新型コロナウイルス感染拡大が世界経済の鈍化につながるという思惑から、有事の円買い傾向が強かったが先週辺りからそのトレンドは変わった。
ドル円の月足チャートを見てみよう。
新型コロナウィルスが日本で発生するまでは、短期の移動平均線が超長期線を下回り、ロウソクの実体も全移動平均線を下回るベアトレンドのパーフェクトオーダーが現れていた。
月足レベルの長期線で強い円高トレンドが確定したとあり、ドル円やクロス円のショートをかませばOKと思っていた矢先、移動平均全てをぶち抜く怒涛の円売りだ。
日足レベルではブルトレンドになっているので、もう少し継続すれば月足レベルでもトレンド転換だ。
まあ、この辺りが当面の天井ぽいが、このラインを抜けて上がっていくようだと、次は114円台まで行きそうだ。
また、さらにそのラインをぶち抜けば117~118円まで見えてくるが、その辺りまで上昇が続くと今度は実態経済への影響が強く出てきそうだ。
「日本は輸出国家だから円安は良いこと」と言う風潮があるが、現在では多くの企業は生産拠点を海外に置き、為替リスクはデリバティブでヘッジされているので円安で良いことは少ない。
それどころか、日本は食料や燃料の大半を輸入している超輸入大国だ。むしろ円高の方が物価が下がって良い。もしこのまま円安が続くと、やがて物価にも影響が出てくるだろう。
昨年10月に消費増税で物価が少し上がったが、それだけで10月~12月期のGDPがガタガタになった。以下はブルームバーグからだ。
新型コロナウイルス感染拡大で日本のリセッション観測高まる-調査
消費税率の引き上げで打撃を受けた日本経済は、新型コロナウイルスの感染が拡大する中でリセッション(景気後退)に陥りつつあるとの見方に傾いていることがブルームバーグのエコノミスト調査で分かった。
同調査によると、エコノミスト14人のうち9人が2020年1-3月期国内総生産(GDP)のマイナス成長を予想。予想中央値は前期比年率で0.25%減となった。17日発表された19年10-12月期GDPは5年余りで最大の落ち込みだった。
安倍政権は昨年12月に経済対策を策定したが、リセッション入りの可能性が高まる中で景気の下支えにさらなる追加財政支出の検討を迫られる可能性がある。
エコノミストの多くは新型コロナウイルスが1-3月期の日本経済の回復を妨げ、マイナス成長が続くとみている。新型肺炎の感染拡大により、観光収入で最大のウエートを占める中国からの訪日客急減の影響が足元で既に出ている。大都市圏で感染者が確認されたことから、日本人も人の多く集まる場所を避けており、これが既に低調な国内消費に追い打ちを駆けることにもなりかねない。
補足しておくと、昨年10月~12月期の実質GDPは前期比では1.6%減だが、1年続くとした場合の年率換算では6.3%の大幅減少だった。なお、2四半期連続でマイナスになった場合は、国際的には景気後退(リセッション入り)とみなされる。
記事では日本での新型コロナ感染拡大が日本経済の回復を妨げるとあるが、ここに「円安による物価高」も加わることになってくるので、1月以降のマイナス成長は固いところだろう。
今後は消費増税+円安による物価高ダブルパンチが続く。
消費税は下げられないのか。むしろ、どうして消費税を上げたのか。
それは、省庁間マウントや自由に使えるカネが欲しい財務省が増税のために、IMF(国際通貨基金)ナンバー2の副専務理事(歴代財務省OBポスト)を通じて、消費増税しろと言ってもらったからだ。
所詮、官僚様なぞ真に国のことなぞ考えておらんのじゃよ…。
だが、GDPの大幅な低下は、日本が内需(国民一人ひとりの所得)によって支えられていることを明らかにしてしまった。つまり、国民一人ひとりが使うカネが増えれば企業収益を押し上げ、設備投資に繋がり税収も増えていくスパイラルになるということが分かったのだ。
だが、今の政府・官僚は経団連の言いなりだから、まずは企業が人件費を削れる政策(=給料下げるor非正規増加)をやってきたし、これからも続けていく。
また、経団連のエライ人には日本が輸出大国だった頃の思い出があるせいか、円安が大好きだ。
だが、今の日本にとって、モノづくり輸出戦略は圧倒的に不利だ。
モノを作るのに原材料費や作業行程は世界中どこでも同じなので、人件費の高い日本で作るとそれだけ高価格になる。また、品質も機械化が進んだ結果、日本製品と中華製品の差が無くなりつつある。
輸出国だから円安バンザイは一部企業だけの幻想で戦略的に間違いだ。
と言うことで、今の日本にとって円安は全く良いことではないが、日本での新型コロナウィルスの感染拡大を原因としておりいつまで続くか全くわからない。世界からは「日本は感染を拡大させる最も危険な地域」と見なされつつある。
さらにここ数日は日本円だけでなく、日本株も売られるなど「日本売り」の様相になりつつある。
ということで、消費税増税による個人消費の低迷に、新型コロナによる経済低迷と円安物価高による個人消費低迷まで加わるので、1月~3月期以降も日本経済は絶望的だ。
政府は新型コロナだけを言い訳にするんだろうが、実際には消費増税や個人所得を低く抑える政策のツケが回ってきたものだ。
だが、そのせいでさらに日本株・日本円が売られる。そして、新型コロナの特徴からその傾向は長期間継続する可能性が高い。
新型コロナウィルスの特徴だが…
- 抗体ができない=何度でも感染する
- ワクチンはまだ無い(開発中)が抗HIVウィルス薬が効くらしい
- ただし変異により薬剤耐性を獲得した疑いあり
- さらに若年層でも死亡するなど強毒化の疑いあり
- 不顕性(無症状)感染や潜伏期間中でも感染するステルス性
- エアロゾル感染もするなど、インフルエンザを優に超える感染力
- マスク無しだと15秒で感染
- 潜伏期間は最長24日
- 2回目以降の感染で劇症化(ADE)の恐れ
ウィルスは感染力がめちゃくちゃ強く、感染拡大を防ぐことは出来ない。唯一方法があるとすれば、中国がやったような都市封鎖だろうが、そんなことをすれば経済も止まりさらなる円安(=物価高)になってしまう。
今回の新型コロナウイルス感染拡大を事前に警告していた、元キャリア外交官の原田武夫氏のさらなる警告が不気味だ。
- パンデミックにより、IOCとWHOの協議のうえ東京2020オリンピックは中止が決定される。
- さらに、今回の新型コロナウィルスだけでなく、新しいタイプのウィルス(変異ウイルス、東京ウイルス)の可能性を指摘
- 東京ではオリンピック後に大規模な不動産投資の計画があったが崩壊する。
- トランプの出した中東和平案にもとづき中東地域において戦争がはじまり、原油価格は急騰する。
- この「オイルショック」により、日本経済は「スタグフレーション」となり、日本銀行のQE(量的緩和)は停止
※日銀が掲げるインフレ目標達成に伴いQEをやめるということと思われる。 - 一連の経済混乱や災害等により日本はデフォルトに向かう。
- これが人間文明の「グノーシス主義革命」の始まりとなる。
これらの警告と、今起こっていることを総合して考えてみよう。
まず、新型コロナウィルスがパンデミックする可能性は濃厚だ。厚生労働省は積極的に検査をしないことで、感染者(=感染が確認できた者)を増やさない策に出ているが、いずれ海外メディアに暴かれる。
イタリアでも感染者が急増し、サッカーの試合の延期が決まったようだ。
新型肺炎で3試合延期―イタリア・サッカー
イタリア政府は、新型コロナウイルスの感染拡大により、同国北部で23日に行われる予定だったサッカー・イタリア1部リーグの3試合を延期すると発表した。ミラノで開催予定だったインテルミラノ―サンプドリア戦などが対象となる。
イタリアでは北部で死者が出るなど新型肺炎の感染者が急増。政府は感染拡大を防ぐため、サッカー以外にも各種イベントの中止を求めた。
日本では、マラソンも一般参加をやめただけで実施するし「大ごとにしたくない」というオリンピックへの忖度がにじみ出ている。だが、それがパンデミックにつながる。
結局のところ東京オリンピックは中止し、開催を表明しているロンドンでやるんだろう。ロンドンはIOCとも話をつけているんだろうしな。
また、原田武夫氏は、オリンピックがボシャることで、何らかの投資計画もポシャることも指摘している。まあ、経済への影響が大きそうだ。
これだけでも、新型コロナ+超絶不況による怒涛の円安になりそうだが、さらに中東戦争による原油高騰が襲ってくるようだ。
なお、トランプ和平案をきっかけとした中東戦争は以前の記事で考察したので参考にして欲しい。
【原田武夫】トランプ和平案のせいで中東戦争?イスラエルは危機的状況に!?
原田武夫氏の予測 中東戦争による石油危機は日本デフォルトを誘発!?
冒頭でも書いたように、日本は食料品やエネルギー輸入大国なので、原油高騰+怒涛の円安で日本国内は狂乱物価となる。
これも以前に書いたが、日銀QEは2%インフレ目標としていたので、おそらく怒涛の円安による物価高で不本意ながら達成してしまうだろう。なので、中東戦争関係なくQE停止の可能性がある。
新型コロナの感染拡大や強毒化変異により、個人消費はますます低迷しているだろう。そこに怒涛の円安やオイルショックによる物価高が加わる。つまり、インフレしつつも景気は悪い「スタグフレーション」に陥る。
景気が悪くてもインフレ気味なので、日銀はQEなどの緩和策をとることは難しい。
だが、インフレにより金利が上昇すると、日本政府発行の国債1000兆円の金利も上がり利払いが苦しくなる。そして、国債金利上昇は国債価格の下落を招き、さらなる金利上昇に陥る可能性もある。
また、石油危機まで加わると、日銀は物価高・インフレ抑制のため金融引締に転じるため、ヘタすれば金利はさらに上昇するものの、QE砲など緩和策はやれず債券・株式市場への資金供給はできない。
株価は、近年まれにみる大暴落となろう。
さらに、現在日銀は大量の国債・株式(ETF)を購入しているため、国債価格に加え株価も下落することでバランスシートの不健全性が増す。市中の銀行も自己資本比率の関係からリスク資産の投げ売りに走る。
こうして日本経済はメタメタになっていくことに加え、日銀の財務も悪化することで、世界から通貨「円」に対する信認に疑念を持たれる。
こうしてデフォルトへと至るのだろう。多分。
非正規の増加など個人所得を抑制し、消費増税で消費を抑えるという下地が作られている中で、コロナをきっかけにさらに日本売りが誘発される。その後は、オリンピック中止や中東戦争でトドメということか。
最後まで読んでくれてありがとう!