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イラン革命防衛隊幹部殺害事件の影響、早くも沈静化?

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イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官殺害事件で昨日の日経は下げたものの、NYダウや本日の日経はエライ上昇だ。

以下はブルームバーグのニュースだ。

中東緊張でも中銀が株価下支え、下げは限定的-モルガン・スタンレー

中東の緊張の高まりが、高値更新を続ける米国株の上昇にストップをかけているが、モルガン・スタンレーの見通しは強気派にとって救いだ。

米連邦準備制度をはじめとする世界の中央銀行が金融システムに流動性を供給しているため、S&P500種株価指数が5%を超えて下落する可能性は低いとマイク・ウィルソン氏らストラテジストが予想した。

米当局と日本銀行、欧州中央銀行(ECB)は合計で月1000億ドル(約10兆8500億円)のペースでバランスシートを拡大させ、中国人民銀行は先週、市中銀行の預金準備率を引き下げた。

報復を巡る米国とイランの首脳らの応酬や米製造業指標の予想外の悪化にもかかわらず米株相場がやや回復したのは、このような豊富な流動性のおかげだとウィルソン氏は指摘した。同氏は昨年、中銀の力を思い知らされた。株価に弱気な予想をしたが、相場は上昇。米金融当局の利下げは予測していなかった。

同氏は6日のリポートに、「流動性は勝つ」と記述。このところの株価の動きは「悪いデータやニュースを過剰流動性が吸収し続けていることを示した」と分析した。

以前に記事で書いたが、実体経済とは無関係のバブル相場になっている。日本では日銀や政府に忖度したGPIF等が買いまくり実体とは乖離している。アメリカもFRBや大規模な自社株買いよって日本と同じ状況だ。

中央銀行が大量に紙幣を刷ってばら撒いている限り下がることは無い。だが、それに何の意味があるのだろうか。中央銀行の資金注入が終わったとたん、市場は崩壊する。

とまあ、そのような相場はそれで置いておこう。

ひとまず、イランとアメリカの間に戦争が起こらないというのが大方の見立てのようだ。以下は朝日新聞の記事だが、すごく分かりやすいので参考までに。

ソレイマニ司令官殺害と米イラン関係の行方

2020年が始まって3日しか経っていないが、いきなり今年最大級のニュースが飛び込んできた。トランプ大統領の命令の下、バグダッド空港近くにいたイランの革命防衛隊クッズ部隊(Quds Force:コッズ部隊、クドス部隊、ゴドス部隊などとも表記する)司令官のソレイマニと、イラクの親イランシーア派民兵組織であるカタイブ・ヒズボラの指導者であり、イラクのシーア派民兵の連合体である人民動員隊(PMU)の副司令官であるムハンディスが殺害された。バグダッド空港には米軍の施設もあり、カタイブ・ヒズボラがミサイル攻撃を仕掛けている中で、ドローンによる攻撃でソレイマニとムハンディスが殺された。イランウォッチャーはもちろんのこと、欧米の国際政治の専門家たちは一斉にこのニュースに反応し、今後の中東情勢の見通しが立たなくなり、イランとアメリカの対立が急速にエスカレートしていくことの不安に包まれた状態にある。

中略

イランの対応

国民的な英雄であり、「アイドル」とも言って良い存在であるソレイマニを失ったイラン国民は哀しみにくれている。ソレイマニをことのほか気に入っていた最高指導者のハメネイ師は全国民に3日間喪に服すよう求め、国旗は半旗となっている。ハメネイ師をはじめ、ロウハニ大統領や革命防衛隊のサラミ司令官などは、アメリカの責任を追及し、ソレイマニ殺害の復讐をすることを誓っている。

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まず、イランはアメリカとの力の差を十分認識している。そのため、自国に累が及ぶようなことは避けたいと考えると思われる。ゆえにイランが反撃するとすれば、典型的な非対称戦、つまりゲリラ的な攻撃やテロ、サイバー攻撃などの様々な手段を使ったハイブリッド戦のようなスタイルの攻撃を仕掛けるのではないかと思われる。

中略

特に、ソレイマニと一緒に殺害されたカタイブ・ヒズボラの指導者のムハンディスはイラク国民であり、イラク国内で米軍がイラク国民に対して攻撃を仕掛けたことは、イラク戦争を経験した国としては認められるものではなく、国内での反米感情は高まっている。2019年末に行われたカタイブ・ヒズボラの施設への攻撃は、すでにイラクの主権に対する攻撃として見なされ、イラク国会では米軍を排除する法案が審議される予定であった。米軍がイラクに駐留するのはイスラム国と闘うことが前提となっており、イラク市民や国内の施設を標的にした攻撃をするために米軍が駐留しているわけではない。そのため、イラク国内では米軍の撤退を求める運動も強くなるため、イランはこれらの運動を活用してアメリカに対する圧力をかけていくであろう。

中略

米イラン関係の緊張が高まり、イランによる「復讐」がなされ、それに対してアメリカが反撃するということになれば、この対立が武力紛争へとエスカレートする可能性は高い。しかし、イランはアメリカと正面から戦争をすることは可能な限り避け、少なくともイランからアメリカの攻撃を誘発するようなことはしないと思われる。これまでもイランは何らかの挑発を受けた場合も、エスカレーションをコントロールしながら、受けた攻撃と同等の反撃をすることで釣り合いの取れた対応をしてきた。

イランはアメリカとの戦力差を良く分かっているので積極的な攻撃はしない、ということだな。最も、イランのバックについている中国も公式にイランに自重を求めている中にあっては、イランも暴発することはないだろう。

また、アメリカのトランプ大統領も「イランと戦争する気はない」と言っているので、現時点では戦火拡大の意思は両国ともに無いと思われる。まあ、どの口が言ってんだよって感じだが。

また、反イランを標榜したデモが起こっていたイラクにおいても、イランの影響力が拡大することよりもアメリカ軍が駐留し続けることイヤさ加減が上回ったようで、アメリカ軍に対する「出てけ」決議が正式に採択された。

そうしたなかで、こんなニュースが出たぞ!気にしている人は少ないかもしれないが…

国防長官、米軍のイラク撤収否定 書簡下書き流出で混乱

【ワシントン時事】エスパー米国防長官は6日、国防総省で記者団に「イラクを去るなどという決定はない」と述べ、米軍のイラク撤収を否定した。これに先立ち、米軍がイラク軍に撤収を通知する内容の書簡が流出し、波紋を広げていた。複数の米メディアが報じた。
流出した書簡では、イラク議会が5日に米軍主体の有志連合の撤収を要求する決議を採択したことを受け、「われわれは撤収を命じた主権的決断に敬意を表する」と明記。「イラク国外への退去を安全かつ効率的に行うため」、今後数日から数週間はバグダッド市内でヘリコプターの飛行が増えると通知した。駐留米軍幹部が差出人だったが、署名はなかった。
米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は書簡流出を受け、「下書きが誤って送付された」と釈明。「稚拙な文章で米軍撤収をほのめかしてしまっているが、事実ではない」と強調した。

米軍がイラクから撤収する旨を記した書簡が流出したが、デマですよと言っているわけだ。でも待ってくれ。
「下書き」って言ってるよな。ってことは撤収を考えているのか。
露骨に情報をお漏らししている感じがあるので、米軍撤収の意思があるということで間違いないだろう。駐留部隊は有志連合軍なので、EUというかNATO主体の部隊に後のことはお任せってか?
この下書きの通りなら「イラクはイランの勢力下に入ってOK」というアメリカが考えていることになる。
アメリカが撤収するだけだと、イラクにおいて親イラン派の首相が辞任したことに象徴されるように、イラク内の反イラン勢力(主にスンニ派)がそのままとなる。
当然、イランが影響力を強めづらいので、ショック療法的にイラクでスレイマニ司令官とともにイラク人の民兵団カタイブ・ヒズボラのムハンディス司令官を殺害し、イラク人の中にある反アメリカ感情を高めたのだろうか。
結果、イラクの反イラン感情は低下しイランの影響力は拡大する。

最後まで読んでくれてありがとう!