2021年8月15日、アメリカ軍のアフガン撤退よりも早く首都カブールがタリバンに落とされた。
アメリカは、トランプ時代からアフガン撤退を志向していたものの、軍産国際金融資本の強い反対もあって実現しなかった。その後、その軍産国際金融資本を後ろ楯とするバイデン政権に交代し、軍産勢がウマイ汁を吸い続けるかと思いきや撤退することとなった。
なんじゃそりゃ的な展開だが、この背景についてはあのトカナさんが、事情通のジェームス斎藤氏が語るアフガン撤退ウラ事情を紹介している。
前編がこれで・・
報じられない「タリバンによるアフガニスタン制圧の裏と陰謀」! 麻薬ビジネス、ゴールド、ペド、ディープステート…ジェームズ斉藤が解説! #麻薬 #陰謀論 #アフガニスタン https://t.co/OgjiLdZrhZ
— トカナ/TOCANA 知的好奇心の扉【公式】 (@DailyTocana) August 21, 2021
後編がこれ。
大大大人気の連載!一切の情報が国家機密扱いのジェームズ斉藤(@JamesSaito33)が斬る国際ニュース裏情報 最新回です。
●タリバンとアフガニスタンの陰謀https://t.co/OgjiLeh29x#陰謀論 #イルミナティ #ディープステート #麻薬 #アヘン 911
— トカナ/TOCANA 知的好奇心の扉【公式】 (@DailyTocana) August 21, 2021
インテリジェンス界に深いコネクションを持つジェームズ斉藤氏によると、アメリカ軍が20年もアフガニスタンに駐留してたのは、CIAが構築した「麻薬利権」をタリバンが壊したからであり、再び麻薬利権を確保するためだった。そして、その麻薬利権の再分配が終わったので米軍は撤退することになり、ガニ傀儡政権は用済みになったとか。
いやいや、怖い話ですわ。闇深。
この話の真偽は永久に分からないので置くとして、タリバンの進軍ペースが異様に早かったことや、傀儡政権が消滅したのにアメリカが大騒ぎしてないのは事実だ。
これまでのアフガン情勢は、米軍&ガニ傀儡政権が首都カブールを中心にアフガン北部(北部同盟)を支配し、一方のタリバンは農村部や山岳地帯を支配下に置いていた。
そんな中で、トランプ政権が掲げた米軍撤退の方針をまさかのバイデン政権が継承し、2021年8月末を期限として米軍が撤退することでタリバンと合意した。
その後の米軍は、7月3日には最大拠点のバグラム空港から撤退するなど、かなり前倒して撤退を進めていた。
ただ、米軍が撤退したとしても、ガニ政権には最新装備で武装した30万の兵力を保有していた。ちなみに、タリバン側の兵力は7万程度と言われていたので、ガニ政権とタリバンの兵力差はかなり大きかった。
しかし、結果は1ヶ月程度で首都カブール陥落。ソ連が10年、アメリカが20年かけて出来なかったアフガン制圧を、タリバンは1ヶ月で成し遂げたことになる。
ガニ政権軍はほぼ無抵抗だったことは間違いなく、この背景には、アフガン人民はガニ政権&米軍がキライだったからだろう。
なお、アメリカのエライ人達の反応は「こんなに早くカブール陥落するとは思って無かったっす」「アフガン政権軍弱すぎww」と言ったもので、切迫感は感じられない。
ちなみに、首都カブールが落ちるかどうかという緊急事態に、バイデン大統領は夏休みをエンジョイしていたとか。
Biden “Relaxes” On Vacation While ‘Saigon Moment’ Looms In Afghanistan https://t.co/No9kH2sTN9
— zerohedge (@zerohedge) August 14, 2021
さすがに、カブール陥落後は会見したが・・その内容は「っぱ米軍撤退は正解やったぞ」だった。
バイデン大統領「アフガン軍が戦わないのに米軍が戦うことはできない」 見通しの誤算認めるも…米軍撤退の正当性強調https://t.co/DPrbUZ5UgF
— 東京新聞編集局 (@tokyonewsroom) August 17, 2021
アフガニスタンは、イラン・パキスタン・中央アジアの国々・中国と国境を接するなど、中東と中央アジア、南アジアの境界に位置する戦略上の要衝で、アメリカはこれまでに1兆ドルを注ぎ込んできたハズだが、そんな要衝を失陥したとは思えない呑気さだ。
なお、アフガンでは、欧米人や欧米支配に協力したアフガン人のカブール脱出が喫緊の課題となっており、1975年4月30日のサイゴン陥落時を彷彿とさせる状況となっている。
しかし、既にアメリカの覇権が失われていることから、アフガンからの脱出や救出はタリバン政権を頼らざるを得ない状況となっている。
しかし、この点についてタリバンは意外と協力的だ。例えば日本に対しても「日本人さんどうぞ退避してください」という感じ。
“邦人の退避認める”タリバン、日本メディアに明言 https://t.co/a61b9Um46r
— テレ朝news (@tv_asahi_news) August 24, 2021
なお、タリバンは日本人だけでなく各国民の退去を認めている。本来なら、タリバンを虐げた敵性国家の人民として拘束することも考えられた。不足の事態が心配されているが、下っぱの暴走でも無い限りは問題は無さそうだ。
こうして、アフガンにおいてアメリカは何の頼りにもならなくなったワケだが、そのアメリカと入れ替わるように存在感を増しているのが中国だ。
カブール陥落の半月ほど前となる7月28日に、タリバンは中国で王毅外相と会っている。この時の内容はゼロヘッジさんの記事が詳しい。
Taliban Seeks International ‘Legitimacy’ In Meeting With Top China Officials https://t.co/TMQ4AIlU4z
— zerohedge (@zerohedge) July 29, 2021
ゼロヘッジさんの記事によると、この会談後に李克強首相が、アフガニスタンの平和的和解と復興の過程で重要な役割を果たすことを期待している旨を記者団に語ったとのこと。
さらに、この時点での米国の諜報機関の分析では「タリバンが首都カブールを奪還するのは6か月後」としていた。どっちみち、傀儡政権は持たないと踏んでいたか。
なお、中国はカブール陥落直前に、タリバンをアフガン政権と認める旨の声明を出している。
China ‘Ready’ To Recognize Taliban If Afghan Government Ousted https://t.co/PwMis9lQyg
— zerohedge (@zerohedge) August 14, 2021
バイデン大統領の動きとは対称的だ。
さらに、ロシアの動きも素早い。ロシアのプーチン大統領が、トルコも誘いアフガン安定に尽力するつもりとか。
#プーチン大統領、トルコ大統領と電話会談https://t.co/9OSHO8RRB6
ロシアのプーチン大統領はトルコの #エルドアン大統領 と電話会談した。会談では、アフガニスタンにおけるテロ及び麻薬密売との戦いに関する課題の優先的な性質に注目された。
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) August 21, 2021
アフガンの安定化はロシアにとっても重要だろうし、中国への牽制の意味合いもあるかも!?
ここ1週間くらいのアフガン情勢を見るに、内戦らしい内戦もないまま傀儡政権が消滅したことや呑気なアメリカ、中国・ロシアの迅速な対応を見るに、タリバンによるアフガン支配と中国・ロシアがその後ろ楯となることは、米中露の合意事項だったと見て間違いなかろう。
今後のアフガンはどうなっていくのだろうか。
日本を含む欧米メディアでは、タリバンの蛮行を大きく取り上げるなど、今後のアフガンが残虐なテロ国家になりそうな報道が目立つ。
タリバン戦闘員「食事がまずい」、女性に火をつけて殺害…女学校の閉鎖相次ぐhttps://t.co/vJzetCVOGS#国際
— 読売新聞オンライン (@Yomiuri_Online) August 22, 2021
ただ、一方でタリバン支配によるアフガンの安定化も期待される。
以下は外務省のアフガン紹介のページ。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/afghanistan/data.html
このサイトのアフガン近代史まとめを見ると・・
1992年ムジャヒディン勢力の軍事攻勢によりナジブラ政権が崩壊、ペシャワール合意に基づく暫定政権(アフガニスタン・イスラム国)が成立するが、各派間の主導権争いにより内戦状態が継続。1994年頃から、イスラムへの回帰による秩序回復を訴えるタリバーンが南部から勢力を伸ばし、1996年首都カブールを制圧、1999年までに国土の9割を支配するに至った。2001年9月の米国同時多発テロ事件を機に、同年10月から米英主導でアルカーイダ及びタリバーンに対する軍事行動が行われ、11月「北部同盟」がカブールを制圧、12月までにタリバーン支配地域が奪還された。
ソ連のアフガン侵攻以降、多民族国家のアフガンでは内戦が相次ぐ地獄絵図となっていたところ、「イスラムへの回帰」を掲げるタリバンが民族の壁を越えて国家の安定を図っていたことが分かる。なお、タリバンはアフガン国内で4割を占める最多数民族のパシュトゥン人の代表勢力だった。
その後にアフガンに侵攻してタリバンを蹴散らしたアメリカは、植民地支配の大原則「Divide & Conquer(分割支配)」により、弱小勢力の北部同盟を傀儡化するのと同時に、最大多数のタリバンを敵と位置付けることでアフガンを不安定化した。
傀儡政権にアフガン安定化など出来るハズもなく、国内は混乱。医師の中村哲さんが亡くなられたことは記憶に新しい。そりゃアフガン市民もガニ傀儡政権など支持しないよな・・的な状況だった。
ジェームズ斉藤氏が言うように「アメリカの闇利権」の調整が終わったからなのか、ようやくアメリカが撤退することとなり、最大多数のパシュトゥン人(タリバン)が、多民族をまとめる「イスラムへの回帰」という精神性を掲げ、中国ロシアという大国の後ろ楯を得て復権した。
日本や欧米のような自由は無いものの、現状ではタリバン以外にアフガンを纏められない。その点では、今後のアフガン国内情勢は今よりは良くなることが期待される。
ただ、気になるのはアフガン人への処遇だ。タリバンのエライ人たちは、欧米勢に協力した人への恩赦や女性の権利を守るとのことだが・・
タリバン初会見で“融和”強調も…女性たちのデモ https://t.co/5ckNEv4P40
— テレ朝news (@tv_asahi_news) August 18, 2021
今のところ、この考え方は末端まで浸透していないようだし、どこまで許されるのかは未知数だ。
いずれにせよ、当面は国内情勢の安定化に注力するだろうし、その過程では残虐な見せしめも出てくるかもしれない。ただ、タリバンも欧米とコトを構えるつもりは無いだろうし、報道されるような残虐行為がどこまで全体像を捉えているかは疑問だ。
また、中国も一帯一路戦略を進める上でアフガンの安定は必要不可欠であり、(自国のウイグル問題は棚に上げて)不安定化要素は排除するだろう。
しかし、中国兄さんもタダでアフガンの面倒を見るわけではないようだ。
何と、アフガンには1兆ドル相当の鉱物資源が眠っているとか。
アフガンに1兆ドル鉱物資源 タリバンと「友好」な中国共産党はどう見るか https://t.co/lQo25Ij53M
— 大紀元 エポックタイムズ・ジャパン (@epochtimes_jp) August 22, 2021
中国は、莫大な鉱物資源へのアクセスを手に入れることになる。
なお、この件はイギリスの著名な予言者のクレイグ・ハミルトン・パーカーさんも予言している。
中国はアフガニスタンのレアメタルに多大の投資をしており、アフガニスタンからアメリカ軍が撤退したあと、アフガニスタンのタリバンが中国と普通ではない同盟を結び、中国が裏から支配することになる。
(ブルーオーブのブログより抜粋)
クレイグ・ハミルトン・パーカー氏の言う「普通でない同盟」と言うのが何なのかは気になるところ。
アメリカ・ソ連の失敗を踏まえると、中国がアフガンを軍事支配することはないだろうから・・「裏から支配する」と言うのは、経済支援(=借金でカタに嵌める)による支配のことかも。
アフガンの受難は続くのか・・。
いずれにせよ、地政学的に重要なアフガンを失ったアメリカのユーラシア大陸におけるプレゼンスは大きく低下する。中東においても、イランやロシアのプレゼンスが高まっていることを踏まえると、今後のユーラシアは中国やロシアなどの存在感が増していくのは間違いない。
日本を含む東アジア情勢も気になるところ。
なお、先に紹介した中日新聞の記事には、日本にとって重要な示唆が含まれていた。
「アフガン軍自身が戦う意思のない戦争で、米軍が戦うことはできない。アフガン軍が戦わないのに、あと何世代、何人の米国人の命が必要か。アーリントン墓地に墓石が何列並んでいるのか。過去の過ちは繰り返さない」。バイデン氏は演説でそう強調した。
将来的に日本周辺でコトが起こった場合、自衛隊が先陣切って行かない限り米軍は動かないだろう。
そもそも「東アジアからも撤退します」とか言い出さないとも限らない。
ところで、かつてのアフガンはこんな国だったとか。
アフガニスタンの事はオランダでも大きくニュースに取り上げられています。母は60年代にアフガニスタンに旅行に行っているのですが、当時アフガニスタンの女性の多くはミニスカートを履き国はとても自由な雰囲気だったそう。イスラム教の国々が大きく変わっていったのはイラン革命以降らしいです。
— ひなた☆ヨーロッパ (@HinataAi7) August 15, 2021
アフガンには美人さんも多いので、一刻も早くミニスカ国家に戻って欲しいと思う。
最後まで読んでくれてありがとう!