日本を含む世界中でワクチン接種が進んでいる。
そんな中で、特にシンガポールの接種率は73%超と高く、成人の大半が接種済み。
また、イスラエルでも対象者(16歳以上)の8割以上がワクチン接種を完了している。
両国とも早い段階からワクチン接種を進めており、しかも接種率も高い。多くの人が、接種から4か月~半年程度経過しており、ワクチン効果に関する「先行指標」と見ることができる。
そんな中で、シンガポールではワクチン接種者の感染者が増えているとか。
シンガポールは3/4の国民がmRNAワクチンを接種している
そして、新規感染者の3/4がワクチン接種済だった
“Singapore has already inoculated nearly 75% of its 5.7 million people”https://t.co/LhGdMEY152
やっぱりワクチンの感染予防の有効性はゼロじゃないかね。イスラエルと同じ結果だ。 https://t.co/cz4yPDUi7U pic.twitter.com/xTjFD4YRnC
— You (@You3_JP) July 24, 2021
また、イスラエルでもワクチン接種した人への感染が広がっており、イスラエル保健省はワクチン効果について大幅に見直した。
ファイザー製ワクチン感染予防効果39%に低下 重症予防は91% https://t.co/F7Xil41NEQ #tbs #tbs_news #japan #news
— TBS NEWS (@tbs_news) July 23, 2021
イスラエル国内の状況を踏まえたファイザー社製ワクチンの感染予防効果(発症予防効果?)は39%に低下した一方で、重症化予防効果は従来と同水準の91%とのこと。
両国とも、ワクチン接種者の感染拡大の理由に、デルタ株を挙げていることから、この数字がデルタ株に対する現在のワクチン効果と言うことになる。
ただ、本当にデルタ株なのかどうか。
以前に「ワクチン免疫は長続きしない イスラエルでワクチン2回接種者の重症化事例が増加」で、「ワクチン免疫より自然感染して獲得した免疫の方が強く、効果も長い」ことや「イスラエルでは、ワクチン2回接種者の重症化率が高まりつつある」ことを紹介した。
こうした懸念を表すかのように、イスラエルではワクチンを2回接種した人の重症化事例がチラホラ出てきており、日本の一部メディアも報じている。
イスラエルは全人口の56%を占める522万人あまりが2回目の接種をすべて終えるなど、早いペースでワクチン接種を進めてきた。しかし、デルタ型変異株の拡大を受け、最近の新規感染者の半分以上はワクチンを接種しており、重症患者の約60%もワクチンを接種済みだという。https://t.co/SbI1x4ORi1
— クーリエ・ジャポン (@CourrierJapon) July 20, 2021
イスラエルにおける重症患者のうち、約60%はワクチン接種済みとか。
これは由々しき事態・・と思えるが、現在入院中の重症者はわずか58人で、そのうちワクチン接種済みが35人とのことなので、全体で見れば少なく大した問題では無い。
ただ、先の「デルタ株への重症化予防効果が91%」とは食い違っているし、デルタ株感染が広がるアメリカやイギリスでも死者・重症者は大幅に減っていることを踏まえると、やはりデルタ株が原因かどうかは怪しいところ。
さらに、イスラエルでは免疫力の低い人を対象に3回目のブースター接種を始めており、何か危険を感じている様子。
やはり、イスラエルはワクチン接種したからこそ重症化するADE(抗体依存性免疫増強)を懸念しているのではないか。
以前に「世界中でmRNAワクチンが求められているのは何故?」で、阪大研究チームが新型コロナ重症化の原因ともなる「感染増強抗体」を発見したことを紹介した。
コロナ重症化の元凶「感染増強抗体」 #大阪大学 が発見https://t.co/n8ylxPLYPa
大阪大学は24日、#新型コロナウイルス に感染すると、ウイルスの構造を変化させて重症化させてしまう「感染増強抗体」を発見した。テレビ大阪が報じた。
— Sputnik 日本 (@sputnik_jp) May 24, 2021
この研究の詳細は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構のウェブサイトから確認することが出来る。
さて、この研究内容の中で気になる点は以下のとおり(抜粋)。
- 新型コロナウイルスに感染すると、感染を防ぐ中和抗体ばかりでなく、感染を増強させる抗体(感染増強抗体)が産生されることを発見した。
- 非感染者においても感染増強抗体を少量持っている場合があることが判明した。
- 既に感染増強抗体を持っている人では、感染やワクチンの接種で感染増強抗体の産生が高まる可能性が考えられる。
- 感染増強抗体は、中和抗体によるACE2結合阻害能を減弱させることが判明した。つまり、感染増強抗体が産生されると、中和抗体の効きが悪くなる可能性が考えられる。
- 感染増強抗体の認識部位は現行のワクチン抗原にも含まれている。従って、感染増強抗体の産生を誘導しないワクチン抗原を開発することが望ましい。
- 感染増強抗体による感染性の増加は、抗体によるスパイクタンパク質への直接的な影響であり、Fc受容体は関与していない。従って、今までに知られていた抗体依存性感染増強とは全く異なる新たなメカニズムが存在することが判明した。
感染により「中和抗体」と「感染増強抗体」が産製されるとしているが、当然ながらワクチン接種によっても両方産生されるのは間違いない。
また、これまで感染してなくても「感染増強抗体」を持っていることがあり、そうした人はワクチン接種で「感染増強抗体」産生が高まるとしていることから、ワクチン接種後の重症事例の原因となっている可能性もあるのかも。
なお、過去記事で紹介したように、ワクチンで作られた「中和抗体」は半年程度で減るものの、その後はメモリーB細胞さんやT細胞さんなど免疫システムがはたらき、何かあれば免疫システムが抗体を作り出す。
ただ、同じ記事で紹介したイスラエルの感染状況を分析したデータサイエンティストさん。この方が気になる分析をしている。以下に紹介するのは、それを分かりやすく翻訳してくれたツイート。
・自然感染者の方がワク接種者よりも中期的に再感染確率が大幅に低いのは、キラーT細胞に違いがある
・自然感染者ではキラーT細胞が大きく増幅するが、mRNAワクチン接種者では大きな変化なし
・キラーT細胞の抗原認識でスパイクは少なくヌクレオカプシド蛋白等が大部分を占めているためだろう https://t.co/drjSI70Bvg— J Sato (@j_sato) July 24, 2021
自然感染した場合は、免疫システムを担うキラーT細胞さんが活性化するが、ワクチンの場合はそれが無いとか。
mRNAワクチンは、ウイルス本体ではなく無害なスパイク部分だけを作り出すので、一時的な抗体は出来ても人間の免疫システムは活性化せず、ワクチン効果が長続きしないということかも。
新型コロナワクチンによる「免疫」が、長続きする(数ヶ月~数年間)ことが分かってきたと、ウォール・ストリートジャーナルが報じている。コロナへの免疫反応は長期持続か、変異株が脅威 #新型コロナウイルス #コロナワクチンhttps://t[…]
また、阪大チームによると「感染増強抗体」は、中和抗体によるACE2結合阻害能を減弱させる・・とあるので、ヘタするとワクチン接種組の方がコロナに感染しやすくなる可能性も。
抗体が長続きせず免疫も活性化されないうえに、感染しやすくなるとなると、何のためにワクチン打つのか分からなくなってくるが、さらに気になるポイントがある。
阪大チームが発見した、これまで感染してなくても「感染増強抗体」を持っている人がいる・・のくだりからは、「中和抗体」が減少しても「感染増強抗体」は同じように減ってないんじゃないかとの疑惑が出てくる。
中和抗体が減るのと同じように感染増強抗体も減れば無問題だろうが、感染増強抗体の減り方の方が遅いとなると、半年程度で「中和抗体」よりも「感染増強抗体」の方が多くなる。
シンガポールやイスラエルでは、今のところ「中和抗体≦感染増強抗体」くらいなので、発症予防効果が3割に落ち込む程度で済んでいるのかも。
これが、「中和抗体<<<感染増強抗体」となってからコロナ感染すると、ウイルス粒子に抗体が結合することで感染が増強するADE発症リスクが高まってくる。
イスラエルで、3回目のブースター接種を始めているのは、中和抗体をブーストし続ける必要性を認識しているからなのかも。
以前に「コロナワクチンはローリスク?ハイリスク?」でも紹介したが、ファイザーの元副社長のDr.イェードン氏と元欧州会議保健委員長Dr.ウォーダーグは、ADEの危険性等を理由に、EU医薬品庁にファイザー社製ワクチンの使用中止を求めていた。
ネコ用のコロナワクチンの臨床試験において、ワクチン接種した研究用の猫やフェレットが、ネココロナに感染して2年以内に全て死亡した(死因はADEの疑い)ことが理由とか。
ワクチン接種した全員がADEリスクに晒されることはないんだろうが、シンガポールやイスラエルの状況は注視が必要だ。
ワクチン接種者ばかり感染とか、ワクチン接種者ばかり重症化などのニュースが聞こえてこないことを祈るばかり。
最後まで読んでくれてありがとう!