先日より、「ロックフェラー財団の警告 6ヶ月以内に食糧危機が起こる」などで世界的な食糧危機の発生懸念を紹介してきたが、ついに日本でも化学肥料が大幅値上げされることとなった。
JA全農、肥料大幅値上げ 6月から…ロシア侵攻影響https://t.co/9Voo3jkkh4
前期(昨年11月~今年5月)に比べ最大94%値上げすると発表した。輸入の尿素を94%、塩化カリウムは80%、複数成分を組み合わせた「高度化成肥料」は55%それぞれ引き上げ、いずれも過去最高となる
— 産経ニュース (@Sankei_news) May 31, 2022
6月からJA全農さんは化学肥料を大幅値上げするとか。
世界的な肥料価格上昇は昨年より報じられていたものの、ついに日本でも大幅値上げが大々的に報じられたことで否が応でも食糧危機の波を感じることとなった。
化学肥料のうち、窒素・カリウム・リンを3大化学肥料としているが、特に値上がったのが尿素(窒素)で94%、カリウムは80%と約2倍となった。
一般的な農家さんの経費に占める肥料の割合はおよそ1割弱となので、2倍近くに値上がる影響はかなり大きいことが伺える。
肥料価格を上げた理由については、JA全農さんのWebサイトに詳しく載っているが、ざっと見ると・・
- 中国の輸出制限
- ロシア制裁による輸出停滞
- アンモニア原料となる原油・天然ガス価格の高騰
- 船賃高騰による海上輸送コストの上昇
- 円安
が原因のようで、肥料価格が高騰している背景にはコスト高以外に「化学肥料不足」があることが伺え、過去に紹介した農家さんの指摘していた通りだ。(コロナとウクライナ危機による物価上昇、そして食糧危機)
ちなみに、JA高知さんが3大肥料の輸入元をPDFで公開している。
これを見ると、尿素(窒素)の3割とリンの大半を中国から、カリウムはロシア・ベラルーシから4分の1を輸入していることが分かる。
なお、カリウムの全量を輸入に頼る日本では6月から80%値上げとなっているが、そんなカリウムの最大生産国はロシアであり、制裁の影響によってロシア・ベラルーシ産の輸入がゼロになっているとか。
ロシア産肥料原料、輸入ゼロ - ベラルーシ産も代替先探るhttps://t.co/elUgjrXuiX
— 共同通信公式 (@kyodo_official) April 21, 2022
日本や欧米諸国はロシア制裁に熱心なので、ロシア・ベラルーシ以外からカリウムを調達するしかない。
日本では6割を頼るカナダ産カリウムの輸入を増やそうとしているが、欧米諸国と争奪戦となっているようで、6月以降の8割値上げとなっている。
欧米陣営内での争奪戦という笑えない事態となっており、資源国に対する経済制裁は逆制裁になる見本となっている。
イギリスのガーディアン紙も、ロシアが経済戦争に勝利していることを認めてしまった。
Russia is winning the economic war – and Putin is no closer to withdrawing troops | Larry Elliott https://t.co/VncVSCZvvt
— The Guardian (@guardian) June 2, 2022
ガーディアン紙がこんな記事を出したのも、先日の「ウクライナ情勢の転換と役割を終えたバイデン政権」で紹介した、ダボス会議におけるキッシンジャー発言が背景にはありそうだ。
このほか、リンや窒素肥料は多くを中国に依存しているが、中国は2021年10月より国内優先を理由に輸出規制をしており、思うように入ってこなくなった。仕方なくアフリカ方面から輸入するワケだが、輸送コストは重い。
なお、中国が肥料を自国優先としているのは、二酸化炭素排出量削減を目的に肥料工場を締め上げたことが原因となっており、意図的な肥料不足の演出を感じるところでもある。
ちなみに、中国が規制している尿素は、肥料だけでなくディーゼル車の排ガス浄化剤(アドブルー)にも使われているので、物流・輸送はじめ働く車全般がヤバくなる可能性もある。
このように、世界的な肥料不足の原因は、化学肥料の世界シェアツートップのロシアや中国から肥料が出ないことによるものであり、争奪戦により価格が高騰していることが分かる。
いずれにせよ、状況によってはカネで手に入らなくなる可能性すらも出てきており、「肥料使用量の抑制」と「作付面積の削減」が現実に迫っている状況となっている。
化学肥料が無ければ有機肥料を使えばいいじゃない・・となりそうなものだが、以前のブログ記事で専門家さんの声を紹介したように、化学肥料を完全に代替するものとはならない。
例えば、新鮮な草などを畑に漉き込む緑肥なども、漉き込んだ後はしばらく畑は使えなくなるため、生産効率は著しく低下するし、無肥料では生産量は半減してしまう。
そもそも、1960年以降に世界の食物生産量が急増した「緑の革命」の立役者は化学肥料だ。化学肥料不使用でやれる農家さんも一部にいるが、全体的には化学肥料の存在は必要不可欠と言える。
そして、農業に不可欠な化学肥料の高騰により、「肥料使用量の抑制」「作付面積の削減」となることは容易に予想されることであり、世界の収穫量が著しく低下してしまう懸念が出てきている。
ゼロヘッジさんも、肥料不足により2022年の食物生産量が落ち込む可能性を指摘している。
The Global Fertilizer Shortage Means That Far Less Food Will Be Grown All Over The Planet In 2022 https://t.co/sXn0iYyg5h
— zerohedge (@zerohedge) April 9, 2022
世界的では肥料価格が2~3倍に高騰しているところがあり、そうした国では農家が作付けを減らすor肥料の使用量を減らすため、2022年の収穫量が大きく減少する可能性があるとのことだ。
この件については、「ロックフェラー財団の警告 6ヶ月以内に食糧危機が起こる」で、ロックフェラー財団のラジブ・シャー会長が肥料不足を理由に今年秋頃からの食糧危機を警告(予告?)していることを紹介したように、各方面から指摘されていることでもある。
ただ、それだけでは済まなさそうだ。
ゼロヘッジさんの記事によると、既にアメリカではパスタや卵が品薄になっているようで、価格がリーズナブルなうちに確保することを推奨している。
実のところ、「ロックフェラー財団の警告どおり世界は食糧危機に向かいそう」等で紹介したように、アメリカはじめ世界中で食品工場・倉庫での火災・爆発事故が相次いでおり、アメリカではFBIが食品業界へのサイバー攻撃を警告するような事態となっている。
これが今の食糧供給にどの程度の影響を及ぼしているか不明だが、今の時点で既に食糧が不足気味で、2022年の収穫量も期待できないとなれば、世界的な食糧危機はかなり深刻なものとなりそうだ。
ちなみに、日本でも何故か田植えに合わせて農業用水が次々と使えなくなる事例が出てきている。
【「水をくれ」愛知の漏水 農業被害】https://t.co/HdolzPVlHW
愛知県豊田市の取水施設「明治用水頭首工(とうしゅこう)」の大規模漏水は24日で発生から1週間が経過。農業用水の供給停止は今も続き、県内有数のコメの産地を直撃した。大規模インフラに対する管理のあり方も課題となっている。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) May 25, 2022
農業用水の支障は、大分や熊本、秋田でも発生しているとか。
このため、田植えしたばかりの田んぼに水がはれなかったり、田植えが遅れたために田植え直前の苗が枯れてしまうなどの大きな被害が出ている模様だ。
これで食糧危機となることはないだろうが、肥料不足と合わせて収穫量が激減し、輸入すらままならなくなる・・という暗示なのかもしれない。
さて、ロックフェラー財団は世界的な食糧危機を警告(予告?)しているところだが、あの「ロックフェラー・ロックステップ計画」にも食糧危機を彷彿とさせるような、以下のくだりがあることを思い出したい。
- 食料・ガスなどは不足するため、許可制で最低限の買い物しか出来ないようにする。
- そして、更にロックダウンを強化・長期化(6ヶ月以上)して、世界的に経済を崩壊させて食糧危機を発生させる。
ロックステップ計画については、新型コロナパンデミックで食糧危機を誘発すると思っていたが、現実にはサプライチェーン混乱やウクライナ危機により抑止不能なインフレ&モノ(肥料)不足となっている。
ということで、世界的な食糧危機の発生が懸念される状況にあることは間違いなく、それがロックステップ計画に掲げられたものだろすると、果たして食糧危機を起こす目的は何だろうか。
この点について、ゼロヘッジさんから食糧危機の目的は「UBIの導入」ではないかと指摘する記事が出ている。
ユニバーサル・ベーシックインカム? IMF、各国政府に食料とエネルギーへの補助金を要請 https://t.co/gQt1GSbwSh
— zerohedge jpn (@zerohedgejpn) June 3, 2022
食糧やエネルギー価格高騰を理由に、IMF(世界通貨基金)が各国政府に対して国民への積極的な助成を求める声明を発表したとか。
ただ、国民への現金バラマキは、労働力不足や小売需要の急増からサプライチェーンの問題を誘発し、結果としてインフレ悪化を招くことがコロナ禍のアメリカにおいて実証されている。
つまり、インフレが問題となっている中で、IMFが各国政府に国民への金銭バラマキを求めるハズが無い。
また、食品やエネルギーといった生活必需品への助成は、UBI(ユニバーサル・ベーシック・インカム)と重なるものと言える。
こうした点から、ゼロヘッジさんはIMFの狙いは世界的なUBI導入推進にあるのではないかと指摘している。
なお、ロックステップ計画の最後には
- その後の新たな経済システムの根幹として、マイクロソフト特許番号060606の身体活動のデータを使った暗号通貨を使用する。
- 基本的に我々に従わないと、クレジットスコアを失い生活に必要なものも得られなくなる。新世界秩序にようこそ。
とのくだりがあり、完全管理型のデジタル通貨の導入がうたわれており、まんまUBI導入と言える。
単純なバラマキによりインフレを激化させ、食糧危機と合わせてUBI導入に持っていく・・といった感じだろうか。
なお、バイデン政権はIMF声明に反応したのか、インフレ対策として経済への資金投入を考えているとか。
Biden proposes fighting “Putin inflation” by injecting more money into the economy pic.twitter.com/Br2hwzP0nu
— zerohedge (@zerohedge) June 3, 2022
インフレが誰のせいなのか分からんが、アメリカではバイデン政権がコロナ対策の名の下に行った400兆円もの財政支出が原因とされており、「バイデンフレーション」と命名されている。
ゼロヘッジさんのサイトにこんなグラフが・・・
うーん、やっぱりバイデンフレーションかな。
「ウクライナ情勢の転換と役割を終えたバイデン政権」で、バイデン政権の役割が不可逆的にグレートリセットを開始するものであることを紹介したが・・なかなか良い仕事する政権と言える。
いずれにせよ、UBIの持つ「生活に必須な食い物とエネルギーを国家が国民に与える」という性質から、UBI導入により国民が政府に反抗するのは困難(=政府権力増大)となるため、UBIはグレートリセット後のNWO(新世界秩序)構築に不可欠の要素と言える。
なお、ここでいう「政府」とは、国民国家の政体・政権の上位に位置する超国家的「政府」と考えて欲しい。
そういえば、「いよいよインフレが本格化 そして日本デフォルトとデジタル円」で、デフォルト(金融システムのグレートリセット)後に価値の保存機能を持たない通貨が出てくる可能性を紹介した。
この中で、特にDr.苫米地氏の「半減期通貨」がUBIを念頭に置いたものだったが、今のところ、Dr.苫米地氏の理念には無い「完全管理」というオマケが漏れなく付いてきそうだ。
なお、食糧危機はあと2年は続くとの予測が先日のダボス会議において発表されている。
Davos day 3: Geopolitical and recession worries dominate WEF – live updates https://t.co/WkeKEcO85c
— The Guardian (@guardian) May 25, 2022
ロックフェラー財団は、今年の秋頃から食糧危機となる警告を発していたことを踏まえると、食糧危機の期間は2022年秋頃~2024年秋頃までを予定しているようだ。
2024年の作物を収穫するまで続くと言うことになりそうだが、食物の多くを輸入に頼る日本では、もう少し続くことになるかもしれない。
ゼロヘッジさんの記事にもあったが、リーズナブルに買えるうちに買っといた方が良いかもしんないぞ!
最後まで読んでくれてありがとう!