東京オリ・パラ組織委員会の森喜朗会長が、自らの失言に伴い辞任する。その後任は、日本サッカー協会相談役の川渕氏に打診し、川渕氏も受諾の意向を示していた。
川渕氏を会長としたうえで、森喜朗氏は相談役として引き続き組織委員会の運営にタッチする・・という構想か。
しかし、一転して川渕氏は会長職を辞退して大混乱が起こっている。
この舞台裏については、東スポさんが報じている。ただのスポーツ紙と侮ることなかれ。川渕氏の言葉をそのまま掲載しており、真実を知る手掛かりになる。
辞退を選ぶしかなかった川淵氏が政府介入説に言及「意図的に俺を…」 https://t.co/rBC5Y4hwzh
— 東スポ政治・社会 (@tospo_seiji) February 12, 2021
東スポさんは、川渕氏の言葉をまんま引用して報じている。
川渕氏が組織委員会の会議の場で辞退の意向を示した、とした上で、その後のぶら下がり取材で引き出した川渕氏の本音を掲載している。
政府はこれまで森会長の進退問題に深く関与してこなかったが、急きょ組織委の人事に介入してきたと一部メディアが報じた。この件について、質問が飛ぶと「政府がそういったこと(人事に介入)をしていると聞いてびっくりした」と本音を吐露。続けて「僕は全く知らない。僕がやめるとかっていう話が流れていて、誰がそんなこと言ったんだと。僕はそんなこと言っていないのに、誰かが言ったに違いないと思って、すごい頭にきたんだよね。だから意図的に俺をそういう風(辞退します)に言わせるための可能性があるなって」と推測した。 また「俺だけ理事でもないのに、特筆して会長候補になっているのはどう考えても異常」とも話した川淵氏。森会長の失言の影響が思わぬ形で飛び火してしまったようだ。
川渕氏は元スポーツマンだけあって、なかなか正直な(政治的な裏表が無い)人と見える。この発言には恨みは籠っているが、特に含むところはないだろう。
川渕氏の発言から、川渕氏の辞退発言よりも前に「川渕氏の会長辞退」が報道されたことが分かる。
川渕氏は批判記事を書いた記者に取材パスを発行させなかったりする「老害」だが、その皇帝・川渕氏に「即辞退」判断をさせた背景が透けて見える発言だ。
つまり、川渕氏の辞退は、「世間の批判」ではなく「政府筋の介入」が理由のようだ。そして、マスコミは政府の意向を掴んで、川渕氏の辞退発言より前に報道した・・というのが事実か。
それにしても、政府が川渕会長案を白紙撤回したのは何故だろうか。
「森喜朗氏の辞任と後任は川渕氏」の報道が出た時点で、関係各所への根回しは当然に済んでいたハズだ。事務的にもイケると判断されていたのは確実で、儀式的に手続きを踏むだけだっただろう。
森喜朗氏も、組織のルールを無視して後継指名したワケではない。
日本の文化的に、事前調整でOKなら問題はない。「勝手に後継指名」と叩かれる言われは無かろう。
さらに、菅首相の発言は「組織委員会は独立した組織で政府の権限は及ばない」とか「公益財団法人なので、会長選任手続きは透明性を確保してね」という極めて常識的(消極的?)なもの。
介入の意図は全く感じられない・・でも介入した。
それは、川渕氏のしゃべり過ぎにありそうだ。
川渕氏は「森喜朗氏は相談役」構想をしゃべってしまった。本来なら、自身の会長就任後に言うべきだったが、結果として日本が世界から糾弾されることとなった。そして、森喜朗相談役案は実現困難となった。
つまり、この件の本丸は「川渕氏の会長就任」ではなく「森喜朗氏の相談役就任」だ。
森喜朗相談役が実現しない以上は、川渕氏の会長など何の意味もない・・ということなのだろう。川渕氏も辞退するつもりだったかもしれないが、その前に政府筋から強制辞退するように仕組まれたようだ。
なお、川淵氏はオリパラ委員会の「評議員」であって「理事」ではないので、そもそも理事長にはなれない・・という話もある。結局、川渕氏はお飾りに過ぎないんだな。
だが、なぜ森喜朗氏を組織に残そうとするのか。単なる「功労者」というだけで、失言王を相談役に据えねばならないのか。
これについて、原田武夫氏は森喜朗氏の「役割」について言及している。
この動画で語れれる森喜朗氏や東京オリンピックに関する内容はこんな感じ。
- オリンピックはやるだろうが、形を変えてやるため、ある意味ではオリンピックではない。
- 政治家の資質としては?な人だが、森さんは継いでいるもの(清和会的なもの)があり普通ではない。
- 早稲田の雄弁会で政治を学んだ後、初代行政管理庁長官(※前身の総理府総務長官?)をやった人(今松治郎)の秘書になった。
- 戦前の特別高等警察(日本版FBIみたいな)のようなもので、森喜朗氏はその利権を継いでいる。
- 政体勢力でもなく、国体勢力でもない特殊な階層を継いでいるため、森喜朗氏は普通ではない。そういう立場。
森喜朗氏のチカラの源泉の詳細は分からないものの、そこらの一政治家とは格が違う。税金の再分配という日本の政治を体現してきた政治家・・そんなところか。
さらに、こちらの動画でも今回の騒動について触れている。
こっちの動画の概要はこんな感じ。
- IOCが、森喜朗氏の発言が不適切としたことでことが大きくなってきた。
- 東京オリパラ委員会の会長はJOC(日本オリンピック委員会)の理事から選ばれるが、そのJOCはIOC(国際オリンピック委員会)が何を言うかを見ている。
- IOCが森発言を不適切としたのは、ジェンダー平等を重視するスポンサーがおり始めた可能性がある。
- この手の発言に対して、永田町でおカネの再分配に携わっている人(重鎮たち)と、世界の感覚とは大きく異なる。
ということで、森喜朗氏は自身の持つチカラをいかんなく発揮して、東京五輪に関する利権の分配を調整してきた。これについては、森喜朗氏でなければ不可能だったのだろう。
日本特有の事情かもしれないが、IOC(&その後ろに控えるグローバル多国籍企業)も配慮してきたのは間違いない。森喜朗氏に任せておけば、うまい汁が吸えたのだから。
ところが、IOCが、ポリティカルコレクトネスに配慮するスポンサー企業に忖度して、森喜朗氏を下ろす方に舵を切ってしまったようだ。
カナダのIOC委員「絶対に追い詰める」 森喜朗氏発言に憤り https://t.co/s3Xn17Nerv
— 毎日新聞ニュース (@mainichijpnews) February 5, 2021
うーん「絶対に追い詰める」発言とは穏やかではない。
森氏の女性蔑視発言だけでなく、川渕氏も韓国の反日教育を否定した「反日種族主義」を賞賛する発言をしており、海外で中国・韓国との摩擦を懸念する報道が出ていたことも影響してそうだな。
いずれにせよ、森喜朗氏が相談役となる案は、彼を引き続きオリンピック(利権)に関わらせる良案だったが、 バレたために潰されることとなってしまった。
政府筋が介入したのは、このIOCの意向を受けたものだろう。外圧に弱いのは伝統芸か。
参考までに、日本と同じように五輪開催に圧力をかけられている中国さんの対応は・・
北京五輪ボイコット論に「すれば報復」とけん制 https://t.co/z2cdlIztcH
— テレ朝news (@tv_asahi_news) February 8, 2021
「北京五輪をボイコットしたら報復」として徹底抗戦する構えだ。
こうして見ると、森喜朗氏を辞任に追い込んだのは「東京オリンピックは女性蔑視で会長辞任した。ウイグル人ジェノサイドの北京オリンピックは中止が当然」と主張するための根拠にされた感じもあるな。
森喜朗氏の辞任に加え東京オリンピックも中止となり、北京の冬季オリンピックが開催となれば、コロナ後初のオリンピックという名誉だけでなく、IOC(欧米勢)の圧力にも屈しなかった覇権国家中国を演出できる。
こうしたことを見据えて、中国との関係が深いとされる二階幹事長が動いた・・という話もあるが、二階幹事長と森喜朗氏では政治家の格が違うようなので、この説は無いな。
それにしても・・・森喜朗氏が必要とされる各方面との調整が終わっているのだろうか。相談役の話が出てくることから、まだ森善朗氏の役割は終わってない気もする。
あるいは、この話が消えてこなくなったことから、もう「調整はいらない」という状況なのか。
原田武夫氏も、「オリンピックはやるだろうが、形を変えてやるため、ある意味ではオリンピックではない」としているし。
じっくり腰を据えて、以前のように夏冬オリンピック同年開催として、夏は日本で、冬は中国でやるならやれるんだろうけど。
19年のラグビーW杯も、誰もラグビールール知らなかったのにめちゃくちゃ盛り上がった。東京オリンピックも、開催できれば盛り上がったんだろうな。まあ、カネはかかりますが。
誘致当初の「コンパクト五輪」から、ものの見事に「史上最高額の五輪」になったことからも利権の闇は深い。
と言うことで、以前にも紹介したが、関係者の間ではかなり前から中止は決まっていた。
来年7月の開催を予定している東京オリンピックに関して、IOCが中止を決定したという情報が出てきた。元博報堂の本間龍氏がYouTube動画の中で語った。https://youtu.be/thtzBZ04Bw8一月万冊さんと本間[…]
これは、10月にブログ掲載した記事だ。
欧州での新型コロナ感染拡大を受けて、IOCのバッハ会長が東京オリンピックの中止を決定しており、11月のバッハ会長と菅首相と会談する場で正式に中止が通告されるが、日本政府は中止発表をしばらく先延ばしにする・・というものだ。
この件は、元博報堂の本間龍さんが政府や電通の関係者から聞いた話としている。
まあ、オリンピックというのはヨーロッパの王族・貴族のお遊びなので、ヨーロッパ勢がコロナで参加できないなら開催しないぜっていうことのようだ。
これを裏付けるかのような発言が、アメリカから出ている。
バイデン米大統領はラジオ番組で、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、今夏の東京五輪・パラリンピックが「安全に開催できるかは科学に基づいて判断されるべきだ」と発言。開催を願うとしつつ、可能か「まだ分からない」との認識も示しました。https://t.co/qmxYqRqHSs
— 時事通信国際ニュース (@jiji_gaishin) February 8, 2021
オリンピック開催は、科学に基づいて判断されるべきとか。
うーん、科学に基づいたら中止一択だと思うが。
米国勢は、既にオリンピックに興味はない模様だ。だが、放映権料などの「オリンピック利権」はどうするんだろうか。日本政府がお支払する形での決着が決まっているんだろうか。コロナは不可抗力だと思うが・・違約金払うんかな。
それにしても驚きは1980年代のマンガ「AKIRA」だ。2020年の東京オリンピックについて、ここまで予言するとは・・・。
AKIRA予言については検索してもらえれば色々出てくるので、そちらで確認を。まあ偶然なんだろうけどね。
それにしても、「国民の力で成功させよう」などの精神論とかは、奴隷ボランティアを彷彿とさせるな。
また、「東京オリンピック中止」と言えば、幻の1940年の東京オリンピックが思い起こされる。
1940年(昭和15年)の東京オリンピックは、実現すれば欧米以外を開催地とする史上初のオリンピックだった。だが、日中戦争が始まったことで、物資や人員への影響を懸念した軍部の反対により日本政府が開催権を返上したため、幻に終わったオリンピックだった。
その後、日本は戦争により焦土と化したが・・・。
最後まで読んでくれてありがとう!