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米国債・米ドルの崩壊とハイパービットコイニゼーション

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以前に「元コインベースCTOが予測するハイパーインフレ=ドル崩壊」では、元コインベースCTO(最高技術責任者)のバラジ・スリニヴァサン氏が、3月にビットコインが90日以内に100万ドル・・との予測をしたことを紹介した。

結果は大ハズレだったが、この予測のキモは・・

  • 全ての法定通貨がインフレになる可能性があり、特にドルはハイパーインフレとなり、CBDC(中央銀行デジタル通貨)への移行時に、ドルが大幅に切り下げされる。
  • このため、信頼に足る通貨としてビットコインに資金が集中する

・・と、ドルの大幅な価値低下(ハイパーインフレ)とセットでビットコインが爆上げするというもので、スリニヴァサン氏はこれを「ハイパービットコイニゼーション」と命名している。

普通に考えればキチガイの戯言だが、現実を見ると、あながちそうでもなくなっていることが分かる。

仮想通貨の状況だが「来るべき金融危機の勝ち組はビットコインと日本円!?」で紹介したように、あのブラックロックが仕掛けるビットコイン現物ETFが承認される可能性が日に日に高まっている。

まず、バイナンスへの億ドル単位のUSDT入金が連発されている。

謎ウォレットから取引所へのUSDT(テザー)送金は、今後の仮想通貨購入を前提としたものであり、その資金額さを踏まえると、巨人がビットコイン買いの準備を始めた可能性が高い。

そして、この巨人はブラックロックではないか。

と言うのも、このタイミングでブラックロックのiShares Bitcoin Trustが、アメリカの証券保管機関のDTCC(Depository Trust & Clearing Corporation) に掲載(上場)されたからだ。

DTCC上場は、仮想通貨現物ETFを市場に投入するプロセスの一部と報じられている。

なお、iShares Bitcoin Trustはデリストされたり再リストされるなどしており、ビットコインの荒い値動きの一因となっている。

何か混乱してる??

また、ブラックロックはSEC(アメリカ証券取引委員会)に対して、「現物ETF承認に向けてビットコイン買うわ」と通知したとか。

ブラックロックの動きからは、SECによるETF承認の決定期限となる2024年1月10日までに、ビットコイン現物ETFが承認される可能性が極めて高まっていると言えるだろう。

また、ビットコイン界の巨人・グレスケさんの現物ETF申請却下について、SECは再検討を命じられたとか。

SECはブラックロックやグレスケ以外の現物ETF申請も承認検討中であるほか、グレスケさんは自身の信託をETF変換する意欲マンマンとのこと。

ビットコイン現物ETFについては、承認される・されないから、いつ承認されるかという段階になっており、ビットコインは長年のレジスタンスラインとして意識されていた32000~33000ドルを突破して絶好調となっている。

以下はBTCUSD(ビットコイン/ドル)の週足チャートだ。

20231026ビットコインドル週足チャート

1年ぶり以上の高値でブラックロックの現物ETFが来るわ、来年は半減期だわと期待に満ち満ちたビットコインとなっている。

一方で、これと対照的なのが米国債であり、ドルの大幅な価値低下(ハイパーインフレ)による「ハイパービットコイニゼーション」が現実化する可能性を彷彿とさせる。

この米国債の苦境については、ブルームバーグからも「米国債メルトダウン」という刺激的なタイトルの記事が出ていた。

ブルームバーグさんの記事によると・・

  • 償還年限が10年以上の米国債価格は、 2020年3月のピーク価格から46%下落
  • 2007年以降で初めて利回り5%になった30年米国債の下落率は53%

・・となっていて、米国債の暴落(=利回り急騰)は、金融危機時の株価暴落(57%)レベルなんだとか。

と言うことで、10年米国債利回りの週足チャートから、長期的な動きを確認すると・・

20231026US10Y週足チャート

・・ついに利回りが5%を超えるレベルで利回り急騰(=価格下落)しており、2008年以降のQE(=FRBによる大量の国債購入)分が完全に帳消しとなったことが分かる。

全ての長期金利と連動する超重要な10年米国債だが、ここまで下落している点からは「刷られ過ぎ・売られ過ぎ・誰も買わな過ぎ」の三重苦になっているようで、その原因原因は・・

  1. アメリカ政府債務の急増
  2. インフレ期待
  3. 米国債余り

・・の3点があると考えられる。

まずは、①のアメリカ政府債務の急増について、5月末の債務上限問題以降で2兆ドルも増加して、総額では33.5兆ドルとなっている。

2兆ドル=約300兆円なので、「バイデノミクス」によるアメリカ政府債務の急増はメチャクチャなペースと言える。

2020年以降では10兆ドル以上の増加となっているアメリカ政府債務の急増について、あのピーター・シフ氏も「持続可能性ゼロやで」と警鐘を鳴らしている。

ピーター・シフ氏曰く・・

  • 2025年末までに、政府債務は40兆ドルに増加する。
  • 金利が今と同じ5%としても、年間2兆ドルになる。
  • これは税収の約45%で、社会保障費よりも46%多い額だぞ。

・・なんだとか。

この巨額の政府債務のために、兆ドル単位の米国債が発行されているワケだ。

この債務急増の要因は・・

  • 債務上限問題でモメてる間に財務省が使い果たした手持ち資金の再確保
  • 歳入の減少

・・もあるが、最大の原因は、ウクライナ支援の泥沼化等の巨額の支出なんだとか。

ちなみに、歳入減少は利上げの影響+経済減速がありそう。

アメリカレポ市場へのFRB資金供給増額が意味すること」で紹介したように、FRBは短期資金を大量投入しており、この資金量の増減による金利操作は不可能となっている(日本も同じ)。

なので、FRBは各銀行がFRBに預ける「準備預金」に利息を付けることで、金融機関が市中に融資する金利がFRB金利以上となるよう誘導しており、これが事実上の政策金利となっている。

ただ、準備預金への付利に必要なカネ>FRB収入となっているため、FRB→政府への資金還流が消滅してアメリカ政府歳入が減っているというワケだ。

さらに、この歳入減少が「経済堅調で困るわ~」と言ってる中で起っているのは、懸念すべきポイントだ。

バイデン政権が2023年度に計上した1兆6950億ドルの赤字は、コロナ年度(2021~22年)に次いで歴代3位となる規模だった。

だが、懸念されるのは前年比9.3%減という2023年の予算不足であり、「予算不足」が経済不況下にあったオバマ政権下のどの年よりも大きかった点だ。

「強い経済」は税収増えるのが当然だが、それが減っている点からは、経済堅調というのは「砂上の楼閣」のウソという可能性が高い。

実際に、アメリカの雇用統計が7ヶ月連続で下方修正されていることを、ピーター・シフ氏が指摘している。

雇用順調をアピールしつつも、後で「言うほどでもなかったわ」と下方修正しているワケだ。

また、ピーターシフ氏は、アメリカ国民の貯蓄額の減少にも触れており、2021年8月に2兆1000億ドルをピークに2023年6月には1900億ドルに減少している点を問題視する。

先日(2023年9月分)の雇用統計も一見堅調だったが、その中身は・・

フルタイムの雇用者はマイナス22000人
パートタイム雇用者は+151000人

・・と、フルタイム→パートタイムへの移行が加速しており、パートタイムのダブルワークという苦しい生活環境となっていることが示唆されている。

カネの無いアメリカ国民が、大規模ストライキに走るのも納得だ。

つまり、アメリカ経済は既に不況となっている可能性が高く、利上げと相まって政府歳入は大幅減少しているところだが、バラマキ政府債務はさらに拡大する見込みだ。

その額は総額1050億ドル(150兆円くらい)であり、内訳は・・

・・イスラエルに140億ドル、ウクライナに600億ドル、人道支援に100億ドル、インド太平洋に70億ドル、国境警備に140億ドルとなっており、全項目がおかわりを要求する未来が見える。

と言うことで、利上げ&不況で予算不足のところに、異次元のバラマキをしているため、米国債の発行額が急増しているというワケだ。

また、FRBパウエル議長は、米国債利回りが急騰している理由について、財政政策に起因していることを認めている。

FRBが国債を引き受けていないため、受け皿不足となっていることが伺える。

また、これら債務に必要な利払い費用は、四半期で軍事防衛費や社会保障費を超える驚異の1兆ドルになっているほか、急激な利回り上昇に伴ってさらに上昇する。

今後は、利息を支払うために国債発行というチャリンコ操業になる可能性も見え始めており、持続可能性が疑問視される中で、米国債利回りは急騰していると言え、米国債への信用問題が起こりつつあると言える。

②のさらなるインフレ期待について、先日のFRBパウエル議長の講演において、今夏のインフレ率低下に満足しているとして利上げは一時停止としたものの、(真偽不明の)経済堅調のため利上げ打ち切り宣言はしなかった。

しかし、先に紹介したようにアメリカ経済は「砂上の楼閣」なので、それがインフレ原因ではない。

直近の9月CPI(消費者物価指数)の前年比をみると・・

前回3.7% 予想3.6% 結果3.7%

となっているほか、コアCPIは・・

前回4.3% 予想4.1% 結果4.1%

となっており、インフレ鈍化を示唆しているのは間違いない。

だが、コアが高止まりしており、食品・エネルギーなど、国民生活と密接に関わるモノのインフレは収まっていないことが分かる。

また、CPIとは80,000を超える商品・サービスの総合指数なので、生活必需品に絞って見ると非常にキビシイ状況であることが報じられている。

食品始めとする生活必需品は、2020年から25%~50%も増加しており、とくに低所得層を中心に「マジでメシが食えない」事態になりつつあるとか。

雇用不安+メシ食えないとなれば、革命になりそうだ・・。

ちなみに、オレンジジュースは2020年から315%値上がり(2023年だけで105%)しており、コモディティ投資の正解は石油ではなくオレンジジュースだった説も。

と言うことで、実際にインフレは収まっていない一方で、サプライチェーン混乱は収まっている点を踏まえると、このインフレは「コストプッシュ」では無い可能性が見えてくる。

つまり、①の政府債務の急増=実体経済へのドル大量注入=実体経済への大量のマネー注入であり、これが「貨幣価値の下落」を誘発し始めている可能性が懸念される。

2021までのQE資金は、その大半が債券・株式市場に投入されてトリクルダウンしなかった=実体経済には回らなかったため、債券高・株高になったもののインフレにはならなかった点とは大きく異なっている。

そもそも、バイデン政権のウクライナ支援などは、何ら国家の富の構築に寄与していないため、本来は国債発行(=貨幣量の増加)すべきものではない。

さらに、中東戦争危機が煽り倒される中で、イマイチ戦争に乗り気では無さそうなアメリカやイスラエルの代わりに、トルコがアップを始めたことを、あのダグラス・マクレガーさんが指摘する。

中東戦争(第三次世界大戦?)待ったなしとなれば、貨幣価値の低下+資源上昇で、一層のインフレ期待となるのは当然だ。

インフレの度合いは「ハイパー」かもしれんが・・いずれにせよ、インフレ=米国債売り=利回り上昇となる。

これと関連してくるのが、③の米国債余りだ。

大前提として、米国債の人気はダダ下がりで、海外の中央銀行は保有米国債を減らし続けているほか、中国は人民元の買支え原資として米国債を売っており、過去22ヶ月中20ヶ月で売り越しとなっているとか。

このほか、大手金融機関の債券トレーダーさんたちが、あまりの国債価格の下落に大損したことが報じられている。

トレーダーさんたちは、金融緩和への再転換の期待から債券買いして大損こいたのとことだが、ブルームバーグさんの記事で気になるのはこの部分。

HSBCホールディングスのスティーブ・メージャー氏は、米政府による国債発行増加を問題視しなかったのは「間違いだった」と認めた。

と、

また、米連邦準備制度による市場での債券買い入れがない中で、米国の巨額の財政赤字と、その穴埋めで必要になった国債発行の膨張が、以前にはなかった形で今、問題になりつつある。

の点で、債券トレーダーさんたちは、FRBのQE(米国債買い支え)が無い中で、巨額の財政赤字に伴って激増する米国債を、マーケットが消化しきれないとの懸念を持ち始めたことが報じられている。

金融界の大人「もう米国債買えないぽ・・・」

さらに、ナスダックと米国債の投資リターンを比較すると、リターン比率は過去最高の8.2倍になっているとか。

債券有利だった2008年のリーマンショック時でも5.5倍差だったので、現在の債券投資の魅力は皆無だ。

中央銀行や大手ファンドなど、金融界の大人たちは米国債離れを加速させる。

この他にも、アメリカの銀行が抱える国債絡みの含み損が4000億ドルに膨れ上がっている点も気なるところ。

ちなみに、銀行界の巨人・バンカメさんの含み損は1300億ドルを突破したとか。

バンカメさんの資産流動性は十分なので問題ナッシングとのことだが・・時価評価が当たり前の金融界にあって、満期保有だからセーフ理論が通用するハズもなく、機会損失による苦しい戦いとなっているようで、大手・地銀合わせて、2000もの支店が閉鎖されたことが報じられている。

Mail Online

Major US banks are continuing to close branches across the U…

さらに、銀行は国債の莫大な評価損&預金流出で信用収縮(クレジットクランチ)に陥っており、インフレ鈍化の原因になっていることは「崩壊しそうなドルと日銀の金融政策、そして新たな通貨システム」でも紹介したとおりで、多額の借り換えが迫るCRE(商業不動産)セクター大崩壊の可能性も懸念される。

さらに、体力の乏しい地銀さんたちが米国債の評価損を計上(=損失確定)するとなれば、シグネチャー銀行やシリコンバレー銀行の二の舞となりかねない。

金融界の大人たちには、塩漬けリスク資産化した米国債を買い増す予定も余裕もなさそうだが、それでも米国債は無限増殖し続けている。

ちなみに、モルスタさんは「米国債5%が買いやで」と買い煽っている。

だが、利回り5%台となれば、超低金利が大前提のアメリカ経済は、CRE(商業不動産)やゾンビ企業、CLO(ローン担保証券)などの問題が一斉に噴出して金融危機が顕在化することになる。

モルスタの買い煽りは、米国債ショートの燃料を用意する目的という可能性も否定出来ない。

と言うことで、米国債は・・

  1. アメリカ政府債務の急増
  2. インフレ期待
  3. 米国債余り

・・の3つが絡み合う構造的な要因によって利回り上昇(=国債価値は下落)しており、さらにこの利回り上昇が、銀行の信用収縮+貨幣価値の下落を招いている。

何かの一押しで、金融危機(=米ドル・米国債の崩壊)になりそうな状況だが、こうした中で、ヘルシンキ大学准教授の経済学者トマス・マリネン氏は、中東戦争が最後の一押しとなる可能性を提示する。

マリネン氏の予測内容をざっくりまとめると・・

中東戦争のエスカレート

中東勢結束で石油危機に

インフレ再燃&エネルギー危機

中央銀行の金融引締め政策によって金融危機発生

FRBが、金融緩和に転換

ドルは信用を失ってハイパーインフレへ

・・というものだ。

これが金融界の大人たちの共通認識とするなら、中東戦争(第三次世界大戦?)リスクが高まっても、有事のドル&米国債買いは起こっていないのも納得だ。

さらに、その資金は金やビットコインに向かっており、特に金は米国債利回り上昇(=国債価格は下落)にも関わらず、予測値を大きく外れて上がり始めている。

数十年に渡って逆相関にあった金と国債利回りの関係性は、多くの中央銀行が金購入したことで2022年秋以降崩壊したが、それは通貨価値の不確実性が非常に高いからで、こうした中でFRBが再度QEすれば、金価格は火柱急上昇する・・とか。

マリネン氏の予測のも重なっており、金融界の大人たちは、米ドル・米国債を見限って金(Gold)にシフトし始めていることが伺える。

また、ビットコイン否定派ファンドマネージャーのポール・チューダー・ジョーンズ氏は、地政学面(ウクライナ・イスラエル)とアメリカの政府債務を踏まえて、ビットコイン&金推しに転換したとか。

と言うことで、全体として見ると・・

  1. 米国債・米ドルの信用と価値は急激に低下する
  2. その代わりにビットコインと金に資金移動

・・という動きが始まっていることが分かる。

これは、冒頭に紹介した「ハイパービットコイニゼーション」の構造そのもので、米ドル・米国債の崩壊度合いが強いほど、ビットコインは上がることになりそう。

そして、米ドル・米国債の崩壊とセットでビットコインに資金集中する動きは、以前に「バーゼルⅢで金と仮想通貨は爆上げ そしてドルは崩壊・・世界統一デジタル通貨へ」で紹介した、ビットコインを広告塔とした世界統一デジタル通貨に繋がっていく。

通貨を巡る動きが繋がり始めた・・。


最後まで読んでくれてありがとう!