以前に「再び金価格高騰 背景にはインフレとテーパリング!?」で紹介したように、ドルへの信用不安を背景に金価格は上昇している。
そんな中で、バーゼルⅢによって金価格と仮想通貨が爆上げしそうだ。そして、ドルは崩壊への道のりを歩み始めそうだ。
5月28日(金曜日)のモーサテで、金価格の上昇のメカニズムを解説していた。
モーサテでの解説終了しました。
ビットコインと金について。金価格は構成要素に分解するといろいろ情報が取れるのですが、実質金利要因とリスク・プレミアムに分解して、市場のリスク感応度を把握しましょう、という話です。
【2,000ドル回復なるか 金上昇のメカニズムは】https://t.co/t03xk0xm9c— 新村直弘 (@nniimurarisk) May 27, 2021
解説者の方によると、債権価格(金利)と金のリスクプレミアムの変動には相関があり、金利低下が金価格上昇を招いていることや、ビットコイン等の仮想通貨から金(ゴールド)へ資金が流れている・・とのことであった。
注)寝ぼけ眼で聞いてたので、違ってたらごめんだ。
寝ぼけ眼だったが、債権価格(金利)と金価格の相関理由について、本質的な部分で違う気がした。
金のリスクプレミアム上昇は、結局のところ国債(米ドル)の信用リスクを意識する人が増えたから・・ではなかろうか。
つまり、金利はQE(=造幣による国債買い)である程度は抑え込んでいるものの、潜在的リスクだったインフレが顕在化しつつあり、市場参加者の一部はヤバイと意識し始めている。
陰謀論者以外にも「そろそろドルヤバくね?」「ドルってデフォルトすんじゃね?」・・と考える人が多くなっているということだ。
コストプッシュインフレにより金利が上がり、ドルの過剰発行がジワジワと信用を蝕む中で、バイデン大統領はさらなる大規模ドル発行策を打ち出してきた。
米メディアは27日、バイデン大統領が2022会計年度(21年10月~22年9月)の予算教書で6兆ドル(約660兆円)規模の歳出を議会に求めると報じました。インフラ投資や社会福祉の拡充を目指すため、今後10年は高水準の歳出が続くといいます。https://t.co/HH4WitAcq7
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) May 27, 2021
来年度の支出は、戦後最大規模となる6兆ドルとなり、さらに今後10年は高水準の支出が続くとしている。なお、財源はQE(=造幣による国債買い)となる。
昨年来の新型コロナパンデミックで、財政支出と米国債務は急拡大したが、この状況に呼応して米ドル指数は下落し、代わりにビットコインが急上昇した。
この新たな6兆ドルを待たずして、市場の動きは米ドルの信用低下を見据えているのに・・・バイデン大統領の自滅的なまでに過剰な財政支出は何なのか。
この件については、謎のツイッターアカウントのれうういさんの最近のツイートが興味深い。
There are scenarios in the world today.
It always works in a scenario
decided by someone.remember. Tokyo in Japan will sink.
It goes according to the scenario
I’m sure you will witness it.And today’s cryptocurrencies
also have scenarios. https://t.co/TVOnriF7ks— ☾ h a d (@altcoinchad) May 27, 2021
Google翻訳:
今日の世界にはシナリオがあります。
それは常にシナリオで動作します
誰かが決めた。覚えておいてください。日本の東京は沈む。
シナリオ通りに進む
私はあなたがそれを目撃すると確信しています。そして今日の仮想通貨
シナリオもあります。
さらに、
BItcoin is also a scenario
He is only propaganda.Do you understand it
— ☾ h a d (@altcoinchad) May 27, 2021
BItcoinもシナリオ
彼はただの宣伝です。分かりますか
としている。
世界の金融経済の動きはシナリオに沿った動きであり、さらに仮想通貨とは単なる「広告塔」に過ぎない・・とのことだ。
なお、れうういさんは以前に、将来の世界統一デジタル通貨(フェニックス)についてツイートしていた。どうやら、現行の中央銀行制度は限界に達しており、世界統一中央銀行が発行するデジタル通貨「フェニックス」に統一されるぽい。
世界統一中央銀行って・・BISかな?
それを踏まえてこのイルミカードを見ると、何か面白い。
セント(米通貨)←ドル(米通貨)←ポンド(英通貨)←円(日本)←謎の通貨の順に飲み込まれていっている絵柄だ。
これを単純に考えれば、最初にインフレによってセントが消滅し、次いでドルが信用崩壊でデフォルトし、ポンド、円と連鎖していく。最後のデカイやつが世界統一デジタル通貨「フェニックス」ということなのだろう。
で、フェニックスってのが多分これ。1988年のエコノミスト誌の表紙。
フェニックスコインに2018とあるが、予定が延びているようだ。
ともかく、現在の金融システムは、債権も通貨も株式市場も全てQEなくして自立できない厳しい状況なのは間違いなく、制度疲労が限界に達しているのは間違いない。ただ、明日、明後日に世界統一デジタル通貨の時代になるわけでもない。まだ、そこまで準備は整っていないだろうし。
冒頭の金価格の話に戻ると、金というのは世界の富の根元でもあるので、うっかり金価格が上にぶっ飛んでしまうと、統一デジタル通貨の準備が整わないうちにドルなどの通貨の信用不安を招きかねない。
と言うことで、これまで金価格の火柱上げを防ぐために、金の先物市場やデリバティブ(金融派生商品)、そして仮想通貨が「安全装置」としての役割を果たしてきた。
金先物やデリバティブの総額は、金現物よりもはるかに多い。つまり、金融機関がQEマネーを使って、金先物・デリバティブを売り込むことで金価格は下げられていた。
実際にJPモルガンなどは、貴金属相場操縦の常連さんだ。
JPモルガン、制裁金9.2億ドル支払いに合意 貴金属相場操縦で https://t.co/9uaDPFCgTw
— ロイター (@ReutersJapan) September 29, 2020
モルガンさんは「見せ玉」で怒られていたが、相当量の実弾投下もあっただろう。
だが、この金価格の安全装置である金先物売りが、終わりそうになっている。コロナ禍で適用延期となっていたバーゼルⅢ規制が、いよいよ始まるからだ。
Macleod: The End Of The LBMA Is Nigh https://t.co/ZrZnsGRjaP
— zerohedge (@zerohedge) May 15, 2021
ゼロヘッジさんの記事によると、バーゼルⅢの導入により、金融機関による金先物売りが大きく減ると予測されている。
なお、バーゼルⅢとは、こんな規制だ。
バーゼルIIIは、世界的な金融危機の再発を防ぎ、国際金融システムのリスク耐性を高めることを目的として策定されました。
具体的には、銀行が想定外の損失に直面した場合でも経営危機に陥ることのないよう、自己資本比率規制が厳格化されました。また、急な資金の引き出しに備えるための流動性規制や、過大なリスクテイクを抑制するためのレバレッジ比率規制等が導入されることになりました。規制を設計する際、金融システム全体の安定性を維持するというマクロ・プルーデンスの観点が重視されている点も一つの特徴です。
(日銀ウェブサイトより)
長々書いてあってよく分からんが・・
大事なところは、「銀行が想定外の損失に直面した場合でも経営危機に陥ることのないよう、自己資本比率規制が厳格化」の部分だ。
ゼロヘッジさんの記事によると、銀行などの金融機関が貴金属先物を売買する際に、売り玉の85%相当の現物を持ってないと、安定資産(RSF)とは認めぬ・・となるようだ。
この規制は、EUは6月末から、イギリスでは来年1月1日から導入されるとのこと。世界の金価格を牛耳るロンドン市場を直撃する来年1月1日を目途に大きな影響が出そうだ。
ロンドンの貴金属関係の業界団体(ロンドン金塊市場協会?)は泣きを入れているようだが、今の段階でEUの導入延期が聞こえてこないので、予定どおり規制されるぽい。
ゼロヘッジさんの記事でも、金地金が「Moonする」と予測されているように、この規制が適用される前に金先物ショート解消が進む(=ロング)だろうから、金の爆上げが期待されるところ。米国株式市場の規模が50兆ドルくらいで、金市場の規模は百数十億ドル程度であることを踏まえると、相当な爆上げが期待される。
ただ、根源的な富である金価格が上がれば、それだけ通貨の信用低下を招くことになる。国際金融資本の力の源泉たる裏付けなきペーパー通貨(フィアット通貨)の安定は大きく損なわれる可能性が高い。
やはり、世界のシナリオはドル等の既存通貨を破壊する方向に動いているようだ。
ただ、金先物売りの禁止はドルの信用不安を高めるものの、トドメではない。まだ、世界統一デジタル通貨の準備は整っていない。
となると、金価格抑制のための安全装置としての「仮想通貨」のウエイトが高まる。金価格の上昇ペースを落とすために、仮想通貨市場への資金誘導が図られることになる。
今後の仮想通貨には「インフレヘッジ」と「フィアット通貨の代替」という意義が付加され、世界統一デジタル通貨の広告塔としての役割を与えられることとなるだろう。
となれば、仮想通貨は金よりも激しくカチ上げそうだ。
仮想通貨市場は、アメリカの仮想通貨規制観測、中国のマイニング規制、ローマ法王の環境配慮発言、イーロンマスクの環境配慮発言などによって、ピーク時から4割減と大きく凹んでいる。
特に、今回のビットコイン暴落は、中国やアメリカが連携して規制強化をチラつかせる動きを見せたことが原因っぽい。さらに、人気の取引所のBybitなどは日中当局から狙い打ちだし、イランですらマイニング規制を打ち出している。
日銀の黒田総裁も。
日銀の黒田総裁もビットコインを疑問視「裏付け資産を持っていない」https://t.co/9ppZxiJajB
— ブルームバーグニュース (@BloombergJapan) May 28, 2021
この見解は正しいが・・金の先物売りが封じられた後は、ドルや円など通貨延命に使われる唯一の安全装置となるため、しばらくは上昇が続くだろう。
今は、西側チーム・レッドチーム・中東チームが連携して、ビットコイン等仮想通貨潰しをしている構図だ。
だが、これは原田武夫氏がよく言っている「上げる前の下げ」を演出している可能性が高い。高く打ち上げるならば、その前には深く沈む必要があるということ(ル・シャトリエの原理)。
バイナンスの偉い人も、上がりそうなニオイを醸し出している。
BINANCE CEO SAYS CRYPTO CAN’T BE SUPPRESSED IN LONG RUN
he should talk to gold bulls
— zerohedge (@zerohedge) May 27, 2021
個人的には、4割沈んだなら4倍高騰してくれると有難い。ビットコインの直近ピークが700万円位の4倍で2800万円!?実際には多少低くなるだろうから、2500万円くらいがおじさんの希望小売り価格だな。
ただ、忘れちゃいかんのは、ビットコイン等の仮想通貨は、あくまで世界統一デジタル通貨の広告塔だ。統一デジタル通貨の準備が出来たら、直ぐに崩壊する。撤退準備は忘れないようにしてくれ!
最後まで読んでくれてありがとう!