新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大している状況を受け、ついにWHOがパンデミックを宣言した。
新型コロナ、「パンデミック」 世界で感染12万人以上―WHO、一段の猛威警告
【ベルリン時事】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11日、新型コロナウイルスは「パンデミック(世界的流行)と見なせる」と表明した。イタリアなどでの爆発的拡大で、中国外での1日の新規感染者は約4600人と、中国の約300倍に到達。WHOによれば、感染者数は118カ国・地域で12万5000人に迫り、名実ともに世界規模の大流行という状況になっている。
WHOがパンデミックの呼称を使うのは、2009年の新型インフルエンザ以来11年ぶり。テドロス氏はジュネーブでの記者会見で「今後数日、数週間で、感染者と死者、それに感染者が出た国の数は一段と増えるだろう」と警告した。
WHOは、ある程度一般化可能なインフルエンザを除き、パンデミックの定義や行動指針を明確に定めていない。このため、実質的な意味は大きくないとして新型コロナのパンデミック認定に慎重だったが、感染拡大に歯止めがかからない中、強いメッセージを出す必要があると判断した。
WHOが中国に忖度しており、中国の感染が収まってきたのでパンデミックを宣言した、という論調で批判する声もあるが(おじさんもそう思うが)一応擁護だけしておこう。
上の記事にあるとおり、WHOは2009年に新型インフルエンザが出てきた時にもパンデミックをしている。だが、その時は新型インフルエンザウイルスに関する毒性などの知見が集まる前にパンデミック宣言をした。
その結果、欧州評議会やアメリカCDC(疾病予防管理センター)から猛批判された。特に欧州評議会からは「パンデミックをでっち上げたのは製薬会社から金をもらったから」という話まで出てきたのだ。
その後の新型インフルエンザは毒性も季節性のインフルエンザと変わるものではないことが分かり、季節性感染症として定着した。
なので、少なくとも欧米勢はWHOを批判する資格ないと思う。
とはいえ、タイミング的には中国からGOサインに加え、アメリカで流行が始まったからと捉えられても致し方ないな。WHO空気読めとしか。
だが、現実的には中国からの「GOサイン」ではなく、むしろ「出せ」という指示があったのではないだろうか。中国では表向きの感染はピークアウトし、まさに中国共産党の全面封鎖施策こそが世界唯一の感染防止策と言える状況だ。
中国の国際的な存在感を高めるため、アメリカCDCに代わり、パンデミック対策として中国式の都市封鎖を輸出したり、医療チームの派遣などをしそうだ。現にイタリアは中国の協力で同じことをやり出してるしな。
以下はBBCからだ。
イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は、11日のテレビ演説で、新型コロナウイルスの感染者や死者が増え続ける中、欧州で最も厳格な封鎖措置を発表した。食料品店と薬局を除くすべての店舗を閉鎖するという。
コンテ首相は、客同士の距離を1メートル保つことを保証できないバーや美容院、レストラン、カフェのほか、企業内の必要不可欠ではない部署についても、同様に閉鎖するとしている。
この封鎖措置は、12日から25日まで実施される。コンテ首相は、この措置によって新型ウイルスの新しい感染のペースがどう変化するか、確認には数週間はかかるだろう述べた。
イタリアはすでに、学校や体育館、美術館、ナイトクラブなどの施設を閉鎖している。
イタリアでは中国がやった都市封鎖を本気で実施する。いくら感染が拡大しているとはいえ、先進国では相当思い切った対策だ。
これに中国も協力しているようだ。
先日のブログで書いたように、中国が意図的に武漢封鎖を遅らせたり、春節前の渡航制限をしなかったとするならば、医療チームの派遣などは当然の国際貢献とも言える。
新型コロナウイルス 中国での感染は本当に収まっているのか!?
一方で、世界に支援の手を差し伸べることで、中国のイメージアップを図り存在感をアピールする狙いがあると思われる。
ちなみに、WHOがパンデミック宣言を出すのが遅れたもう一つの理由として言われている「パンデミック債」をご存じだろうか。
パンデミック債とは世界銀行が2017年に発行したもので、今回の新型コロナウイルスのような感染拡大時に、新興国の迅速な救済を目的に世界銀行が発行したものだ。
新興国ではエボラ出血熱とかもあったからな。
債券の種類としては、異常気象や地震などの大規模災害発生時に、保険会社が大損害を被り破綻するようなことがないように、リスク分散のために発行する「大災害債(CAT債)」の一種だ。この「パンデミック債」の特徴は「高利回り」ということに尽きる。もちろん利回りは高いが、パンデミックが発生すれば元本すべて(あるいは一部)新興国の感染症対策に充てられる。ちなみに、パンデミック認定はこれが初めてだ。
リスク別にクラスA・クラスBと分かれているが、高リスクのクラスBの発動条件に「死者数が1ヵ国で250人、発生国以外で20人」と言うものがあり、新型コロナウイルス感染ではかなり前にこの条件を満たしている。
なお、クラスAの発動条件では「発生国以外で死者が2500人に達すること」がある。こっちも満たしてるな。
とは言え、クラスAの発行額は2億2500万ドルでクラスBは9500万ドルと、日銀が買い込んだETF(約30兆円)などと比べればカスみたいな規模だが、パンデミックで価値0になるので、投資家集団からパンデミック判断するな圧力がかかっていたと考えらる。
それを、中国が「宣言だせ」と言ったのでパンデミック宣言出来たとも言えるな。
ちなみに、日本の年金基金もたくさん買っているぞ。このパンデミック宣言で元本割れだ。アベノミクス演出のために株や債券もいっぱい買わされているから、コロナで壊滅するのは日本人の年金かもな(涙)
とはいえ、これでオリンピックも無くなる可能性が高くなったことは事実だし、イタリアの都市封鎖や市場の様子を見て分かるとおり、世界経済に大打撃をもたらす宣言になる。
これまでに、実体経済の減速や原油価格急落によるシェール社債の破綻など、金融崩壊に結び付く可能性があるものであることは書いてきた。
原油下落は何故下落した!?壮絶ブラックマンデー!金融資本主義の終わりの始まりか!?
新型コロナ 東京五輪中止で実体経済崩壊からの金融崩壊の兆し!
パンデミック宣言による都市封鎖が世界各国で行われれば、これまでとは比ではないくらいの影響が実体経済に出てくる。
日本でも、マスクやトイレットペーパー以外にも物資不足に襲われる可能性だって十分にある。
リーマンショック以降の信用収縮による国債・株式市場の崩壊を防ぐために、世界各国の中央銀行はQEにより金融市場に湯水のように資金を投入して国債・株式の買い支えることで、金融市場の安定と低金利を実現してきた。
金利も目いっぱい下げているし、買い支えも限界に近い。アメリカのレポ市場では金融機関同士の信用貸付は全く行われないなど、正常化とは程遠い状態だ。金融市場はリーマンショックから10年以上たっても、中央銀行の買い支えが無いと自立できない。
今の金融市場は全く正常化していないが、日米欧の中央銀行が資金投入を続けた結果、史上最大のバブルとなった。中央銀行が保有する国債などはすごい規模になっている。
一方で、中央銀行は金融緩和策をやりつくしており、これ以上手を打つことができない。
新型コロナウイルスにより「実体経済」と「金融市場」が同時に攻撃されれば、極めて脆弱なシステムの上に膨らんだ史上最大のバブルが崩壊する。
2008年のリーマンショックを遥かに超える金融崩壊が起こる。
そういえば、パンデミック宣言に輪をかけるように、トランプがヨーロッパのアメリカ入国制限を発表した。
多極化世界を目指す中国やトランプが、軍産・国際金融資本勢力を潰すため金融崩壊を狙っている。
最後まで読んでくれてありがとう!