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トランプ弾劾騒動はトランプ再選作戦か?

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アメリカで一大騒動になっている「トランプ弾劾騒動」。日本でもよく報道されているこの事件だが、ちょっとこの事件について今回は掘り下げていきたいぞ!

さて、この事件についてだが、報道されている内容をまとめるとこんな感じだ。

  • 今年7月、トランプ大統領がウクライナのゼレンンスキー大統領に電話した。
  • 電話の内容は、次期大統領選におけるトランプの最有力ライバルである、バイデン元副大統領の疑惑を調査するよう頼んだ。
  • その際に、ウクライナへの約4憶ドルの軍事支援と引き換えにする「圧力」をかけた旨の内容が内部告発された。
  • 内部告発の内容は「圧力をかけたらしい(伝聞&推定)」というもの。
  • 民主党(トランプは共和党)のペロシ下院議長が「職権乱用けしからん弾劾だ」と騒ぎだした。
  • トランプとウクライナ大統領は二人とも圧力を否定

では、トランプ大統領が主張するバイデン元副大統領の疑惑とは何か。様々なニュースが流れているが、おおむね2つの疑惑がある。

  • 2014年頃のウクライナは、新ロシアのヤヌコビッチ政権から新米のポロシェンコ政権に代わったところ。
  • バイデン副大統領(当時)はウクライナを頻繁に訪れており、ポロシェンコ大統領に対し経済支援する旨を表明
  • この頃、バイデン副大統領の息子、ハンター・バイデン氏は薬物使用で海軍を除隊された直後だったが、そのまま経験もないのにウクライナのガス会社「ブリスマHD」の月額報酬最大5万ドル(500万円!?)の取締役に就任した。

アメリカからウクライナへの経済援助をダシに、息子を高額報酬のエネルギー企業役員にしたとの疑惑であり、これが疑惑①だ。

当時のウクライナはロシアから距離を置くために、ロシアに頼っていたエネルギーを自前で賄う必要もあったことから、開発のためにアメリカの援助を必要としていた事情があるぞ。

 

 

続いて疑惑②だ。

  • バイデン副大統領(当時)は、ブリスマHDの役員だった息子のハンター氏を守るため、同国の検察トップを解任するようウクライナ政府に圧力をかけたとされる。
  • ブリスマ創業者のズロチェフスキーは、政権交代前の親ロシア政権の閣僚を務めるなど、親ロ政権とつながりあったほか、脱税・汚職など何かと疑惑が多かった。
  • ショーキン検事総長はこの疑惑を追っており、ズロチェフスキーのみならずハンター氏にも捜査の手が及ぶ可能性もあったと考えられる。
  • こうした中でバイデン副大統領は、ショーキン検事総長を解任しなければ10億ドルの支援を出さないぞ、とウクライナを脅して解任させたことを、公式の場で発言(2018年)
  • その後、捜査は棚上げ状態
  • ショーキン検事総長はブリスマに関する疑惑を調査していたところ、バイデンにより解任されたとして、トランプ大統領が適切な捜査を要請した。

なお、バイデン副大統領(当時)がショーキン検事総長を解任させ背景として、ウクライナに融資をしていたIMFやEUなどが「ショーキンは汚職撲滅などの捜査が不十分なのでやめさせろ」と言っていたことがある。また、ショーキン自身がブリスマへの調査をとりやめたとも言われており、いずれにせよ、捜査に邪魔だからクビにした、というのがバイデンサイドの言い分だ。

なお、これまでのところ、バイデン氏が副大統領時代に自身の地位を利用してウクライナに絡む問題で息子を支援した証拠は出ていない。

また、ショーキン検事総長の後任は、ガス会社との関係を巡りバイデン氏の息子に不正はなかったと述べているぞ。

こうした中で、ウクライナ当局は10月4日に、創業者のズロチェフスキーに関する過去の捜査について適切だったか見直すと表明した。

今後、もしかしてハンター氏の周囲にも捜査が及ぶ可能性がある。

ということで、疑惑を整理してみた。

  • トランプ氏は援助をチラつかせて、ウクライナに大統領候補ライバルのバイデンの疑惑を捜査するよう圧力をかけたらしいということで炎上
  • バイデン氏は、援助をチラつかせ息子を大企業役員につけさせたほか、息子周囲に捜査が迫るとやはり援助をチラつかせて検事総長を解任させた疑惑

このなかで、トランプ氏は通話記録が完全公開ではないため、また聞きや推定のような形で告発されているので「らしい」ということだ。

また、おそらくはバイデン氏が何か不正をやった証拠を持っているか、最悪でっち上げも可能と判断して、ブリスマへの調査を要請したのではないか。

なお、実際にトランプ大統領の要請内容は「ブリスマ創業者のズロチェフスキーに対する適切な捜査」であるので、違法性という点からは援助をチラつかせたことを除けば何の問題も無いだろう。援助をチラつかせることも、一般的な外交交渉の中ではよくあることと思うので、一対一の電話という点はあるがやはり違法性は高くないと思う。

一方のバイデン氏は、今後ウクライナ当局の捜査動向によっては、政治生命を絶たれるに等しいダメージを追うことも想定されるほどの「やっちまった」感がある。

援助をチラつかせ、息子を大企業の取締役として就任させて月額5万ドルという超高額報酬を出させた、いわば「収賄」容疑に加え、やはり援助をチラつかせて他国において適切な捜査を妨害した「捜査妨害」だ。完全に数え役満だ。

どっちが悪いと思いますか、と問われればそりゃ「バイデン」だろうな。証拠があればだが。

弾劾騒動については、トランプの共和党が上院で過半数を占めているので、弾劾成立はまずあり得ない。

こうした状況を踏まえ、オバマ政権時代以降、これまで一切表に出てこなかったバイデン疑惑が急に出てきたことを考えると、この疑惑はトランプ側からリークされたものとして考えることも出来そうだ。

トランプは米ドルの信頼が揺らぐ可能性の高いQEの再開やシリアからの唐突な撤退など、アメリカを牛耳ってきた軍産複合体から見れば、ちょっと邪魔な存在となっていることも事実だろう。

また、米大使館のエルサレム移転や米中貿易戦争など、これまでアメリカが進めてきた流れを引き継いでいるようい見えるものの、一線を越えた感もあり、やはり軍産複合体からは「やり過ぎ」て邪魔な存在なのだろう。

軍産複合体がトランプ大統領を煙たく思っている中で、次期大統領選挙の民主党最有力候補者のバイデンは、トランプ大統領が最も追い落としたい相手だろう。

今回、ウクライナ当局の捜査により、ズロチェフスキーからのバイデン疑惑がクロとなれば大統領選挙で一気に優勢に立つができる。

そうした大統領選挙の一環として、この弾劾騒動をあえて誘発し、バイデンの追い落としを図っているのではないか。

おじさん、そんなことを考えてしまったよ。


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