エルサルバドルでビットコインを法定通貨とする法案が成立した。
【ビットコインが法定通貨に 中米】https://t.co/G9TB6Fp1Vw
中米エルサルバドルの議会は、暗号資産(仮想通貨)ビットコインを法定通貨とする法案を可決し、同法は成立した。大統領が8日夜、明らかにした。暗号資産が法定通貨となるのは世界初。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) June 9, 2021
中米に位置するエルサルバドルは、あの辺では最小の国家で、長らく続いた政情不安もあり最貧国の一つだ。
そのため、2001年以降は信用の低い自国通貨コロンではなく、米ドルを使用することが推奨され、今ではほぼ米ドルしか流通していない状況だ。
とはいえ、国としてビットコインを法定通貨として正式に採用した衝撃は大きく、最近落ち込んでいたビットコインがハネるきっかけになるんじゃないかと期待されていた(おじさんはかなり期待していた)。
たが、冷静に見ると、世界的に見てもビットコイン未満の信用度の弱小国家のトリッキープレイに過ない。当然、ビットコイン界はちょい上げ程度。ここ数週間の暴落を全モするほどの影響は無かった・・・残念。
まあ、直近底値からは上がってるのか・・・。
エルサルバドルがビットコインを法定通貨として採用したメリットは何だろうか。
元々のエルサルバドルの通貨コロンは、ビットコインよりも信用がない。なので、いくらビットコインの乱高下が激しいと言っても、ジンバブエドルよりは遥かにマシだろう。
また、ビットコインは自由に刷り増すことができないため、低信用国家における通貨過剰発行によるハイパーインフレは起こらない。この点では安心材料と言える。
こうしたメリットを踏まえると、エルサルバドルの決定は、自国通貨の信用度が低く暴落の危険性を抱えていたり、経済構造が不安定で強国の通貨を使わざるを得ない弱小国が、通貨的にドル支配から独立する可能性を示したと言える。
これから、多くの弱小国家がビットコインの法定通貨化に動き出せば、投機以外の需要が大きくなり、高値圏で安定していくことも考えられる。
さらに、アメリカの覇権域内にある中南米諸国や、アメリカと敵対する非米国家が続々とビットコイン法定通貨化に動いた場合は、アメリカ(ドル)にとって脅威となり得る。
ドルや西側諸国の通貨を使う限り、あらゆる国際決済はSWIFT(国際銀行間通信協会)を通じて行われ、特にドルの送金はニューヨーク連銀を必ず通過するため、必ずアメリカにバレる。経済制裁も容易だ。
だが、ビットコインで同じことは出来ず、ドル覇権を背景としたアメリカの経済制裁が無効となる可能性を秘めている。
エルサルバドルは、来るべきドル崩壊を見据えて非米経済圏を作っていくつもりなのかも。裏でブケレ大統領がイーロン・マスクと組んでる可能性もあるがww
現実的には、税金支払いなどの決済に使えるというに過ぎないし、そもそもビットコインはボラが大きく実用的ではないことから、国民の間ですぐに活用されることは無さそう。
ただ、エルサルバドルの動き対して、アメリカは牽制している模様。
FBIの本気、ビットコイン揺さぶる(NY特急便)https://t.co/uievBrfzwJ
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) June 8, 2021
つい先日、アメリカのパイプラインをハッキングしたハッカー集団に身代金として支払われたビットコイン(2億3000万円分)を、FBIが取り戻したと言うもの。
アメリカ政府は「悪いヤツら絶許!ビットコインは使わせへん!」と勝利の雄叫び。
この報道を受けてビットコインは急落した(上のチャートの右から3本目のローソク)。
ビットコインの暗号鍵(パスワード的なもの)は、量子コンピュータでもない限り破れないが、FBIがハッキングなど暗号鍵の入手方法をゲットしたとして、ビットコインの安全性への不安(FBIに追跡される危険性)が出てきたからだ。
ビットコインはFBIが追跡できる。アメリカからは逃げられない・・。
まさに、アメリカからエルサルバドルに追随しようとする国家への牽制球ッッ!
しかし、これはFBIが暗号鍵を手に入れる方法を見つけたとか、ビットコインをハッキングしたとか等の話じゃないことが判明した。これはゼロヘッジさんの記事。
The Colonial Pipeline Hack, The ‘Russians’, & The FBI’s Ransom-Grab – What Really Happened? https://t.co/wwX2S7Dbwg
— zerohedge (@zerohedge) June 8, 2021
何と、単に暗号鍵の入ったサーバー(取引所)がアメリカ国内にあることが分かったので、FBIが法的手続きによって令状を取って提出させただけとか。
さらに、パイプラインへのハッキングについてもロシアとか全く関係なく、パイプライン会社のセキュリティ意識が低すぎたことが問題だったとか。
つまり、凡人ハッカーさん達の凡ミス。FBIは、あえてビットコイン暗号鍵の入手経緯を公表しないことで、BTCオワコン説を煽ったと言える。
また、ハッカー集団の攻撃拠点は米国内との話もあり、FBIとハッカー集団による「BTC貶めマッチポンプ」の疑いはますます濃厚だ。
こうしたアメリカの牽制にも関わらず、エルサルバドル政府の本気度は高いっぽい。
火山熱をビットコイン採掘に活用 エルサルバドル政府が事業支援へhttps://t.co/Xrrne4Nisz
— CoinPost -仮想通貨情報サイト-【アプリ配信中】 (@coin_post) June 10, 2021
ビットコインの弱点でもある、大量の電力消費への対応に乗り出しているとか。
マイニング電力を再生可能エネルギーで賄うことで、欧米のアンチビットコイナーの環境問題レッテルを跳ね返そうと言うのか。
今のところ、エルサルバドル政府は「マイニングの予定はない」とのことだが、そのうちマイニング大国になりそう。
エルサルバドルがビットコインを法定通貨とすることについては、実は下地がある。昨年7月のBITTIMESさんの記事だ。
ビットコイン経済へと移行する「サーフィンの聖地」エルサルバドルの村でBTC決済進む https://t.co/dyERGvrsqJ #仮想通貨 #cryptocurrency #国際ニュース #ビットコイン #BTC #経済 #エルサルバドル #仮想通貨決済
— BITTIMES – 仮想通貨ニュースメディア (@TheBitTimes) July 19, 2020
エルサルバドルにあるサーフィンの聖地エルゾンテ村で、ビットコインを基盤とした経済システムへの移行が進んでいるとの内容だ。
2019年に、「エルゾンテ村を愛するもの」と名乗る匿名人物が、10万BTC(約980億円)を村に寄付したことがきっかけとか。なお「ビットコインを現金化しないこと」が寄付の条件だったとか。
それ以降、住民に対してビットコイン教育を通じて普及していき、エルゾンテ村では様々な場面でビットコインが支払い手段として利用されているとのことだ。
うーん・・・ポンと1000億円寄付できるなんて・・完全に誰か雲の上の人々による実験やな。
いずれにせよ、これを受けてエルサルバドル政府は動いている。しかも、アメリカの牽制球すら意に介していない。
以前に「バーゼルⅢで金と仮想通貨は爆上げ そしてドルは崩壊・・世界統一デジタル通貨へ」の中で、世界のシナリオはドル等の既存通貨を破壊する方向に動いていること、その後は世界統一デジタル通貨に進むが、その過渡期において金価格の上昇ペースを落とすためにも、仮想通貨市場への資金誘導が図られることを書いた。
こうしたことを踏まえると、エルサルバドルを皮切りに、今後は弱小国を中心にビットコイン法定通貨化の動きが加速するかもしれない。
最後まで読んでくれてありがとう!