日本バブル

ウクライナ危機という経済戦争で崩壊するドル、そして日本バブル

日本バブル

怒涛の円安が進んでいる。ここ半年ほどは、ヨコヨコ展開が続いていたドル円が大きく動いており、うっかりロングしたドル円ほうちグングン育つのは久しぶりだ。

以下はドル円の日足チャートだ。

20220325ドル円日足チャート

3月11日に116円のレジスタンスを突破してからは、心理的レジスタンスと思われた120円すらも軽々突破して一気に122円まで乗せるなど、勢いが止まらない。

日足レベルのチャートも上方面にクラッシュしている感じで、極めて強いブルトレンドとなっている。

さて、直近のメジャー4通貨の強さを見ると・・・

ドル > ポンド > ユーロ >> 円

となっている。

円は、ウクライナ危機がお膝下で起こっているユーロにすらボロ負けする最弱通貨となっている。

ドルが最強通貨となっているため、最強最弱の通貨ペアのドル円が火柱上げするのは当然と言える。

ちなみに、金融制裁により大暴落したロシアルーブル(ルーブルドル)のチャートを見ると、制裁発動で暴落してからかなり戻してきていることが分かる。

20220325ルーブル日足チャート

ここ最近では、最強通貨のドルにすら勝る勢いで戻している。

ルーブルが戻しているのは、暴落の反動なのか、資源国の強みなのかは分からないが、とりあえずプーチンさんは非友好国(欧米や日本)に対して「ウチの資源の代金をルーブルで払え」と言い出しているとか。

ロシアの天然ガスや原油に完全に依存するドイツなどEU各国は、ユーロやドルで買い付けたルーブルでロシアから天然ガスを買わねばならくなる。

EUは反発しているものの、実現すればルーブルは「ロシア資源が買える」という価値を持つことになる。「石油が買える米ドル(ペトロダラー)」と同じような価値を持たせたことで、ルーブル防衛&外貨獲得という一石二鳥を得ることとなった。

有り余る天然資源を背景としたロシアならではの通貨防衛方法であり、以前に紹介した「資源価値に裏付けられたルーブル」と見なすことも出来そうだ。

また、ルーブル建てを強要するのは非友好国だけが対象であり、ドルを介さないことで欧州のSWIFT脱却(ドルの弱体化)を強制的に進める意味合いもありそう。

ちなみに、以下はロシア制裁に対する各国の対応だ。

ロシアに批判的な青系の国々の中でも、実際にロシアへの制裁に参加しているのが濃い青色の国々で、アメリカや日本のほか、カナダ、オーストラリア、欧州諸国となっている。

水色の国はロシアに批難的な態度を示しているものの、制裁には加わっていない。アメリカに睨まれたくないからロシア批判するものの、ロシアとの関係性も守る現実的な国々と言ったところ。イスラエルが水色なのは、中東におけるアメリカ覇権縮小とロシアの影響力拡大を見据えたものだろう。

赤色はロシアサポーターで、アメリカが名指しで批判するベラルーシのほか、アメリカが石油増産を期待して制裁解除したベネズエラなどが含まれる。

オレンジ色の国は、ロシアサポーターではないものの、制裁には反対している国々で、主なところだと中国、インド、イラン、サウジやUAEなど石油王たちだろうか。

インドはクアッドの一角とは言うものの、ロシアと相互通貨建てでの資源売却の話を進めているし、サウジも人民元建てでの石油販売を検討している。事のところロシアサポーターと言えるのかも。

こうして見ると、ロシアを制裁している国の方が少数派であり、アメリカ覇権の縮小ぶりがよく表われている。

このような状況を踏まえると、ロシア・ウクライナ双方と中立的な関係の日本は、両国を仲裁できる数少ない国だったのに、欧米のロシア制裁に安易に賛同したことで、その外交的価値を自ら放棄してしまった。

また、この悪手により、日本もウクライナ危機による経済戦争に巻き込まれることとなってしまったが、間の悪いことに円が一人負け状態になっているのは先に紹介したとおりだ。

さて、直近の円安は日銀・黒田総裁の「円安容認」によるところが大きい。

黒田総裁は、3月18日の金融政策決定会合後の会見において、

  • 物価上昇2%で利上げは全く必要ない。
  • 国際商品価格の上昇は一時的なものなので、金融引締めの必要はない。

として、金融緩和継続というFRBとは真逆の姿勢を強調した。

メジャー通貨の最強2通貨(ドル・ポンド)は利上げなど引締め転換していることから、現在の円安は中央銀行の金融政策によるところが大きいと言える。

ただ、直近2月の日本の消費者物価指数は0.9%と、アメリカの7.9%と比べるとかなりの低水準であり、

あわてるような時間じゃない

とも思える。

ただ、「世界の金融システムは破綻に向けて大きく動く」でも紹介したように、日本の消費者物価が低いのは、ドコモのahamoに代表される携帯料金の値下げによるところが大きい。

また、アメリカ人は日本ほど値上げに抵抗が無く、さらに人手不足で待遇が悪いと人が集まらないため、全体的に賃金も上がっておりインフレに拍車をかけている。

今のところ、日米の消費者物価指数の差が大きい理由はこのようなところに求められそう。

ただ、昨年以来続く物流混乱や資源・商品価格上昇により、国際的に等しく物価上昇しているハズなので、日本の実際の消費者物価指数は軽く2%越えていることは強く疑われる。4月以降はahamo効果が切れてくるので、統計上の物価指数も上昇しそうだ。

さて、この日米の金融政策デカップリングにより、今後はどうなっていくのか。

これまでに何度か紹介したように、インフレとは物価上昇であると共に貨幣価値の下落でもある。

従って、インフレで目減りした貨幣価値を補うため、金利はインフレ率を加味して上昇することになる。

ところが、インフレ下で金融緩和(=名目金利ほぼゼロ)を継続すると、実質金利は大幅なマイナスとなり貨幣価値の目減り幅は大きくなってしまう。

ということで、貨幣価値が目減りした(しそう)な円は、以前に予測したとおり売られてルーブルよりも弱くなっている。ただ、日銀は引締め転換することは極めて難しい。

金融引締めへの第一歩は、QE(量的緩和)の終了なのだが、以前にも紹介したように、日銀は日本国債市場におけるダントツ最大の買い手だ。

つまり、日銀が国債購入から手を引けば、買い手不在の国債は暴落(=金利急騰)して500兆円オーバーの国債を抱える日銀は事実上の債務超過となる可能性が高い。

日銀は簿価会計なので厳密には債務超過しないものの、事実上の債務超過となれば海外ヘッジファンド勢は怒涛の円売りを仕掛けてくるだろう。

コロナショック&Xデーを生き抜くお金の守り方(藤巻健史)

つまり、黒田総裁の金融緩和継続宣言は、日銀には利上げどころか、QE(造幣による債券購入)継続以外に選択肢が無いことを物語っている。

インフレ対応して利上げしたドルやポンド、ある意味で天然資源を裏付けにしたルーブルと比較すると日本円は脆弱であり、円安はしばらく続きそうだ。

ではこの円安(日銀の緩和継続)は悪いのか・・と言うと、そうとも言いきれない。というのも、アメリカの金融危機が懸念されるからだ。

直近の金融経済を振り返ると、まずは2008年のリーマンショックを受けて、大量の国債発行(=造幣)と中央銀行による国債の大量購入により資金供給と超低金利を両立するQEが始まった。

そして、コロナ危機を受けたQE急拡大により、FRBの国債購入ペースはリーマンショック以上であり、その資産額は一気に膨れ上がった。

20220325FRB資産

さらに、コロナ危機により、世界中で人手不足・物資不足となったことで、コストプッシュインフレが始まった。

このインフレについては、「世界で同時多発的にインフレの兆候 金融危機へのカウントダウン!?」でも紹介したように、超国家的な力を持つ支配者層によって意図的に引き起こされている可能性が高く、コロナ危機からのウクライナ危機でインフレはさらに加速した。

そして、リーマンショック以降10年以上も続いてきたQEは終了することになった。

しかしながら、「コロナ危機の終わりは金融危機と仮想通貨バブルへと繋がる」で紹介したように、株式市場はQE資金により上昇していた可能性が高く、QE終了によって株式市場のバブルが崩壊する可能性が高い。

さらに、FRBはQE終了から利上げに踏み切っており、超低金利を前提とした金融システムの転換点となっている。

コベナンツライトローンや社債発行でやりくりしてきたゾンビ企業郡の大量倒産時代となるほか、「CLOが日本に集中!次の金融危機は日本発か!?」で紹介した、企業版サブプライムのCLO(ローン担保証券)破綻も懸念される。

第二のリーマンショックになりそうな・・・。

なお、あのモルガン・スタンレーさんは、景気循環サイクルに基づく分析から、5~10ヶ月後の景気後退を予測しているとか。

5~10ヶ月後と言うと、QE停止や利上げの副作用が出そうなタイミングと重なってる・・気がする。もしかしたらリーマンショックを超える未曾有の大恐慌になる懸念もある。

実のところ、ゼロヘッジさんは世界恐慌パートⅡとなる可能性を報じている。

1930年代の世界恐慌では、金融機関が個人のレバレッジ取引を推奨してカネを融資した結果、数千の銀行・証券会社と数百万の個人投資家が退場することになったたとしている。

そして、現在の債務レベル(レバ取引)は過去最高であること、2008年のリーマンショックは「ミニクラッシュ」に過ぎないこと、今後の大クラッシュの正確な日付は分からないため、とりあえず貴金属などに逃げることが推奨されている。

いずれにせよ、インフレによるQE終了・利上げ・QT開始により、アメリカ金融市場は崩壊の瀬戸際に追い込まれる可能性が出てきている。

さらに、ウクライナ危機はインフレだけでなく、ドルの信用低下も引き起こしている。

ロシア制裁はルーブルの金本位性とドル離れに繋がる」で紹介したように、ロシアへの金融制裁によって、外貨準備通貨としてのドルの信用低下や、国際決済におけるSWIFT(ドル決済)からの離脱を招いており、「皆が欲しがり皆が使う」というドルの信用を低下させている。

それだけではなく、ドルを支える「ペドロダラー体制」も危ない。

ここ最近の原油高騰。

20220325WTI原油チャート

ピークよりは若干下がったとはいえ、原油高騰は収まっていない。

このため、バイデン大統領がサウジやUAEに増産を要請するため、電話会談にお誘いしたところ・・

誰も電話に出んわとか。一昔前なら、アメリカが言う前に原油増産しただろうに・・アメリカもナメられたものだ。

さらに、サウジさんに至っては「石油が足りなくなってもワシャ知らんぞ」と、まるで増産する気ナッシング。

しかも、増産しないのは「フーシ派にやられたから」として、暗にアメリカが守らなかったせいと言っている。

先のウォール・ストリート・ジャーナルの記事には

サウジ当局者によると、サウジ側はバイデン政権下で米国との関係が悪化したと示唆している。

とあるものの、実際には「原油高は中東混乱の前触れか 実はサウジアラビアが震源になるかも」で紹介したように、アメリカはトランプ政権時からサウジとの関係性を悪化させ続けてきた。

例えば、

  • イランの影響力の強いシリアやイラクから撤退し、両国をサウジと仲が悪いイランの覇権下に押し込もうとした。
  • イスラム教の守護者を自認するサウジを無視して、イスラム教の聖地でもあるエルサレムのイスラエル帰属を支持した。
  • トルコのサウジ領事館内でサウジ人ジャーナリストのカショギ氏が殺害された件について、首謀者がサウジのMbS皇太子と暴露してサウジ・トルコ関係を破壊
  • イエメン内戦にサウジを巻き込み、アメリカは撤退。サウジがフーシ派から製油施設を攻撃されても無視を決め込み、さらにサウジの攻撃を非人道的として非難

・・等々、トランプ・バイデン両政権は、意図的にサウジをブチ切れさせ続けてきた言っても過言ではない。

さらに、UAEはアメリカから距離を置くだけでなく、中国との接近まで見えている。

UAEの戦闘機発注において、アメリカ製のF35ではなく、中国製のL15を発注することにしたとか。

先日紹介した中国への人民元建てでの原油販売の検討報道と合わせ、サウジやUAEと言った親米石油王たちは、経済・防衛両面から中国・ロシア陣営入りしつつあるのは間違いなさそう。

であるなら、アラブは石油をドル建てで売る必要は無くなり、ペトラダラー体制の終焉となる。

インフレ亢進を踏まえたQE終了・利上げによるアメリカ金融市場のバブル崩壊と、ロシアへの金融制裁によるドルの信用低下、そしてペトロダラーの終焉・・・そう、ヤバいのは円安が進む円ではなく、実はドルだ。

そして、このイルミナティカード。

bank merger

このカードのドルやポンドを円が飲み込んでいく絵柄から、これは日本バブルの暗示である可能性が高い。

1年前のドル円レートが109円前後だったことを踏まえると、日本資産は1割程度のディスカウント価格となっているため、アメリカの金融バブル崩壊を見越した外資勢による積極的な「割安日本買い」の可能性が見えてくる。

ここで思い出されるのが、「ウクライナ危機は認知戦?インフレと金融システムの転換」で紹介した、インドの少年予言者アビギャ・アナンドくんの予言だ。

予言については、はろーふろーむロングビーチさんが訳してくれた動画が分かりやすい。

この中でアナンドくんは、QEバブルの大規模な調整があり、それは市場にバランス(リバランス)をもたらすとしている。

実のところ、、QE資金により支えられていたアメリカの株式市場は、アナンドくんの言う3月16日にバブル崩壊しなかったものの、FRBが利上げに踏みきった今となっては、バブル崩壊の秒読み段階と言える。

あの原田武夫氏も、以前に「リバランス」が起こることを予測していた。

原田武夫氏によると、4月の頭頃から先進国の中で一番カネの無い日本にカネが流れる「リバランス」が起こり、平成バブルの比ではない規模のバブルとなる・・・としている。

やはり、アメリカバブル崩壊を危惧した資金が、割安・出遅れの日本へと向かう可能性は高そうだ。

まあ、バブルの後は日本デフォルトだが・・アメリカのバブル崩壊がドルの崩壊に繋がるとするなら、日本だけが無事なんてことはあり得ないから仕方ない。

おそらく、日本買い・バブルの流れの中で、日銀が国債の買入れ継続が出来なくなり、QEをやめたところで日本バブルが弾ける。猛烈なバブルの逆流(=日本株や国債売り)の中で、日銀は債務超過に陥っていく・・・と言った感じだろうか。

さて、ウクライナ情勢については、ゼレンスキー大統領がバチカンと電話会談を行ったことが報じられている。

ローマ教皇による和平仲介を期待しているような感じだ。

ただ、アナンドくんは3~4月にかけてウクライナ、ロシアなどでの戦いがエスカレートし、経済的な問題にも直面することになると予言していた。

ロシアからの天然資源が出回らなくなり、インフレが加速する中で、コロナでダメージを負った欧米経済が回復不能になるまで、ウクライナでの戦争は続くのかもしれない。


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