占されるのも当然だろう。
- 今回はたまたまトンガだったが、富士山や白頭山の噴火も充分に考えられる。明日は我が身である。
原田武夫氏によると、太陽から降り注ぐ「高エネルギー中性子線」が地表から地球内部に取り込まれ、それが噴火なり地震なりを引き起こしている・・とのことだ。
この「高エネルギー中性子線」は電磁波の一種と考えられる。
電磁波と言えば、以前に「地震の原因は太陽からの電磁波 地震兵器の理論は本当だった」で、地震は太陽からの電磁波により引き起こされる・・とする論文が科学誌ネイチャーに掲載されたことを紹介した。
その論文では、太陽からの電磁気により岩石に圧力がかかって変形し、地震が誘発される・・というメカニズムが掲載されていた。
なお、噴火は岩盤の圧力で抑え込んでいたマグマが、その圧力をぶち破って噴出する・・と言うものなので、太陽エネルギーによる地震誘発と同じメカニズムで噴火も誘発されると考えられる。
原田武夫氏の「高エネルギー中性子線」やネイチャー論文を踏まえると、以前に「横須賀の異臭騒ぎとルイーズ・ジョーンズの予言」などで紹介したように、太陽活動か活発化し黒点数が急増するタイミングで大きな自然災害が起こることが多い・・というのは実は当然のことだったと言える。
フンガ・トンガ山の噴火直前の太陽活動は、急激に活発化していた。
[速報] M1.8 に達する中規模フレアが、11:02 JST に観測されました。X線強度は更に強まる可能性があります。続報をお待ち下さい。 https://t.co/vixXXFNG6S #swnews
— 宇宙天気ニュース (@swnews) January 14, 2022
そして、現在の太陽活動も比較的活発な状況が続く。
[記事] 高速の太陽風が続き、磁気圏もやや活動的です。 https://t.co/nz3uQ0VcAR #swnews
— 宇宙天気ニュース (@swnews) January 17, 2022
また、国立天文台が公開する太陽黒点数を見ると・・・
ちょっと古い昨年11月時点のものだが、かなりの角度で急増しつつある。
2010年頃~の前回周期で黒点数が急増し50個に達したのは2011年3月だったが、海溝型地震の東日本大震災が発生した。また、その前の周期は阪神大震災も。
宇宙天気ニュースさんのサイトで2011年3月上旬の太陽活動を見てみると・・
3月9日の前震の1週間前あたりから急激に活発化しているのが分かる。
やはり、太陽活動の活発化とフンガ・トンガ山噴火は何らか関係しているぽい。
また、原田武夫氏は富士山や白頭山噴火について引き続き警戒するような感じだった。そして、活発な太陽活動は、まだ続いている。
[記事] 太陽風の速度は600km/秒台に高まっています。M1.5の中規模フレアが発生しました。 https://t.co/nz3uQ0E9yR #swnews
— 宇宙天気ニュース (@swnews) January 19, 2022
うーむ、やはり油断は出来ないか。
あと、フンガ・トンガ山の噴火で気になるのは気候への影響、そして穀物価格への影響だ。
既に火山灰はオーストラリアに達しているとのこと。
トンガの大規模噴火の火山灰がオーストラリアに到達しました
✅上空12~19キロ 時速92kmで西へ
✅明日午前9時半ごろに
オーストラリア北半分覆う予想
✅日本にただちに到達の可能性低い
航空機に影響のおそれと専門家https://t.co/Jxelo7B6D4— NHK生活・防災 (@nhk_seikatsu) January 17, 2022
予測では、火山灰はオーストラリアの北半分を覆うとされており、農畜産物への影響が気になるところ。また、トンガは南半球の貿易風帯に位置している国であり、気候面で一番影響が大きそうな南米大陸辺りへの影響も気になる。
そして、南半球の季節は夏・・・小麦やトウモロコシ、大豆などの穀物類の収穫が目の前に迫っている。ヘタに気温が低下すると、収穫前の最後の成長に影響が出てくる可能性がある。
穀物価格は10%不足すると2倍に高騰すると言われるほど、価格変動が激しい。2020年も、生産減が懸念されただけで3割上昇している。
南米乾燥で穀物一段高 3割強上昇 作付け遅れ、生産減懸念 輸入鶏肉・飼料に先高観 : 日本経済新聞
https://t.co/45rnfVEDR2— 世界四季報 (@4ki4) November 11, 2020
そういえば、「いよいよインフレが本格化 そして日本デフォルトとデジタル円」で、中国共産党政府が食糧備蓄を進めており、国民にも食料など生活必需品の備蓄を奨励していることを紹介したが・・・凄い勢いでストックが積みあがっているようだ。
世界の食料価格が 10年ぶりの高値、トンガ海底火山の「過去 1000年で最大」レベルの噴火で寒冷化の恐れもある中、中国は着々と食糧備蓄を拡大している。
2022年半ばまでに中国が保有する穀物
・世界のトウモロコシ 69%
・コメ 60%
・小麦 51%https://t.co/LU80dSgXv2▼中国の食糧輸入額の推移 pic.twitter.com/DSL7CJ6A8r
— LOUD MINORITY. (@LoudminorityJP) January 17, 2022
台湾有事やインフレに備えたものと思っていたが・・・まさか、フンガ・トンガ山噴火を事前に知っていて、寒冷化に備えたものなのか・・・?
原田武夫氏やネイチャー論文が指摘するように、「高エネルギー中性子線」など太陽活動の活発化により自然災害が誘発されるとするなら、黒点数が50を超えてくる時期を見据えて備えを指示することも可能だ。
過去の大規模噴火による世界的な寒冷化と、それに起因する食糧危機・政情不安は、フランス革命など歴史の転換点ともなってきたが・・・まだまだ、災害の連鎖は止まらないのか。
そういえば、原田武夫氏は「高エネルギー中性子線」による市場への影響も匂わせていた。・・となると、金融市場に大きな影響が出てくるのかもしれない。
折しも、太陽活動が活発化しはじめた1月13~14日頃から米国債金利も急騰しはじめ、一度は跳ね返された1.8%の壁を一気に突き破っていった。
災害の連鎖か金融市場の激動か・・いずれにせよ、歴史が大きく動く時が来ている!?
最後まで読んでくれてありがとう!