感染症

大阪大学の研究 後少しウイルスが変異するとADEの危機!?

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コロナワクチンとデルタ株に関して、大阪大学の研究が公表された。

この研究結果の概要は、今のデルタ株が後少しだけ変異した「デルタ4プラス」となった場合に、ワクチンによって作られる「中和抗体」を「感染増強抗体」が上回り、未接種の場合よりも重症化する可能性が高くなりそう・・というものだ。

・・・ふぁ!?ワクチン打った方が重症化??

話はきかせてもらった

的な展開か!?

ここで出てくる「中和抗体」とか「感染増強抗体」は、以前にも紹介したが、阪大研究チームが重症化の原因ともなる「感染増強抗体」を発見したとする研究に出てくる。

その研究によると、ウイルス感染やワクチン接種によって、体内ではウイルスを抑える「中和抗体」と、感染を促進してしまう「感染増強抗体」が産生される。

また、これまで感染してなくても「感染増強抗体」を持っている人がおり(重症化しやすい人?)、そうした人はワクチン接種で「感染増強抗体」産生が高まる可能性が指摘されている。

さらに、感染増強抗体の認識部位は現行のワクチン抗原にも含まれているとして、感染増強抗体の産生を誘導しないワクチン抗原を開発することが望ましいと結んでいる。

この研究結果から、ワクチン接種から時間が経って中和抗体が減少すると、体内で「中和抗体<<感染増強抗体」となる可能性があり、その状態でコロナ感染した場合に重症化(ADE)する疑いがあることはこれまでにも紹介したとおりだ。

ちなみに、中和抗体にも大きく二つあって、スパイクタンパクの先っぽ(RBD)に作用する「RBD中和抗体」とそれ以外(NTD)に作用する「NTD中和抗体」がある。

デルタ株によってワクチン接種者でも感染が拡大しているが、現行のデルタ株はNTD中和抗体をすり抜けるとされており、RBD中和抗体のみで頑張っていることから、デルタ株に対するワクチン効果は低くなっているとか。

そして、ウイルスのスパイクタンパクの先っぽ(RBD)が変異した「デルタ4プラス」変異を人工的に作ってみたら、RBD抗体も突破され「中和抗体<<感染増強抗体」になりました・・というのが今回の研究結果だ。

つまり、デルタ4プラス株は、ワクチンで得られた中和抗体をスルーするだけでなく、感染増強抗体に強く反応するため、ワクチン打たないよりも感染が悪化するかもしれん・・ということになる。

もちろん、これは抗体だけの話であり、「ワクチン免疫は長続きしない イスラエルでワクチン2回接種者の重症化事例が増加」の冒頭で紹介したような「免疫(細胞性免疫)」が充分に強く出来ていれば、必ずしもADE(抗体依存性感染増強)になるわけではない。

そもそも、ワクチンで作られた抗体(中和抗体)はワクチン接種時やウイルスなどに感染した際にピークとなるものの、その後は再感染するまでは低いレベルで安定する。

その状態で再感染すると、免疫を司るメモリーB細胞さんやT細胞さんたちがすぐに抗体を作ったりウイルスと戦うので、「抗体」が減少しても、ある程度の期間は「免疫」が働く。

この辺りは、Amazonプライムビデオで見られる「はたらく細胞」が分かりやすいが、ポイントは「細胞性免疫」が出来ているか否かだ。

ただ、ワクチンでの「細胞性免疫」獲得は期待出来ないかもしれない。

以前に「ワクチン免疫は長続きしない イスラエルでワクチン2回接種者の重症化事例が増加」でも紹介した、ナゾのデータサイエンティストさん。

このデータサイエンティストさんは、ワクチン接種者と感染して回復した人の状況を分析した結果として「感染によって獲得した免疫は、ワクチン接種による免疫よりも強力で、長期間持続し、さらには変異株に対しても有効性が高い」としている。

ワクチン免疫は時間と共に失われるが、自然免疫は長期的に続くし変異株に対しても有効ということか。

さらに、マローン博士がファイザーワクチンの接種者とコロナ感染者の間で、抗体の減少具合を比較した研究(査読前)を紹介しているが・・

ワクチンを接種者の抗体価は、当初は感染した人よりも大きかったものの、その後は最大で毎月40%減少する事例も見られたが、感染者減少度合いはは5%に満たなかったとしている。

ワクチン接種時と感染時の抗体減少ペースが余りに異なるが、この減少ペースの早さは細胞性免疫の獲得に影響があるとする研究もあるようだ。

うーむ・・ワクチンによる細胞性免疫の獲得はやはり期待出来なさそう。まあ、そもそも「細胞性免疫」が「感染増強抗体」に負けるならアウトだが・・。

この場合、近々現れるであろう「デルタ4プラス」やワクチン効果切れになると、体内で「中和抗体<<感染増強抗体」となってしまう可能性が思ったよりも高いのかも。

日本より半年近く早いペースで接種が進んだワクチン先進国のイスラエルでは、この可能性を理解しているのだろうか。

ワクチンで集団免疫形成は不可能だが重症化予防効果は!?」で紹介したように、ワクチン先進国のイスラエルではワクチン接種者の感染・重症者が増加している。

この理由については、「デルタ株へのワクチン効果が低いから」とか「ワクチン効果が切れたから」と言われているが、いずれにせよイスラエルのベネット首相は「死ぬかもしれないから」として3回目のブースター接種を強力に推進している。

確かにイスラエルの感染状況は悪く、既にワクチン接種前の状況に並ぶまでになっている。

20210825israelcovid19

一方で、重症患者の数は増えてきているものの、前回のピーク時ほどではない。ワクチン接種による重症化予防効果が継続している人も多いと思われる。

20210824イスラエル重症者

そして、改めてイスラエル保健省(https://datadashboard.health.gov.il/COVID-19/general)のデータによると、既に20代の一部まで3回目のブースター接種を受けている。

イスラエルのワクチン接種状況

接種率が一番高い70~79歳のゾーンだと、1回接種96.1%、2回接種93.5%、3回目接種78.5%と、驚異的な接種率となっている。なお、総数では2回接種が546万人、3回目接種が177万人となっている。

急速に3回目のブースター接種が進む背景に、イスラエルのベネット首相による驚きの発言がある。

「3回目のブースター接種をしてないと死ぬかもしれないから、60歳以上だけでなく50歳以上も急いで3回目を打ってちょ」

とか、

翻訳すると、2回目のワクチン接種から5か月が経過した場合、あなたは保護されません。すぐに予防接種を受けてください。

とか、

翻訳すると、先週亡くなった79人のイスラエル人のうち78人は、必要な3つの予防接種すべてを実行しませんでした。 言い換えれば、3番目のワクチンは「贅沢」ではなく、本当に命を救います。

とか。

凄い必死さを感じる。

ベネット首相の一連のツイートは、「接種から5か月で重症化予防効果は無くなる」と言っているに等しく、ワクチン効果が半年と持たないのは間違い無さそう。

ということは、やはり肝心な「細胞性免疫」は獲得されていないということになる。

また、ベネット首相からは尋常ではない必死さからは、3回目のブースター接種をしない場合に「中和抗体<<感染増強抗体」からのADE多発を懸念しているのではないかと心配になってしまう。

いずれにせよ、この必死さにより3回目ブースター接種はかなりハイペースで進んでおり、その成果なのか重症者に占める2回接種済み(3回接種済み?)の割合は、ワクチン未接種者を下回ってきている。

ワクチン接種の有無による重症者

3回目ブースター接種により一時的に中和抗体が回復するのは間違いないハズなので、一定間隔でワクチン接種を続ける限り、「中和抗体<<感染増強抗体」とはならない。

ただし、阪大の研究で明らかになった現行ワクチンの中和抗体をすり抜ける「デルタ4プラス」変異株が登場した場合はどうなるか分からない。

それにしても、4~5月頃のイスラエルはワクチンで大成功を収めていたはずだが・・それからわずか3ヶ月足らずで、ワクチンによるコロナ収束が砂上の楼閣と気づくことになろうとは・・。


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