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ウクライナ危機でロシアが仕掛ける金・資源本位通貨

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先日の「ゼレンスキー大統領はロシアのスパイ説を考える」では、ゼレンスキー大統領こそがロシアのスパイである可能性を紹介した。

真偽は不明だが、ゼレンスキー大統領の行動がロシアに有益となっていることもあるほか、ウクライナ東部の要衝マリウポリをロシア軍が落とすなど、戦況はロシア軍優位に展開している。

こうした中で、キエフ等のロシア軍の陽動部隊が撤退した都市で、多くの市民が殺害されていたことが確認された。

ウクライナ政府によると、キエフ近郊のブチャで410人もの遺体を確認したとか。

ロシアは「でっち上げや」としているものの、ドイツやフランスは外交官追放という厳しい態度を取っている。

ただ、殺害された市民の傍らには、ロシア軍が配給した食糧が落ちており、わざわざ食糧渡した市民をロシア軍が殺害するかとの疑問を投げかけるツイートも。

また、多くの遺体の状況から、銃撃ではなく砲撃により殺害されたとする見方も。

ロシア軍の支配地域で砲撃を受けたということは、ウクライナ軍による砲撃であることを意味する。

それにしても・・誰がどんな事情でやったかは知らんが、市民の日常生活を脅かし、さらに命を奪う戦争はクソだと言うのは間違いない。

なお、ゼレンスキー大統領は市民殺害を追及するために、国連安保理で演説したとか。

しかし、ゼレンスキー大統領がロシアスパイとするなら、ことさらに住民虐殺を叫ぶ意図は何処にあるのか気になるところ。

一つ考えられるのは、ロシア優位に進む戦争が想定より早く終わったとしても、欧米勢がロシア制裁を解除出来なくさせるor制裁強化させることにあるのではないか。

ロシア制裁する欧米諸国は、石油や天然ガス、食糧、金やレアメタルなど一大資源大国でもあるロシアからの逆制裁でかなり苦しめられている(特にEU)。

確証が無いままに「ロシア軍ジェノサイド」と決めつけるゼレンスキー大統領の姿勢からは、欧米勢に「安易に制裁解除すんなよ」と釘を刺しているように見える。

実のところ、ロシアはアゾフ連隊壊滅・親ロシア政権樹立だけではなく、ドルの信用・基軸通貨性に基づく金融システムの破壊を狙っている可能性が高い。(ウクライナ危機という経済戦争で崩壊するドル、そして日本バブル)(ウクライナ危機でロシアに寝返るサウジとUAE 黒幕はイスラエル

その点では、ウクライナ危機の本質は金融・経済戦争と言える。

世界で同時多発的にインフレの兆候 金融危機へのカウントダウン!?」などで紹介したように、コロナ危機誘発されたコストプッシュインフレは、ウクライナ危機で加速化している。

また、「コロナ危機の終わりは金融危機と仮想通貨バブルへと繋がる」等で紹介したように、世界的なインフレは10年以上も続いてきたQE(量的緩和)を停止に追い込み、QEマネーで隆盛を極めた金融市場のバブル崩壊懸念が出てきている。

ロシアは、世界的なインフレを加速化・長期化させることでアメリカを利上げ・QTへと転換させ、QEバブル崩壊を目論んでいる可能性が高い。

そのために、ロシアは欧米諸国による経済・金融制裁をより厳しく、より長いものにしたい・・そんな意図を感じる。

なお、ウクライナ危機により、既にウクライナからの小麦やトウモロコシの輸出量が激減しているとか。

日経さんによると、ロシア軍による黒海の港湾封鎖により、穀倉地帯ウクライナからの小麦・トウモロコシの輸出量3月分は、2月の4分の1にまで落ち込んでいるとか。

小麦先物の日足チャートを見ると・・

20220406小麦先物チャート

一時の暴騰は落ち着いているものの、昨年同時期の価格(約600ドル)から見れば、依然として超絶高値圏を推移していると言える。

こうした中で、ウクライナのオデッサ(オデーサ)に対するロシア軍の攻撃が報じられた。

実はこの報道はかなり重要だ。

オデッサ(オデーサ)は、ウクライナ第三の大都市であり、黒海に面する港湾都市でもある。

オデッサ地図

黒海東部やアゾフ海をロシアが抑える中で、オデッサまでロシアが制圧すれば、ウクライナからの輸出はロシアに支配される。

日米欧などの「非友好国」に対して小麦やトウモロコシの輸出を完全に止めることも可能になる。

また、「ウクライナ危機は認知戦?インフレと金融システムの転換」で、ウクライナは半導体製造に欠かせないネオンガスの世界の半分を生産していることを紹介した。

食糧に加えて半導体に不可欠なネオンガスまで止まってしまうと・・これは欧米諸国に対する強い逆制裁となり、さらなるインフレを招く。

また、ロシアは逆制裁の一環として、EU諸国に天然ガスの「ルーブル払い」を求めている。

欧州各国は「ユーロ建てって契約やったやん!契約違反や!」と反発しているものの、EUはロシアのユーロ資産凍結・没収やユーロ決済を制限している。

そのユーロでロシアから天然ガスを買い続けようというのは虫が良すぎるような・・。

ただ、「ウクライナ危機でロシアに寝返るサウジとUAE 黒幕はイスラエル」などで紹介したように、ロシア制裁に賛同している国は少数派なので、EUが買わなくてもロシアは全く困らない。

読売の記事にも、

プーチン大統領はテレビ演説で、「天然ガスを購入するには、(外国企業は)ロシアの銀行にルーブル建ての口座を開かなければならない。1日から、天然ガスの代金はこの口座を通して支払われる」と述べた。その上で「支払いがなければ、買い手の不履行とみなす。慈善事業を行うつもりはなく、既存契約は止まる」と主張した。

とあり、プーチン大統領は「ルーブル払いしないならガス止めますねー」と強気だ。

また、ゼロヘッジさんによると、ロシアはポーランドを通るガスパイプライン「ヤマルヨーロッパ」経由でのガスを止めたとか。

反ロシア傾向の強いポーランドを見せしめにしたのかもしれん。

ちなみに、プーチンさんは「ユーロ建て支払い可能」と説明しているとの報道が散見される。

記事を見ると、プーチンさんの言う「ユーロ建て払い」とは、EU諸国に制裁対象外のガスプロム銀行に口座を開設させ、そこにユーロを振り込めばルーブルに両替しちゃるぞ・・というものだ。

「ユーロ支払い容認」ではなく、ユーロ→ルーブルへの両替をガスプロム銀行が代行するという話に過ぎず、資源を買う通貨はあくまでルーブルだ。

なお、ロシアさんはガスを止めるか否かを、4月下旬に最終判断するとしている。

4月下旬までにガスプロム銀行に口座作っとけよ・・ということか。

なお、天然ガス輸入の半分をロシア産に頼るドイツでは、天然ガス価格高騰を受けた国民がショルツ政権に激怒しているとか。

ウクライナを想うドイツ国民は天然ガス高騰に堪え忍んでいる・・的な報道を見た気がするが、全然ガマンしてないしショルツ政権に激おこだ。

ルーブル払いを拒否してロシア産天然ガスが止まれば、ドイツ経済即死に加えて怒り狂った民衆が革命するかもしれん・・。

ちなみに、EU諸国のうち親ロ傾向の強いハンガリーのほか、オーストリアやラトビアなどはルーブル払いを受諾した模様だ。ドイツのショルツ首相も妥協するしかなさそう。

さて、このプーチンのルーブル払い要求の意図についてはルーブル価格を維持するためのものと言われているが、それだけではなさそうだ。

実は、ウクライナ侵攻で暴落したロシアルーブルは、既に侵攻前の水準に戻っている。以下は、ルーブルドルの日足チャートだ。

20220405ルーブルドル日足チャート

チャートでは、侵攻前のサポートラインがレジスタンスとなっている感じだ。このレジスタンスを突破すると、侵攻前を上回っていくかもしれん。

ここ数週間のドルは、利上げ期待もあってかなり強かったが、ルーブルはそれを凌ぐV字回復。

このルーブルの強さは、単に天然ガスに釣られたEUの買い支え期待だけではない。

ロシアが、世界最大の天然ガス輸出国という立場からEU諸国に「ルーブル払い」させるのは、ペトロダラー(中東の石油が買える唯一の通貨ドル)的な価値・信用をルーブルに付与したと言える。

ある意味で、ルーブルに「天然ガス」というブツの裏付けを持たせたと言えるもので、ルーブルのV字回復の理由は多分これ。

そして、ロシアは他の資源についてもルーブル払いを求めていくとする。

今のところは、日本が輸入するLNG(液化天然ガス)はルーブル払いの対象外だったが・・これからも特別扱いをお願いしたいものだ。

ロシア制裁はルーブルの金本位性とドル離れに繋がる」等で紹介したように、クレディ・スイスのゾルタン氏は、金や資源の裏付けを持つルーブルとなることを予測しており、ロシアの動きはこの一環と言える。

さらに、「ウクライナ報道転換の兆し 日欧は対ロシア制裁をやめるかも」で紹介したように、ロシア中央銀行は積極的に金(ゴールド)を購入し始めている。

ロイターによると、ロシア中央銀行は欧米の金融制裁で困窮した銀行の救済のために、1グラム5000ルーブルという固定レートで金を買い上げているようだ。

直近レートでざっくり計算すると、1オンス1415ドルくらいになる。市場価格が1オンス1920ドルくらいなので、2~3割ほどのディスカウント価格で金を買い集めていることになる。

また、ロシアから産出した金は、欧米から締め出されている。

精錬業者が抱えた金はロシア中銀が買い上げていると見られ、銀行からの買い上げと合わせてロシア中銀保有の金は大きく増えていく。

そして、以前に「バーゼルⅢで金と仮想通貨は爆上げ そしてドルは崩壊・・世界統一デジタル通貨へ」で紹介したように、これまで意図的に低く抑えられていた金や銀は、バーゼル規制の完全適用によって高値ジャンプの準備が出来ている。

さらに、「ウクライナ危機は認知戦?インフレと金融システムの転換」で、インドの少年予言者のアビギャ・アナンドくんが、4月以降の金銀価格上昇を予言している。

金価格が高騰すれば、金1グラム5000ルーブルでペッグされているルーブルも金価格に伴って上昇することになり、さらに「天然ガスが買える通貨」という価値も加わる。

そして、ロシア中銀が充分な量の金を確保して金価格も上昇した暁には、ルーブル→金への交換を開始してルーブルに完全に金の裏付けを持たせる(=金本位制)のかもしれない。

また、通貨システムの転換はロシアだけに留まらない。

アゾフ連隊の活躍報道から見る戦況とドルの崩壊」で紹介したように、ロシア主導のEAEU加盟国と中国による「単一通貨構想」が出てきている。

ロシア系メディアのスプートニクは・・

新たな通貨の価値は加盟国の通貨指数や商品価格指数とみなされる。

・・と、ドルのような「信用(=砂上の楼閣)」ではなく、金を始めとする様々なコモディティに基づく通貨システムが検討されているとする。

さらに、新世界秩序の構築に向けて、ロシアと中国が共闘していくことが報じられた。

ここでいう「新世界秩序」とは、新たな金融システムと読み替えてもいいだろう。

そして、それは「金や資源に裏付けられた通貨」に他ならない。

そして、その新たな通貨システムには、アメリカと袂を分かったサウジやUAEといった中東諸国も加わってくる可能性が高い。(ウクライナ危機でロシアに寝返るサウジとUAE 黒幕はイスラエル

クレディ・スイスのゾルタン氏が予測する「金や資源の裏付けを持つルーブル」とは、ロシアだけではなく中国や中東勢も加わった「ブツの裏付けを持つ新通貨システム」として現実になりつつある。

それにしても、サウジやUAE、イランなどは石油を裏付けとするだろうけど、中国は・・何にするんだろうか。奴隷労働者?それだと日本も加われるかも・・。

さて、新通貨の特徴は、金や資源価格上昇に伴ってその価値や信用も上昇することにある。

それとは対照的に、「みんなが使ってモノが買える」という信用に基づくフィアット通貨に過ぎないドルは相対的に下落する。

金融緩和の長期化による過剰発行で「信用」が「砂上の楼閣」と化す中で、スーパーバブル崩壊懸念もあるドルはかなり窮地に立たされている。

このイルミナティカード。

bank merger

ドルはポンドに飲み込まれ、さらに円に飲み込まれる。

アメリカのQEバブル崩壊後は、金融緩和を続ける円に一時的に資金が集まる(=日本バブル)ことの暗示だろう。

だが、日本円も巨大な何かに飲まれていく。

それは、現在の債券発行による際限なき通貨発行する金融システムから、モノに基づく通貨システムに転換した「金・資源本位通貨」だろう。

そして、それは「世界統一デジタル通貨フェニックス」なのかもしれない。


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