日本発の金融危機

日米で緊急金融緩和!その意図は国債金利急騰への対応か!?

日本発の金融危機

週明けの月曜日東京タイム開始前に、驚愕のニュースが出た!

FRB、ゼロ金利政策導入 1%の緊急大幅利下げ

【ワシントン共同】米連邦準備制度理事会(FRB)は15日、1%の緊急追加利下げを決定したと発表した。主要政策金利を年0~0.25%とし、事実上のゼロ金利政策を導入する。新型コロナウイルス感染症による景気悪化を防ぐのが狙い。ゼロ金利政策の導入は2015年末以来、4年3カ月ぶり。同時に市場に大量の資金が出回るようにする量的金融緩和政策の実施も決める異例の対応に踏み切った。

 日米欧などの6中央銀行は15日、ドル資金供給の強化で協調行動を取ると発表した。FRBは量的緩和策として今後数カ月で米国債などを7千億ドル(約74兆6千億円)購入する。

米連邦準備制度理事会(FRB)は、3月3日に緊急FOMCで0.5%引き下げた。通常は0.25%刻みで上げ下げすることを踏まえると、相当なインパクトがあった(はず)。

だが、株式市場は利下げを好感し、積極的に買向かうことはなかった。上昇したのは利下げ発表直後だけで、その後は売り一色となり結局前日比で△785ドルで終了した。

理由だが、FRBが緊急会合で0.5%もの利下げをせざるを得ないほど深刻な状況だと認識したのだろう。

上記のニュースにるような、東京タイム前のサプライズ1%利下げに&量的緩和再開も、ダウ先物は下落で反応したのがその証拠か。

ってか、サプライズなタイミングと規模でアナウンスした金融緩和ニュース聞いて下げるって、リーマンショック以来の状況だな。

そもそも論として、今必要なのは「財政政策」であって「金融政策」ではない、ということもある。

コロナ騒動とは「都市封鎖や移動制限により経済活動が止まりヤバい」というものだ。

リーマンショック時と異なり流動性の危機は”まだ”発生していない。不良債権や金融システムの破綻が起きているわけではないので、利下げや金融市場にカネを入れることに効果はない。

そもそも、今でも銀行は貸し先を見つけられないのだから、金融緩和には速効性のある景気浮揚効果は期待できない。単に、金融市場がヤバくなったときに切るカードが無くなっただけの悪手だ。

同じ事は日本にも言える。

これまで「戦後最長の好景気」「アベノミクス万歳」という状況下で、日銀は「異次元の金融緩和」「株の買い支え」という明らかな矛盾した状況が続いてきた。

一時的な株価上昇を演出するために、黒田バズーカを打ち続けたので、日銀は日本の半分くらいの上場企業の大株主になった

最近の株価暴落で日銀保有資産に含み損が発生したほか(損益分岐は19500円くらい)、いざ金融危機の影が見えたときには弾切れ。切るカードが無いのは日銀もFRBも同じ立場だ。

しかもコロナショックはまだ序盤。

ということで、日銀も緊急的に追加緩和策を打ち出した!以下はブルームバーグからだ。

日銀が緩和強化、ETF12兆円上限に-マイナス金利深掘りなし(3)

日本銀行は16日開いた緊急の金融政策決定会合で、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響などを踏まえて、積極的な国債買い入れなどによる潤沢な資金供給上場投資信託(ETF)などの資産買い入れ、新たな企業支援措置を柱とする金融緩和強化策を決定した。マイナス金利の深掘りは見送った。当面影響を注視し、必要なら躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和措置を講じるとしている。

日銀は18、19日に開催を予定していた定例会合の日程を前倒しし、1日間で実施。新型コロナの世界的な感染拡大を受けて国際金融市場が急速に不安定化する中、追加緩和を実施した世界の中央銀行とも足並みをそろえた。企業金融の円滑な確保や金融市場の安定を維持し、企業や家計心理の悪化を防止する姿勢を示した。

資産買い入れ拡充では、ETFの買い入れについて、保有残高をこれまでの年間約6兆円増加させるペースから、「年間約12兆円に相当する残高増加ペースを上限に、積極的な買い入れを行う」とした。不動産投資信託(J-REIT)についても当面年間約1800億円を上限とするペースに加速する。

ただ、共に「引き続き保有残高がそれぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう」買い入れる方針は維持する。また、コマーシャルペーパー(CP)と社債の買い入れについて、合計2兆円の追加買い入れ枠を設定し、増額分の買い入れを2020年9月末まで実施する。

以下略

ETF買い入れ額を年間6兆円→12兆に増額して株式市場へのテコ入れを図るようだが、おそらく大した意味はない。実体経済がダメージを受けてるので、ETF買い入れは演出以外の意味は無く外資ファンドの逃げ場を作るだけに終わる気がする。

「潤沢な資金供給」についてだが、カネジャブにしても銀行は貸し先を見つけられない。資金難の中小企業は信用が無いので貸さない。

また、超低金利下では優良な融資先に何億貸し手も儲けはスズメの涙だ。なので、経営難に喘ぐ地銀ほど高リスクなCLOやCoCo債に手を出さざるを得なくなる。

日米ともに、中央銀行は打つ手がないことが市場に見透かされている。

FRBのサプライズ大幅利下げだが、本来利下げとは、企業の金利負担を減らして積極的な設備投資を行うよう仕向けることで景気拡大をすることが狙いだが、今は新型コロナで経済が止まっている(需要も供給も急減)ので景気もクソもない。

日銀がやってきたETF買いは、不正に株価を吊り上げる効果があるが、多くの大企業の筆頭株主に日銀が名を連ねただけで、外資ファンドに儲けを渡して日本の実体経済は全くよくならない、世紀の愚策だ。今後、それを拡大する。

いずれにせよ、日銀にもう打つ手が残されていないことは市場に見透かされている。

なので、今回の日米中央銀行の金融緩和は「国債の買い入れ」と「社債などの買い入れ」が主な目的だ。

先日のブログで社債金利が上がってきていることをお伝えした。

新型コロナ 東京五輪中止で実体経済崩壊からの金融崩壊の兆し!

そして、社債に続いて日米の国債金利がここ数日、上昇傾向にあるのだ。

日本国債・米国債ともに、は3月10日くらいから利回りが急騰している。

3月9日~10日頃には株式市場や原油価格が急落し、the安全資産の国債に買いが集中したことを受けて、利回りは過去最低水準まで低下(=国債価格は上昇)した。規模の大小はあれど、よくある動きだ。

ところが、3月10日~11日以降になると、日米ともに利回りが上昇を始めている(=国債価格は低下)。

さらに、米国債の直近部分を見ると、本日の1%利下げを受けて一時的に利回りがガクっと下げたものの、なんと再び上昇に転じている。これは、米国債から資金が流出していることを意味する。

株や原油、金までも下げている中で、債券からの資金流出は「現ナマにしとこう」という動きの現れだ。

特に、米国債は金融システムの最上位に位置する。このまま米国債の利回りが上昇し続けると、QEなど金融緩和に効果が無いことの証明となるだけではない。

超低金利だからこそ成り立っている金融システムが壊れていく。各国中銀による官製バブル崩壊から全面的な金融崩壊へとつながる。軍産・国債金融資本勢力の覇権が終わる。

それを防ぐためには「現ナマ」に移行した全てを、FRBや日銀が買ってしまえばいいんだが…さすがにそれは通貨の信認問題が出てくるよな。

これまでにも紹介してきた、金融崩壊のきっかけになりそうなのはこんなところか。

  • レポ市場では資金不足がますます加速しているようだ。金融機関相互の信用収縮ハンパないって。
  • ドイツ銀行は8000兆円とも言われるデリバティブを抱える。EUだけでどうにかなるレベルではない。
  • 原油価格下落により、シェール業界の社債・融資の破綻・コゲつき懸念。特に社債金利が上昇しており、破綻が懸念される。
  • 与信の低い企業へのローン(コベナンツライト、レバレッジドローン)債権(CLO)は低金利だから成り立つもの。金利上昇でサブプライム・ショック再来に。
  • 利下げ・QEをものともしない日本・米国債の利回り上昇開始 ←NEW

地雷だらけだな。


最後まで読んでくれてありがとう!