核問題

イランの核問題と新世界秩序(New World Order)

核問題

イランとアメリカの戦争が回避されたと思ったら、今度はイランの核問題で世界が揺れている・・・のかな?
以下は産経から。

イラン最高指導者「核合意で英仏独は信用できない」 制裁再開の動きを牽制

【カイロ=佐藤貴生、パリ=三井美奈】イランの最高指導者ハメネイ師は17日、欧米など6カ国と結んだ核合意をめぐり、当事国である英仏独は「信用できない」などと述べて批判した。無制限のウラン濃縮実施を表明したイランに対し、3カ国は14日、合意で定められた「紛争解決手続き(DRM)」を発動していた。手続きは最終的に対イラン国連制裁の再開に道を開くもので、核合意崩壊の危機をはらんで両者の対立が激化している。

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16日にはロウハニ大統領が演説で「核合意前よりも1日当たり多くのウランを濃縮している」と述べた。また、英仏独に「無益に傍観しない。もし彼らが(核合意の履行義務を)放棄するなら、私たちもそうする」と述べ、合意で定めるイランとの経済関係維持を実行するよう改めて英仏独に警告した。

イランは5日、核合意の規定を撤廃して無制限にウラン濃縮を行うと表明。ウランは高濃度になれば核兵器に転用できる。合意の維持を掲げながら履行義務を放棄する瀬戸際戦術だ。

イランが今後、欧州との経済取引の維持という成果なしに核合意の枠内に復帰するとは考えにくい。トランプ米政権が核合意を離脱して再開した制裁により、外貨収入の柱である原油売却益が激減、来年3月からの新年度予算策定も難航したといわれる。

経済悪化に対する国民の不満は数年前から蓄積されており、それを鎮めるためには欧州の資金が欠かせない。墜落したウクライナ機の誤射を認めたことで、国内では昨年11月に続いて反政府デモが起きるなど、政権の求心力が揺らぐ事態も続いている。

半面、反米の保守強硬派が台頭するイランでは「核合意を締結して米国にだまされた」という見方が広がっている。核・弾道ミサイル開発やテロ組織支援などを含む新たな協定の協議に応じる気配はみられず、欧州側との協議の着地点は見通せないのが実情だ。

一方、英仏独のDRM発動にはイランに圧力をかけて対話復帰を促す狙いがあるが、イランだけでなくロシア、中国も一斉に反発。裏目に出た形になった。

DRMは、合意違反が認められた場合の解決手段として定められた。合意加盟国の協議で決着しない場合、国連安全保障理事会に通告。安保理が対イラン制裁解除の継続を決議できなければ、制裁が復活する。

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この記事を読んでどう思うだろうか?イランは核兵器を開発しようとしているので、制裁は当然だ、と思うだろうか。

イランの核問題は、悪の枢軸呼ばわりされた2003年頃から叫ばれはじめた。

だが、もともとイランは原子炉の稼働と医療用アイソトープの生産を行うために20%高濃縮ウランの製造を進めていたもので、核兵器の開発ではなく医療用アイソトープや原子炉用燃料などではなかった。

日本でも「原子力の平和利用」は当然のようにやっている。

なお、高濃縮ウラン製造は核兵器の開発を想定したものとして避難されていたが、原爆を作るためには90%以上の高濃縮ウランが必要なので、そもそもこの程度の濃縮では核兵器の開発は不可能だ。

さらに、IAEAの査察もほぼ無条件に受け入れており、核兵器を持っていないことは確実だ(IAEAも認めている)。

こうしたイランの方針もあってか、2015年7月にイランは「核開発の大幅な制限」や「国内軍事施設の条件付き査察受け入れ」などについて欧米諸国と合意した。これがイラン核協定(JCPOA)だ。

ところが、アメリカはこの協定から離脱した。

イランはIAEAの監視もあって核兵器開発を進められる状況にないため、この点ではアメリカの離脱は実質的に問題はない。

また、ヨーロッパ諸国は協定離脱に追随しなかったため、イラクやリビアにしたような因縁つけた軍事侵攻出来ない状況のまま、アメリカの信用が失墜し覇権力の低下を招いただけとなった。

その後のソレイマニ司令官殺害の一連の動きの中でも、アメリカはイランと戦争する気はなく、中東でのイラン覇権とイラン国内の穏健派を強化したに過ぎなかった。

ここまでの動きを総括すると、アメリカ国内の軍産勢力(国際金融資本勢力とほぼ同じ)にとって、トランプは期待以上の働きをしたものの壮大な空振りをしただけだった。

こうした中で、軍産勢力の巻き返しと思われるのがイランの核開発問題だ。

ここで、軍産は何を狙っているのか。

おじさんは「多極型世界の実現を阻止したいのだ」とにらんでいる。間違ってもイランへの直接軍事攻撃ではないぞ。

何故かと言うと、イラン核協定がアメリカ抜きで継続されることで、アメリカ抜きでも(むしろアメリカがいない方が)、ロシアや中国などとも協調しながら世界がうまく回ることが、みんなに分かってしまうからだ。

これこそ、世界の多極化を図る勢力が目指す「新世界秩序(New World Order)」の片鱗だろう。

一方で、アメリカが唯一の超大国として一極覇権を維持し、世界中で宗教・民族紛争を煽って緊張を高めるとともに、途上国からの経済的搾取を続けたい国際金融資本勢力が意図する「新世界秩序(New World Order)」もある。

よく陰謀論で言われている「新世界秩序」は、こっちの方かな。また、アメリカが正義で中国やロシア、イランが悪とする「常識」もこっちの世界を志向するものだろうな。

今、世界を背後で支配している層は二つに別れていると思われる。

いわゆる「根元的階層」は多極型の世界を志向し、豊富に持つ金地金を駆使して金価格を押し上げることで、ドルの信用を落としている。

また、今のドルは石油代金を決済出来る唯一の通貨と言うところに価値がある「ペトロダラー」だが、トランプは自転車操業のシェールを持ち上げ親米のサウジアラビアを冷遇するなど、意図的にドルの価値を棄損しているなど、明らかに多極化勢力の手先だ。

今後、中国やロシア等が台頭するとともにアメリカ覇権が低下し、金融面では金の価値を高めるとともにドルの基軸性を喪失させるべく大規模な金融危機が誘発される。

来るべき多極型の世界では、アメリカや多国籍企業による富の搾取は最小限に抑えられ、地政学的な安定を背景に途上国含め世界全体での発展が期待される。

・・・といいな。


最後まで読んでくれてありがとう!