ここのところ、気になる経済ニュースが相次いでいる。
先日は、菅さんが地銀の統合を示唆したとの報道を紹介した。
昨日(9月4日)、次期総理候補No.1の菅さんが、地銀の再編を示唆する発言をした。【総裁選】菅氏「地銀多すぎる」…かつて「ハードランディング」主張の梶山氏を支持https://t.co/1wN964t2l7地銀の経営は厳しい。上[…]
この地銀統合再編は、竹中平蔵氏の影がチラつくことから、適当な統廃合のうえ二束三文で外資に売却する未来しか見えないところが悔しい。
本日気になる経済ニュースは、これだ。
【日産の融資 政府保証1300億円】https://t.co/eXiLMOs7vV
政府系の日本政策投資銀行(政投銀)が5月に決めた日産自動車への融資1800億円のうち、1300億円に政府保証をつけていたことがわかった。極めて異例な対応。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) September 6, 2020
政投銀が日産に1800億円を融資し、うち1300億円に政府保証をつけたというもの。
日産は、ゴーン騒動に加え、完成検査の不正などが明るみになったこともあり、経営状況は良くなかった。そこにコロナがオンしたことで、資金ショートの可能性が出てきたということだろう。
自動車の部品は万を数えることが示すとおり、自動車産業の裾野は広い。めちゃくちゃ広い。IT企業や金融とはけた違いの裾野の広さだ。
このため、日産規模の企業が潰れるとなると、社員の大量失業だけでなく、関連企業や無数の下請け企業に至るまで多大な影響が出る。
潰した際の影響が大きすぎるため、現実的には救済するしか手はない。
だが、資金融資に当たり政府保証をつけるということは、日産が返済困難となれば1000億円程度は国庫負担(=税金負担)となる。
このためか、日産への風当たりは強い。記事には、日産が「政府保証がつくことを承知していない」としているが、こうした態度への批判も多い。
日産の肩を持つわけではないが、政府保証は貸し手の日本政策投資銀行と政府との約束なので、本来は日産の知るところではないから、日産が知らないとするのは仕方ないだろう。
まあ、日産か政府(経産省)が動いて政府保証を引き出しているのだろうけど。
しかし、民営化したとはいえ政府系銀行から政府保証を求められたと言うことは、「日産には信用が無い」と言っているようなものなのだ。
今後、日産の社債や株式は買いにくくなるだろう。そういえば、逮捕されたゴーンは、あと3年程度で日産はつぶれるとか言っていたような。ゴーンの大予言は的中か。
それにしても、ゴーンは悪の権化みたいに言われているが、7000億円近くの大赤字を出して倒産危機だった日産をわずか数年で黒字転換したうえ、20年に渡って多額の利益を日産にもたらすと共に、雇用拡大にも貢献したのは事実だ。
ゴーン就任以降の日産は、毎年3000~4000億円もの純利益を叩きだしていた。うーん凄い。
で、ゴーンが2018年11月にタイーホされてから、2019年は7000億近くの損失を出した。そして、コロナ禍とはいえ、2020年も7000億近い損失予想で、ゴーン追い出してからまだ2年経たずに経営危機だ。
どうやら、20年近い「ゴーン改革」は、日産の大企業的な官僚体質を変えるに至らなかったようだし、ゴーン改革とは即効性の高い「リストラ&コストカット」の積み重ねだけだったようだ。
確かに、特に最近の日産車種のラインナップは他社と比べて見劣りする。何年も新車は出ておらず、現行車種は設計が古く、他社の同価格帯と競合できるレベルではない。
せっかく出したキックスも、海外では以前から販売していた車種だしな。
結局のところ、コストカット&リストラは、日産の技術と魅力のカットであり、官僚体質部分だけが残ったようだ。日産の業績悪化の原因はコロナウィルスではない。これが、ゴーン大予言のあと3年で倒産の真意だろう。
さて、ゴーン改革はコストカット&リストラで何も生み出さなかったし、日産も官僚体質な企業なのだが、日本政府(経産省)が介入した理由はどこにあるのだろうか。
政投銀の融資1800億円のうち政府保証を付けた1300億円は、日産の業績悪化が止まらない場合は、国民の血税で補填されるのだ。
日産は、日産の車種ラインナップがあまりに貧弱だが、新車投入プランは軒並み現副社長の星野氏が潰してきたと言われている。
また、前社長の西川氏は不正報酬問題により辞任したが、この星野氏も西川氏と同様に不正報酬を受け取っていた。ゴーン事件によってガバナンスが叫ばれているハズだが、こうした人物がいまだ副社長の座にいるとは・・。
政府保証をつける以上、経営責任はともかく不正を働いた役員の整理など、経営健全化は必要だろう。
でも、日本政府は信用保証を付けた。
やはり、日産と経産相のズブズブ関係か。
日産は、かつては通産省、今は経産省との関係がアツイ。
幾多の倒産危機を乗り越えて成長してきたトヨタやホンダは、根性が違う。
だからだろうか。国内他自動車メーカーとは仲がよろしくないようだ。
ルノー資本が入ったのも、トヨタが救済を拒否したから。先月には、ホンダとの合併話が出たがホンダ側が断った。ホンダの決断、早いっす。
英ファイナンシャル・タイムズ紙は、日本政府が日産とホンダの合併を後押ししたと報道しています。日産・ルノー・三菱アライアンスの崩壊を懸念して提携を模索していたようですが、両社は即座に拒否。計画は頓挫しました。https://t.co/bKJMjtAes8
— オートカー・ジャパン (@AutocarJapan) August 20, 2020
ホンダとの合併が流れてから、政府保証決まるまでも速いな。
そういえば、ゴーン逮捕の時も奇妙な点が多かった。
ゴーンは、金融商品取引法違反で逮捕された。しかし、実際は有価証券報告書への記載誤りと見なされるべき微罪だ。場合によっては国策捜査まで担うエリート集団「東京地検特捜部」が出張るほどの事件性は無い。
ひろゆきさんの言うとおり。
首相官邸と日産の無能役員が組んでゴーン社長を微罪で逮捕。
↓
無能な役員が社長になる。
↓
日産の株価は55%下落。純利益79%減。
↓
日産、お金足りなくなる。
↓
銀行は無能にはお金を貸したくない
↓
政府が日産の借金の保証人になる。損したら国民が負担←今ここhttps://t.co/3jdn2A2x4T— ひろゆき, Hiroyuki Nishimura (@hiroyuki_ni) September 6, 2020
まあ、その後、ルノーからも結構派手にカネをむしり取っていたなどの実態が出てきたんだが。
いずれにせよ、経産省と西川前社長は近かったとも聞くが、政府はフランスやルノーに日産が買われることが、よほど嫌だったようだ。
今回の政投銀の融資は、フランス政府に対する「日産売らんぜよ!」と言う宣言なのだろうか。
グローバリズムの名のもとに、長銀や日債銀から始まり郵貯などもむしり取ろうとした外資・国際金融資本に対する日本政府の抵抗だとすれば、政府グッジョブと言うことになる。
それに、リストラ&コストカット以外の日産「再生」を本気で考えなければいけない。リアル半沢直樹の登板が望まれる。
でも、単なる「天下り先の確保」とか「融資1800億円の中抜き」とかだったら笑うしかない。
最後まで読んでくれてありがとう!