ドルの崩壊

日経平均1202円安 しかし、これが日本バブルの始まりか

ドルの崩壊

2月26日(金)の日経平均株価が、驚愕の1202円安!終値は30000円台を余裕で割り込む2万8966円となった。

本日の下落幅1202円は歴代10位とか。ここまで下がったのは、直近だと2016年6月24日の「まさかのブレグジット決定」以来だ。

また、日銀も久しぶりにETF購入に走った。

最近の株価堅調地合いを受け、日銀では「0.5%以上下落したらETF買いルール」を発動しておらず、いよいよテーパリングかと思っていたが・・さすがに本日はETF買いに動いた。

とは言え、1年前のコロナショック直後の2000億円/日のオーダーには遥かに及ばない501億円だったが。

案の定、全く売りは止まらず1202円安というハイスコアに至った。

今回の決定的な下げ材料は、昨夜出てきたアメリカ長期金利の急騰だった。ただ、日経平均株価は今週頭からちょいちょい下げており、短期のトレンド転換や調整を予感させていたが。

アメリカ長期金利の利回りは、1年ぶりの水準(1.6%)に急騰した。以下は10年米国債金利のチャートだ。

20210226US10Y

上昇の傾きがキツイ。東京タイムには1.4%台後半に落ちてきているものの、依然としてかなりの高水準だ。

S&P500の利回りが1.5%程度なので、資金が株式→債券へと逆ローテする思惑に加え、週末・月末のポジション調整売りも重なって下げが加速する悪循環により、大幅安となったというワケだな。

金利上昇には、堅調な景気によるインフレに起因するもの(良い金利上昇)と、財政悪化による国債発行増加など信用悪化によるもの(悪い金利上昇)とある。

アメリカ当局は金融引き締めに動くつもりは無いようだが、この1ヶ月間の金利が上昇傾向にあることを踏まえると、市場は2~3兆ドルと言われるコロナ対策(財源は国債)による金利上昇を見込んでいるようだ。

潤沢な資金投入による「景気回復期待」と、QEによる国債発行激増による「インフレ懸念」が同時に存在しており、「良い金利上昇」と「悪い金利上昇」の綱引きの中で金利上昇圧力はしばらく続きそうだ。金利上昇が落ち着くまでは波乱含みの展開となりそう。

さて、日本の株式市場を見て見よう。

今日の1200円下げには、市場参加者全員がビビっただろう。このビビりが伝染・拡大するならば、金曜日の下げは初動に過ぎず、週明けにはブラマン展開の可能性もある。

1年前のコロナショックやリーマン時の動きを思い起こすと、1日で終わるクラッシュなど無かった。今日の下げが初動だとすれば、思った以上の壊滅的な下げがあるかも。

20210226NIKKEI

で、このチャートの右端の一本グソの如く垂れているローソクが本日の下げだ。1月高値圏(29000円)のレジラインがサポートになって止まっているように見える。下げが続くなら、このラインを割り込んでくるかも。

ただ、先週末くらいから短期下落トレンドに転換しつつある。この下落トレンドの中のゲキ落ちは、一般的に「セリクラ」とも考えられる。であるなら、売りのピークは過ぎたようにも思える。

また、個人的に今日の下落はあまり下がっていない・・と言うか、おじさんポジションはちょい下げ程度。ほぼ無風だ。1200円もの下げがあったとは思えない。

下落した株を見ると、日経平均に連動する「値がさ株」がガンガン下がっている。

ソフトバンク(9984)は、午前中こそボチボチだったが、午後に入って下げ幅は急拡大し△4.5%と大幅安だ。ファーストリテイリング(9983)や東京エレクトロン(8035)も似たような動き。あとは、半導体関連か。

コロナとか無関係に上がってた大型株が急落しただけで、出遅れ株を中心にそれほど下がっていない。ソフトバンクとか最安値から4倍くらになってるし、むしろ5%くらい下げて当然の展開と言ってもいい。

日経平均構成銘柄の上位10銘柄で30%ぐらい動くし、こうした日銀ETF資金の恩恵をモロに受ける銘柄を中心に下げただけ。そして、こうした銘柄を多く保有する機関投資家も、月末のポジ整理で下げが加速した・・というのが本日の状況か。

となると、この下げは一時的なものっぽいな。

そもそも、日本でもアメリカでも、中央銀行がQEにより莫大な資金を市場に提供している。QEとは中央銀行が国債をガンガン買入れて金利を抑えていくものだ。今のところ、国債発行過多によるインフレ懸念は中央銀行の一存でどうにでもなる。

つまり、今回の下げの原因となった金利上昇は、株式市場を下げるために「敢えて引き起こされた」可能性も考えられる。

その理由として考えらえるのは、真の日本バブル演出だ。

市場のカネ余りは続くしカネの規模も大きくなる一方で、ブル相場はまだまだ続く。だが、日経平均が50000円に至るには、しっかりした調整が必要だ。

原田武夫氏によると、コロナの影響が相対的に少ない日本への資金が集中し、日本バブルが起こることは既に決められているとのこと(その後のデフォルトまでワンセット・・・)。

こうした日本バブルが起こる際には、大量の海外資金が流れて込んでくるので円高となることが想定される。

そう・・日本バブル実現には「株式市場の調整」と「円高」が必要なのだ。

アメリカの金利上昇が引き起こされて「株式市場の調整」は起こった。では円高はどうか。

実は、今回の米国金利上昇では、5年米国債がめちゃくちゃ売られている(=金利上昇)。

20210225US5Y

上の10年米国債チャートと比べると、金利上昇のペースが早い。メルトダウン待ったなしレベルだ。

5年米国債金利は、QEよりも政策金利見通しの影響が強い。「利上げは無いから売られても安心」と言われてきたものの、FRBによる利上げ前倒しが囁かれる中でめちゃくちゃ売られている。

この5年米国債について、先日ブルームバーグがこんな報道を出した。

この報道では、5年米国債利回りが0.75%に上昇すると、金融引き締めの可能性があるとしている。

一方で、アメリカ経済が成長しても「ドルが弱ければ金利が抑制される」ので、金融引き締めリスクに対応可能としている。

そう、「ドルが弱ければいい」としているのだ。

さらに、ブルームバーグの報道は続く。

この記事で大事なところは、「上昇余地のより大きい円に注目すべ」「ドルの次の方向性はやや不明瞭」というところだ。

これらの報道は、明確に円高を示唆している。

今後は「円高ドル安」も起こると見るべきだろう。今のところ「ここ最近では一番の円安」だが・・・。


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