ここ数か月、仮想通貨がアツイ展開になっている。10月からの上昇トレンドが止まらないのだ。以下はビットコインのチャートだ。
ちなみに、このチャートは「日足」だ。これより短い足になると、ノイズが多くなるので今後の展開を予測するには不向きと思う。
ビットコインは、10月中旬ごろから上昇をはじめ、今では20000ドル攻防戦を繰り広げている。
2017年の大暴落以降、これまでも上がったり下がったりを繰り返してきていたが、よく上がっても14000ドル程度で跳ね返されていた。
とりあえず、ここ一か月くらいの日足の状況から判断するに、17000ドル付近をサポート、20000ドル付近をレジスタンスとして、このレンジ内で上下している。
10月からの勢いを踏まえると、20000ドル突破も時間の問題と思われる・・・が、17000ドルのサポを割り込んで下落するようであれば、一時撤退が選択肢に入ってくる(下ヒゲに騙されないようにね)。
これから参入を考えているなら、損切ラインと許容できる損失額から、エントリーラインを判断してもらうと良い。
さて、このビットコイン上昇は、10月初旬頃からジワジワと上昇トレンドに入っていたが、10月21日にアメリカ決済大手のペイパル(PayPal)が決済・取引サービスへの参入を表明してから、上昇の勢いが一気に増した。
ペイパルの参入直後に出たニュースによると、大口投資家(通称クジラ)が4年ぶりの高水準とか。
ビットコインの「クジラ」の数、2016年9月以来の高水準に #coindeskjapan #くじら(暗号資産の大口保有者) #ビットコイン #BTC https://t.co/UfAGzga02R
— CoinDesk Japan (@CoinDeskjapan) October 27, 2020
クジラさん達の資金が、仮想通貨市場に流れ込んできているのは間違いないようだ。
さらに、アメリカの大手生命保険会社マサチューセッツ・ミューチュアル(マスミューチュアル)も、ビットコイン市場に参入するとか。
米生保が100億円をビットコインに投資──機関投資家の参入相次ぐ #coindeskjapan #ビットコイン #BTC #暗号資産ファンド #仮想通貨ファンド #機関投資家 https://t.co/HIZt1qBBCY
— CoinDesk Japan (@CoinDeskjapan) December 11, 2020
マスミューチュアルは、2350億ドルの資金のうち1億ドルをビットコインに投資するということで、約0.04%という微々たるものだ。
だが、さほど規模が大きくない仮想通貨市場に与える影響は大きいだろう。
さらに、こうした資金の受け入れ態勢も着々と整えられている様子。
DBS銀行、デジタル資産取引所を来週にもスタート──シンガポールの次世代金融戦略 #coindeskjapan #SGX #シンガポール証券取引所 #シンガポールの暗号資産_ブロックチェーンニュース #デジタル証券 #デジタル証券とは https://t.co/FHkg3Vyl8H
— CoinDesk Japan (@CoinDeskjapan) December 11, 2020
この取引所は、機関投資家向けに、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ビットコインキャッシュ(BCH)を取り扱うとのこと。
こうした機関投資家が参入する背景には、FRBや日銀などの桁外れのQE(量的緩和)によって生み出されたカネが、市中にジャブジャブ余ってることも無関係ではないだろう。
機関投資家は、有り余る資金の投資先を必要としている。とは言え、信用に乏しいハイリスク商品への投資は難しいことから、一定の信認のおけるビットコインに流入してきた・・と言ったところか。
こうした流れの一つでもあるんだろうが、資金がゴールド(金)からビットコインに流れてきていることも確認されている。
ビットコインの資金、ゴールドから流入──構造的な逆風に苦しむゴールド:JPモルガン #coindeskjapan #JPMorganChase #JPモルガンチェース #ビットコイン #BTC #機関投資家 https://t.co/7gr0T5DfTs
— CoinDesk Japan (@CoinDeskjapan) December 10, 2020
ゴールドの時価総額10兆ドルに対して、ビットコインは3500億ドル程度。ゴールド市場から少しでも資金が流入すれば・・ゴクリ。
とはいえ、この記事からは気になる点も。記事の中にあるように、JPモルガンは金(ゴールド)の売却を推奨している。
JPモルガンは述べる。同行は、GBTCを購入し、ゴールドETF「SPDRゴールド・トラスト」を売却することを推奨しているという。
GBTCというのは「ビットコイン投信」のこと。JPモルガンは「ゴールド投信」から「ビットコイン投信」へのシフトを推奨しているということだ。
だが、JPモルガンといえば、9月に金先物市場における価格操作により、制裁金を課されていた。
JPモルガン、制裁金9.2億ドル支払いに合意 貴金属相場操縦で https://t.co/9uaDPFCgTw
— ロイター (@ReutersJapan) September 29, 2020
金の現物と先物は同じ市場での取引なので、先物の売り・買いにより金価格を上下させることが可能だ。
2019年にも、バンカメ参加のメリルリンチが同様に制裁金(2500万ドル)を課されていた。金先物市場で売り発注後、約定前に注文を取り消すことで価格操作(下げ)したことによるものだ。
今回のJPモルガンも同様のものだろう。
なぜ、大手銀行さんは金価格を下げたがるのだろうか。
以前にも紹介したが、富裕層向けプライベートバンクではゴールド投資を推奨していた。
金が連日高値を更新している。田中貴金属の小売価格では、6894円と史上最高値を記録した。金が連日高値、6894円 - コロナ不況で安全資産需要https://t.co/TC1xlMmc3d— 共同通信公式 (@kyodo[…]
わざわざ利金もない値動きも少ない金保有を推奨する理由は、ドルの基軸通貨性が棄損されたり、米国債がデフォルトするなど、フィアット通貨崩壊のリスクが念頭に置かれている可能性があると考えられる。
フィアットの対局に位置するのが、金(ゴールド)だ。
ここ最近の金価格は停滞気味とはいえ、史上最高水準を維持している。だが、金価格の上昇は、株や債券と異なりマネーゲームの結果ではない。
各国の中央銀行が景気刺激策&債券市場防衛として、財政赤字の拡大・マネタリーベース拡大という状況=「通貨価値の希釈」を反映していると言える。
つまり、「金価格の上昇」とは「通貨価値の減退」のことであり、金価格の急激な上昇により通貨の信認が危うくなる。
このため、国際金融資本勢力(=ディープ・ステート)が金価格を下げに走ったのだろう。JPモルガンやメリルは実行部隊として名前が出たに過ぎない。
いずれにせよ、金先物市場の操作は2019・2020年と2年連続で取り締まられており、先物市場を通じて金価格を下げることは難しくなった。
と言うことで、金市場から資金を追い出すため、ビットコインへと誘導しているのだろう。
3年前(2017年)に大暴落したのは今時期だったと思うが、主に個人投資家が主導していた3年前と異なり、今回はクジラ(大口・機関投資家)や国際金融資本勢力が主導している。
なので、今しばらくはビットコイン・仮想通貨への資金流入は続くだろう。
また、ビットコインの急騰につられて、アルトコインも大幅に上昇している。
日本の取引所で購入できる代表的なアルトと言えば、イーサリアム(ETH)・リップル(XRP)・ライトコイン(LCT)・ビットコインキャッシュ(BCH)あたりか。
いずれも上昇しているが・・ライトコイン(LCT)とビットコインキャッシュ(BCH)は微妙な動き。これを「出遅れ」と見るか「オワコン」と見るかは悩むところ。
まあこの地合いでこの成績なら「オワコン」の可能性が高いか。
そういえば、謎のツイッターアカウントのれうういさんは、今のところリップル(XRP)推奨とのこと。
それにしても、フィアットの対局にある「ゴールド」の価格を下げるために、かつて「デジタルゴールド」とも呼ばれたビットコインに資金を誘導するとは皮肉を感じる。
ビットコインは、通貨へのアンチテーゼの意味合いもあったと思ったが、どうやら既存の金融システムに完全に組み込まれてしまったようだな。
最後まで読んでくれてありがとう!