先日の「世界で同時多発的にインフレの兆候 金融危機へのカウントダウン!?」で、世界同時多発的に発生したインフレ材料は、米英中などの超大国にが意図的に起こしている可能性があることや、インフレでQEの継続が困難となることで国債金利の上昇を招き、ロックステップ計画の「世界的に経済を崩壊」に繋がる動きであることを紹介した。
そして、現実に米国債金利が急騰している。以下は10年米国債金利の日足チャートだ。
米国債金利は、9月23日に1.38%辺りをブレイクしてから極めて強い上げトレンドとなっており、3月下旬の1.7%攻防戦の再来を感じるチャートとなっている。
あまり金利が上がる(=国債価格は下落)と、政府の利払いが苦しくなるし、FRBの保有資産が棄損されるし・・よろしくは無いだろう。
米国債金利の急騰は、テーパリングや利上げ、そして債務上限問題によるものとか。
S&P等の格付け会社は「アメリカデフォルトの影響は甚大だぞ。格付けもデフォルト格に落とすぞ」としていたが、上院で債務上限を12月まで引き上げる法案が可決され、デフォルトは当面回避されたところだ。
デフォルト、当面回避 債務上限引き上げ法案可決―米上院 https://t.co/fAMBg6ExWR
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) October 8, 2021
こんな形でアメリカデフォルトとなれば、債務上限引き上げに反対した議員の政治生命に関わるだろうから、回避は当然だろう。
ただ、チャートを見る限りでは米国債金利の上昇トレンドは強く、債務上限2ヶ月の先送りでは意味が無さそうだ。
まあ、金利上昇は債務上限問題だけでなく、インフレも要因となっているのは明らかで、簡単には収まらないだろう。
そもそも、インフレとは「物価上昇」であると共に「通貨価値の下落」でもあるので、通貨価値下落分を補うために、本来的には国債利回り(金利)は上がる。
しかしながら、QEが並行すると実質的なインフレ率が名目金利(米国債の金利)を超えるので、実質金利はマイナスになってしまう。
と言うことは、カネを持っているだけで損をする状況になるため、そのカネは消費や設備投資にどんどん回っていく。
これは金融市場に留まっていたカネが実体経済に流れ込むことを意味しており、ただでさえ物資不足・物流混乱・エネルギー高騰となっているので、更なるインフレは避けられない。
米国債金利は、3月30日に1.774%まで上がってから1.13%まで下落したが、本来なら景気回復期待()による国債売りで上がりそうなものだった。この間は、QE(=造幣による債権買い)で下げていたと見るべきだろう。
今回はそれが急騰していることから、QEで下げきれないほどインフレが深刻であり、債務上限問題と絡めて上昇を放置していると見るべきだろう。
度々紹介しているように、QEによってFRBや日銀の保有資産が膨らむ中でのインフレは、国債の価格低下による資産棄損からのFRBや日銀の信認棄損に繋がり、ドルの基軸通貨性の喪失にもつながりかねない重大な事態だ。
このブログでも何度かインフレを取り上げており、今年2月の「3京円の世界債務がもたらすインフレーションとデフォルト」では、アメリカ西海岸におけるコンテナ船荷下ろしの混乱で物流に影響が出ており、コストプッシュインフレになり得ることを紹介した。
それ以降も、相次ぐ半導体工場の火災事故や天然ガス・石炭・石油等のエネルギー価格の急騰、世界の工場たる中国の計画停電による生産能力の大幅低下など、インフレ材料は増える一方で状況は悪化している。
(世界で同時多発的にインフレの兆候 金融危機へのカウントダウン!?)(中国不動産バブル崩壊による金融危機があるかもしれない)
さらに、日本人にも馴染み深い原油価格も急騰し、WTI先物価格は1バレル80ドルまで上昇しており、ガソリン価格への影響が出てきている。
【国内ガソリン 高騰続く見通し】https://t.co/dVntoWChXb
国際的な原油の先物価格が、7年ぶりの高値を記録した。日本国内で、すでに上昇傾向にあるガソリン価格の高騰は、しばらく続く見通し。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) October 9, 2021
原油価格急騰の理由は、世界的にコロナ禍からの経済回復期待でエネルギー需要が高まってるのに、主要産油国の皆さんが11月分の増産を見送ったためとか。
ただ、OPECが増産しないと決めたのは10月4日の会合だが、その前から極めて強い上昇トレンドに入っており、増産決めても良さそうではある。以下はWTI原油の日足チャートだ。
9月15日頃から強気モードに突入し、9月23日には上値をブレイクして上昇トレンドに入っていることが分かる。
本来なら「ペドロダラー体制」の元でアメリカがサウジアラビアに原油価格を下げさせるところだが、「原油高は中東混乱の前触れか 実はサウジアラビアが震源になるかも」等で紹介したように、サウジアラビアを率いるムハンマド・ビン・サルマン皇太子はアメリカから離反しつつあり、簡単には言うことを聞かない。
アメリカのサウジアラビアへの冷淡な仕打ちは、このインフレの伏線だったのか・・。
物流混乱や石炭、天然ガス高騰に続き、ここでも超大国によるインフレ誘導への遠大な計画が見てとれる。
さらに、これら物流混乱・エネルギー不足に加えて、ワクチン接種の強制化により従業員が辞めていくなど、根幹部分で経済は上手く回らなくなりつつあるとゼロヘッジさんは指摘する。
Our Economy Is Starting To Break Down On A Very Basic Level https://t.co/FZTTQ6U4Nx
— zerohedge (@zerohedge) October 11, 2021
このように強まる一方のインフレ懸念だが、その理由は「コロナ禍からの回復期待」ではなく「(意図的な)コストプッシュインフレ」である点に留意だ。
日本を見ても分かるように、コロナ禍から大して経済は回復はしておらず、リーマンショック以降ずっとQEを続けてきたことが示すように金融システムは正常化していない。
つまり、テーパリングはインフレに押されて金融緩和を続けられない・・という苦渋の決断であろう。
既に世界の中では金融引締への転換を図る動きも出てきている。
世界の中銀の多くはインフレ高止まりの兆候懸念-緩和姿勢から転換へ https://t.co/ZyKNy354Ci
— ブルームバーグニュース (@BloombergJapan) October 11, 2021
この中で、ついに超大国のアメリカがテーパリングをすることになる。世界の金融システムへの影響も甚大なものになりそうだ。
まあ、アメリカがのテーパリングで、すぐに経済・金融システムが崩壊するかと言うと、そうはならないだろう。
QE(造幣による債権買い)では、金融市場に資金供給するとともに、中央銀行が国債を大量購入することで金利を抑えている。つまり、FRBの代わりに誰かが資金供給と国債購入をすればいいからだ。
その誰かというのは・・多分、テーパリングを言わない日銀だ。
FRBは、2014年にも資産買い入れ制限や満期償還した米国債を買い戻さないなど、金融市場から資金回収してFRBの保有資産を減らすテーパリング・量的引締に舵を切ったが、これにタイミングを合わせたかのようにサプライズ黒田バズーカ(日銀の追加金融緩和)が炸裂した。
こうした過去を踏まえると、今回のFRBテーパリングのケツ拭きを日本がや(らされ)るのは間違いない。
既にかなりの円安が進行しているが・・大人の皆様が円売りを先取りしてんのか?
いずれにせよ、日本人が生み出した富は国内に留まらずにアメリカの金融市場へと流出する流れは加速する・・・日本のデフレ傾向も当分続きそうだ。
ただ、デフレが続くとは言え、コストプッシュインフレを前にすれば、あのイオンさんですら苦しいようで、わざわざ「年内はトップバリュ製品の値上げしない宣言」をしている。
食品値上げ相次ぐ中 イオン「トップバリュ」で価格維持|BIGLOBEニュース https://t.co/hI6JCYtGb4
対象となるのは、イオンのプライベートブランド「トップバリュ」のおよそ3000品目で、年内は価格を据え置く。 pic.twitter.com/JZSEesKeQZ
— BIGLOBEニュース (@shunkannews) September 13, 2021
このイオンさんの苦労が平和ボケ気味な日本人さんに伝わっているかどうかは分からんが、マーケット参加者や製造販売に携わるの多くの人々がインフレ長期化を懸念しているのは間違いない。
🇺🇸企業の悲鳴
供給制約(人手・材料不足、物流遅延)が深刻化・長期化しています。きょう発表のISM指数、サービス業のコメントを読むと状況が伝わります(スライド2枚目には先週発表の製造業も)。問題が年内に収まる様子はなく、経済活動の制約し、インフレ圧力がかかり続けそうです pic.twitter.com/lfFcUB1cd9— 後藤達也(日本経済新聞) (@goto_nikkei) October 5, 2021
日本がFRBの代わりにQEを続ければ、その富は欧米へと流れるのでデフレは継続するものの、コストプッシュ分はインフレする。まあ、アメリカと比べるとインフレは緩やか・・位になるのかもしれん。
いずれにせよ、QEを続ける日本には世界から資金が流入し、一時的なバブル模様となるかもしれないので悪いことばかりではないだろう。
ただ、バブル&インフレで日銀QEが止まれば、国債売り&金利上昇・物価高&景気減速(スタグフレーション)・株価暴落・日銀債務超過・怒涛の円売り・・等によって日本デフォルトになりそうなのは、これまでに何度か紹介したとおりだ。
遅かれ早かれ、金融システム崩壊と共に、ドルの基軸通貨性への信認は揺らぐことになるが、その際には価値の根元たる金(ゴールド)が高騰する。
しかし、金価格上昇はドルの基軸通貨性の揺らぎに繋がりかねないため、「バーゼルⅢで金と仮想通貨は爆上げ そしてドルは崩壊・・世界統一デジタル通貨へ」でも紹介したように、これまではQEマネーで金ETFを売り浴びせて金価格を抑えてきた。(英米による金価格コントロールの終わりと今後の展望)
そう・・インフレでQEが難しくなり、国債が売られ、スタグフレーションで株式は期待出来ず、さらにバーゼルⅢが完全適用される金価格が上がりそうな中で、国債金利と金価格は当分は下げておかないといけない状況となっている。
となると、金(ゴールド)や実体経済に流れ込む資金を、仮想通貨市場に流すしかない。
また、ビットコインは以前にも紹介したように、ビットコインは世界統一デジタル通貨「フェニックス」の広告塔としての役割を与えられているので、このタイミングで火柱上げしても何ら不思議ではない。
SEC(アメリカ証券取引委員会)のゲンスラー委員長やFRBのパウエル議長からも「仮想通貨を禁止するつもりナシ」とのお言葉が出ている。
SEC Chair Gary Gensler says the U.S. won’t follow China’s lead in banning digital tokens https://t.co/0omOkDNgzS
— Bloomberg (@business) October 5, 2021
さらに、ビットコイン先物ETFの承認にも含みをもたせており、仮想通貨市場は期待感マックスの状態になっている。
ビットコイン先物ETF承認への期待感、仮想通貨市場の上昇の背景か https://t.co/U2hF67c4su
— コインテレグラフジャパン(Cointelegraph Japan) (@JpCointelegraph) October 7, 2021
うーむ・・やはり、仮想通貨への資金誘導が目的なのか。確かに、ビットコインは高値更新や年内10万ドル到達が市場のコンセンサスになりつつあるようだ(期待)。以下はビットコイン/ドルの日足チャートだ。
値動きが大きくてエントリータイミングが測りにくいのは確かだが、ATH(All Time High)を狙う位置で極めて強い上昇トレンドに入ったことは間違いない。
やはり、これからはビットコインか・・。
ただ、繰り返すが、ビットコインは世界統一デジタル通貨フェニックスの広告塔に過ぎない。フェニックスの準備が整えば、ドルや円などのフィアット通貨とともに滅びる運命にある。
なお、謎のツイッターアカウントのれうういさんも、ビットコインについてこのような見解をお持ちだ。
ビットコインとは、世界政府が、最終的には、世界中の人々を金融奴隷制度の下で強固に管理するため、キャッシュレス社会に向けて人々を事前に訓練するための道具として使われており、これは政府の心理作戦の一環に過ぎない
とか、
ビットコインとブロックチェーンを最初に発明したのは、米・国家安全保障局なのはご存知でしょうか
ナカモトサトシ
なんて人は元々いない。
・・・ビットコインはデジタル通貨へと移行するための布石か。
となると、もっともっとビットコインが一般に普及しないといけないので、さらなる火柱上げが連発しそうだな!
この段階までくると、ロックステップ計画の最終局面が見えてくる。
つまり、
- 食料・ガスなどは不足するため、許可制で最低限の買い物しか出来ないようにする。
- そして、更にロックダウンを強化・長期化(6ヶ月以上)して、世界的に経済を崩壊させて食糧危機を発生させる
。
とか、
- その後の新たな経済システムの根幹として、マイクロソフト特許番号06060
6の身体活動のデータを使った暗号通貨を使用する。 - 基本的に我々に従わないと、クレジットスコアを失い生活に必要なものも得られなくなる。新世界秩序にようこそ。
の辺りが現実に見えてくる。
この中でも、食糧・エネルギー自給率の低い日本は危機的状況になるかもしれない。しかも、怒涛の円安と世界的インフレのダブルパンチを食らえば、かなりの物資不足となる可能性も。何とか凌ぎたいものだが・・。
今回もまたダラダラ書いてしまったが、まとめると・・・
- 世界的に進む(意図的な)コストプッシュインフレで、金融緩和は強制終了
- QEを続ける日本に資金が流れ込むかも
- 金価格を抑えるために仮想通貨を上昇させる
- 最後は金融崩壊し、極度の物資不足になるかも。
- その後は、世界統一デジタル通貨へ
最後まで読んでくれてありがとう!