ゼレンスキー大統領はロシアのスパイ説を考える

あのインテリジェンス情報に精通したジェームズ斉藤氏によると、ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアのスパイである・・との話が2月末のトカナさんに掲載されていた。

この記事の中でジェームズ斉藤氏は、

ウクライナの大統領ゼレンスキーはロシアのスパイの疑いがありますので。実際、彼はプーチンと同じユダヤ人で、しかも母国語はロシア語、ウクライナ語は大統領になってから勉強し直したレベルです。

としている。

ゼレンスキー大統領がロシア語分かんない「フリ」をしていることは、ツイッター上でも指摘されている。

日本政府は首都「キエフ」の名称をウクライナ語読みの「キーウ」に変更したが・・・何だかなあ感は凄い。

さて、ジェームズ斉藤氏の情報の本命は・・

諜報機関関係者の間ではゼレンスキーはクレムリンが周到に用意した、親欧米派のふりをしたレベルの高いロシアスパイという見立てで一致しています。

・・の部分だ。

何と、インテリジェンスの間では、ゼレンスキー大統領がロシアのスパイという見立てで一致しているとか。

本当にスパイがは分からないものの、少なくともゼレンスキー大統領の行動が、実はロシアの国益に沿ったものという見方は出来そうだ。

あのDr.苫米地氏も、ウクライナが総動員令で18~60歳の男性国民の出国を禁じたのは、ネオナチ・アゾフ連隊を国外に逃がさないことを企図した可能性をツイッター上で指摘している。

男性陣の出国禁止は国民に民兵としてロシア軍と戦うことを推奨するものだが、実のところ「人間の盾」に過ぎず、大戦末期の日本を彷彿とさせる不自然なものだった。

ジェームズ斉藤氏の「ゼレンスキーはロシアのスパイ」説を踏まえると、ゼレンスキーはウクライナ国内で欧米の工作機関として政治的・暴力的権力を拡大するアゾフ連隊をロシア軍に一掃させるため、男性陣の出国禁止に踏み切ったとするDr.苫米地氏の指摘は頷ける。

では、実際のウクライナの戦況からスパイ説を見てみたい。

ここ最近の動きとして、3月29日にトルコのイスタンブールで行われた停戦協議で、意外にもロシアが攻撃縮小を表明するという進展が見られた。

これまでの停戦協議は1ミリも進まなかったことを思えば、この停戦協議は大きく動いたと言え、さらに実際にロシア軍は撤退を始めたことが確認されている。

まずはチェルノブイリ。

チェルノブイリは、無法者アゾフ連隊の手に落ちると戦況をひっくり返す危険性もある要衝だが、撤退は意外だった。

さらに、長らく包囲を続けていたキエフ(キーウ)からも撤退している。

AFPの記事では、ウクライナ軍がキエフを「奪還」したような印象を受けるが、実際にはロシア軍撤収後に戻ってきているだけだ。

メディアで指摘される、ロシア軍の士気の低さや戦費や武器弾薬の不足等は全く関係なさそう。

実のところ、イスタンブール停戦協議の裏でロシア軍はウクライナ東部(ドンバス)の都市マリウポリを陥落させている。

停戦協議で攻撃縮小を表明し、実際にキエフ等から撤退した理由はこれだろう。

アゾフ連隊排除を目指すロシア軍(&ゼレンスキー?)から見れば、アゾフ拠点マリウポリの陥落は「一区切り」と言える。

さらに、アゾフ連隊が拠点化していたことからも分かるように、マリウポリはロシアとクリミアを繋ぐ補給の要衝でもある。

マリウポリ周辺

さて、マリウポリが重要戦略拠点であることや、ロシア軍がドンバスからクリミアに至るエリア制圧を考えていることは、開戦前から誰の目にも明らかだったので、ウクライナ軍やアゾフ連隊の主力は東部地域(ドンバス)に集まっていた。

また、戦争においては、攻める側の方が兵站(補給など)の問題もあるため、守る側優位となる。

さらに、ウクライナ軍の数は、

ウクライナ軍は、陸軍、海軍、空軍、空中機動軍、特殊作戦軍の5軍種からなる。2005年末の時点で、総員24万5000人(うち、軍人18万人)。

Wikipediaウクライナより抜粋)

とあり、数だけなら、ウクライナ国内に攻めてきたロシア軍を凌ぐ。

さらに、都市の制圧・占領は、ウクライナ軍やアゾフ連隊が立てこもる建物一つ一つを潰しつつ、盾にされている市民を解放するというムリゲー作戦だ。

つまり、ロシアが真っ正直にドンバス制圧に集中すると、準備万端・数的優位で市民を盾にするウクライナ軍・アゾフ連隊の主力とぶつかることになる。

ウクライナの航空戦力などは、侵攻数日でほぼ潰しているとは言え、陸軍主体の白兵戦では、ロシア軍だけでなく市民にも半端ない数の犠牲が出るし、何より補給問題が生じるロシアが圧倒的に不利となる。

そう、ロシア軍がクリミアやドンバスとは無関係な首都キエフ等をわざわざ包囲したのは、数に勝るウクライナ軍をキエフ等に引き付けるためだったと推測される。

ゼレンスキー大統領がキエフ侵攻を声高に叫びウクライナ軍は分散させられ、さらにゼレンスキー大統領はアゾフ連隊の国外脱出を防いだことで、ロシアはマリウポリ制圧に全集中して補給線を確保するとともに、アゾフ連隊にも手痛いダメージを与えたと言える。

ロシアは、軍事作戦の第一段階がほぼ完了したとしていたが・・

これは本当だろう。

また、ロシア軍はキエフから撤退した軍をドンバスに振り向けるとか。

マリウポリ攻防戦で損耗したとは言え、ドンバスにはウクライナ軍やアゾフ連隊の主力勢が残っている。

ロシアがイスタンブールでの停戦協議でキエフや北部のチェルニヒウへの攻撃を減らすとしたのは、「ドンバスのウクライナ軍・アゾフ連隊の主力を潰しちゃる宣言」と言える。

メディアではロシア軍弱い報道が出ているが・・

キエフやハリコフ方面のロシア軍は陽動なので、都市を包囲したロシア軍は見た目より少なかっただろうし、さらに戦場では役に立たない新兵も多かったのだろう。

なので、陽動のロシア軍が弱いのは本当だろうが・・それをロシア軍全体が「士気低い、弱い、ザッコ」とする大本営発表によりミスリード報道に繋げている姿勢は、ゼレンスキー大統領がロシアスパイ説を裏付けるものと見るべきだろうか。

当然ながら、ウクライナの戦況全体ではロシア軍が圧倒的に優勢を保っていると見るべきだ。

さて、先日の「ウクライナ報道転換の兆し 日欧は対ロシア制裁をやめるかも」で紹介したメディア報道の転換について、アメリカのワシントンポストが、キエフ(キーウ)のウクライナ軍が民間人が現に居住するアパート等を拠点として活用していたことを批判的に報じている点からも伺える。

記事の論調は「ロシア軍が悪い」ではあるが、民間人を盾にするなど国際法を犯すウクライナ側を批判する内容となっている。

このような報道姿勢の転換は特に欧米メディアで顕著であり、ウクライナ(アゾフ)の絶対正義は崩れつつある。

また、上で紹介したAFPの記事では、キエフ(キーウ)周辺で後ろ手に縛られて殺害されている民間人の遺体が見つかっていることを報じられているが、ここで気になるのがCNNのウクライナ軍(アゾフ連隊?)による捕虜銃撃報道だ。

「ウクライナ絶対正義路線」の中で、ウクライナ軍の蛮行が報じられたのはかなり意外であり、ウクライナ側(ゼレンスキー?)からリークされたものと推測される。

また、市民の殺害についても、現実的に考えて陽動に過ぎないキエフ方面のロシア軍が民間人を殺害する必要性は少なく、むしろ脱出しようとした市民をアゾフ連隊が殺害した可能性が高い。

また、以前にも紹介したように、ロシアはゼレンスキー大統領を据え置いたまま、その取り巻きを親ロシア派に替えてウクライナに安定的な親ロシア政権を確立させることを目的の一つとしているので、わざわざ市民を殺害しない。

こうしたことを踏まえると、ウクライナ軍の捕虜銃撃をリークする姿勢は、安定的な親ロシア政権樹立のためにジャマな欧米勢の手先と化したアゾフ連隊を排除するための布石と見るべきかもしれない。

ざっくりゼレンスキーの功績を見ると、アゾフ連隊の蛮行を放置し、さらに絶対に成就しないNATO加盟をチラつかせてロシア侵攻を誘発した。

さらに、アゾフ連隊の国外脱出を防ぎつつ、ロシア軍優勢の戦況をウクライナ軍優勢であるかのように大本営発表し、最後にはアゾフの蛮行をリークした(推測)。

もしもゼレンスキー大統領がロシアスパイなら、アゾフ排除にかなり活躍していることになる。

さて、ウクライナの戦況がロシア優位に進み、さらに経済制裁により欧米の痛みも無視できない・・となれば、アメリカEU総出で早期終了させれば良さそうなのだが、ゼレンスキー大統領がこの戦争を長期化させていると見られることもあってそうはならなさそうだ。

少し前に、ウクライナの攻撃ヘリがロシアに越境攻撃した。

記事によると、ロシアが「ウクライナに攻撃されたぞー」と主張しているようで、ロシアの自作自演を疑う声も多いとか。

実際に、ウクライナの制空権をロシアが確保する中で、ウクライナヘリが飛び回るのは不可能だろうから、本当に自作自演の可能性が高い。

となると、ロシアスパイのゼレンスキーがロシアの許可を得て実行した可能性が高く、狙いは「ウクライナまだまだやれますよ」アピールによる戦争長期化と見られる。

さらに、上で紹介したように、ゼレンスキー大統領の大本営発表を受けてメディアは「ロシア軍弱すぎ」と報じており、弱いロシア軍がウクライナを中々倒せずに戦争が長期化する・・とのシナリオに欧米サイドも乗っかっていることが伺える。

と言うのも、2015年のウクライナ危機では、アゾフ連隊を活用したウクライナ東部(ドンバス)のロシア系住民を虐殺することで、ロシアをウクライナ戦争の泥沼に引きずり込みプーチンを失脚させようとしていたからだ。

なお、プーチン失脚の目的は、国際金融資本がロシア資源を牛耳る目的だったことが強く疑われる。

この時は「ミンスク合意(ミンスクⅡ)」でドンバスへの自治権付与等で落ち着いたが、これに噛み付いたのがジョージ・ソロスだ。

当時の東洋経済さんが報じたソロス氏の主張はこんな感じ。

  • ロシアが欧州と良好な関係を築くのはダメや。
  • ミンスク合意なんて無視したらええねん。
  • 欧米はウクライナを全力支援して、ロシアと軍事衝突起こしたったらええねん。

うーん、今のウクライナ危機が予言されているかのようだ。

なお、2015年のウクライナ危機は、マイダン革命前に、ヌーランド米国務次官補とパイアット駐ウクライナ米大使が革命後の新政権人事を相談した電話がリークされており、アメリカ(国際金融資本)が黒幕にいたことが分かっている。

こうした経緯やソロス氏の意向を踏まえると、今回のウクライナ危機は欧米勢のリベンジであり、ミンスク合意のように途中で終わらせることは無さそう。

また、ロシアも当時から見ると財務・金融・経済面の充実に加え、中国・中東等との結び付きも深めるなど、国力を高めている。

実現性に乏しい「ミンスク合意(ミンスクⅡ)」で手を打たざるを得なかったリベンジを果たしたいと考えている可能性は高い。

そう、今回のウクライナ危機は、欧米勢とロシア勢の資源をかけたリベンジマッチであり、「ウクライナ危機という経済戦争で崩壊するドル、そして日本バブル」や「ウクライナ危機でロシアに寝返るサウジとUAE 黒幕はイスラエル」等で紹介したように、その本質は経済戦争だ。

ロシアはアゾフ連隊壊滅・親ロシア政権樹立だけではなく、アメリカの金融覇権(ドルの基軸通貨性に基づく金融システム)の崩壊を視野に入れている可能性が高い。

そして、ゼレンスキー大統領の動きは、ロシアにとって有利に働いている・・。


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