米俵

新型コロナで各国が農産物を輸出制限!お金で買えない時代になる!?

米俵

新型コロナウイルスの感染拡大により、世界各国で農作物の収穫や加工、物流が滞りつつある。そうした中で、自国の食料を優先するために輸出制限をかける動きが出てきた。

以下は韓国の中央日報からだ。

「4~5月、食料大乱の危機」…ロシア・ベトナム・タイ、穀物輸出を中断(1)

新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)事態が世界的に広がり長期化の兆しを示し始めると、中国では14億人の食料の安全を確認する「食料安全保障」に目が向き始めている。

先月31日、新華社や環球時報など中国メディアは一斉に新型コロナ事態長期化の中で、人類が適切な措置を取らない場合、食料危機を迎える可能性があると強調した国際連合食糧農業機関(FAO)の警告に注目した。

FAOは新型コロナが世界的に蔓延し、労働力不足とサプライチェーンの中断が起きて、一部国家と地域の食料安全を脅かす可能性があると指摘した。コロナが世界の食料供給体系に及ぼす影響を速かに遮断しなければ食料危機を迎える場合があるということだ。

4月や5月に最悪の状況がもたらされる可能性があるFAOは展望した。すでに穀物の物流や家畜の飼育などにおいてさまざまな困難が発生し始め、付加価値が高い農産物の場合は価格上昇が急激に進んでいると指摘した。

米CNN放送は先月25日から3月14日までの1週間、米国の卵販売量が44%急増し、3月初旬以降、卵の卸売価格が180%上昇したと報じた。ウォルマートなど米大型流通業企業は卵など買い占めの可能性がある食品に対しては数量を限定して販売している。

また、世界3大信用評価会社の一つであるフィッチは労働集約的な農業が新型コロナによって大きな打撃を受ける可能性について言及した。パーム油や新鮮肉類を加工する場所では多くの人材が必要で、これに伴って感染の懸念が大きくなり、閉鎖など制限措置を受けることになるためだ。

実際、マレーシア最大のパーム油生産地域では、一部職員が新型コロナ検査で陽性反応を示し、3つの区域の生産活動が中断する事態となった。マレーシアはまた、先月18日から2週間にわたり国家封鎖決定を下したが、これを受けて隣国のシンガポールがざわついた。

マレーシアから供給される各種新鮮農産物のルートが止まることを懸念したためだ。これに対し、シンガポール国民が一時スーパーマーケットに駆けつけて果物や野菜を集中的に購入する現象が起きたりもした。

フィッチはまた、新型コロナの長期化で農産物のサプライチェーンが影響を受ければ、食料を多く輸入している中東各国や韓国、中国、日本など北東アジア3国も比較的深刻な打撃を受けるだろうと指摘した。

世界各国が非常状況に備えて食料輸出を中断していることが大きなリスク要因として挙げられる。実際、カンボジアは5日からコメの輸出を禁止することにした。カンボジアは年間50万トンのコメを輸出している。

記事では、新型コロナの影響で人手が必要な農作業や加工工場、物流の停止により特に食料を輸入に頼っている国々に深刻な影響が出ることを示唆している。

しかも、その時期は早ければ4月~5月・・・え、今!?

なお、同様の記事は日本農業新聞でも取り上げられている。

新型コロナ拡大で食料生産国 自国優先し輸出制限

もっとも、こちらの記事内容は、ロシアが小麦の輸出を制限し始めたことや、西側諸国は輸出制限に否定的という内容だ。欧米諸国を持ち上げてロシアをディスる典型的な日本の新聞記事といった感じ。

また、毎日新聞では、農水省が大丈夫と言っていることを記事にしている。

「在庫はある。宣言出ても食に困ることはない」 江藤農相が表明

江藤拓農相は7日の閣議後記者会見で「コメや小麦も十分在庫がある。食品メーカーも生産を増やしており、食品の供給力、在庫は通常以上にある。緊急事態宣言が出ても消費者が食に困ることはない」と話し、過度な買いだめを行わないよう呼び掛けた。

中略

世界最大の小麦生産国であるロシアは、自国の食料確保のために小麦の輸出制限を表明したが、「ロシアから輸入がないため影響はない」(貿易業務課)という。食品メーカーなどでつくる製粉協会も「パンやパスタなどの原料小麦は不足していない」としている。米国やカナダなどは現時点では農産品の輸出規制を行っていない。

以下略

さりげなくロシアをディスって欧米諸国を持ち上げる論調は、農業新聞と同じだ。

日本農業新聞、毎日新聞ともに要約すると「日本は大丈夫、ロシアうぜー」という内容だ。

だが、中央日報の内容だと、国連食糧農業機関(FAO)は食糧危機となる恐れと4月~5月にそのような事態になることを指摘している。

また、現実に家畜の飼育などについて問題が出てきていることを報じている。

さらに、格付機関フィッチが、食料輸入依存度合の高い中東諸国や日本・中国・韓国などが深刻な影響を受けることを懸念していることも報じられている。

日本のメディアとは、報道の仕方が一線を画しているのは気になるところ。

日本のカロリーベースの自給率は低く、何と37%だ。

日本は山が多いので農地に適した土地が少なく、国土に占める農地の割合は何と12.4%だ。

先進国の中ではアメリカは44.6%、イギリス71.0%、フランス52.7%、ドイツ47.8%など、日本より低いところなどない。実は先進国というのは農業国なのだ。

自国の食料自給というのは、有事には安全保障に直結するわけだからな。当然と言えば当然だ。

ということで、欧米諸国と日本は同じ状況ではない。

日本では食料危機になるかもしれないのだ。不要な食ロスなど無くなれば、多少はマシになるとは思うが。

だが、もし食糧危機といった状況になればお金の価値が変わってくる。

今は、金融資本主義と言うべき状況の中で、CLOなど危険な債券をババ抜きのように右から左に流すだけで年収3000万をもらう証券マンがいる。また、日銀が操作する市場で株を右から左に流すだけで年収10何億円のトレーダーがいる。

彼らは、何も生産していない。中央銀行が際限なくカネを入れて膨らんでいく金融市場で、紙切れを右から左に流しているだけだ。

その一方で、大切な食料を作る農家は、海外との競争・補助金減額によりやっと年収300万だ。

この状況が変わる。ひっくり返る。年収10億円のトレーダーがどれだけ大金を積んでも、年収300万の農家から食料を売ってもらえなくなる。

おカネの価値が変わる。おカネがあっても、モノがなければ何の意味もない。おカネに価値がなくなる。

先の農業新聞の記事では、以下の意見を言っていた。

対策として生産性や効率性ばかりを重視した大規模化中心の政策ではなく、中小農家や条件不利地域農家の経営を支援する足腰の強い日本農業の確立が急務だ。

これは正しい。

アメリカの大規模農家だって、日本以上に補助金漬けだ。そんなアメリカの農家が作った遺伝子組み換え作物を買うために、日本の農家を潰すことがあってはならない。

昨日も紹介したとおり、このパンデミックを昨年から予測していた原田武夫氏は、中世のペスト禍を例に「逃げて生き延びること」や「価値観の転換」を説いている。

新型コロナでは、2割が重症・重篤化してそのうち1/3が死ぬ。食料危機では、年収10億円でも食料を買えなくなる。金持ち・貧乏人の差は関係なくなる。

おカネ中心の金融資本主義はどんどん後退していくのかもしれない。


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