日本のデフォルト

3京円の世界債務がもたらすインフレーションとデフォルト

日本のデフォルト

世界債務が3京円にのぼることが発表された!

債務の大半は、2008年のリーマンショック以降のQE(造幣による債券買い支え策)によるものだが、昨年以降のコロナ対応に伴い再び急激に増加した。従って、債務の大半は日米欧の国債発行(=通貨発行)によるものと言える。

リーマンショック(サブプライムバブルの崩壊)による債券市場崩壊を防ぐため、極端な利下げや債券買いを行うことになったものだが、リーマンショックから10年以上が経過してもQEを止められないまま、コロナショックに襲われた。

コロナショックは都市封鎖措置等により実体経済の急減速を伴っているのが特徴で、ディズニーランドも閉園して旅行にも行けなくなったし、忘年会や新年会も出来なかった。

リーマンの時は金融システムの混乱だったが、今は実体経済の混乱だ。リーマンショック時のように金融市場にカネを入れただけでは足りず、「Gotoキャンペーン」や「持続化給付金」など経済対策が必要になった。

こうした経済対策(コロナショックによる経済のマイナス分)は、すべてQEで補っている。つまり、コロナ危機が終わらない限り(終わってもしばらくは)、QEも膨らみ続ける。政府が国債発行→中央銀行が引き受け=通貨発行→発行した通貨を政府がGetということで、ひたすら通貨発行量が増え続ける。

ということで、現在は中央銀行が政府発行の国債を直接引き受ける、事実上の「財政ファイナンス」が行われている。単なる赤字補填だ。しかし「財政ファイナンス」は財政の健全性を喪失し、極端な通貨増発による悪性インフレを招く可能性があることから国際的に「禁じ手」とされているのは事実だ。

日本では、国債既発行分の半分弱は日銀が保有しており、事実上の財政ファイナンス状態。アメリカも欧州も状況は同じだ。だが、ハイパーどころかインフレすら起こっていない。こうした状況を踏まえてMMT(現代貨幣理論・Modern Monetary Theory)が幅を利かせている。

MMTの主張する内容は、大体こんな感じだ。

  • インフレしない限りにおいて、自国通貨建てによる政府債務の拡大は問題ない。
  • なので、政府は自国通貨建てで財政赤字を拡大させれば、経済を拡大することが出来る。。

何と、今起こっていることはMMTで裏付けられている!?

日本は負債の大半が自国通貨建てなので、最悪、日銀が円を刷れば財政破たんは無い。インフレにならない範囲でいくらでも財政出動が行えるということか。

さらに、日本政府の負債約1200兆円は、裏を返せば1200兆円の民間資産があるのと同義だ。政府の負債は国民の資産がということになる。

これがMMTが主張する内容だ。

現在、可処分所得の指標となる「実質消費支出力(平均給与-税金など)」は、2000年の295.0万円からリーマンショックや消費税増税を経て、2020年は238.9万円まで落ち込んでいる。MMTに基づけば、消費税0%にして租税負担率を大幅に低減する必要がある。

だが、MMTは正しいのか。MMTを続けると一体どうなってしまうのか。

まず、財務省筋からは「増税」の話が聞こえてくる。これは、いつものことだが。

財務省の「スキ有らば増税」は、MMTに基づけば不要なハズ・・。財務省はどう考えているのか。

やっぱり大反対だって。

財務省がMMTに反対し、増税路線を貫く背景については原田武夫氏が解説している。

この動画の3:20辺りから。

原田武夫氏が、以前に財務次官を務めた方から聞いた話として、以下の内容を語っている。

  • 今後、日本の金利が上がる可能性がある。
  • 少子高齢化により、今後日本政府が償還出来なくなる可能性があるから。
  • 長期金利が6%程度までは想定している。
  • 他の国々も同様だが、他国は移民受け入れなどによって人口動態が日本のように歪になっていない。
  • このため、日本では国債償還財源を確保するために隙あらば税金をとる形になる。

財務省では、今後6%程度までの金利上昇を見込んでおり、増税の必要とする背景はこれ。

ところで、金利上昇はインフレが進んだ結果と考えられる。やはり、通貨の過剰発行が原因なのだろうか。

だが、FRBが昨年発行したドルは「これまでのドル発行総額の約40%」だ。明らかにドル供給過剰だが、インフレにはなっていない。

その理由は、この過剰ドルが金融市場に投入されているからじゃないかな。つまり、過剰ドルが実体経済に回っていないため「インフレ」にはなっていないが、代わって株式市場や仮想通貨が「バブル」ということ。「給付金」程度の金額なら実体経済に回ってもインフレにはならないようだ。

じゃ本当にインフレしてないかと言うと、そうでもない。ジワジワきている。

食料価格は6年半ぶりの高値になっている。

さらに、先日発表された1月の米国 生産者物価指数もめちゃくちゃ強かった。

前年比、予想0.9%のところ1.7%の上昇だ。過去最高水準の数字であり、ドル買い・金利上昇へと繋がる。

この食料価格や生産者物価指数が上がっている背景については、再び原田武夫氏の動画を。

この動画では、米系メディアがコンテナ価格の上昇を取り上げている件について解説している。

  • 海運業界のコンテナ価格が上がっている件について、米系メディアが騒ぎ始めた。
  • コロナでモノの生産・販売量が減った結果、世界的にコンテナ船の航路欠航などモノが動かなくなっており、モノを動かすことが難しくなってきている。
  • 加えて、リーマンショック以降、大量のカネがバラマかれており、ある時それが出てくる。
  • おカネがバラまかれている中で供給が切迫すると運送料が上がり、連動して小売価格も上がる。つまりインフレとなる。
  • こうした状況があるのは確かだが、米系メディアが敢えて報じるのは、インフレ方向へ誘導する意図があるから。
  • 日本でも、大量の給付金などがばら撒かれており、モノの値段が上がるなどインフレへと誘導されていく。
  • 日本では財政破綻も見えてきているが、破綻しないためには政府保有資産を大量に売る必要がある。
  • なので、資産バブルが起こされる。なので、資産バブルを起こすためにインフレ誘導しているのではないか。
  • インフレは始まっており、株価も上がっている。だが、経済実態はよくはないため「スタグフレーション」が起こる。
  • そこまで行くには、1年位はかかるだろうが、それまでに、次のステップに進むための資金を作ること。

やはり、インフレは既に始まっている。コンテナ運賃は、過去最高値圏で推移しているようだ。

さらに、米国西海岸ではコンテナ船から荷降ろし作業が遅延しているようで、多くのコンテナ船が何日も順番待ちを強いられているようだ。このため、中国→アメリカ行きのコンテナ船が、予定どおり戻って来れなくなっている。

回りまわって中国からアメリカへの商品出荷も滞り、商品不足でインフレが加速する。

3京円という桁違いにタブついたマネーとコンテナ輸送停滞によって、食料価格などからインフレ進行が始まっているようだ。

そして、インフレとQEの相性は悪い。

インフレすれば、それだけ国債利回り(金利)が上がるのが普通だが、QEが並行して行われると金利が上がらない不健全な状況になる。

実質的なインフレ率が、名目金利(米国債の金利)を超えているなら、実質金利はマイナスだ。カネを持っているだけだと損するので、消費や設備投資にカネがどんどん回っていく。

すると、物資不足感も相まってさらにインフレは加速するし、国債よりも株やビットコインへの投資が加速する。

この時点で「インフレしない限り」という前提は崩れており、現在、既にMMTはあり得ないと言える。

今後は、コロナ対策により世界中で経済が落ち込んでいるにも関わらず、コストプッシュ型インフレがどんどん進行する。

つまり「スタグフレーション」になる。各種報道から、原田武夫氏が従前から予測していた「スタグフレーション」が見えてきた。

日銀のQE(量的緩和)は「2%インフレ」を目標としており、インフレが2%を超えるとどうなるだろうか。

インフレは「金融引締(供給資金減、金利上げ)」によって収束させるのは定石であり、日銀はインフレが制御不能となる前に金融引締に転じる可能性は高い。

MMT論者でも「インフレしない限り」の条件により、QE(金融緩和)の継続は不可能と判断するだろう。

だが、金融引締にも問題がある。

そもそもQEとは、市場への資金供給により「2%インフレ」を狙ったものだが、日銀は金利上昇を招かないように、「資金供給」と「国債の大量購入」を同時に行って資金供給と低金利を両立している。

なので、QEを止めると金利が上がる。

金利上昇により、1200兆円もの国債の利払い困難に加え、国債価格下落による金利上昇スパイラルに陥る可能性もある。原田武夫氏の動画によると、財務省では6%までの金利上昇を予測しているようだ。政府は利払いのために大増税・社会保障削減という地獄未来図が予想される。

原田武夫氏の予測を踏まえると、この辺りで政府保有資産の売却が始まるようだ。トレードから手を引くなら、このタイミングだな。

金利上昇は企業の資金調達にも支障をきたすため、株価下落を招くが、株式市場へのQE砲は封じられているため株価は大暴落するからだ。

さらに、国債・株式ETFは日銀も大量保有しており、その下落は日銀のバランスシートを大きく棄損する。市中の銀行も自己資本比率維持のため、リスク資産が投げ売りされ暴落は加速する。こうして、金利高騰・インフレ・株価暴落はコントロール不能となる。

さらに日銀の財務悪化に伴い、通貨「円」に対する信認に疑念を持たれることになる。なお、日銀が円を刷って国債を償還することも可能だ。大半が円建て・国内消化なので、対外的な問題も生じない。

ただ、ハイパーインフレで、国民の預貯金や年金の価値が大幅に棄損するおそらく、国民の預貯金は預金封鎖され引き出せないままに、新円に切り替えるだろう。2024年にお札のデザインが変わるのは、まさかの新円切り替えか!?

ちなみに、苫米地英人氏は、2月19日のツイッターで「今のところは円ドルユーロ等が既にハイパーインフレ突入してるけどお互いの為替でそれが見えないだけ」として、既に本来は「ハイパーインフレ」との見解を示す。実質金利マイナスというのも頷ける。

国際金融資本が作った「中央銀行制度」は、国から通貨発行権を奪った。

日本では一万円札の原価は25円。この25円の一万円札を政府が受け取るのに一万円の国債が必要。さらに、国債には利息つく。

国際金融資本が作り出したこのシステムは、「利息」として国の富を吸い上げることに成功した。だが、このシステムの制度疲労は末期的。カネの流れは、人類がコントロール可能な範囲を超えつつある。


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