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ウクライナ戦争の終結と中東戦争の開戦によって米ドルは崩壊する

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債務上限問題で揺れるアメリカだが、これはいつもの茶番劇のようで、あのサマーズ元財務長官は、債務上限問題でアメリカがデフォルトする確率は2~3%としている。

しかし、このロイター記事で気になるのは、サマーズ元財務長官が「向こう10年間に債務超過によりデフォルトに陥る可能性は、大きな戦争などが勃発しない限り2%以下にすぎない」とした部分だろう。

この点で気になるのは、「アメリカが世界で仕掛ける戦争の目的はドルの崩壊?」で紹介したように、アメリカは世界中で戦争を仕掛けることによって、ドルの基軸通貨性の崩壊を企図している可能性があることだろう。

この点については、ロシアへの金融制裁(SWIFT切断・ドル資金凍結)が、世界的なドル離れの原因となっていることを、あのロックフェラー・インターナショナル会長のルチル・シャルマ氏が指摘している。(銀行の信用収縮でマネーサプライ急減、ドル崩壊後の準備が始まる

現実に、BRICS諸国や関係国では相互通貨による直接取引などドル回避が顕著になっているほか、金や各種資源に裏付けられた金・資源本位通貨(BRIC)構想も打ち出されるなど、ウクライナ戦争(による制裁)を機に世界的な脱ドル傾向が強まっている。

ただ、ウクライナ戦争そのものは、そろそろ終わりが見え始めた感じだ。

先日より話題となった、米軍の機密文書(ペンタゴン・ペーパー)では、米軍はウクライナの反転攻勢が成功するなど微塵も思ってないことが記載されていたとか。

このほか、ドイツ・フランスの首脳もウクライナが勝てるとは考えていないようで、これらを報じたメディアが、ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナルと言った一流紙である点を踏まえても、既にウクライナの敗北は確定しており、戦争終結が見えていると言える。。

ただ、欧米勢は、ウクライナが勝てないと知りつつ「大攻勢」させたそうで、イギリスのTHE TIMES紙は、ウクライナに自殺行為のカミカゼアタックを求めている。

この記事のポイントは以下の2点だ。

  • ウクライナは一定の戦果を挙げているが、あくまで戦術レベルのものに留まっており、戦略的レベルでの勝利には結びついていない。
  • 欧米はウクライナが望んだ兵器類(戦車?)の98%を送り済みなので、航空支援は無いけど、ウクライナはやるしかない。

まとめると、「戦術レベルの勝利が精一杯のウクライナは、早く大攻勢に出て散ってこいや」となる。

また、FINANCIAL TIMES紙では、「Military briefing: Ukraine’s ‘high-risk’ bid to breach Russia’s fortified frontline(ミリタリーブリーフィング:ウクライナがロシアの要塞化された前線を突破する「高リスク」な試み)」で、ウクライナ軍の攻勢がいかに困難かが報じられている。

FT紙曰く・・

  • 戦力はウクライナ軍35000人 vs ロシア軍140000人
  • ロシアは地雷原と、戦車部隊の動きを鈍らせるコンクリートボラード(竜の歯)や地雷原、塹壕や対戦車溝などで構築された防御陣地を築き上げている。
  • 一方のウクライナ軍は、西側戦車で武装しているものの、制空権や航空支援が無き戦車陣はロシア戦闘機の前に戦車が潰されていく可能性が高い
  • さらに、今回の攻勢では大軍による有機的な連携が必要だが、ウクライナ軍はそのような実戦経験がない上に、ウクライナ軍は推定で12万人の死傷者を出すなど、経験豊富な兵士を大量に失っており、反攻作戦は目標を「大幅に下回る」可能性がある。
  • しかし、ウクライナ軍ならやれるかもしれん。

・・とのことで、「基本的な戦力差含めて絶望的やけど、ワンチャンあるかもしれんから頑張ってこい」との論調だ。

日本では、ウクライナの大攻勢が大成功しそうな報道が目立つが、欧米勢は誰も成功するとは思っていないようだ。

こうした報道からは、コトは「ウクライナをどう勝たせるか」ではなく「戦争をどう終わらせるか」になっており、欧米勢はウクライナ軍壊滅による強制終了を目論んでいる・・と考えてよさそうだ。

ウクライナ戦争の真のターゲットはEU ユーロは崩壊へ」や「メドベージェフ元大統領は欧州分裂からの第三次世界大戦を予測する」等で紹介したように、この戦争のメインターゲットはEU(=ドイツ第四帝国)である点を踏まえ、欧州勢も戦争を終わらせたい・・という本音もあると思われる。

だが、さすがに・・

ムゴい

・・と思ったのだろうか。

中国の習近平国家主席がウクライナのゼレンスキー大統領と1時間も電話会談するなど、仲裁に動き始めたことが報じられているが、これに関して興味深い情報が出ている。

この情報のポイントは、以下の2点だろう。

  • 電話会談について、ウクライナ(ゼレンスキー大統領)から中国(習近平国家主席)にアプローチされたもので、中国側からの働きかけではない。
  • 会談で、ゼレンスキー大統領はウクライナ語ではなくロシア語を使用していた。

ここから見えてくるのは、「ゼレンスキー大統領はロシアのスパイ説を考える」で紹介したように、ゼレンスキー大統領自身が実はロシアと繋がっている可能性だ。

つまり、戦争終結の決定権を握る戦略的に優勢なロシア・プーチン大統領からゼレンスキー大統領に対して、「そろそろ中国に和平仲裁を頼んどき」との働きかけがあったことを伺わせるものだ。

欧米勢と異なり、ロシア・中国陣営は和平交渉によって戦争終結を指向していることが伺え、中国がロシアに兵器支援してこなかったのは、仲裁役になるための伏線だったと言えよう。

このように、ウクライナ戦争は・・

  1. ウクライナ軍がロシア軍に大反抗を仕掛けて壊滅して終結
  2. 習近平による仲裁が成功して終結

・・のどちらかのパターンで終結しそうな感じになっている。どちらで決着がつくかは不明だが、いずれにしても終わりは近そうだ。

ちなみに、真偽は不明だが、ゼレンスキー大統領は戻りたくない・・と思いつつ、オランダに向かったとか。

まさか、このまま亡命・・は無いとは思うが、いずれにせよウクライナ戦争の終わりは近そうだ。

しかしながら、中東では急速にキナ臭さくなっている。

このところの中東情勢は、「アメリカが世界で仕掛ける戦争の目的はドルの崩壊?」で紹介したように・・

  • シリアではイラン支援を受けた民兵組織(ヒズボラ)が駐留米軍にロケット弾発射
  • これまで親米vs反米で分裂していた中東諸国は、中国の仲裁でまとまった。
  • 中東は非米(反米)で一本化され、中東覇権はアメリカから中国・ロシア陣営へと移行
  • イスラエルでは、モサドの協力で極右ベングヴィール氏の意のままに動く民兵組織の創設が決定
  • イスラエルは、ヨルダン川西岸地域を完全にイスラエルに併合する方向に動き始めた??

・・と急速に緊張が高まっている。

こうした中で、アメリカ vs イランという緊張の芽が生まれ始めているようで、クウェート石油を積んでアメリカ・ヒューストンに向かう米シェブロン社が調達したタンカーを、イランが公海上で拿捕したことが報じられている。

アメリカ海軍さんは「ざけんな!公海上は国際法違反やぞ!」と非難しているようだが、共同の記事にあるように、このタンカーはイラン船籍の船に「当て逃げ」し、さらにイラン当局の停止命令にも従わなかったため拿捕に問題は無さそう・・と言うよりは、拿捕は当然だ。

アメリカ海軍が騒いだのは「身に覚えがある」からのようで、イラン原油を積んで中国に向かったギリシャ船籍のタンカーが米軍に拿捕されて、アメリカに向かわされたことが報じられている。

アメリカ軍による(公的な?)海賊行為だが、どうやらイラン制裁の一環として行われているもののようだ。一歩間違えば戦争待ったなしの制裁行為を平然とやれるのが覇権国たる所以なのだろう。

まあ、このところの「覇権」は揺らぎっぱなしだが。

この件について、アメリカのThe Cradleからは、アメリカの超党派議員団がバイデン大統領に「国土安全保障省の国土安全保障調査局(HIS)に、イランの石油・ガスをもっともっと差し押さえさせーや」と要請たことが報じられている。

超党派議員団曰く、この海賊行為は・・

  1. アメリカとその同盟国の安全につながる
  2. テロの犠牲者を救済するための資金になる
  3. アメリカが効率的に儲かるのにやらないのは容認できん

・・という一石三鳥なので、「もっとやれ」とのことだ。本音は④中東戦争・・なのかもしれん。

なお、HIS(国土安全保障調査局)とは、2019年に設立された機関で、これまでに約2億3000万ドルのイラン産原油・ガスを略奪してきたんだとか。

イラン制裁強化とアメリカの儲けを兼ねた良策という認識のようだが、2019年からアメリカに原油・ガスをカツアゲされ続けてきたイランは、拿捕返しによってアメリカに反抗し始めた・・という点を踏まえると、中東におけるアメリカ覇権の衰退を案じずにはいられない。

また、イランの反抗行為については、ホルムズ海峡においてSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を搭載したアメリカの原子力潜水艦を、イラン海軍が海面に強制浮上させたことが報じらている。

アメリカ軍は否定しているものの、わざわざブルームバーグが報じたことを踏まえると、おそらく実際にあったのだろう。

探知されにくいSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)搭載の潜水艦を敵国周辺海域に配備するのは、覇権国の特権としての牽制(脅迫?)行為だが、イランは公然とノーを突き付けたと言える。

さらにもう少し前には、ペルシャ湾内で活動中の米海軍の戦艦に、イラン革命防衛隊の船が接近していたことをロイターが報じている。

こうした中で、中東に展開するアメリカ軍は、イラン抑止を目的に、中東に派遣したA-10攻撃機に「バンカーバスター」を搭載するとか。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、バンカーバスターを導入したのは、アメリカ軍が(出てけと言われても絶対に出ていかない)イラクやシリアにおいて、イラン支援を受けた民兵集団から繰り返し攻撃を受けているため、そのゲリラの弾薬庫や地下基地を破壊するためとのことだ。

ちなみに、バンカーバスターとはコンクリート等の遮蔽物を貫通して爆発する「地中貫通爆弾」のことで、アメリカ軍が湾岸戦争時に地下に設置されたイラク軍司令部を直接叩くために開発したものだ。

その貫通性能だが・・

GBU-28は、トノパテストレンジ(ネバダ州、アメリカ合衆国エネルギー省が兵器開発のために設立した大規模試験施設)で評価された。その結果、地表から30m、あるいは鉄筋コンクリートを6m貫通できることが確認された。

Wikipedia GBU-28より抜粋)

・・という凄まじいもので、大抵の地下設備や山岳地帯のゲリラはこれでKOされる。

なお、このバンカーバスターはレーザー誘導による精密爆撃が可能なので、連発して落とせば、どんな堅固な地下施設も破壊されるだろう。

この「バンカーバスター」を対イランを想定して、アメリカ軍は中東に配備した・・ということになる。

ただ、バンカーバスターは、主に地下施設の破壊を目的とする兵器なので、イランが保有する地下核研究施設なども破壊することが可能だ。

・・・と言うことで、アメリカはイランと一戦交える可能性が高まってきている。

ただ、アメリカでは、マッカーシー下院議長(共和党)が、バイデン大統領にイスラエルのネタニヤフ首相の訪米を呼びかけるなどイスラエルとの関係性強化に動き出しており、イスラエルを巻き込んでイラン vs イスラエルの中東戦争への拡大を企図している可能性が高い。

マッカーシー下院議長は、「バイデンじぃが呼ばんのならワシが呼ぶ」という強硬ぶりだし、マッカーシー下院議長始めとするイスラエル支持の超党派連合は、「ワシら何があってもイスラエルを支持・支援するで」と、何としてもイスラエルとの関係強化を図りたそう。

客観的に見れば、アメリカの中東覇権喪失&親米アラブ諸国の非米・反米化となれば、イスラエルは中東諸国(特にイラン)との関係改善が必要と思われるが・・イスラエルは、アメリカに中東戦争をやらされそうな感じになっている。

一応確認すると、仇敵同士と言われるイランとイスラエルだが、実はこの二か国は直接戦争をしたことは無い。

紀元前597年にユダヤ人が新バビロニアに国を滅ぼされて強制移住させられた(バビロン捕囚)が、紀元前538年に、アケメネス朝ペルシャのキュロス2世が新バビロニアを滅ぼし、ユダヤ人達は帰還を許された・・との歴史から、ユダヤ人はペルシャ人(=イラン人)に恩義を感じている面もあり、一般ユダヤ人の感覚として「イラン人憎し」は無いと言われる。

なので、イラン vs イスラエルの中東戦争は「起こりそうで起こらない戦争」と言えるが、アメリカのイラン挑発(海賊行為)やバンカーバスター、イスラエル極右の民兵組織を踏まえると、アメリカ vs イランの戦争にイスラエルが巻き込まれることが想定される。

ここで気になるのが、「4回目ワクチン接種に見るイスラエルの役割とアルバートパイクの計画」で紹介した「アルバート・パイクの予言」だ。

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イスラエル

フリーメイソンのエライ人で「メイソンの黒い教皇」の異名を持つアルバート・パイクは、世界統一政府の樹立のための三度の世界戦争を含む計画(=アルバート・パイクの予言)を策定しており、第一次・第二次世界大戦はこの計画に沿っていたことは、以前に紹介したとおりだ。

教科書が絶対に教えない 闇の世界史(ウィリアム・G・カー 著)

そんなアルバート・パイクが計画する第三次世界大戦は・・

  • 第三次世界大戦は、イルミナティ・エージェントがシオニストとアラブ人指導者との間に対立を引き起こすことで誘発される。
  • さらに、この戦争は多くの国々が巻き込まれ、経済的にも疲労困憊となる。
  • その後、世界の完全支配を目的とした未曾有の社会変革が起こる。

・・と言うもので、中東アラブ諸国 vs イスラエルの中東戦争に欧米諸国が参戦して第三次世界大戦となり、経済・金融システムが全面崩壊して社会変革する(=世界統一政府・世界統一通貨)ことになるようだ。

ここで気になるのが・・

シオニストとアラブ人指導者との間に対立を引き起こすことで誘発

・・の部分だ。

実は、敵役を演じるイランは「ペルシャ人」国家であって「アラブ人」国家ではないため、イランが頑張ってもアラブ人が付いてくるかは微妙なところだ。

また、サウジやUAE始めとする中東のアラブ国家の多くは、歴史継承や民族自決による国家ではなく、第一次世界大戦中のサイクス・ピコ協定(英仏のオスマン帝国分割の秘密協定)等によって誕生した人工国家なので、「アラブ人指導者」となるほどのカリスマは無い。

では何処の国が「アラブ人指導者」なのか・・については、イランと”元”親米中東諸国が関係改善すると共に、BRICS諸国との結束を深めている点が気になる。

アメリカのThe Cradleによると、イランに加えて、サウジアラビア、UAE、アルジェリア、エジプト、バーレーンと言った”元”親米中東諸国が、BRICSへの参加を正式に要請したとのこと。

こうなってくると、中国の仲裁によってイランと関係改善した”元”親米中東諸国とイランが連合して「アラブ人指導者」となることは充分にあり得る事態になってきた。

つまり・・

  1. イラン vs アメリカ開戦
  2. イスラエル、アメリカに巻き込まれる
  3. EU諸国、アメリカに巻き込まれる
  4. BRICS陣営の”元”親米中東諸国が参戦
  5. ロシア・中国、イラン・中東勢を支援(参戦?)
  6. 第三次世界へ

・・となっていきそうだ。

なお、先のThe Cradleの記事によると、BRICS 加盟国は世界の人口の40%以上と、GDPの25%を占めているほか、世界経済の成長率への寄与度については、2028年に、G7は世界経済の27.8%に留まるものの、BRICSは35%になると予想されているとか。

この経済力・資源の独占を背景に、BRICSでは開発を進める「新通貨(BRIC)」を6月開催予定のBRICSサミットで発表する予定で、これは「ロシアの金・資源本位通貨は新世界秩序に向けたグレートリセット」で紹介した、金や資源に裏付けられた通貨となる予定だ。

並行して、ドル金利上昇やドルの金融兵器化によって、多くの国々がドル離れを進める中での「金・資源本位通貨」の誕生によって、「銀行の信用収縮でマネーサプライ急減、ドル崩壊後の準備が始まる」で紹介したように、逆グレシャムの法則(=良貨は悪貨を駆逐)が発動してドルは駆逐されていくことになる。

さらに、中東戦争となれば、中東産油国(&ロシア)は親アメリカ・親イスラエル国家への石油禁輸措置や、石油はドルでは売らないという「逆ペトロダラー」を発動する可能性が高いため、欧米G7勢は戦争+エネルギー危機とドルの基軸通貨性の崩壊に直面することになる。

そうなると、アルバート・パイクが目論んだように、ドル中心の経済・金融システムが全面崩壊して社会は大きく変革(=グレートリセット)して、世界統一通貨・世界統一政府が誕生することになるかもしれない。

そういえば、あの泣く子も黙るゴールドマン・サックスさんは、生産能力不足による供給問題が2024年に深刻化すると予測しており、ロシア原油の供給減少と中国の経済回復によって需供バランスが崩れるため、原油価格は今年100ドルを超えて上昇を続けるとする、

この記事が出たのは2月6日だが、今のところのWTI原油チャート(日足)を見てみると・・

20230505WTI原油日足チャート

・・2月上旬からは思ったより上がっておらず、むしろハメコミ下げの様相となっている。

さすが、ハメコミのゴールドマン・・・。

ただ、以前にも紹介したように、国際金融資本のエライ人達は、金・資源本位制への回帰に向けて実際のブツ(資源とか工場とか農地とかの実際に価値を生み出すモノ)を仕込みまくっている。

こうした国際金融資本の動きや、大いなる上げの前には大いなる下げがあることを踏まえると、中東戦争からの石油禁輸+逆ペトロダラーによる原油価格爆上げはありそうだ。

なお、中東戦争への道と並行して、アメリカ国内ではいよいよ金融市場が危機的状況になりつつある。

現在、アメリカで起こっている地銀破綻の規模が端的に分かる図がこれ。

リーマンショックの2008年には毎日どこかで地銀が破綻していたが、影響が大きかったのはワシントンミューチュアル銀行くらいで、あとは小粒銀行ばかりだったことが分かる。

なお、ワシントンミューチュアル銀行はJPモルガンが買取済みだ。

金融危機を利用してさらに儲けていく

一方で、2023年に破綻したシグネチャー銀行・シリコンバレー銀行・ファーストリパブリック銀行の3行は、米地銀界の四天王クラスであり、その四天王が続々と破綻している状況は、2008年の上を行っているのは間違いない。

なお、この危機はまだまだ続きそうであり、FRB・パウエル議長やJPモルガン・ダイモンCEOが「銀行は大丈夫やで、もう安心やで」と言った翌日から、PacWest、Western Alliance、Zionsといった大手地銀勢の株価が急落し始めている。

パックウェストさんは身売りが報じられているほか、ウェスタン・アライアンスさんは火消しに躍起になっている。

いやはや、何ともキナ臭い事態になってきた。

そういえば、「FRBがドル安に動き出したことで見えてきた金融危機」では、大幅利下げを予測するゼロヘッジさんの記事を紹介した。

2022年12月の記事になるが、長期的アノマリーや10年債・2年債の逆イールドを踏まえると、次のリセッションで期待される利下げ幅は、ゼロ金利に至る程の大幅利下げ(=500bp)になりそうなので、次のリセッションは金融崩壊級の壮絶な金融危機になることが予測されている。

また、これまでに何度か紹介しているように、ノーベル賞経済学者ミルトン・フリードマンは、経済を規定するのは「需給」ではなく「貨幣の数量」として、中央銀行によるマネーサプライ減少が歴史的な金融危機の原因となっていることを指摘している。

日本人だけが知らない戦争論(苫米地英人 著)

何か、この通りの展開になってきた・・。

なお、これら銀行危機を受けて、アメリカ人の約半数が銀行預金に懸念・不安を抱いていることが報じられている。

一般大衆に「信用不安」が伝染しているワケだが・・ここで気になるのは、「中央銀行による金融支配の終わりが近い!?」で紹介した、リーマンショックの引き金となったサブプライム証券が破綻した理由だ。

サブプライムローン自体はハイリスクだったが、サブプライム「証券」は10000本くらいのローン債券がまとめられており、さらに証券のプレミアムも高かったため、買った人が元本割れする確率はほとんど無く、確率論的には安全(AAA格付け)だった。

ところが、メディアが「サブプラローンってのは、低所得者を騙して高金利を負わせる危険なローン」と報じたことによって、サブプラ証券大暴落→証券を担保にしてたヘッジファンド死亡→リーマンも死亡→リーマン関連のデリバティブ崩壊→金融危機となった。

と言うことで、理論上は安全(AAA格付)な証券であっても、大衆のパニック売りには勝てない。

そして、アメリカ人の半分は銀行預金に不安を抱いているとなれば、銀行預金流出による破綻劇はまだまだ続くだろう。

こうした中で、アメリカが対イラン戦争→中東戦争→第三次世界大戦に踏み切れば、ドルの崩壊も現実になりそうだ。


最後まで読んでくれてありがとう!