金融危機

長期化するウクライナ戦争で明暗が別れるドルとビットコイン

金融危機

ロシア軍がウクライナに侵攻した当初は、1~2日程度で終わるワンサイドゲームになるかと思われたが、思ったより長期化していて収束する気配がない。

とは言うものの、ロシアとウクライナの間で停戦に向けて2度目の交渉が持たれた。

ひとまず、民間人の避難経路上では休戦することとなった(人道回廊)ほか、週末のうちにも3度目の交渉が行われることとなったとか。

ただ、ウクライナ側は、攻撃の即時中止やロシアが実効支配するクリミア半島・ドンバス地域含め、自国からの完全撤退を要求しているしているのに対して、ロシア側はウクライナのNATO非加盟の明文化やドンバス地域のドネツク・ルガンスクの独立承認を要求するなど、双方の隔たりは深く先行きは暗い。

また、プーチン大統領と電話会談したフランスのマクロン大統領によると、プーチンは「軍事目標を必ず達成する」と語ったとか。

プーチンさんの軍事目標が「ウクライナの非武装中立化」であるなら、戦争をやめる気は全くナシと言っていいだろう。

また、戦争長期化の要因の一つとして、前線のロシア兵がウクライナ市民に投降したり泣いている映像が流れている。

ほっこり話としては良いが、軍隊として見ればあり得ない状態であり、「ロシア軍弱い」とか「プーチンの誤算」などと言われている。

ただ、本当に誤算だったかは怪しいところだ。

このような兵士の状況からは、ロシア軍は徴兵したての新兵を大量投入していることが伺えるが、それは、侵攻の本気度が極めて低いことを示唆している。

これが、当初からのプーチンの目論見だったかどうかは分からないが、元から短期決着は視野に入っていなかった可能性がある。

とするなら、この戦争は長引く。

一方のウクライナも最初からやる気マンマンで、ロシアの侵攻直後に「総動員令」を発動し、18~60歳の男性を国外脱出禁止としている。

国外への脱出を禁止された18~60歳までの民間人男性にはAK47(カラシニコフ自動小銃)などが配られ、武装市民(民兵)としてロシア軍と戦うよう鼓舞されているが、これは大戦末期の日本の「一億総玉砕」と大差なく、ゼレンスキー大統領が「自国民を盾にロシア軍と戦う」と意思表明しているに等しい。

また、この行為を欧米や日本のメディアは称賛しているが、民間人を戦闘要員として動員したり、武装市民による軍への攻撃は、国際法やハーグ条約、ジュネーブ条約の精神に反する行為であることをDr.苫米地氏は指摘する。

自国民に対してロシア軍の恐怖を過度に煽り立てて戦争に荷担させるのは・・「鬼畜米英」を唱えた大戦末期の日本と変わらないことを踏まえると、ウクライナの「総動員令」により出国出来なかった人々の不満は、政権にとって諸刃の剣となりかねない。

ましてや、国内に大量の重火器類が供給されていることを踏まえると、むしろ終戦してからがウクライナ混乱の本番となるのかもしれない。

また、Dr.苫米地氏の見立てでは、ロシア戦車部隊はウクライナ軍の攻撃リスクがありながら、道路を整然と進んでおり、市民への攻撃意図がないことを示しているとのことだが・・

ウクライナ国内には対戦車用兵器「ジャベリン」が大量に出回っているようで、整然と進む戦車は「ちょうど良い的」になっている状況とか。

ちなみに、ジャベリンというのがこれ。

1~2名で運用可能な大きめミサイルランチャーで、簡単な講習を受ければ初心者でも9割超えの命中率を誇る「らくらく兵器」だ。

戦車の装甲の薄い天井部を目掛けてリフト軌道を描いて飛んでいき、その射程は2000m。動画を見ても分かるように、ジャベリンに狙われた戦車は「走る棺桶」となる。

このように、ウクライナでは街中に自動小銃やジャベリンなどの重火器類が氾濫しており、軍人・民間人を問わず誰もがロシア軍と戦えるし状況となっている。

このような、ウクライナ側の民兵動員(アゾフ大隊とか含め)を見越して、ロシア軍は進軍を遅らせている可能性もある。

であるなら、わざわざ弱い新兵集団を投入したロシアと、民間人に武器をバラまいてウクライナが協力して戦争長期化を図っているようにも見える。

また、ロシアの軍事侵攻が言語道断なのは間違いないが、実のところゼレンスキー政権もかなり微妙だ。

ゼレンスキー大統領はロシアとの融和を掲げて当選したにも関わらず、歴代政権がやらなかったウクライナ東部地域(ドンバス)の武装市民をドローン攻撃を敢行しており、これがプーチンの言う「ジェノサイド」だ。

ドンバスの武装市民の中にロシア兵も紛れていたにしても、そんなことをすればロシアと揉め倒すのは分かり切っていたのに・・明らかに戦争を誘っていたと言える。

ちなみに、フランスの生放送テレビ番組で、ウクライナから脱出した女性に「ロシアのクソっぷり」をインタビューしたところ「ゼレンスキーは欧米傀儡」「選挙はインチキくさい」「4つの反政権テレビ局を潰してジャーナリストも何人か死んでいる」「ロシア侵攻を歓迎する」と真逆の話になって放送は打ち切られたとか。

このように見ると、ロシアとウクライナの戦争は意図されたものであり、互いに協力して戦争を煽り立て長期化させている状況が浮かび上がる。

また、開戦前のゼレンスキー政権の支持率が低かったのは、国際金融資本に寄り添っていたことなどが理由であり、また、対ロシア(ドンバス)政策も合わせて考えると、ゼレンスキー(&その取り巻き)は支配者層たる「超国家権力」の駒だったようだ。

いずれにせよ、人名を軽視し、穏やかな生活を破壊し、悲劇と恨みの連鎖を作り出す行為をクソとするなら、今回のロシアvsウクライナの戦争はクソvsクソのウ○コ戦争と言える。

なお、ロシア軍との戦闘を放棄したウクライナの街の情報が出回っている。

むしろ犯罪が減っており、民兵部隊がいない方が平和とか。やはり、素性の知れない民間人に武器をもたせるのは大混乱の元だ。

また、「武装民間人」の中には欧米インテリジェンスの協力者も大勢混ざっているハズであり、そういった勢力がウクライナ国内で住宅を破壊して「ロシア軍の仕業」としていることは容易に推測できる。

それを踏まえ、ウクライナのサポリージャ原発が攻撃され炎上したこの事件。

6基の原子炉を備える欧州最大の原子力発電所で、爆発したらチェルノブイリの10倍とのことだが、実際には訓練センターの火災だったとか。

メディアによると「ロシア軍の仕業」となっているが、状況を見るとロシア軍・ウクライナ軍・武装民間人・インテリジェンス協力者の誰がやってもおかしくはない。

また、ちゃんと訓練センターを攻撃しているし、双方が戦争を盛り上げるために「やらかした」一件と見ることも出来るが、最後はロシア軍が制圧していることから、インテリジェンス協力者の暴走を防ぐ目的もあったのかもしれない。

このように、ロシア・ウクライナ双方が戦争を長引かせるようなことをしているところだが、実はこれがドルの弱体化を招くことになるのかもしれない。

実は、リーマンショックを予測したあのピーター・シフさんが、ロシアへの金融制裁がドル(SWIFT)を使わない金融システムの拡大とアメリカのさらなるインフレを招くことを予測しているのだ。

ドルの弱体化について、

  • アメリカにお気に召さなかったロシアは、SWIFTから締め出されたり中銀の外貨資産(ドル)を凍結されてしまい、国際的なカネの流れを止められた。
  • そして、中国はドルを大量保有してその価値を支えているが、ロシアの有り様を見て、ドル保有(SWIFT利用)そのものを「リスク」として捉えることになれば、ドル脱却を図ることになる可能性が高い。
  • 必然的に、世界の多くの国々がドル離れしてドルの地位の崩壊を早めることになる。

・・としている。

また、アメリカを襲うインフレについて

  • エネルギーや穀物価格高騰がアメリカを襲うことになるが、それを凌ぐためには減税や補助金が必要となり、それは「紙幣増刷」としてさらなるインフレを招くことになる。
  • また、減税や補助金しない場合でも、結局は価格高騰(インフレ)により金利上昇圧力となるとする。

・・としている。

先日の「ロシアへの金融制裁はグレートリセットの始まり!?」でも、資源大国ロシアへの金融制裁は、中国のCIPSなど代替決済システムへの分散化を招き、SWIFTや米ドルの優位性を損なう可能性を紹介したが、ピーター・シフさんは、それ以外にもドルやSWIFTへの依存が国家リスクとなる可能性を指摘している。

確かに、ロシアへの金融制裁を見ると、反米・非米諸国を中心に、ドル保有やSWIFT依存を「リスク」とみる国は出てくる可能性は高い。

これまでは「戦争当事国同士であっても国際決済は止めない」のが常識であり、第二次世界大戦でも日本・ドイツと欧米間の国際決済は止まらず、BIS(国際決済銀行)では敵国の人間同士が一緒に仕事をしていた。

しかし、ここ最近ではSWIFTが「金融兵器」として活用されており、特に非米・反米諸国が「ドルの保有・利用こそが最大のリスク」と認識する程度に信用は落ちたと言える。

そして、そのような国々はドルから離れて行き、中国が構築を進めるCIPSやロシアのSPSFなど、SWIFTによらない決済システムへと流れて行くことになる。

実のところ、アメリカFRBのパウエル議長から、中国の国際決算システムCIPSを意識した発言が出ている。

パウエル議長は、中国がドル中心の国際決済システムに代わるインフラ構築を加速させる可能性があるとしている。

今回の戦争を企てた人たちの目的の一つに「アメリカ覇権の撤退」があるわけだが、その目論見どおりロシアからドル(SWIFT)離れが始まっているようだ。

ロイターさんが報じるところでは、中国の国営銀行モスクワ支店に、ロシア地元企業から口座開設の問い合わせが殺到しているとか。

完全にCIPSに乗り換えるぽい。

さて、次にピーター・シフさんが気にしていたインフレだが、「世界で同時多発的にインフレの兆候 金融危機へのカウントダウン!?」などで紹介してきたように、コロナを受けて世界的にコストプッシュインフレが亢進していたところ、今回のウクライナ情勢が非鉄金属や食糧、エネルギー価格のさらなる急騰を招いている。

先に紹介したように、ロシアとウクライナの戦争は長引きそうなので、戦争やロシア金融制裁など地政学的リスクによるコモディティ高騰は今後もしばらくは続きそう。

それにしても、コモディティの高騰は驚くべきレベルだ。

例えば、小麦の日足チャート。

20220303小麦日足チャート

火柱上げと言えばいいのか、昇龍拳と言えばいいのか・・。

ロシアやウクライナは世界的な小麦生産地帯であり、両国合わせて世界輸出シェアの3割近くを占めている。ロシア・ウクライナ間の緊張の高まりに加え、サポリージャ原発炎上の報を受け放射線拡散による小麦不足を見越して爆上げしたようだ。

その他、原油や天然ガス価格なども爆上げ状態となっている。これはWTI原油。

20220304WTI原油価格日足チャート

「コロナからの景気回復期待」と言っていた時期を遥かに上回る価格となっているのが分かる。

昨今のコンテナ船物流問題や人手不足等と合わせて、コストプッシュインフレはさらに加速する。

こうした状況を受けて、アメリカでは(と言うか世界中で)さらなるインフレ亢進が予想されるところだが、一方で利上げ幅を0.5%→0.25%に抑えることになりそうだ。

なお、インフレとは物価上昇であると共に貨幣価値の下落でもあるため、金利は貨幣価値下落分を補うためにインフレ率を加味して上昇する。

CPIの数字などからアメリカのインフレ率は5%くらいありそうなので、それなりに利上げしないと実質金利が大幅マイナスとなり、通貨の下押し圧力は強くなってしまいインフレスパイラルは止まらない。

さらなるインフレ予想の中では一刻も早く利上げした方が良さそうだが、一方でロシアルーブル暴落が欧州の銀行の信用不安を招き、それがアメリカや日本へも波及して「クレジットクランチ(信用収縮)」へと繋がる可能性が指摘されている。

世界的なインフレを受けて、10年以上続いたQE(量的緩和)から引締め転換する中で、欧州発のクレジットクランチとなれば・・脆弱な金融システムは崩壊の瀬戸際まで追い込まれるかもしれない。

クレジットクランチを前に、FRBは金融引締め(利上げ・QT)をする状況ではないが、そうは言っても資源全面高によるインフレは迫るという・・同時解決不能な無理難題・・アメリカ経済は難しい舵取りを迫られている。

そして、このような動きと切っても切り離せないのが仮想通貨だ。

ウクライナ危機の直前にロシアが仮想通貨容認へと舵を切り、さらに国際金融資本の御大が「仮想通貨で金融制裁回避余裕」と言っちゃうなど、何かが起こりそうな雰囲気をビンビン感じる。

とりあえず、仮想通貨市場は活況を呈している。

特に、ルーブルが暴落したロシアでは、リスクヘッジ兼決済用途としてビットコインやUSテザーなどの仮想通貨への移行が進んでいるとか。

ルーブルは下落するが外貨は買えない・・となれば仮想通貨に流れるのは理解できる。

また、先日のブログでも、戦時下でビットコインなどの仮想通貨が貿易決済に利用されれば、金(ゴールド)のような価値の保存機能に決済機能が加わる「究極のリスクヘッジ資産」となる可能性を紹介した。

このようなビットコインの位置づけは、「バーゼルⅢで金と仮想通貨は爆上げ そしてドルは崩壊・・世界統一デジタル通貨へ」で紹介したような、ビットコインを将来のデジタル通貨移行のための広告塔とする流れが急速に出てきていることを感じさせる。

さらに、アメリカのFOXニュースは仮想通貨について尖った報道をしている。

FOXニュース曰く、ビットコイン以外の全ての通貨は、中央集権的な政治権力により操作されていることに人々は気がつき始めた・・とか。

ドルやそれ以外の通貨にしても、その価値を上げるも下げるも国際金融資本のエライ人たちの腹一つ・・それは事実だ。

今の状況を見ると、ドルやSWIFTを支える「みんなが使えてモノが買える」という価値を棄損して多くの国々のドル離脱を促しており、ドルの価値低下だけでなく、過剰発行されているドルの基軸通貨性喪失からドル崩壊までいく可能性が出てきている。

まさに、現在のドルを基軸通貨とした金融システムの根本を崩壊させる「グレートリセット」と言え、これこそがロシアに無謀とも思えるウクライナ侵攻をさせた真の目的だった可能性は高い。

そして、重要性を増す仮想通貨。

いやいや、このイルミナティカードがいよいよ現実味を帯びてきた。

bank merger

また、前にも紹介したように、今回のウクライナ危機の最終目的は「グレートリセット」なのだろうが、Dr.苫米地は、これまでのQEで各国中銀のバランスシートが膨らんでいるところ、ウクライナ危機により各国が軍拡に走り始めたことがグレートリセットの引き金になる可能性を指摘する。

作られたウクライナ危機が、金融システムにどんな影響を及ぼすのか・・

要チェックや


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