日本発の金融危機

新型コロナは金融市場に!日銀とジェットコースター相場と金融危機!?

日本発の金融危機

ここ最近はとんでもないジェットコースター相場だ。

NYダウは、新型コロナウイルスのアメリカ国内での感染拡大を受け、先手を打ったFRBによる利下げ発表をものともせず、3月4日に1000ドル下げて返す刀で3月5日に1000ドル上げ、売り方も買い方も虐殺するというキチガイっぷりだ。

ちょっとまでは日本売り一色で、ドル円が月足円高トレンドのパーフェクトオーダーをぶち抜いて円安が進んだ旨を書いたが、現在はやっぱり円高トレンドに戻っている。

日本デフォルトへの道か 新型コロナの感染拡大で日銀QEは終了!?

まあ、今の状況は「円高」と言うよりは、圧倒的な「ドル安」だ。

雇用統計など重要な経済指標などでネガティブニュースが出ると、だいたい円高になる。

その際の通貨の強弱は、

円>ドル>>>ユーロ≧ポンドって感じになることが多い。

つまり「円高でありドル高でもある」という状態になる。なので、最強の円を買って最弱のポンドを売る形になる「ポン円ショート」が一番儲かるワケだ。

だが、先日の円安は、日本の弱いGDPと新型コロナウイルスによる自粛ムード(内需の弱り方)を見た円売りが進んだ。同時に株安なども起こっており、日本売りの様相を呈していた。

そのため通貨の強弱は、

ドル≧ユーロ≧ポンド>>>>>円という感じで、最強のドルを買って最弱の円を売る「ドル円ロング」がまさかの大正解だった。

それが今は、円≧ユーロ=ポンド>>ドルという感じだ。急に円が強くなった。

また、株価も日経平均で1日で500円、NYダウでは1日1000ドルペースで下落していたところ、いきなりの反騰があった。

市場が見ているのは、日銀総裁の黒川氏が「潤沢な資産供給と市場安定に努める」って発表をしたこのニュースではないか。以下は日経からだ。

日銀総裁「潤沢な資金供給に努める」 異例の談話

日銀は2日、新型コロナウイルスの感染症拡大を踏まえ「適切な金融市場調節や資産買い入れの実施を通じて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく」とする黒田東彦総裁の談話を発表した。感染が世界に広がり、金融市場の動揺が実体経済に悪影響を及ぼす悪循環への懸念が強まっている。異例の総裁談話を公表し、日銀として機動的に対応する姿勢を強調した。

日銀総裁が談話を出すのは英国の欧州連合(EU)離脱の国民投票で離脱派が多数となった2016年6月に麻生太郎財務相と共同で出して以来。

日銀は異次元の金融緩和で、国債の保有残高が毎年80兆円をメドに増えるように国債を買い入れているほか、上場投資信託(ETF)も年6兆円のペースで買い入れている。総裁談話は、こうした資産買い入れを機動的に実施すると改めて訴えることで、金融市場の動揺を抑える狙いがある。

日銀は2日朝、金融機関から2週間の期限つきで国債を買い入れて5000億円を供給する特別なオペ(公開市場操作)を約4年ぶりに実施すると発表した。2日の外国為替市場で円相場は約5カ月ぶりの円高・ドル安水準となる1ドル=107円ちょうどまで急伸した後、107円台後半まで円安・ドル高が進んでいる。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は2月28日、「我々は政策ツールを用いて、経済を支えるために適切に行動するだろう」とする緊急声明を発表した。3月中旬の次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げする可能性を示唆したものと市場では受け止められている。

2日の東京株式市場で日経平均株価は朝方、売りが先行したが、黒田総裁の談話が発表されると買いが優勢となった。

重要なのは、日銀が年間6兆円ものETFを買っており、それを機動的に実施すると述べていることだ。

つまり「日銀が率先して日本株を買います宣言」が出たってことだ。

NYダウが1000ドル下げた翌日の日経はトントン+αだった。日本株を積極的に買う理由もない中で、前日のNY市場に全く引きずられないことは無い。

しかも、日本はGDPの6割を個人消費が支える構造にもかかわらず、昨年10月に消費税増税を決行したことで昨年10月-12月期のGDPは年率換算で△6.3%という前代未聞の下落幅となった。

現在の新型コロナウイルス感染を防止するという自粛ムードのなか、日本企業の大幅な業績悪化と1月-3月期のGDPのさらなる下落が見込まれており、日本株を積極性に買う理由は全くない。

なので、日経の動きから日銀のカネ(=日本国民の富)が株式市場に投入されているのは明らかだ。

なお、日銀は法律により個別の銘柄を買うことは出来ないので、代わりに上場投信(ETF)を購入している。まあ、これも日銀法に抵触するんじゃないかという話もあるんだが…。

日銀がETFの購入を開始したのは、リーマンショック後の金融緩和の一環として、2010年12月から買い入れをを始めたのが最初だ。この頃は、「4500億円を上限」「1年限り」ということでTOPIXと日経225の買い入れを行った。

その後、黒田総裁のもとで「異次元の金融緩和」として、2013年4月以降は年間1兆円ペースの買い入れとなった。その後、買い入れ額は順調に増額され、2014年10月に3兆円、2016年7月に今の6兆円となった。

買い入れ対象も、TOPIXと日経225にJPX日経400が追加され、2016年3月にはいわゆる「設備・人材投資ETF枠」として年間3000億円の買い入れが行われている。

日銀のETF残高は、2010年頃は1兆円程度だったものが今では29兆円規模だ。

アベノミクスの裏では、日銀が株を買いまくっていたのだ。ちなみに、日銀前場下落後の後場でETFを購入することが多いようだ。

まるで、外資勢力が日本株を売り払うタイミングで日銀が拾うという。外資勢力の逃げ場を日銀が用意しているようだ。

株価が上がっても「給料も上がらず生活も楽になってない」という声が出るが、日銀の資金は金融市場にしか向いてないので、生活実感と株価が乖離するのは当たり前だ。

ただ、経済指標と株価上昇の整合をとるために、日本のGDPは自民党政権に黒田総裁になって以降(自民党政権になって以降)、粉飾されてきた懸念はある。

生活実感と株価の乖離は日銀による株購入で説明がつくが、生活実感と経済指標の乖離の説明は粉飾以外にはない気がするな。

これが、国民が好景気を感じないが株価だけは上昇を続けるという歪な状況の正体だ。

大口株主が実質日銀という企業もあるなど、市場はかなり歪んでいる。日銀(や年金)などが資金を引き上げたら今の株価はいくらになるのだろうか。それを考えると、もう売ることは出来ないだろう。

今後は新型コロナウイルスの拡大で、景気はさらに悪くなる。

今の日本では「全部自粛モード」で春のセンバツは無観客試合、EXILEなどあらゆるイベントは中止、ディズニーもUSJも閉園し、土日のイオンモールもガラガラだ。

当然、日本のGDPの6割を支える「個人消費」は壊滅的で、経済に与えるダメージは消費増税どころではない。アメリカでも感染拡大により同じことが起こる。

この状態は、WHOによるパンデミック宣言がなされたのとほとんど同じだ。オリンピック開催を目指す日本政府が、袖の下を渡してパンデミック宣言は止められているのかもしれないが…。

だが、パンデミック宣言されたのと同じように世界中で株価暴落と実体経済の崩壊の危機にさらされる。

ここで以前に紹介したCLOを覚えているだろうか。

CLOが日本に集中!次の金融危機は日本発か!?

CLOとはローン担保証券のことだが、その証券の大元のローンが問題なのだ。

ここ数年「コベナンツ・ライトローン」や「レバレッジドローン」と呼ばれる借金が多く経営状況も悪いダメ企業向けの高金利ローンが増えている。

これらの低信用ローンと高信用ローンをごちゃまぜにしたローン担保証券(CLO)が、低金利に苦しむ世界の金融機関に大人気でめちゃくちゃ売れているのだ。

日本でも農林中金の8兆円規模を筆頭に、三菱UFJ銀行やゆうちょ銀行、地銀などがこのCLOを大量購入している。

実体経済の崩壊により、CLOの元となるコベナンツライトローンやレバレッジドローンの返済が滞り、CLOが破綻する構図は、リーマンショックを引き起こしたサブプライム債券の破綻と同じだ。

次の金融危機は、新型コロナウイルスが原因となるのか!?世界の中銀が「弾切れ」言われる中で、金融危機はすぐそこに迫る。しかも、日本発の可能性もある。


最後まで読んでくれてありがとう!