金のインゴット

フィリピンでのマルコス王朝復活と金融システムの転換

金のインゴット

フィリピンの大統領選挙で、かつてフィリピンの独裁者と言われたマルコス大統領の息子が当選した。

ただ、このマルコスJr.(ボンボン)氏の当選について、メディアはあまり肯定的に報じていない。

それもそのはず。

ボンボン氏の父親のフェルディナント・マルコス元大統領は、1965年から1986年まで「独裁者」として君臨し、最後はピープルパワー(エドゥサ)革命で倒された・・との歴史がある。

確かに、マルコス政権下では汚職が蔓延していたほか、反マルコスを掲げる者は容赦なく拘束・拷問されたほか、アメリカ合衆国に追放されていたマルコスの政敵、ベニグノ・アキノ氏は、マニラ空港に帰国したところで兵士に頭を打たれて死亡している。

このほか、イメルダ夫人の1000足の靴に代表されるように莫大な富を蓄財していた。

悪名高き大統領の息子が大統領に返り咲いたというだけでなく、ウォール・ストリート・ジャーナル記事に

得票数は対抗馬のおよそ2倍、かつフィリピンで民主主義が復活した1986年以来最大という圧勝ぶりだった。

とあるように超絶圧勝しており、見ようによっては「マルコス王朝復活」と言える。

さらに、

マルコス、ドゥテルテカルピオ両氏は選挙戦を通じて、ほとんど政策について語ってこなかった。選挙当局が主催する討論会をすべて欠席し、メディアの取材にも限定的にしか応じなかった。両氏はむしろ、選挙集会やソーシャルメディアを通じて有権者に訴えかけ、国家を1つにする「結束チーム」として売り込んだ。

とあり、(資質がバレそうな)討論会は出席せず、SNS等でマルコス時代を知らない若者に呼びかけると言う戦略が功を奏したことが伺える。

このようなボンボン氏の血筋と姿勢は、とてもメディア受けするものではない。

だが、ボンボン氏を「微妙なやつ」と評価するのはメディアだけではない。

何と、あのドゥテルテ氏もボンボン氏を微妙なヤツと評していたことが、東洋経済オンラインさんの記事から伺える。

この記事の中で、

2021年10月、ボンボン氏が大統領選出馬を決めたとき、ドゥテルテ大統領は「私は彼を信用していない。海外で学び、きれいな英語で演説できるが、中身は甘やかされて育った一人息子だ。危機の時にリーダーシップを期待できない弱いリーダーだ。侮辱ではない。真実だ」と評した。

・・・微妙というよりは「ダメ息子ドラ息子」と言った方が適切かも。

なお、ドゥテルテ氏が、30年来認められなかったマルコス元大統領のフィリピン埋葬を認めていることから分かるように、マルコス家とドゥテルテ家は近しい間柄なので、この評価は正しいものと思われる。

ただ、ボンボン氏が地滑り的に大勝利したのは、国民的人気の高いサラ・ドゥテルテ=カルピオ氏(ドゥテルテ娘)とタッグを組んだことが大きな要因だ(今回は副大統領に当選)。

このため、ボンボン氏は「ドゥテルテ政権継承!」「団結!団結!」と演説し続けるだけで勝利した。

しかも、サラ・ドゥテルテ氏は、わざわざ大統領選への立候補を取り止めて副大統領に立候補し、さらにボンボン氏との連携まで打ち出したのだ。

いくら、マルコス家とドゥテルテ家が近しい間柄で協力し合うにしても、血筋(と資質)に問題のあるボンボン氏を大統領候補とするのはリスクが高いし、どう考えてもサラ・ドゥテルテ氏を大統領候補にするのが自然だし、そもそも民主主義的な歴史観を踏まえればボンボン氏の出る幕など無い。

どう見ても、ドゥテルテ家が微妙なボンボン氏を全面的にバックアップをした以外の説明はつかず、マルコス王朝復活を目的としたとしか思えない。

だが、マルコス王朝復活には歴史的な意味があるかもしれない。

何故マルコス王朝なのか・・については、原田武夫氏のこのツイッター動画に答えが。

この動画の概要は、簿外資産の再分配の話でこんな感じなのだが・・

  • 簿外資産は日本国内になく世界中に貸し付けられているが、これを一度返済してその後再び貸してねという「簿外資産の再分配」の話が出ている。
  • プーチンにより日本海へのミサイル発射は、再分配に関して物申すためであり、日本からプーチンに説明する必要がある。ウクライナ危機も、最終的には日本が目的となる。
  • 今後、ロシア勢も絡んだ利権の形が構築されていくのではないか。

実は動画の終わり間際に

「マルコスは簿外資産と関係ある」

とポロリしている。

そう、マルコスは簿外資産と関係を持っている。

そして、マルコスと簿外資産で思い出されるのは、高橋五朗氏の「天皇の金塊ゴールデン・リリーの謎」だ。

この著書の中で、フィリピンの地下サイトに日本軍が隠匿した皇室絡みの莫大な金塊(ゴールデン・リリー)の一部をマルコスが手に入れ、さらに換金にも成功して莫大な財を手にしたことが紹介されている。

ちなみに、フィリピンでは穴掘り・・というか、発掘作業には政府の許可が必要とされており、これを犯した日本人が2018年に逮捕されている。

高橋五郎氏のいう「ゴールデン・リリー」なるケタ違いの金塊が、本当にフィリピンの地下に埋まっているかは分からないが、何かありそうな雰囲気だ。

さて、実際のマルコス政権下のフィリピンは、賄賂は横行していたが治安は保たれており、日本との経済関係も良好で、悪名高い「戒厳令」も犯罪率低下や政情安定に寄与して経済成長に繋がる良いものとの評価だった。

マルコス政権は莫大な資産「ゴールデン・リリー」を国家運営に活用していたと思われ、結果として国民にも何らかの形で分配されていただろうことが伺える。

そんなマルコスの失脚について「天皇の金塊ゴールデン・リリーの謎」によると、マルコスは金塊の換金にしくじったため、アメリカや華僑勢力のプロパガンダ工作によって誘発されたピープルパワー(エドゥサ)革命により、ハワイに強制亡命させられ排除された・・とか。

現実のマルコス政権の晩年は、マルコスの権力志向が強くなると共に政治腐敗が進み、順風満帆だった経済運営にも陰りが出てきて失業率も増加していた。

マルコス政権の風向きが変わったのは1970年代の後半頃からと思われるが、時期的にはマルコス政権が中・ソ勢接近した頃と重なっている。

推測になるが、何らかの理由で「ゴールデン・リリー」を活用出来なくなったマルコス政権が、打開策を求めて中・ソ勢接近したと思われるが、資産の後ろ楯を失った丸腰のマルコスは、アメリカ・国際金融資本勢が仕掛けた政権交代工作(ピープルパワー革命)により失脚したと推測される。

2014年のウクライナで起こったマイダン革命等と同様の構図だろう。

なお、マルコス後に成立したアキノ政権は、米軍撤退後のスービック海軍基地跡地を経済特区にして富の吸い上げ装置としたほか、アキノ時代から蔓延した麻薬は国際金融資本に連なる華僑勢によるビジネスの一つと言われているなど、いわゆる「国際金融資本勢力」の傀儡政権だった。

アキノ政権の国家運営は、国民から富を搾取するという国際金融資本そのものであり、ゴールデン・リリーとか簿外資産のニオイは無いことから、それら資産の管理権はマルコス一族にあることも伺える。

なお、アキノ政権以降のフィリピンの人々は貧富格差の拡大や麻薬の蔓延により苦しめられており、強権的なドゥテルテ氏への支持はその反動と言える。

そして、今回のマルコス王朝復活は、問答無用の麻薬対策が支持されたドゥテルテ政権成立から始まる遠大な計画とも考えられ、その計画の遠大さからは「簿外資産」と無関係では無さそう。

まあ、簿外資産とゴールデン・リリーの関係性や皇室の関与度合いなどはよく分からんけどな。

なお、原田武夫氏によると、「簿外資産」とは人類を未曾有の厄災から救うための大規模資金=人類資金であり、その資金投入時期は近づいているとか。

この中で語られているポイントは・・

  • 国体勢力(born leadership)の中で重大な決断がなされ、告知された。
  • このため、早ければ今月にも極端な円高(1ドル50~60円台?)となる。
  • 特に、直近では急激に円安となっているが、ル・シャトリエの原理に基づき、円安となった以上のスピードで円高に振れることになる。
  • 国民国家という枠組みの外側にから資金(簿外資産)が投入され、「世界中の人が円を持たなければならない状況となる」ため、極端な円高となるもの。
  • なお、この資金の投入はプラザ合意以来。

なお、簿外資産により円高となる理由は、「ロシアの金・資源本位通貨は新世界秩序に向けたグレートリセット」で紹介したように、簿外資産は日銀を経由して世に出てくる=莫大な資産が円転されるからとのことだ。

さて、こうしたことを踏まえて、ここ最近のドル円の動きを見てみる。以下はドル円の日足チャートだ。

20220512ドル円日足チャート

3月11日頃から怒涛の円安となったところだが、4月28日に131円を付けて以降は停滞し始めている。

個人的には、1回とったポジションはなるべく長く寝かせて利を引っ張りたいのだが、本日(5月12日)、2ヶ月ぶりに4時間足でのベアトレンドのパーフェクトオーダーが完成してしまい、129.5円位でロングポジション撤退するハメになってしまった。

20220512ドル円4時間足チャート

こんなことなら、もっと早く撤退していれば良かったぜ・・・。

ともかく、日足レベルで131円を越えられないうちに2ヶ月ぶりの弱さとなってしまった。

もちろん、日足レベルではまだまだ強くて再度上がりそうな雰囲気も感じるが・・短期ではベア転換となっているし、原田武夫氏の「早ければ今月中にも・・」の言葉からは、このままトレンド転換する可能性も念頭に置く必要がありそう。

ただでさえ、「下り3倍速」というし、リーマンショック時のようなショートの大相場が来る可能性もあるので、まだロングのスイングポジションを積み上げている人は、撤退利確&ドテンショートするラインを想定をしておいた方がよさそうだ。

さて、ドル円が転換しつつあることと合わせて気になるのが、インフレ&米国市場の状況だ。

直近のアメリカCPI(消費者物価指数)は案の定高く、そして史上最速ペースでの利上げやQTが現実となりつつなることを踏まえて金融市場は大混乱となっており、ドル円のトレンド転換もその一つだろう。

当然ながら株式市場も急落しており、ナスダックなどは2021年からの上昇分を失うレベルに。以下はナスダックの週足チャートだ。

20220512ナスダック週足チャート

年初の下げと、4月に入ってからの下げ幅が大きすぎて涙も出ないレベル。

このクラッシュは市場全域に及んでおり、仮想通貨市場もボロボロだ。以下は、仮想通貨総額の日足チャートだ。

20220512仮想通貨トータル日足チャート

4月初頭から既に半値近くまで下げとる・・・。ナスダックどころの下げではない。おじさんの虎の子のビットコインも価値半減となっている。

この1週間ほど、ドル円ばかり見ていて仮想通貨の動きを軽視していたのを後悔だが・・現物だから良いとしよう。

一方で、ドルインデックスは「ドル最強」を示している。以下はドルインデックスの日足チャート。

20220512ドルインデックス日足チャート

相変わらずドル最強を表している。連続0.5bpが予想されるハイペースな利上げやQTを踏まえれば、ドルが強いのは当然だ。

問題なのは、こんなドルが強いにも関わらず、インフレが収まる気配が無いということにある。もっとも、コロナ危機やウクライナ危機に端を発するインフレなので、金融政策で収まるものではないが・・。

また、米国債の利回りも下げに転じており、米国債の強さが出てきている。以下は米国債10年の日足チャートだ。

20220512米国債日足チャート

今のところ株や仮想通貨などが弱くなっており、国債に買いが集まっているようだ。有事の円買いも復活していることを踏まえると、市場は利上げやQTを忌避している。

ただ、リーマンショック以降のQEは債券市場の買い支えを目的としていたことを踏まえると、近いうちにQEの巻き戻しで国債こそが売られて金利高騰する可能性は懸念される。

この他、景気後退の予兆とされる再度のイールドカーブ逆転も予測されている。

以前にも紹介してきたように、リセッションを予測する声も散見され始めた。

また、これまでタイトタイトと言われたアメリカの雇用市場では、急速にリストラが始まっている模様だ。

やはりリセッションは近いか・・・。

これらの状況をまとめると、

  • 利上げ・QTを続けるがインフレは抑えられず、さらなるハイペースな利上げ・QTが必然となる。
  • 同時に債券売りが加速して金利は高騰する。
  • アメリカはスタグフレーションに陥いる。
  • リセッションが迫っているが、インフレ(スタグフレ)を前にQEに転じることは難しい。

・・となり、リセッションしてもQE出来ないとなれば、QEでパンパンに膨らんだ金融市場バブルが崩壊することになる。これまでのバブルとは比べ物にならない巨大なバブル崩壊は、ドル崩壊まで繋がる可能性がある。

ドル崩壊と並行して、ロシアや中国による金・資源本位通貨という金融面での「グレートリセット」が迫っており、プラザ合意以来の簿外資産投入として相応しいタイミングではある。

歴史が大きく動く影に存在する簿外資産・・やはり、マルコス王朝復活は、何かの合図か・・・。

話は逸れるが、「人類資金」という観点から、この小説はとても面白いのでオススメだ。

人類資金(福井晴敏 著)

めちゃくちゃ長いので、読まれる方は気合い入れて欲しい。


最後まで読んでくれてありがとう!