金融危機

【短資金利】日米で起こっている金融危機の密かな進行

金融危機

アメリカ短資市場(レポ市場)での金利高騰

みんなは、9月17日からアメリカの金融市場で事件が発生したことを知っているか?

どんな事件かというと、アメリカの短資市場(レポ市場)の金利が急激に高騰したのだ。

レポ市場とは、資金不足の金融機関に対し、資金に余裕のある金融機関が融資をするための市場だ。資金の融通といっても、数日程度の短期の運転資金を融通し合うための市場だがな。

資金の融通に当たっては、国債などを担保とし、金利はフェデラルファンド(アメリカの銀行がFRB(連邦準備理事会)に預けた際の金利、通称FF金利)と連動しており、現在は1.75%~2%となっている。

なお、9月にアメリカで利下げしたので、レポ市場金利高騰時点では2%~2.25%だったぞ。

なお、このFF金利はよくアメリカが「利下げした」「利上げした」と言われる金利であり、要はFRBが市場に供給する資金量によって、金利をこの範囲にコントロールしますよ、という金利目標だ。

とにかく、そのレポ市場の金利が、9月17日から高騰し始め、一時なんと10%というFF金利を大幅に振り切った高利貸し状態となった。なお、17日にはFF金利も5%まで上昇している。

この金利水準は、超低金利の先進国ではありえないぞ。

金利が高騰しているということは原因が2つ考えられ、
1つ目は融通し合う資金がどこも足りておらず、高い金利を払わないと借りられない状況であること、
2つ目は金融機関同士がお互いにいつ潰れるか分からないなど疑心暗鬼となり、カネを融通し合いたくない状況にあること、が考えられる。

今回がどちらなのかは置くとして、借りたいところにお金が行かない状況があるため、FRBは17日以降なんと11年ぶりに資金介入した。

カネを必要とする金融機関から、担保として国債を受けとり、カネを供給するのだ。連日資金供給は続き、23日までは供給金額に上限額を設けていたものの、24日以降はそれも撤廃した。

FRBからしてみれば「レポ市場にカネが足り無さそうだから介入してみたら、逃げられなくなったでござる」状態だろう。

前回介入した11年前といえば、2008年だ。ベアスターンズやリーマンブラザーズ、メリルリンチ、モルガンスタンレーといった名だたる投資銀行が次々破綻、身売りしたあの金融危機の時であった。

今回の金利急騰の原因としてロイターが報ずるところでは、JPモルガンなどがFRBへの準備額を圧縮したことに加え、法人税の納付や米国債発行など資金需要が増加したことが原因とのことだが、そんな当たり前のことでいちいち金利高騰してたらマズくないか?というか何かおかしくないか?

国債ついでに、実はアメリカでは米国債の売れ行きが好調だ。

米財務省、期間50年や100年の超長期債の発行再検討-金利急低下受け

今週、米国の30年債利回りが史上最低を記録したのを受け、米政府はさらに長期の借り入れを開始する是非を再び検討し始めた。

米財務省は16日、償還期間が現行で最長の30年よりも長い50年ないし100年の債券を発行する可能性について、投資家の意見を聞く意向を明らかにした。同省は超長期債に関して決定をまだ下していないと強調し、「市場の投資意欲に関する理解を新たにしたい」と説明した。2017年にもこの案は浮上したが、市場の受け止めはさほど温かくなかったため棚上げされていた。

あまりに好調なので、50年や100年ものの国債も発行しようかと調子にのっている状況だ。

だが待って欲しい。アメリカ国債がすごい売れているってことは、要は金融機関がそれを大量に買っていて、んで短期的に資金不足になっているんじゃないのか!?

しかも、金融機関が買い込んだ米国債をFRBが買い取っている。ん?おかしくないか?

アメリカ政府が財政赤字で、国債を発行する。国債は金融機関が買って政府にお金が入る。金融機関が買った国債は通貨発行権があるFRBがドルを刷って買い取る・・・。

短縮すると、アメリカ政府が発行した国債は、ドルを刷って消化する。

国債って政府の借金だよな・・・。

確か、QEという政策でFRBが国債買い取って市場にドルを供給していたような…。

ということで、QEとは明言されていないが、事実上アメリカはQEを再開したとみていいだろうな!金利も下げているしな。

ちなみに、9月の利下げは2019年7月に続いて2度目だが、そもそも7月の利下げが2008年12月以来10年7か月ぶりだった。

FRBは、リーマンショック前後の大混乱の中で金利を低下させ、国債買入れなど市場に資金供給をしてきたことが不健全であることは自覚していたので、この状態を早くやめるため、2017年9月から金利を上げるとともに国債を市場に放出し、健全化を模索してきていた。

それが、完全に逆戻りだ。金利を下げている分、2008年の再来といってもいい事態だ。かなりヤバイと思った方がいいぞ!

 

 

日本国債でも事件発生

アメリカレポ市場での異常事態は分かってもらえたかな?

そんな中で、日本でも昨日エライニュースが流れてきたぞ!

債券は大幅安、10年入札結果不調受け売り-先物急落で緊急証拠金発動

債券相場は大幅安。日本銀行の国債買い入れオペ運営方針を受けて利回り曲線のスティープ(傾斜)化圧力への警戒感が強まる中、この日実施の10年利付国債入札が不調となったことを受けて売りに拍車が掛かった。

10年物355回債利回りは一時前日比8ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.145%と、8月1日以来の水準まで上昇

新発20年債利回りは一時0.255%、新発30年債利回りは一時0.415%、新発40年債利回りは一時0.485%と、いずれも6月以来の高水準

長期国債先物12月物の終値は88銭安の154円14銭。下げ幅は日中取引の中心限月ベースで2016年8月以来の大きさ。入札結果を受けて一時は97銭安の154円05銭まで急落。日本証券クリアリング機構は午後に先物取引の緊急取引証拠金発動

市場関係者の見方

SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジスト

10年債入札は日銀オペ運営方針の心理的なインパクトが大きく、想定以上に流れた

10月のオペ方針で買い入れ回数の変更があり得ると明記されたことで、1回分の買い入れがスキップされるリスクを警戒

年度下期最初の入札がこのような結果となり、少なくとも今月末の決定会合まではボラティリティーの高い状況が続くイメージ。安心して買っていくというわけにはなかなかいかない

10年債入札

最低落札価格は102円33銭と、ブルームバーグがまとめた市場予想の102円64銭を大幅に下回る

投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.42倍と2016年8月以来の低水準

小さければ好調を示すテール(最低と平均落札価格の差)は29銭と15年3月以来の大きさ

日銀の国債買い入れとは、日銀が市場の金融機関から国債を買うことを言う。言うまでもないが、通貨発行権を持っている日銀が日本円を刷って国債を買うのだ。

この買い入れ量を日銀が減らそっかなぁと言っているのだ。

ん?これっておかしくないか?

日本政府がカネが足りんと言って国債を発行、金融機関が買っておカネは政府へ。その国債は日銀が日本円を刷って金融機関から買う。

短縮すると、政府が国債発行したら、日銀がカネ刷って消化する。

アメリカと一緒やったぁぁ。

基本的に国債の中央銀行引き受けは、禁じ手だ。おカネを刷るだけで国債を際限なく発行できてしまい、政府にとっては打ち出の小づちと同様だが、なんの裏付けもないおカネが大量に出回るため、おカネの信用が無くなりハイパーインフレが起こると言われている。

アメリカは国債の消化が順調なようだが、日本では日銀が買うのやめよっかなぁ、と言っただけで大暴落だ。

はっきり言って、日本国債は資産として信用されてないぞ。マジで。

今後、金融崩壊はアメリカかヨーロッパからと考えていたが、思いのほか日本の足元も脆いんじゃないかな。

金(ゴールド)の現物に勝るものなし

田中貴金属の金価格推移など見ていると分かるが、金価格は、6月以降急騰している。

6月といえば、FOMCにおいてFRBのパウエル議長が、利下げの可能性について言及したタイミングである。なお、その翌月7月と9月に利下げに踏み切ったのは前述のとおりだ。

ウソか真か分からないが、アメリカの「ゼロヘッジ」というサイトによると、JPモルガンが金相場を不正に操作していた疑惑があるようなことがレポートとして挙がっている。

※英語なのでブラウザの翻訳機能を使って訳してくれ!!

もし、この相場操作が事実とすれば、おそらく金価格が下がる方向に操作しているだろう。

今後、ドルあるいは円、ユーロといったメジャーカレンシーが崩壊するという、過去に例をみない事態となった場合、頼れるのはゴールドしかない。

それも、ETFや積立ではなく、自分の手元に現物を置いておかないと、いざというときに手にすることが出来ない可能性もある。

ということで、ぜひ過去記事を参考にゴールドを買って備えることを検討して欲しいぞ!