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ロシアへの金融制裁はグレートリセットの始まり!?

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ロシアのウクライナ侵攻に対して、欧米諸国は切り札と言われてきた「SWIFTからの締め出し」制裁を発動させた。

ロシア一部銀行をSWIFTから排除し、さらに欧州やアメリカにあるロシア中銀の保有資産を凍結するとか。

SWIFTからの締め出しやロシア中央銀行を対象とした金融制裁により、ロシアが金融危機の様相を呈してきたことをブルームバーグが報じている。

ブルームバーグさんによると、ロシア中銀の外貨準備高は6400億ドルと言われ、世界第5位の規模を誇っているものの、その半分強は欧米諸国に置かれていたとか。

そして、中銀の海外資産が凍結されたことで、その外貨資産の半分近くが実質的に失われてしまい、ルーブル安への為替介入(=外貨調達)や金融機関への資金注入等の支援が難しくなった。

これは、現在の「ロシア金融危機」的な状況に対して、中銀が対応能力を喪失したことを意味しており、先行きはかなり厳しそうだ。

金融危機に対して丸腰のロシア中銀の状況や、SWIFTから締め出して国際送金の道が断たれるなど、かなり厳しい金融制裁を前にロシアルーブルは大幅安の展開となっている。以下はルーブルUSDの日足チャート。

20220302ルーブル日足チャート

制裁が発表された初日には、対ドルレートで2割以上も下げる怒涛の展開となっており、ロシア政府は政策金利を9.5→20%に引き上げる苦しい対応に。

潤沢な外貨資金を活用した為替介入が封じられたため、高金利により預金流出やルーブル安を阻止しようとする受け身の展開となっているが、3月1日以降は大幅下落せずに留まっている。

ブルームバーグさんによると、政策金利のほかにも、外国人による証券売却を禁止して「ロシア資産投げ売り」を阻止しているほか、企業の外貨を強制売却(放出)させて国内に外貨を供給しているとか。

また、ロシア国民も国外への外貨送金が禁止されているようで、国を上げて(と言うか企業と国民は強制的に)外貨不足に陥るのをくい止めようとしている様子が伺える。

だが、いずれも消極的な防衛措置であり、積極的な介入を封じられたという点において、中銀制裁はかなりキツい。

このような強烈な金融制裁を受けたロシアでは、事前に予想されたとおり「バンクラン」が起こっており、ロシア大手銀行の欧州法人では、預金引き出しが不可能になりつつあるとか。

ロシア大手銀行のズベルバンク欧州部門で、預金の大量流出に伴いバランスシートが毀損し、流動性が逼迫していることを受けて、ECB(欧州中央銀行)は「破綻しちゃうかも・・」としている。

また、ロシア国内では預金引き出しが困難になりつつあるとか。

ただ、取り付け騒ぎにはなっていないとの情報もあり、状況は良く分からないが、ロシア中銀はルーブルは潤沢に供給しているようだ。

このほかにも、欧米企業がロシアから先を争うように逃げ出し始めた。

このほか、航空大手のボーイングはモスクワオフィスを一時閉鎖、ロシア航空会社への部品供給やメンテナンス等のサポートを中断するほか、アップルはiPhoneなど全製品の販売を中止、エクソンモービルもロシア事業を停止するとか・・もうしっちゃかめっちゃかだ。

ルーブル建てで利益を確保しても、ドルに換金したら利益がぶっ飛ぶレベルで為替が動いているから仕方ない。

企業も逃げ出すロシアは、金融危機からのデフォルト待ったなし・・かと思ったが、フタを開けてみれば、EUの対ロシア金融制裁はロシアの最大手銀行やエネルギー関連は除外されることになったとか。

ロシア最大手の国営銀行「ズベルバンク」や国営天然ガス企業のガスプロム傘下「ガスプロムバンク」は対象外となる。

元々、制裁対象は「一部のロシア金融機関」となっており、EU内で揉めてる様子が見てとれたが、ドイツやイタリアなどロシアの天然ガスを必要とする国々に配慮した形となった。

先日の「長期化しそうなロシア侵攻にバチカンが動き出した」でも紹介したように、ロシアからウクライナ経由の天然ガスパイプラインの流量がロシア侵攻から急増している。

実のところ、「反ロシア」を旗印にしていたウクライナの歴代政権は、自国内を通過する天然ガスパイプラインをロシアが利用することを好まず、停止をチラつかせるなど安定的な利用が難しくなっていた。

そのため、ドイツはロシアと協力してノルドストリームを作るハメになったワケだが、今回のロシアのウクライナ侵攻により解決した点において、EUは本気で「サンキュー、プーチン○!」と思ってるだろう。

ノルドストリーム2の事業会社が破綻するような報道があったが・・

ウクライナ経済のパイプラインが安定稼働していれば、ノルドストリーム2は不要というドイツ・ロシアの意思表示だろうか。

この抜け道制裁からは、EUの「仕方なくアメリカに付き合っている」姿が透けて見える。

ただ、ロシア第2位のVTBバンクはじめ多くのロシア大手銀行がSWIFTから締め出されることは間違いなく、決済が滞るなどの影響は甚大であり、舵取りの間違い一つでロシア経済は崩壊する可能性はある・・と思う。

しかし、国際金融資本の超大物JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOさんは、わざわざ抜け道の存在を指摘する。

ダイモン御大曰く、SWIFTとは単なる決済ツールであり、SWIFTからの締め出しは決済そのものを禁止するものではないので、他のツール使えば「回避余裕よ」としている。

先日も紹介したように、2014年のクリミア併合時にもSWIFT締め出しをチラつかされたロシアでは、SPFS(System for Transfer of Financial Messages)という送金システムを構築しており、国内と近隣の親ロシア国の400行が参加している。

このほか、相互通貨での直接取引も行われており、当然ながらSWIFTを介していない。

さらに、中国のCIPS(Cross-Border Interbank Payment System)に至っては、世界88か国、450の銀行が参加しており、参加銀行数第3位の台湾を通じて西側諸国→中国→ロシアとガッチリつながっている。

中国がCIPSからロシアを締め出さない限り、JPモルガンのダイモン御大さんの言うように、回避ツールは多く存在する。

実のところ、わざわざ国際金融資本の大物が「回避余裕」を言い出したことや、EUが中途半端な規制に留めたことと合わせ、一つのシナリオが見えてくる。

ロシアを完全にSWIFTから除外すると、決算の混乱の中でロシアは潰れ、さらにEUやアメリカへの影響も甚大なものとなる。

だが、中途半端規制でロシアの最大手銀行やエネルギー関連に抜け道を作れば、決算の混乱をある程度緩和しつつ、その間にSPSFやCIPSへの移行を図ることが可能だ。

結局のところ、送金システムの価値とはどれだけ多くの銀行が参加しているかに依存するので、今回のロシアへの金融制裁を機に、SWIFT以外の送金システムが使われる流れが加速し、ドルやSWIFTの地位そのものが脅かされる可能性がある。

国際決済におけるSWIFTの優位性とは、ドルの優位性であると共にアメリカの影響力ともなっているが、資源大国ロシアへの金融制裁は、原油や天然ガス等の供給が滞ることになり、欧米諸国はじめ世界中が多大な損失を被ることになる。

結局のところ、ロシアへの金融制裁は中国のCIPSなど代替決済システムへの分散化を招き、SWIFTや米ドルの優位性を損なう可能性が指摘されている。

なお、ロシアは北京冬季五輪直前に中国との間で天然ガス買い取りなど合意しており、今日の事態も想定済みだったことが伺え、制裁で困るのは欧米諸国・・ということにもなりかねない。

実際にコモディティ価格は暴騰しており、ロシアのSWIFT排除のインパクトは極めて強い。

これは原油の日足チャートだが・・・

20220302原油日足チャート

なんと、110ドルに迫る勢いとなっている。直近でこの水準だったのは2014年頃だったので、実に8年ぶり高値と言える。

今年の年明けごろから、全ての移動平均がGCするパーフェクトオーダーを形成し、強い上昇トレンドとなっていたところだが、ロシアのウクライナ侵攻を受けて100ドルの壁をぶち破って上昇している。

次は小麦の日足チャートを見てみると・・・

20220302小麦日足チャート

こちらは、ウクライナ情勢が緊迫化しつつあった2月下旬頃から急激に上昇を開始し、あっと言う間に1000ドルの大台を突破した。ちなみに、昨年同時期は650ドルだったので、軽く1.5倍になっている。

ロシアは世界の小麦の11%を占めているし、ウクライナも穀倉地帯なので・・仕方ないか。ところで、カップヌードルは2割くらい値上げするが、円安と合わせて2割の値上げじゃ全く足りないことが分かる。

そして、このインパクトの強さ故に、ロシアのエネルギー資源や小麦、さらにはレアメタルが必要な企業は中国のCIPSやロシアのSPFSへと流れていかざるを得なくなる。

そうなると、長期的な制裁効果は限定的なものとなるだけでなく、ドルの信任低下や基軸通貨性の毀損に至るなど超絶大ブーメランとなりかねない。

アメリカの顔色を気にするEUは、直ぐにはSWIFTから乗り換えないだろうが、気がついたらCIPS決済がほとんどでした・・なんてこともあり得ない話ではないし、CIPS参加銀行数1位の日本もひっそりと乗り換える展開もあり得る。

決済システム多様化の流れで、もう一つ外せないのがビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)だ。

以前に「ウクライナ情勢 アメリカ覇権の撤退とロシアのやる気が見えてきた」で紹介したように、ウクライナ情勢が緊迫化しつつあった2月初頭に、ビットコインに否定的だったロシアが、銀行によるビットコイン販売や取引所運営を認めるべきとの方向に舵を切った。

また、2月25日には、CNNもビットコインで金融制裁回避可能と報じている。

確かに、ビットコインなどの仮想通貨を使えば、SWIFTどころかCIPSすら使うことなく送金可能だ。通貨によっては、送金速度も速く手数料も安い。

ヨーロッパ各国が先陣切ることはないだろうが、反米諸国がロシアから資源・食糧を購入するのにビットコイン使うと発表する展開はあり得る。

仮に、戦争になったとしてもビットコインは普通に使えました、なんてことになれば・・金(ゴールド)のような価値の保存機能に決済機能が加わった「究極のリスクヘッジ資産」となる。

そうなれば、自国通貨の信用の低い国からビットコインに傾倒する流れが起こるかもしれない。

実のところ、既にビットコインはじめ仮想通貨市場は大きく値上がりしている。

20220302ビットコイン日足チャート

ここ最近は、ベアトレンドで元気なかったビットコインだが、2月28日には1日で5400ドルも火柱上げした。

ただ、チャートとしては強気に転換しつつあるものの、まだ45000ドル手前のレジスタンスを超えていない。この辺りを超えると、50000ドル辺りまでは早そうだ。乗り遅れた人は、45000ドルを超えるかを見極めてエントリーするといいかもしれない。

話が逸れたが、ブルームバーグさんによると、アメリカも仮想通貨を活用した制裁回避は念頭にあるようで、仮想通貨取引所に協力を要請しているとのことだが、世界中の取引所やウォレット全てを潰すことは不可能だ。

特に仮想通貨大国のロシアで大幅なルーブル安となっているため、貿易決済での仮想通貨使用は当然浮上してくるし、資産保全したい富裕層を中心に仮想通貨に流れていく可能性も充分想定される。

今起こっていることは、「バーゼルⅢで金と仮想通貨は爆上げ そしてドルは崩壊・・世界統一デジタル通貨へ」で紹介したように、根元的価値を持つ金(ゴールド)への資金流入を防ぎ、将来的にデジタル通貨にスムーズに移行するため、ビットコインなど仮想通貨をデジタル通貨の広告塔とする流れの一つとも考えられる。

さらに、ここにきてロシアはルーブル建て国債を保有する外国人への利払いしない「テクニカルデフォルト」を行使する。

ロシア中銀曰く「金融の安定を支えるのが目的」としており、外国人が保有する3兆円ほどの国債に対して、カネはあるけど利払いしない「テクニカルデフォルト(意図的なデフォルト)」を選択するとか。

1998年のロシア危機を彷彿とさせる状況だが、当時とは異なり、今の資源価格はめちゃくちゃ高く、さらにロシア財政も健全だ。

この点から、このテクニカル・デフォルトはロシアから欧米に対する金融制裁への報復措置(金融戦争)と見ることが出来るかもしれない。

ちなみに、ロシア危機の時は他のエマージングマーケットも大幅に下落し、LTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント)はじめ、ロシア資源を食い物にしていた多くのファンド勢が散っていったが、現在のデリバティブ市場は当時とは比にならないほど巨大だし、「CLOが日本に集中!次の金融危機は日本発か!?」などの爆弾もアチコチに仕掛けられている。

また、タイミングが悪いことに、アメリカは物流混乱などに起因するインフレを受けて、金融引締めへと転換するところだが・・・果たして3兆円規模のデフォルトを吸収できるものなのか。

このように、ロシアへの金融制裁全体を見ると・・

  • SWIFT以外の決済システム(CIPS等)が使われるようになり、ドルの影響力(信頼性)が低下する可能性
  • 仮想通貨が戦争当事国の貿易決済に使われるなど、究極のヘッジ資産として価値が高まる可能性
  • ロシアのテクニカルデフォルトの影響が非常に懸念される

という欧米にとって大ブーメランとなる危険性をはらんでいることが分かる。

また、Dr.苫米地氏は「グレートリセット」に向かって突き進んでいるのではないかと指摘する。

ロシアのウクライナ侵攻はシナリオありきの「茶番劇」であることを踏まえると、その最終目的がグレートリセットである可能性は否定できない。

そして、このイルミナティカードが頭をよぎる。

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円がドルやポンドを飲み込んでいくこのカード。

近い将来、ドルやポンドが凋落して日本円が生き残ることになれば、日本に資金が集中することになる。前々から言われていた「日本バブル」が近いことを予期させる。(アメリカは金融市場を暴落させ、日中はバブルになる

もしかしたら、今こそが仕込み時かもしれんぞ!Buy The Dip!!


最後まで読んでくれてありがとう!