この1週間ほど、イラン国内の様々な施設で火災や爆発が相次いで発生している。
6月26日には、首都テヘラン近くのミサイル用の液体燃料製造施設で爆発が発生した。当初、イランの当局は民間施設としていたが、衛星写真分析の結果ミサイル製造施設と判明したものだ。
同日、シラーズの発電所で火災が発生した。
6月30日には、首都テヘラン北部の医療施設で19人が死亡する爆発事故が発生した。
7月2日には、ナタンズの核関連施設(遠心分離機の製造施設?)で爆発・火災が発生した。イラン当局は「サイバー攻撃」を受けた可能性と「反撃」をほのめかした。
7月3日、シラーズの発電施設で火災及び停電が発生。
7月4日、イラン南西部のアフワーズの発電所での爆発・火災が発生。さらに、カランの石油化学プラントでの塩素ガス漏れも発生。
うーん、いくらなんでもちょっと続きすぎだろ。しかも、結構重要な施設での爆発・火災だ。これはいかにも胡散臭い。
6月30日のテヘラン北部の医療施設での爆発についての詳細は以下のニュースソースで。
【イラン首都で爆発 19人死亡】https://t.co/bq17UUsTkW
イランの首都テヘラン北部の診療所で6月30日、大きな爆発が発生し、少なくとも19人が死亡した。消防当局は、診療所の地下にあるガスボンベが引火したことで爆発が起きたとの見方を示した。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) July 1, 2020
現場の写真を見ると、まるで爆撃でもされたかのような状況だ。医療施設の地下にあったガスボンベに引火したとは思えないが…。
ちなみに、ネットに落ちていた映像を見ると爆発している様子が確認できる。
その他の爆発事故(事件?)も含め、イランの状況については以下の産経の解説が詳しい。
イラン原子力庁「核関連施設で火災」 サイバー攻撃や破壊工作の観測https://t.co/Mxbrfuv47R
イランでは6月、パルチン軍事基地の近くでも大きな爆発があり、国防省は「民間の施設」で起きたと述べた。しかし、米紙は専門家が衛星写真を分析した結果、ミサイル製造施設で起きたと報じた。
— 産経ニュース (@Sankei_news) July 6, 2020
これら一連の爆発・火災事故について、イスラエルが奇妙な声明を出しているのが報じられた。
以下はアラブニュースジャパンからだ。
イスラエル、イランの核施設の事故のすべてに「必ずしも」裏があるわけではないと述べる
エルサレム:ナタンズの核関連施設での火事を受け、一部のイラン当局者はこれをサボタージュ攻撃によるものだと述べたことに対し、イスラエルの国防大臣は7月6日、イランで起こる謎の事故のすべてに「必ずしも」裏があるわけではないと述べた。
この地域で唯一の核保有国であると見なされているイスラエルは、イランがイスラエルを攻撃すると主張していることから、イランが核兵器を入手することを決して許さないと誓っている。イランはこれまでに核兵器を得ようとしたことはないと否定し、イランの核開発計画は平和的なものだと語った。
7月2日に1階建ての建物が部分的に焼失したナタンズの地下施設は、イランのウラン濃縮プログラムの中心的な役割を果たしており、国連の核監視機関である国際原子力機関の査察対象となっている。
イスラエルの国防大臣ベニー・ガンツ氏は、イランの核関連施設での「謎の爆発」についてイスラエルと関係があるのか尋ねられたところ、「イランで起きる事故のすべてに必ずしもイラスラエルが関係しているわけではありません」と述べた。
「核関連施設のすべてのシステムは複雑であり、非常に高い安全制約があります。イランが常にそれを維持できているのかどうかはわかりません」とガンツ氏はイスラエルのラジオに語った。
3人のイラン当局者はロイター通信に対し、サボタージュ攻撃がナタンズの事故に関係していると考えられると語ったが、その証拠は示さなかった。2人はイスラエルがその背後にいる可能性があると述べた。
以下略
イスラエルの国防大臣の言葉が「イランで起きる事故のすべてに必ずしもイラスラエルが関係しているわけではありません」か・・・。
イラン国内の事故のうち、何割かはイスラエルがやってますって感じの回答だ。奇妙というよりは微妙な声明だった。
さて、イラン連続火災・爆発事故が起こった施設のうち、今月2日に起こったナタンズの核関連施設では、ウラン濃縮に必要となる高性能な遠心分離機を開発・製造していたとのこと。
イラン核施設で「重大な被害」 外部の破壊活動との見方https://t.co/SK1pgxuAoK
イラン中部ナタンズの核関連施設で2日に起きた火災について、イラン原子力庁は5日、焼けたのは濃縮ウランを作るための遠心分離機を製造する施設で「重大な被害が出た」と明らかにした。
— 朝日新聞名古屋編集局 (@asahi_nagoya) July 6, 2020
この「攻撃」はイランにとって影響が大きかったようで、イランは報復を表明したぞ。
イラン、核施設へのサイバー攻撃に報復表明 濃縮施設の火災受け https://t.co/fCM6EK7Ssd
— ロイター (@ReutersJapan) July 3, 2020
ちなみに天然ウランには、核分裂を起こさないウラン238が99.3%、核分裂を起こすウラン235が0.7%含まれている。
「ウラン濃縮」とは、天然ウラン中のウラン235の割合を高める技術のことで、核兵器の製造工程とまさに同じだ。この濃縮に必要なのが、高性能な遠心分離機というワケだ。
なお、ウラン235の濃度が20%以下なら「低濃縮ウラン」、それ以上は「高濃縮ウラン」と呼ばれる。
原発で核燃料として使用する場合はウラン235を5%程度まで濃縮する必要があり、核兵器の場合は90%程度まで濃縮する必要があるぞ。
なお、日本でも核燃料程度の濃縮は可能だが、国内で使用する核燃料の7割近くは、アメリカで濃縮することが電力会社に義務づけられている。アメリカ様から濃縮ウランを買う「忖度」やな。
さて、ナタンズの爆発への報復を宣言したところだが、そもそもナタンズの施設は、遠心分離機によるウラン濃縮施設であり、現在では高性能な遠心分離機を建設中の超重要用施設だ。
イランと敵対するイスラエルが爆弾を使って攻撃し、イランは報復を宣言したというのが、妥当な考え方か。いずれにせよ、イランやイスラエルの出方次第で今後、事態は緊迫化する。
この事態について、実は事前に予測されていた。
元キャリア外交官の原田武夫氏と謎のツイッターアカウントのれうういさんだ。
まず、原田武夫氏の予測については、以前にも紹介したとおりだ。
元キャリア外交官の原田武夫氏が、自身のブログで語ってたことのうち「中東に関すること」を考えてみたい。※リンク先のブログは英語です。原田武夫氏が語っていた中東に関することは以下のとおり。 トランプの出した中東和平案にもとづき中東[…]
原田武夫氏が自身のブログで中東戦争について以下のように予測していた。
- トランプの出した中東和平案にもとづき中東地域において戦争がはじまり、原油価格は急騰する。
- この「オイルショック」により、日本経済は「スタグフレーション」となり、日本銀行のQE(量的緩和)は停止
トランプの和平案というのは、エルサレムをイスラエルの不可分の首都と定めたり、違法入植地の存続を認めたりと、ちょっとイスラエル寄り過ぎない?って言う内容で、本当に和平をまとめるつもりは無さそうな案だ。
中東からアメリカの撤退が進み、イラン・ロシアの勢力が拡大する中で、全アラブ人にケンカを売るような和平案をイスラエルが受け入れることは難しい。
なので、少なくとも、イスラエルから中東戦争を仕掛けることは無さそうとした記事を過去に書いた。
元キャリア外交官の原田武夫氏が、自身のブログで語ってたことのうち「中東に関すること」を考えてみたい。※リンク先のブログは全部英語です。言葉が少しおかしいのは機械翻訳なので勘弁してください。参考までに、上記ページで原田武夫氏が警鐘を鳴[…]
ということなので、今回のイランの連続爆発・火災事故の発生(イスラエルが仕掛けた?)に恐れおののいた次第だ。
ここで戦争となると、原油が高騰して日銀QEが停止。金融面の制御を失った日本がデフォルトに至るという、原田武夫氏の予測が的中してしまいそうだ。
次に、ツイッターの謎アカ(れううい)さんの予測だ。
さらに、もっと詳しく。
中東戦争からの第三次世界大戦すか・・・。
中東戦争までは、原田武夫氏と同じ情報源から聞いた話なんだろうか。その先が少し異なっているようだが。
そして、アメリカの著名な予言者ジョセフ・ティテル氏の2020年頭予言の言葉だ。
イランとイスラエル、北朝鮮が問題になる。
ブッシュ政権のときに中東でひとつの国を消し去るようなことをした。
ディープステートはまだ中東を諦めていない。イランに反キリストが生まれてくると数年前に予言した。
イランの新しい若いリーダーが反キリストになる。
イスラエルにとっての脅威になり、2023年にはアメリカにとっても問題になる。(ブルーオーブさんのブログより抜粋)
この予言を読み解くと、アメリカの軍産・国際金融資本勢力(ディープステート)は、中東覇権をまだあきらめていないようだ。
となると、従来と同様に、イスラエルを中心に不安定化を煽ることで、アメリカ覇権を維持し続けることを画策するはずだ。
今回のイラン核施設の爆発事件は、ディープステートに繋がるイスラエル関係者が仕掛けたものなのだろうか。
イランの自制が望まれるばかりだ。
最後まで読んでくれてありがとう!