最後の金融危機

コロナ終わらないのに進むインフレ

最後の金融危機

以前に「インフレと金利上昇が日本の資産バブルを招く」や「日米中銀の金融緩和措置の変更は日本バブルの準備か」で紹介したように、アメリカ国債金利の高騰の背景に、物流の混乱に起因したコストプッシュインフレがある可能性を紹介した。

FF金利は0.25%と変わらないものの、米国債金利は1.6%~1.7%攻防戦となっている。コロナ時に0.5%程度まで下落していたことを思うと、大幅な金利上昇と言える。

ただ、金利自体はコロナ真っ只中の昨年10月頃から上昇していることから、「景気回復期待」とは関係なく「インフレ」を受けての金利上昇と思われる。

そして、このインフレの背景にある「物流混乱」は、収まる気配は今のところ無さそうだ。

ゼロヘッジさんの記事によると、安全性を軽視した無理なコンテナ積込によって、コンテナ船から多くのコンテナが落ちて海の藻屑と消えたとか。

ただでさえ足りてない貴重なコンテナ(と中の荷物)が海の藻屑になっていることに加えて、エジプトのスエズ運河でのタンカー座礁や、半導体工場の相次ぐ火災事故なども重なっており、何者かによって意図的な物流混乱が煽られているようにも思える。

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経済崩壊

さらに、インフレに向けたダメ押しかのように、大豆やトウモロコシなどの穀物や材木の先物市場がアツい。材木は1年間で4倍に高騰した。

チャート(週足)を見ると・・

20210511lumber

2020年3月末頃がボトムで、5~6月頃には上昇トレンドに入っている。コロナ禍真っただ中に、どうしてそんなに木材需要が高まるのか。

さらにトウモロコシ。

20210511corn

こちらも、コロナ禍で世界的に飲食店が閉鎖する中で、2020年9月頃から急上昇を開始している。

このほか、小麦や大豆など穀物類は軒並み爆上げだ。穀物は人間が食べる分だけではなく、飼料用途であったり様々な加工品にも使用されている。

純粋に、食料品全般の価格上昇に繋がっていく。

そして、食料品価格の上昇は既に始まっている。

今後、小麦もお肉も油も何もかも値上がっていく。

こうした中で、欧米諸国では既にアフターコロナを見据えた取り組みが進みだしている。

これまでの行動制限が解除されたり・・・

ノーマスクのクラブ大会みたいなのが企画されたり・・・

この背景にあるのはワクチン接種の進展だが、一方でPCR検査のさじ加減一つでどのようにでもコロナ感染者を増減出来ることを踏まえると、ワクチンを理由にしてコロナ禍からの回復を演出していると見るべきだろう。

こんな演出をしているのは、金利上昇の背景にあるインフレを「景気回復」の名のもとに正当化するためなのかも。

だが、先物市場では、昨年の5月から材木が、9月頃には穀物の上昇が既に始まっていた。これを踏まえると、インフレはコロナによる景気後退とは無関係に進んだと言え、このインフレによって国債金利も上昇してしまった。

しかし、国債金利上昇(=国際価格低下)や、先物の爆上げが放置されているのは何故だろうか。

リーマンショック時に、国債・株式など金融市場の崩壊を防ぐために、中央銀行が造幣によって国債を買いまくるとともに超低金利状況を作り出した。いわゆるQEだ。

このQEは臨時的な措置かと思いきや10年経った今でも継続されているばかりか、コロナで中央銀行の買い入れ資産は加速度的に増加した。つまり、リーマンショック以降、金融機関にとっては無限の資金調達が出来るに等しい状況となっている。

平たく言うと、QE無限資金で先物市場を売り込んで価格を下げたり、国債を買いまくって金利を下げることは造作もないハズだ。

つまり、国債金利の上昇や先物価格の上昇は意図的に放置されていると見るべきで、アフターコロナとか景気回復とか取り繕っているだけだ。

インフレの原因が、本当に景気回復によるものなら「あるべき姿」として放置プレイでいいだろうが・・・

先日の雇用統計のネガティブサプライズが物語るように、まだまだ景気回復していない。あくまで「期待」があるだけだ。

金融機関は、未曾有の金融緩和で資金調達が容易になっている。本当にアフターコロナが見えているなら、超低金利で設備投資等の資金融資する絶好の機会といえる。金融機関の本業だし。

だが、現実には株やビットコイン(仮想通貨)がバブリーなだけで、実体経済への融資は進んでいなさそうだな。やはり、現実には景気回復には程遠い状況っぽい。

コロナ禍の真っただ中でインフレが進み、景気回復してないのに金利だけが上昇しているのは間違いなさそうだ。

つまり・・スタグフレーション!?

しかし、この状況はマズい。

リーマンショックからコロナを経て、FRBの資産は激増した。

2008年のリーマンショック時の資産の増加っぷりと、2020年の増加っぷりを比べると、圧倒的に2020年の方が大きい。

これは、リーマンショック時には金融市場の崩壊を防ぐことが目的だったものの、コロナでは金融市場の崩壊を防ぐことに加え、実体経済の急減速をからのカバー(個人・事業者への直接給付)など、リーマンショック時とは比にならないカネが必要だったためだ。

個人に対して1人1400ドルの給付金などがばら撒かれるなど、実体経済に大量にマネーが投入される。従来のマネーは金融市場に留まっていたが、今回は実体経済にも莫大なマネーがばら撒かれることになるため、インフレ(貨幣価値の希釈)は加速していくだろう。

いずれにせよ、政府は莫大な国債を発行してFRBは莫大な国債を抱えてしまった。

ただ、QEでは大量造幣による資金供給と同時に、国債を大量購入して低金利を実現しているように、このMMT的政策には「超低金利」が大前提だ。もしも国債下落(=金利上昇)すれば、FRB資産が棄損されるほか、政府の国債利払いが増えるからな。

だが、インフレ(コストプッシュインフレ)を端緒に金利上昇(=国債価格下落)となった場合、金利を引き上げるなど金融引締しないとインフレはひどくなる一方だ。しかし、金利をあげれば・・・。

QEの終焉が見えてくる。

そもそもリーマンショックが起こったのは2008年であり、10年以上も金融緩和しても正常にならなかった金融市場も異常だ。そんな金融市場で、QEというドーピングが無くなれば・・・。

以前に「中央銀行による金融支配の終わりが近い!?」で紹介したが、原田武夫氏によると「政体勢力」の上に位置する「国体勢力(王族たち)」が、リバランス(おカネを入れる)の必要性を意識しつつあるとのことだ。

16分35秒くらいから23分過ぎまで。

  • ロスチャイルド家の日本代表の方から聞いた話では、世界の富は増えているのではなく、偏在バランスが変わっているだけ(一方で増えれば、もう一方で減る)。国際金融資本は「全世界の富は一定」と言っている。
  • 4月の頭頃から、先進国の中で一番カネの無い日本にカネが流れる「リバランス」が起こり、平成バブルの比ではない規模のバブルとなるが、その反動で日本デフォルトへ。
  • リバランスにおいては、何処にどういう形でカネが入りどのくらいの勢いになるのかが重要で、その勢いによって反動の勢いも決まる(振り子のように)。
  • 現状では、中央銀行がマーケットにおカネを流しているが、カネは回っていない。
  • そうした政体勢力の動きを一歩引いた外側から見ているのが「国体勢力(王族たち)」で、リバランス(おカネを入れる)の必要性を意識し出している。

この動画では、現状の富の偏在が限界に達していることや、世界の支配者層(国体勢力・王族たち)が何とかしようとしていることが示唆されてる。

リーマンショックで金融システムを崩壊させて富の偏在是正を目論んだものの、QEというウルトラCで今に至るまで金融システムは延命してしまった。

この間に、QEマネーが入ったりデリバティブ拡充によって金融市場の規模は一気に膨らんだ。この膨らみ切ったバブルを壊してリセットする・・つまり、最後の金融危機の端緒がインフレなのか。

もちろん、日本も例外ではない。


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