ニューヨーク市場は、9日に史上最大の下げ幅の暴落をしたところだが、12日も再び下げ幅を更新した。下げ幅が大きいのは史上最大のバブルなので当たり前なんだが、何か金融危機感が出てきたな!
今回の暴落の原因は、同日トランプが発表した、ヨーロッパ(イギリス除く)からの入国制限が原因のようだ。
トランプは2月に中国からの入国制限を実施したが、今回の欧州からの入国制限が米国経済に与える影響はその比ではない。
中国からの入国制限は主に観光部門の減少だが、アメリカ企業とヨーロッパ企業は互いの行き来が多く、ヨーロッパからの入国制限がアメリカ経済に及ぼす影響は相当大きい。
ということで、混乱は既に始まっているようだ。以下は朝日新聞から
トランプ米大統領が、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に欧州から米国への入国を制限すると発表したことで、パリ郊外のシャルル・ドゴール空港では12日、旅程を土壇場でキャンセルする人や入国制限が始まる前に帰ろうとする人で混乱した。
医療機関で働くフランス人のカリーヌ・ビラさん(40)は12日、米ニューヨークへ60人の団体旅行で旅立つはずだった。だが、搭乗45分前になって、旅行会社から「エールフランスの帰国便は運航されなくなるだろう」と告げられた。
米国で入国制限措置が始まるのは米東部時間で13日午後11時59分。それまでに着けるはずだったが、旅行会社は「入国できたとしても、現地で14日間の隔離を求められる可能性がある」と警告。旅程は6日間。ビラさんは「隔離のためにニューヨークに行っても意味がない」としてキャンセルした。飛行機は予定通り出発。ツアー費用の1200ユーロ(約14万円)が返金されるかはわからないという。
以下略
あわわ、搭乗45分前に「片道切符だぜ」って…そんなこと言われても、泣くしかないな。しかも、6日間の旅行日程で14日の隔離を求められるとか。隔離されに行くんですかってことか。
しかも、アメリカでも新型コロナの感染が広がっているが、アメリカ人は無保険者多いので、世界最大の消費地が壊滅的になる恐れもあるんだよな。
この発表に端を発した昨夜のニューヨーク市場の下げにより、本日の日経も1128円安という怒濤の展開だ…ったんだが、午場になるとすごい勢いで値を戻していった。
最安値から約1000円戻す展開で、日銀かGPIF(年金積立金法人)か分からないが明らかに介入していたと思うのだが。
だが、日経平均先物は15時15分まで場が開いているんだが、株式市場クローズ後の15分で本日安値に迫るところまで急降下だぞ…。介入上げ分は瞬殺だ。外資の売り場を作っただけとすれば、国益を損ねる行為でしかない。
そもそも、リーマンショック後に10000円を割り込んで久しかった日経は、民主から自民への政権交代した辺りから上げフェーズに入った。だが、それは日銀・年金のカネを投入して23000円まで釣り上げただけだった。
アベノミクスとは、日銀のカネ(=国民の富)を投入しただけで経済政策ではなかった。
さて、23000円まで吊り上げる過程で、日銀のETF購入の損益分岐点は19500円まで上がった。現在の相場が17000円を割り込んでいることを踏まえると、すでに相当な含み損を抱えていることになる。
さらに、GPIF分の損失もある。この損失は最終的には税金と将来の年金額が負担する。つまり国民が負うことになる。
日銀・年金のカネを市場に投入して押し上げる、買うだけで儲かる相場を演出することで外資マネーを呼び込み、値上がりがピークとなったところで外資マネーは撤退した。撤退戦の最中も日銀からカネが投入されるので、どんどん外資にカネが流れていく。
アベノミクスの結果として高値株価を演出していたが、その原資は国民負担で政権維持に使っていたほか、外資に流していたという構図だ。
いやー、アベノミクスとは「市場を通じて軍産・国際金融資本勢力に直接的に貢ぐ政策」というのが判明してしまったな。
それにしても、ニューヨーク市場・東京市場が大暴落と言うのに、有事の円高になってないのが心配だ。オリンピックの中止・延期による日本売りなのか。既に円は安全通貨でないのか。
さて、株式市場の動きに興奮しすぎてしまったが、実は金融危機の引き金となる見逃せないニュースがもう一つ出てきた。
ドイツ銀、償還可能な債券の返済オプション行使せず 市場混乱が影響
[ロンドン/フランクフルト 11日 ロイター] – ドイツ銀行(DBKGn.DE)は、来月末に償還可能になる債券の返済オプションを行使しない方針。新型コロナウイルス感染拡大を背景とする最近の市場の混乱を受けた決定で、他の銀行が追随する可能性がある。
ドイツ銀が返済を見送るのは総額12億5000万ドルのAT1債(その他ティア1債)。AT1債は偶発転換社債(CoCo債)の一種で、銀行が発行する債券としては最もリスクが高い。償還期限がない永久債と同等に扱われるが、償還可能日を迎えれば返済できる。
ドイツ銀のAT1債は4月30日に償還可能日を迎える。
AT1債は、発行体の銀行の財務が悪化した場合、公的資金で救済するのではなく、債券の保有者が損失を被るよう設計されており、2008年の金融危機後に出回るようになった。
AT1債を発行する銀行はこれまで、償還可能日を迎えてからすぐに返済するのが通例だった。ただ、例外的なケースもあり、スペインの銀行サンタンデール(SAN.MC)は昨年、返済を遅らせた。
欧州企業の社債販売を担当する銀行関係者は「市場の混乱でAT1の発行体が償還を見送るとの見方が強まった」と指摘。償還を見送るほうが大幅にコストが低いと説明した。
凄く大きなニュースなのにあまり広まってない。金融崩壊と言うか、世界経済の終焉と言うか…の原因となる可能性があるのにな。
さて、ドイツ銀行については以前にも金融崩壊の引き金を引く可能性があるとして紹介した。
ドイツ銀行のCDSが8000兆円!?これが欧州経済崩壊の引き金か!?
ドイツ銀行は、CDSという債券の破綻を補償する保険を大量発行している。どっかの社債などが破綻した場合に損失を補償しますよ、という債券だ。
だが、ドイツ銀行はCDS以外にも様々なデリバティブを発行しており、今回はドイツ銀行の懸念が現実にはじまった形となった。
とりあえず、このニュースには専門用語がいっぱい書いてあって、何がどうなってるのかよく分からないので、解読してみよう。
記事にある「AT1債」とは、偶発転換社債とかCoCo債と言われる、高リスク高利率な債券だ。
発行体の財務が悪化した場合、債券の保有者が損失を被るというのは、例えばこんなことだ。
ドイツ銀行が大量にCDSを発行しているが、コロナショックで債券破綻が続出すれば、その保証のためにドイツ銀行自体の経営状態が悪化してデフォルトする。そうなった場合、AT1債の支払の優先順位は低いため、この債券は紙切れとなり投資家が損失を被るということ。その分金利は高く設定されている。
なお、一部では「デフォルト」と騒がれているが、実際のところはデフォルトではない。
そもそもCoCo債には「支払期限(=この日までに返さなければならない)」の設定はなく、「この日以降に返せます」という設定になっている。
投資家が損失リスク覚悟で銀行にカネを貸しているのに、銀行が安く資金調達できたなどの理由で早期に償還してしまうと、期待していた高金利が得られなくなってしまうからだ。
銀行有利な債券なので、その部分は投資家に有利に作られているんだな。
ということで、現状を正確に言うと、これまでは償還可能となった日に債券を償還(借金を返済)するのが慣例だったのだが、今回は償還可能となった日に償還せず、利息を払い続けるだけのことだ。
記事の最後に「償還を見送る方が大幅にコストが低い」とあることから、償還のカネを調達する金利よりも、CoCo債の金利を払う方が低いということだ。なので、ファイナンス面からは償還しない方が合理的と言える。
だから、デフォルトではない。
問題の本質は、ドイツ銀行が資金調達する際の金利が上昇しているというところなのだ。
世界的に超低金利なのにドイツ銀行が資金調達する時には、過去よりも高い金利が必要となるのは、ドイツ銀行の信用低下を意味する。
なので、償還期限に償還しない=ドイツ銀行の信用が無い事を宣言している。
つまり、1250億円程度のCoCo債の償還ができないドイツ銀行ってヤバくない?ということになる。
ドイツ銀行の信用低下で、もうドイツ銀行に資金融通する金融機関はない。全面デフォルトは時間の問題。
そして、日本を含む多くの金融機関がドイツ銀行の発行するこの手の債券を保有している。特に以前から警告しているCLOなんかも大量にあるぞ!
新型コロナ 東京五輪中止で実体経済崩壊からの金融崩壊の兆し!
金融危機の引き金が多すぎるのと、中銀の余力が全く無いのとで金融崩壊待ったなしだ。
そういえば、以前に原田武夫氏が「イギリスが何が何でもEUを抜けたがっているのは、何か感づいているのではないか」と述べていた動画があった。
まさか、このドイツ銀行デフォルトからのEU崩壊に巻き込まれたくないからとか…?
最後まで読んでくれてありがとう!