日本発の金融危機

アメリカの積極財政が日本のデフォルトを招く!?

日本発の金融危機

バイデン大統領と上院超党派議員団、8年間で130兆円規模のインフラ投資をすることで合意したとか。

コロナ禍からの復興が旗印とは言え、すごい規模の財政出動だ。日本から見たら、まさに異次元。

このインフラ投資の財源について、バイデン大統領は企業や富裕層を対象とした増税を考えているとのことだが、財源をどうするかは合意に至っていないようだ。

まあ、節税テクに長ける富裕層の皆様から税金を取るなんて事実上不可能だろうから、この投資財源の大半は国債なのは間違いなく、その点でアメリカはガッツリ財政赤字を出す「積極財政」が大前提となっている。

まさに、「インフレしない限りにおいて、自国通貨建て国債による財政破綻はしない」とするMMT路線を地で行く姿勢と言える。

ただ、これまでにコロナ対策としてトランプ・バイデン両政権で6兆ドルを超えるドルを刷っており、その一部は実体経済に流入したほか、半導体供給や食糧品、原油価格等の高騰などコストプッシュインフレも相まって、アメリカ国内でのインフレ率は14年振りの水準となっている。

しかも、このインフレは景気回復による「良いインフレ」ではなく、金融緩和・財政出動にコストプッシュインフレが加わったもので、全然良いニオイはしない。

そして、まさにこのインフレは世界的に問題となっており、世界的にテーパリングや金利を上げる話が出てきている。

そう、FRBもテーパリングに舵を切れば、米国債を(あんまり)買えなくなる。しかし、富裕層や法人への課税強化なんか絶対ムリ。やれても、雀の涙程度。

そして、このモーサテの資料で気になるのは、日本のあまりのインフレのしなさ加減だ。

そう・・この資料が意味するところは、これからのアメリカの積極財政の財源となる米国債は、日本が引き受けることになる・・ということだ。

これまでにも日本人が生み出した年間数十兆円もの富(経常黒字)は、特別会計等を通じて米国債へと流していたが、今後はこの流れの規模が大きくなると思われる。

2014年にもFRBは資産買い入れ制限や、満期償還した米国債の買い戻しをしないなど、金融市場から資金回収してFRBの保有資産を減らすQT(量的引締)に舵を切った。ただ、この時は、日銀がサプライズ黒田バズーカ(追加金融緩和)を炸裂させるなど、FRBがやるべきQEを日銀が肩代わりさせられていたと見られる。

こうして、日本人が生み出した富は国内に留まらずにアメリカへと流れていく。なお、日本が購入した米国債を売ることは「宣戦布告とみなす」とのことで、売ることは不可能とか。相当な額の日本国民の富がアメリカに流れて行ったきりか・・。

余談だが、日銀が購入した株式ETFの主な購入元は日本マスタートラスト信託銀行で、元をただせばロックフェラー系のチェース・マンハッタンだ。日本の富はどんどん外資に・・。

そう言えば、日本の法人税が高いが、これも企業が稼いだ黒字を海外に留めおき日本に還流させないためなんじゃないだろうか。

話がそれてしまったが、2017年はアメリカのQTを肩代わりした日本だが、今回はアメリカの・アメリカによる・アメリカのための積極財政の財源を負担することになる。ただ、日銀QEは何年も続いているので、日銀にそこまでの余裕があるかどうか・・。

さて、アメリカの裏庭でもある中南米では、「エルサルバドルでビットコインは法定通貨化 アメリカ反発も既にBTC経済が根付いた村も」で紹介したエルサルバドルをはじめ、ドル経済圏から離脱の動きが出てきている。

上でも書いたが、アメリカではコロナ対策と称して6兆ドル超のドルが発行され、その一部は実体経済に流入したこともありドル安基調となっている。さらに、コストプッシュインフレも相まって、ドル経済圏ではインフレが進んでいる。

ただ、アメリカのドル過剰発行は米国民には恩恵があっても、中南米でドルを使う民衆には何の恩恵も無い。単にインフレ(=貨幣価値下落)となっただけだ。

今後、こうしたドルの下落傾向が続く・・エルサルバドルがビットコインを法的通貨としたのは、そのリスクヘッジの側面もあるんだろう。

そんなエルサルバドルだが、何と国を挙げてビットコインを大量購入だ。

このおかげか。下落基調にあったビットコインが少し回復した。

20210628BTCUSD

弱小国家とは言え、国家がビットコインを買ったインパクトはあったか!?

さらに、ハイパーインフレ下のベネズエラでも、ビットコインが人気とか。

エルサルバドルがビットコインを法定通貨とした際に、中南米諸国からは賞賛の声が上がったと言うが・・みんな米ドル搾取構造に嫌気がさしているのかな。

さて、こうした中でちょっと気になるニュースが出てきた。バイデン大統領が、イランにちょっかい出していると言うものだ。

イランが支援する民兵勢力への攻撃とか。なお、この民兵勢力は、アメリカがこっそりと支援していたIS・アルカイダ勢力を抑えていたことから、アメリカ空爆の対象になったと思われる。

しかし、時期が悪い。

イランでは反米保守強硬派のライシ師が大統領選に勝利したばかり。

穏健派だったロウハニ氏から強硬派に交代したことで、欧米勢との緊張が再燃しないかと懸念されているところだ。イランの新大統領の威信にかけて反撃する、限定的な中東戦争が展開されるかもしれない。

中東戦争の影響について、以前のブログ「原田武夫氏の予測 中東戦争による石油危機は日本デフォルトを誘発!?」で、原田武夫氏の予測として、原油価格上昇によるインフレで日本がスタグフレーションに陥ることや、日銀QEが終了するとの予測を紹介した。

確かに、規模が小さくても中東戦争となれば原油価格は確実に上がるだろう。

これは日足だが、まだ戦争してないのに、商品価格上昇の流れで原油価格は上がってきている。

20210628OILUSD

こんな上昇基調の中で中東戦争による思惑買いでQEマネーが流入したら、市場規模の小さい原油市場がどんだけ上がるか想像もつかない。

原油が長期的に、かつ、極端に暴騰した場合には、日本のコストプッシュインフレは避けられない。日銀QEがターゲットとする2%物価目標などはあっさりと達成し、インフレしつつも景気停滞する「スタグフレーション」に陥る可能性は極めて高い。当然、株価も暴落だ。

日銀QEは、金融市場に湯水のように資金を供給すると同時に国債・株式を大量購入して低金利・金融市場の安定を実現しているが、2%を超える大幅なインフレとなれば、供給資金減や金利上げといった「日本版テーパリング」を求められることになる。

インフレで金利が上がってるところに、テーパリングで日銀の国債購入が無くなれば、ますます金利は上がっていく(=国債価格は下落)。

そうなると、日本政府発行の国債1000兆円の利払いは苦しくなることに加え、日銀が保有する大量の国債価格下落に加え株価も下落すれば、日銀バランスシートの不健全性が増す。市中の銀行も自己資本比率の関係からリスク資産の投げ売りに走るだろう。

しかし、インフレが止まらなければテーパリングを解除できず、株価や債券価格の下落(=金利上昇)を抑えるためのQE(資産購入)も出来ない。

こうして身動きが取れないまま日本経済はメタメタになり、同時に日銀の財務状況も悪化すると通貨「円」に対する信認に疑念を持たれる。日本は食料品やエネルギー輸入大国なので、原油高騰+怒涛の円安で日本国内は狂乱物価となる。

メメタア

原田武夫氏は、以前から「日本デフォルト」を予測しているが・・こんな感じなんだろうか。

日本がアメリカの積極財政の財布になり、日銀QEが続くほどにインフレ耐性は弱くなっていく。そろそろアメリカの呪縛から抜けた方がいいとは思う。

少なくとも、そろろろエルサルバドルを見習ってビットコインに優しくしてくれてもいいんじゃないだろうか。特に、税金面とか。


最後まで読んでくれてありがとう!