ドルや円などの通貨は、その価値の源泉は「信用」であり何かとの交換を保証しない「不換紙幣」だ。
一方で、金(ゴールド)は”価値その物”は下がらない。さらに金(ゴールド)は、電子基盤のプリント配線など工業的にも利用されているほか、宝飾品としても極めて重要な金属だ。
なお、ダイヤモンドでもいいような気もするが、ダイヤは昔からカルテルを組み、余った物を海洋投棄するなどして価値を保ってきたものだ。
さらに、現在の技術では天然ダイヤと全く同じ人工ダイヤを作ることが出来る。人工ダイヤは安価かつ無尽蔵に提供される。
つまり、価値の保存機能を持つ貴金属はゴールドしかない。
こうしたことを踏まえて市場を見ると、今週は東京株式市場、ニューヨーク株式市場ともに先週までの断続的なガラとは打って変わって、歴史的な大暴騰となった。
新型コロナの感染は拡大を続けており、世界中でハイレベルなロックダウンが実施されるなど、実体経済へのダメージは大きくなる一方だ。
アメリカでは、首都ワシントンD.C.やニューヨークはじめ22州/50州でロックダウンされ自宅待機などの制限が科されており、その影響は2億人超(人口の6割移譲)に及ぶ。
特にニューヨークのロックダウンは強烈で、事業者に「全従業員の出勤禁止措置」が義務付けられ、違反した場合は罰金や強制閉店など厳しい罰則を伴うものだ。
イタリアやフランス、イギリスはじめヨーロッパ全土で感染が拡大しており、不要不急な外出や営業が罰金付きで禁止されるなど、かなり厳しいロックダウンが実施されている。
この1、2週間で世界中で外出禁止令が出されたほか、事業者の営業活動禁止により失業者が急増するなど、実体経済に急ブレーキがかかっている。
このままでは、多くの企業が1ヶ月も持ちこたえられずに倒産し、さらに失業者が急増する。
共産党による強権を発動できた中国では、1ヶ月半程度の都市閉鎖で感染拡大を抑え込み、経済活動を再開した(公式発表による)。
アメリカやヨーロッパでは、3週間~1ヶ月程度の都市閉鎖が多いようだ。
中国よりも随分と短いが、果たして感染は抑え込めるだろうか。また、封鎖している間に欧米の実体経済はどんどん破綻が進む。
こうしたことを踏まえると、先週の株価暴落はいたって当然だ。さらに、3月27日(金)のニューヨーク株式市場では、トランプの220兆円オーダーの経済対策が発表されたにも関わらず、900ドル超の暴落となった。
元々、欧米にはまともに資金を調達できず、ハイリスクなレバレッジドローンやコベナンツライトローン、社債発行などで生き延びてきたゾンビ企業が多かった。
超低金利下で、何とか生き残ってきた数多くのゾンビ中小企業が、コロナにより経済活動が停止するなかで次々と倒産し、それら企業に係るCLO(ローン担保証券)や社債も連鎖的に破綻する可能性が高く、金融危機が発生する懸念こそあれど株価が反騰する材料など存在しない。
おそらく、日本だけでなく世界中で1~3月期の業績下方修正や無配が相次ぐ。決算発表で来季の見込みが公表された時の株価はいくらまで下がっているのかわからない。
トランプの220兆円の経済対策では手も足も出ない。
ではなぜ大反騰が演出されたのだろうか。
その前に、元キャリア外交官原田武夫氏の以下の動画の2分辺りからの根源的階層(王侯貴族)の話を聞いて欲しい。
いわゆる、根源的階層(王侯貴族)と言われる「国体勢力」に相対する「政体勢力」が金融市場において巻き返しを図っているのではないだろうか。
国際金融資本・軍産エスタブ勢力は、本来ならば、最重要ポジションの債券を全力買いで支えると思っていたが、予想以上に株式市場に資金を注いできたということだ。
この資金は、日銀のETF買い12兆円だけではなく、日銀がQEで産み出した資金が株式市場に流入し、さらに外資系ファンド勢なども乗っかって暴騰が演出されたのではなかろうか。
先週は、株高だけでなく、通貨でもドル・円の強さが突出することもなく、さらに国債価格は上昇(=利回りは低下)し安定するなど、金融市場全体が落ち着きを取り戻した感があった。株は上下動が激しいが、相当な額のカネが市場に注入されたようだ。
以下は10年米国債の利回りの推移だ。3月20日頃から利回りが急激に低下(=国債価格は上昇)しているのが分かる。
さて、ここで思い出すのが、原田武夫氏がブログで語った「バブル」だ。
Beyond “Black Days” in the Market: What’s Next?
※ブログは英文です。
このブログエントリーの中で、原田武夫氏は以下のような予測を公表している(一部は上で紹介した動画と合わせた訳です)。
- 金融市場は急上昇し、令和バブルとも呼ぶべき最後のバブルとなる。
- 日経平均17500円は日銀の不可逆的な破綻と密接に関係(日銀はETFを大量に購入しているため)
- 2020年3月16日以降、日銀は「グラウンドゼロ」から株式市場を急上昇させ始め、日本は金融市場の「トップランナー」「最後の手段」となる。
- 米国とEUは「COVID-19」を活用して経済成長速度を低下させており、暫定的に注意を払う必要がある。
- 東京オリンピックは日本政府の様々な努力にも関わらずが正式に中止されるが、少なくとも中止が決定されるまでの2ヶ月間は東京市場の上昇は続く。
今週の株式市場を見ると、確かにバブリーな上昇を続けた。
オリンピックはひとまず「延期」となったが、いつに延期可能かも分からず、おじさん的には中止となる可能性はかなり高いと思っている。
原田武夫氏によると、「延期も無理なので中止っす」とIOCが決めるまでに日本政府とのすったもんだで2ヶ月程度はかかり、それまでこの上昇は続くと予測しているようだ。一応今は来年7月に開催をする方向で検討しているようだが。
また、日本政府主導で株式市場爆上げを演出していることから、日本が「金融市場の崩壊を防ぐ最後のリーダー」と見なされるということか。
ちなみにだが、上昇幅が大きいと調整幅も大きいので、エントリータイミングには注意が必要だぞ。
ここで疑問が出てくる。以前の予測にあったような石油危機発のスタグフレーションは起こりそうにないが、株式市場への過剰な資金流入により、通貨の価値が崩壊する可能性があるのではないか?
オリンピック中止決定後に、過剰資金が流入した株式市場で大暴落となると、おそらく日銀QEで生まれた資金や年金資金などが消失することになるが、ゼロサムゲームであり軍産・国際金融資本勢力に流れることとなるのだろう。
だが、莫大な通貨が流れることで(発覚することで)、日本円の価値が棄損されインフレを招くのではなかろうか。いずれにせよ、そのころには日銀の自己資本もかなり棄損されているなど、ヤバい状況となっていることは容易に想像される。
日銀は、現時点で30兆円程度のETFを保有しているが、今でも20%の含み損で損失は6兆円となる。今後大幅な買い増しを行い50兆円となれば、20%でも10兆円の損失となる。日銀の資産は4兆円程度なので、ETFの評価だけで債務超過ラインに達する。
ここに、日本円の価値棄損による日本国債の大幅下落も加わる。円は先進国通貨なので無限に刷っても大丈夫的なMMT理論が正しくない限り、日本円は破綻(=デフォルト)する。
原田武夫氏は、かなり以前から日本のデフォルトを予測していたが、デフォルトまでの道のりも少しずつ明らかになりつつあるようだ。
いずれにせよ、現在の金融市場は債券市場も株式市場もそして金(ゴールド)市場も、もはや市場機能は喪失している。あるのは、日銀やFRB、ECBなどの中央銀行が、QE資金をどれだけ市場に注入したかだけだ。
原田武夫氏の日本バブルの予測の背景としては、オリンピックをやりたい日本が、日銀とその傘下の金融機関に命じて株式市場に資金を集中させてバブルを演出させるということがあるのだろう。
冒頭で通貨の対局に金(ゴールド)があることをお話ししたが、日銀やFRBは、金(ゴールド)を先物市場で売り込むことで価格を引き下げることで、通貨価値の棄損を防いでいると思われる。
株価暴落の中で金価格も大きく下げたが(今はほとんど戻した)、資金が金→ドルに流れたのか、世界の中銀が売り込んだか。
2ヶ月後のバブル崩壊では、株価大暴落、国債大暴落(=利回り急上昇)、日本円大暴落(=怒涛の円安)が起こるとともに金(ゴールド)価格急上昇となることが想定される。
そういえば、コロナであまり騒いでいないロシアと、コロナを克服した中国は金保有を増やしまくっているな。
また、原田武夫氏の言うように、米国とEUが「COVID-19」により故意に経済成長速度を低下させているとすれば・・・そして、これらの動きは「国体勢力」が意図したものとすれば・・・今後の世界の姿が少し見えてくるような気がするな。
最後まで読んでくれてありがとう!