デジタル通貨

金(ゴールド)が高騰 史上最高値更新続く!ドルの基軸通貨性への信認危うしか!

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金価格の高騰が続いている。

6月30日に1800ドルに到達し、一時的に少し下げたものの、再度1800ドルを超え上昇を続けている。

20200708金価格

これは、直近半年ほどの金先物市場のチャートだ。

なお、1800ドルというのは金1オンスに対する価格だ。なお、金1オンスは、約31グラムだ。

分かりにくいので、日本人になじみ深い単位にするとこんな感じになる。

20200708金1グラム価格

こちらのチャートは、田中貴金属のウェブサイトに掲載されている金価格の変動チャートだ。

赤い線が田中貴金属の小売価格、青い線が海外のドル建て価格の推移だ。ドル円の値動きも加味されるので、両線には若干の差が出る。

このチャートからは、2015年から2019年5月頃までは、1グラム4500円程度で上下していたところだが、2019年の6月頃から上昇が止まらなくなっているのが分かる。

2020年7月8日現在、田中貴金属の小売価格は1グラム6,870円だ。

さて、どうして金がここまで値上がりしているのだろうか。その背景を考えてみよう。

そもそも、金は持っているだけでは利息も付かないし、値動きも比較的緩慢だ。資産・投資戦略上は、株や債券、通貨取引をしていた方が絶対に有利だ。

にも関わらず金が高騰しているのは、単純に金を欲しがる人が増えているからだ。

しかも、富裕層に投資に関する助言を行うプライベートバンクも、金の保有を進めているという。

このロイターの記事によると、コロナ危機前にはプライベートバンクは金の保有を全然勧めていなかったところ、今では資産の10%程度は金で保有することを推奨している、という内容だ。

金の保有を推奨しているのは、プライベートバンクだけではない。

同じくロイターの記事だが、泣く子も黙るゴールドマンサックスも、金価格の見通しを上方修正し、向こう1年で2000ドルに達するとした。めちゃくちゃ強気。

ゴールドマンサックスの見通しは、3カ月で1800ドル(従来は1600ドル)、6カ月で1900ドル(従来は1650ドル)、12カ月で2000ドル(従来は1800ドル)としている。

3ヶ月予想はすでに到達していて、6ヶ月予想の1900ドル到達が射程に入りつつある。

この背景にあるのが、新型コロナによる経済打撃や金融市場の不安定化を受けて、各国の中央銀行が異次元レベルの緩和策をやっていることにある。

平たく言うと、既存通貨(フィアット通貨)が異次元レベルのQE(量的緩和)を実施している=お金を刷りまくっているため、通貨価値が低下するので金が2000ドルに達するということだ。

また、通貨価値の低下はインフレとなるリスクをはらんでおり、金以外の株式・債券や通貨などのペーパー資産の価値が大きく損なわれる可能性を懸念しているようだ。

さらに、異次元規模のQEにより債券利回りが大幅に低下したことから、利息を生まない金の保有についてのデメリットが薄れたことも挙げられる。

しかし、彼ら富裕層のための金融機関が金の保有を推奨するのは、「理由無き株価急伸」に対する警戒感を持っているからだろう。

ナスダックの動きが顕著だがだが、株価自体はコロナ危機以前の水準を回復し、さらに超えてきている。

まさに理由なき上昇で、中央銀行が生み出したカネが株式市場に突っ込まれた結果だ。多少の調整をこなしつつ、現実の経済状況とは無関係に上昇を続けている。

日銀は、QEで産み出したカネにより株式ETFを購入して株式市場を下支えしているし、FRBは、債券市場の崩壊を防ぐためジャンク級の社債まで購入するほか、ロックダウンによる経済損失の補填についてもQE資金で穴埋めする徹底ぶりだ。

結局、QEで新たに刷られたカネの大半は、銀行からの融資などで実体経済に回らずに金融市場に向かっているだけだ。

株価が下がれば、日銀は一日1000億円単位で株式ETFを買いまくる。景気動向とは無関係に、QEという造幣により生まれた資金によって市場は支えられる。下がらない市場は上昇を続ける。

しかしながら、新型コロナによる危機的な影響は、これからが本番だ。

日本はじめ世界中で、ロックダウン・休業要請が解除された。

だが、東京都の新型コロナ感染状況が「感染者数の増加」のみを切り取って報道されているように、マスコミはまだまだ自粛&恐怖を煽っている。

新型コロナは「ただの風邪」であり、感染者数が増えているのは、PCR検査数が大幅に増加しているからなのだが。

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感染症

人々の意識下で感染不安は消えることは無い。必然的に自粛ムードが続き、経済活動はなかなか元通りにはならない。

しかも、表面的な感染者数の状況によっては、ドイツやスペインのように再ロックダウンもある。これからの世界経済は常にストップ&ゴーを強いられることになる。

日本でも散発的にコロナ倒産や大企業の巨額赤字の報道が出てきているが、企業の体力はもう限界だ。しかも、緊急事態が解除されても景気が戻らないので、超絶大不況はしばらく継続する。

こうした、実体経済とかけ離れて上昇する株式市場の限界が近いことを、プライベートバンクやゴールドマンサックスは知っているのではなかろうか。

さらに、こうした状況に対して中国も警鐘を鳴らす。

記事の内容は、中国銀行・保険監督管理委員会委員長の郭淑清が、ドルの基軸通貨性が危ういことについて警告を発したものだ。

主な要点は以下のとおり。

  •  FRBがQEを継続することで、ドルとアメリカの信用棄損が起こる可能性
  •  パンデミックが長期化するため、漫然と資金を投入するのではなく将来的な政策的余裕が必要
  • インフレの懸念
  •  金融市場は実体経済とは関係なく動いており、歪んでいる。金融市場から政策的資金が引くと痛い目(大暴落)に合うことになる。

さて、こうしたドルの信用低下、基軸通貨性の喪失に繋がるとするのに対し、MMT(現代貨幣理論)では、いくらQEをやっても通貨の信認は低下せず、従ってインフレも発生しないとする。

おじさん的にはMMTは眉唾と思っているが、MMTにも一理あるのは確かだ。

現在では、ゼロ~マイナス金利なので、どれだけ国債発行しても利払いはほぼゼロだ。

さらに、全てのメジャー通貨は「金」の裏付けの無い「不換紙幣」であり、ドルも円もユーロも全てQEによって刷りまくられている。

全てのメジャー通貨が同じ条件下にあるので、相対的に信用低下をしない構造となっており、まだまだQEは拡大可能だ。アメリカが数百兆円規模で経済対策を行ったことは、問題が無いということになる。

こうした中で、中国から驚きの構想が出てきた。

中国の全国政治協商会議の場で、日本円、中国人民元、韓国ウォン、香港ドルを統合した「広域デジタル通貨」が提案されたのだ。

デジタル通貨の価値について、日中韓香港の通貨を加重平均したSDRみたいな(特別引出権)もののようだ。人民元6割、日本円2割、残り香港・韓国といったところ。

その昔、ユーロの東アジア圏版の通貨構想というのをネットで見たことがあったが、デジタル通貨技術を経て実現にこぎつけると言うことだろうか。通貨単位はASIAとかなのかな?

事の是非はともかくとして、このデジタル通貨が実現すれば、東アジア圏内の貿易決済などに使用できる。

為替決済スピードだけでなく、為替決済手数料が極めて低額になること、為替変動リスクが無くなることなど魅力は大きくなる。

アメリカの覇権低下(=世界の多極化)に合わせて、日・韓・香港と中国の経済力を合わせていく動きだろう。

なお、おそらくはアメリカがバックに付いている「単独通貨を裏付けとしたリブラ」から、日本円はメジャー通貨の中で唯一外された。まるで、アメリカから離れろと言わんばかりの仕打ち。

しかし、このデジタル通貨にはMMT理論をひっくり返す力がある。

MMTでは、先ほども言ったように、各メジャー通貨は同じくらいダメなのでQEでじゃんじゃんカネを刷りなくっても相対的に価値は落ちない。

ところが、ASIAのような統合通貨が出てくると、ドルでの為替決済ではなくASIAを使うことになる。さらに、ASIAとユーロ取引をドルを介さずに行えるとすれば・・・ドルの基軸通貨性は低下し、やがてQEが限界に達して破綻する可能性が出てくる。

アメリカのリブラに蹴られた日本は、独自路線で行くのか、ASIA陣営に入るのか。

いずれにせよ、ドルの基軸通貨性を維持したい軍産・国際金融資本勢力 VS 多極化を図りたいトランプ(と中国)の構図かだろうか。

だが、中国は、南からサバクトビバッタ、東北部でもトノサマバッタの大発生で蝗害に苦しむほか、山峡ダム決壊による上海に至るまでの中南部崩壊の懸念も・・・。

ダメ押しで中華連邦構想も出てきており、共産党の支配体制も盤石ではなさそうだ。

まだまだ、世界の将来は流動的なのかもしれない。


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