新型コロナの感染者が爆発的に増えている中で、世界各地でロックダウン(都市封鎖)が進んでいる。
だが、そんな中で新たな考え方の対策が広がりつつある。
それは「集団免疫の獲得」だ。
以下の記事を見て欲しい。AbemaTimesからだ。
イギリスがPCR検査から戦略転換…大規模実施を目指す「抗体検査」の利点と課題
新型コロナウイルスに3万4000人以上が感染し、約3000人が死亡しているイギリスでは大規模に実施されようとしている「抗体検査」。過去に感染歴があるかを調べるもの、一滴の採血ででき、場合によっては自分でもできるという。
抗体検査は日本でも注目されている。日本医師会の釜萢敏常任理事は1日、「少なくとも抗体が確認されたという時点においては、そのことを把握することによって、特に医療従事者が医療に携わる上で大変役立つ」との見解を示した。一方、釜萢氏は「早期の診断に使えるものではなく、発症してから2週間くらいして抗体のあがりを調べるというもの」と指摘。つまり、発症直後では判定ができないため、抗体検査の導入には至っていないのが実情だ。
関西福祉科学大学教授の勝田吉彰医師は「感染することで、体の中に免疫グロブリンというものができる。これには最初に出るMと、1~2週間経って出るGがある。このGができていることが確認できれば新たにウイルスが入ってきてもやっつけることができるので、理論上は再感染の可能性はないと考えられる。ただし、体の中のウイルスは2週間で終わることが多いが、最大37日間という例外的な報告もあるので、PCR検査で一度陰性になったにもかかわらず再び陽性になったという話が出てくる。また、できた抗体がいつまで有効なのかということが分かっていない。例えば黄熱病、麻疹、風疹といった病気は予防接種をすれば抗体は一生有効だ。しかしインフルエンザの場合、抗体ができたとしても次の年にまた罹ることもある」と説明する。
地元メディアによると、イギリスの保健・社会福祉省は、政府が新型ウイルスの抗体検査キットを350万人分発注したと発表。これまで行われているPCR検査と併せて実施することで、社会活動を再開することができるようになるのではないかという。
また、抗体検査のキットについても「色々な会社のものが試されているが、まだ実用化されていない。確かに感染することで免疫グロブリンというものができる。しかし、それ検査で必ず拾えるかという点で、精度もまだ分からない」とした。その上で勝田医師は「感染していないことを証明するのは“悪魔の証明”で、難しいが、抗体があることを証明することはできる。その意味ではイギリスの考える“免疫証明”合理的だ」とした。
新型コロナウイルスのワクチンが開発されていない状況での最終解決は、「都市封鎖」ではなく「集団免疫の獲得」という考え方だ。
この考え方について、先月(3月)イギリスのボリス・ジョンソン首相が衝撃的な発表をしたのを覚えているだろうか。以下のブルームバーグの記事を見て欲しい。
英国民の6割感染なら「集団免疫」形成と顧問-無神経発言に批判の声
新型コロナウイルスを巡り、英国政府に批判が相次いでいる。対応が他国に比べ緩いうえ、パンデミック(世界的大流行)の犠牲について思慮を欠く発言が続き、批判に拍車がかかった。
政府首席科学顧問のパトリック・バランス氏は13日のインタビューで、国内人口の6割が感染するかもしれないと警告。前日にはジョンソン首相が「もっと多くの」家族が愛する人を失うことになると発言した。複数の政府当局者は、数カ月続くとみられる感染拡大に対して適切な時期に適切な対応を確実にすることを狙ったアプローチだと説明している。
急速な感染拡大に対して欧州各国が学校閉鎖など積極的な措置に踏み切る一方、英国はその対応の仕方から異端児扱いされる恐れがある。エジンバラ大学のデビ・シュリダール教授(世界公衆衛生学)は電話で、「英国はあまり迅速に手を打っていないのではないかと非常に不安だ」と指摘。「スピードが肝心だ」と続けた。
首席顧問のバランス氏は当局者がウイルス感染を「完全に抑え込むのではなく」、ピークの水準を抑え、平たん化しようとしていると述べ、英国のアプローチを擁護。国民の60%が感染すれば、ある程度の「集団免疫」形成に役立つだろうと語った。
以下略
この記事で紹介しているイギリスの対応を簡単に言うと、イギリス国民の60%が感染するのは避けられないが、それだけ感染すると大体みんなが免疫を持つようになる。
そうなると、免疫を持っていない人が少数派となり、新型コロナウイルスは新たに感染する先を見つけられなくなる。
こうして、「免疫の壁」に阻まれて感染を拡大することが難しくなり、ウイルス危機が下火になるというものだ
約100年前(1918~19年)の「スペイン風邪(インフルエンザ)パンデミック」では、当時の世界人口の約3割(5億人)が感染し、5千万人〜1億人が死亡した。
このスペイン風邪(インフルエンザ)が終息したのは、世界のほとんどの人が感染して「免疫の壁」が完成したからだった。
なので、イギリスでは「健康な若年層」を感染させて抗体を作らせる一方で、「高齢者・持病持ち」は集団免疫が感染するまで隔離するという考え方を発表した。
方法論としてはおそらく正しいが、あまりにブッ飛んだ話だったので大批判を受けて撤回し、今では通常のロックダウン対応となっている。
だが、冒頭に紹介したようにイギリスでPCRと並行して抗体検査をやるというのは、免疫を持った人をなるべく多く社会に出して、ウイルスが感染できない社会を構築しようとする意志の表れだ。
また、ドイツでもアンゲラ・メルケル首相が、約2年かけて国民の60%以上が感染する旨を発表しているし、アメリカ・トランプ大統領も、今後10万~24万人が死ぬという予測をだした。
ドイツ・アメリカの発表は、単に悲観的になっているのではなく、集団免疫の獲得による「免疫の壁」作戦を念頭に置いた発言と思われる。
だが、「免疫の壁」作戦にも問題は多い。
若年層は発症しないか、発症しても軽症と言われているものの、重篤化する事例もあり中には死亡する人もいる。誰が重篤化するのか事前に分からないので、ロシアンルーレットになる。
また、集団免疫の獲得過程では、重症・重篤患者の増加による医療崩壊も懸念される。
さらに、この新型コロナの抗体がどの程度維持されるのかは分かっていない。一度陰性となった人が、短期間に再び陽性となる事例もあり、感染しても十分な抗体が出来ないか維持されない恐れもある。
何より、集団免疫の獲得には2年近くの時間がかかる。それまで、医療崩壊を起こさない程度の感染にとどめる必要があり、基本的にはロックダウン(都市封鎖)と併用する必要がある。
ただ、ロックダウン(都市封鎖)には問題も多い。
これまでにも見てきたように、ロックダウンはヒト・モノ・カネの移動を制限してしまうため、実体経済が停滞する。航空産業や石油業界など、ただでさえ脆弱な資金体質な業界も多い中で、倒産や社債破綻が相次ぎ、リーマンショックのダメージから回復していない金融市場を崩壊へと追いやる可能性が高い。
中国ですら2ヶ月と続けられなかったロックダウン(都市封鎖)を、2年もやるなど正気の沙汰ではない。
特に、軍産・国際金融資本勢力の手先となっている日本政府は、緊急事態宣言の発動やロックダウンには及び腰だろう。
日本が未だに検査数を増やさずに感染者数の隠蔽路線を取っているのは、暗に「免疫の壁」を構築するための時間稼ぎなのだろうか。
ただ、日本では花見するなと言っても花見に出かけるし、満員電車にも乗ってるし、欧米諸国より日本人の危機意識が低いのは間違いない。
しかし、日本の重症化・重篤化比率が極端に低いことも事実だ。
この免疫の強さについて、真偽のほどは不明だが「BCGワクチン」が効くという話も出てきている。
BCGワクチンは、国ごとに培養されているので遺伝的バラツキが大きいのだが、その中でも日本株とソ連株を接種した人が新型コロナに免疫力を持っているのではないかと言われだした。
イタリアやスペイン、アメリカ(特にニューヨーク)では、敬虔なカトリック信者が多い。
彼らは、ウイルス感染も神の業であり、神の行いに「人が干渉することは許されない」と考える人が多く、当然ながらワクチン接種もしない人が多い。
そして、そうした地域で感染による死亡者が多い。
オーストラリアのマードック・チルドレンズ研究所は、BCGワクチンの有効性を確認するための臨床試験を行うと発表したし、EUでは医療関係者に接種を開始している。
ロックダウン(都市封鎖)を続けられず、集団免疫の獲得にも2年近くかかるなど、打つ手が無くなりつつある欧米諸国は、ついにBCGに頼らざるを得ない状況なのだろうか。
ただ、日本ワクチン学会からは、BCGワクチンの有効性は確認さておらず推奨されないとの見解が出ている。
海外がやる気になっている中で、BCGの話をもみ消そうとする日本の対応には疑問が残る。
まさか、欧米系の製薬会社がワクチンを開発している(既に持っている?)のに、日本のBCGで済んだら欧米系製薬会社が儲からない。日本は高いカネで、たくっさんワクチン買う予定なんだから・・・ってことなのだろうか。
TPPや、金融市場延命のための日銀資金拠出の売国っぷりからは、十分に考えられる話だ。
まあ、本当にBCGに効果が無いのかもしれないが。
最後まで読んでくれてありがとう!