以前に「アメリカデモの背後にイスラム過激派の影 狙いはアメリカ内戦か」等で紹介したように、2020大統領選前のアメリカでは暴動を伴うデモが頻発していた。
また、そのデモ(暴動?)の際には、何故が街中のあちこちに投げるのに頃合いなレンガが大量に積まれている状況があり、暴動が煽動されていた可能性が高いことを紹介した。
この暴動の背景にあったのが「ポリティカル・コレクトネス」だった。
このポリティカル・コレクトネスについては、元駐ウクライナ大使兼モルドバ大使の馬淵睦夫氏は「一見誰も反対できない人種平等やマイノリティ保護等は、少数派の擁護を口実に多数派を言論弾圧するもの」と指摘している。
知ってはいけない現代史の正体(馬淵睦夫 著)
さらに、平等や多文化共生社会などは少数派優遇の実現不可能なイデオロギーであり、グローバル化によって広がる格差から目をそらすために考案され、国家の秩序を破壊し分断することを目的としたものとか。
まあ、ポリコレ思想が完全にアウトとは思わないが、極端にやり過ぎることで分断を生むことにはなりそう。
「米サンフランシスコの治安は劇的に悪化 ポリティカル・コレクトネスの成れの果て」で紹介したように、黒人や貧困層を過剰優遇して犯罪を取り締まらなくなった結果、サンフランシスコなど都市部の治安は劇的に悪化しているし。
また、ポリコレにより黒人貧困層やLGBTQといった少数派を優遇するやり方は、かつて欧米諸国が植民地支配した「分割統治(Divide and Conquer)」を彷彿とさせる。
典型的な例としては、イギリスがビルマを支配する際に、イギリス人→カレン族等の少数民族→ビルマ人という階級制度を採用したことが挙げられる。
カレン族を役人等のエリート階級として優遇すると共にビルマ人監視を担わせ、ビルマ人の憎しみの目をカレン族に向けさせることで、イギリスへの反乱を未然防止するものだ。
今でもビルマ人と少数民族が揉めてるのは、この時の禍根だ。
この分割統治(Divide and Conquer)の考え方に基づけば、一般市民層の注意を黒人貧困層やLGBTQといった少数派に向けさせると共に、政府は(国民のためにならないけど)本来やりたい政策を実現する・・ということが考えられる。
2020年大統領選挙前のBLM暴動の嵐は、バイデン大統領が黒人貧困層の票を集める一因ともなったほか、1月の大統領就任式の議事堂襲撃にも繋がるなど、バイデン政権の成立に大きく寄与したと言える。
さて、アメリカでは11月に中間選挙を控えているが、そんな中で新たな分断を誘発しそうな「中絶」「銃規制」という二つのセンシティブなテーマで揉めている。
まずは「中絶」について。
6月24日にアメリカ連邦最高裁が、人工妊娠中絶を憲法上の権利と認める1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下した。
動画:米最高裁、中絶の権利認めない判断 約50年前の判決覆す pic.twitter.com/pmxZutMhRr
— ロイター (@ReutersJapan) June 27, 2022
この最高裁判断は「中絶禁止」と報じられているものの、ちょっと違う気がする。
最高裁では、これまで胎児が母体外で生存可能となる24週目頃までの中絶が合憲とされていたところ、ミシシッピ州の「15週目以降の中絶禁止規定」の合憲性を審議していた。
その中で、24週目以前でも「胎児は成長するで~」となり、今の基準の中絶は「殺人なんじゃね?」となり、ミシシッピ州の規定が合憲とされたものだ。
また、最高裁では各個人の事情や生命倫理観などの観点から安易な議論は不可能であり、憲法で一律に縛るのではなく各州判断に委ねるべきとしている。
確かに、レ○プによる妊娠や、妊娠により母体の身体・精神に危険が及ぶとか、中絶希望者の7割が貧困層のアメリカで貧困の連鎖も踏まえる必要性など、各州によって犯罪や貧困、倫理観、宗教観のバランスは異なる。
最高裁の判断は、実のところは「各州において議論を尽くせ」と、それなりに妥当と言えるもの・・なのだが、これまで認められていた中絶の権利が認められなくなるとして大騒ぎになっている。
そもそも、アメリカではピューリタン・スピリットを受け継ぐ共和党を中心に、キリスト教的宗教観がかなり強い。
州によっては望まない妊娠(レ○プ等)や母体が危険な場合でも中絶を禁じたり、医師にも刑罰を課すなど、宗教観に振り切っている傾向も見られるほどだ。
ただ、リベラル派の民主党を中心に「聖書の教えも分かるけど、ある程度は仕方なくね」的な現実派も台頭した結果、やむを得ない人工妊娠中絶は憲法上の権利と認められてきたという経緯がある。
それが覆りそうなので、騒ぐのも理解は出来る。
こうした中での今回の判断について、中絶が関係ありそうな若年層女性にも中絶禁止を歓迎する人も多いぽい。
米最高裁、中絶の権利認める判例を49年ぶりに覆すhttps://t.co/BEpbEWipB2
1973年に女性が中絶を選ぶ権利を認めた歴史的判例(ロー対ウェイド判決)を49年ぶりに覆し、州による中絶の制限を容認しました。
※記事を修正して再投稿しています— 毎日新聞 (@mainichi) June 24, 2022
また、「人の命をどうこう出来るのは神のみ」とする聖書の教えが重視する立場から、カトリック総本山のローマ教皇はこの最高裁判断を肯定する。
ローマ教皇庁、米最高裁の中絶違憲判断を称賛 社会支援も訴え https://t.co/00dbvtkQp4
— ロイター (@ReutersJapan) June 27, 2022
一方で、不満を漏らす人も多いようで、民主党よりのCNNの世論調査では過半数が不支持とか。
「中絶合憲」覆す米最高裁判断、過半数の米国人が不支持 世論調査 https://t.co/C1zlGLgTT9
— cnn_co_jp (@cnn_co_jp) June 28, 2022
ということで、アメリカ国内では意見が割れているのだが、重要なのはそこではない。
実のところ、アメリカ国内における中絶件数は、意識向上などにより大きく低下している。
BBCニュース – 米国の中絶率、過去最低に その理由は? https://t.co/5atvYFRW8W
— BBC News Japan (@bbcnewsjapan) November 18, 2019
ただ、このBBC記事にあるように、服薬による中絶はカウントされにくく、統計ほどには減少していない実態がありそう。
そして、アメリカ国内における中絶希望者の7割が貧困層と言われており、BLMやポリコレ運動において優遇される層と重なっている一方で、中絶反対のキリスト教右派勢力(先祖代々のアメリカ人等のトランプ支持層)は冷遇される層となっている。
つまり、今回の最高裁判断は、行き過ぎたBLM・ポリコレの逆流と言える。
また、この判断を下したアメリカ連邦最高裁判事は、6人中9人が共和党寄りであり、BLM・ポリコレにやられっぱなしだったキリスト教右派勢力(先祖代々のアメリカ人等のトランプ支持層)を優遇する「ポリコレ対策」との意味合いが強い。
つまり、さらなる分断を招くものと言えそうだ。
そして、この共和党からの仕掛けに対して、民主党の御大からの批判が相次いでいる。
バイデン大統領「悲劇的な過ちだ」 米最高裁、中絶の権利認めず 約半世紀ぶり判断覆す・・・全米各地で大規模デモ広がる https://t.co/YAjSWVR4io
— TBS NEWS DIG Powered by JNN (@tbsnewsdig) June 25, 2022
バイデン大統領はじめ民主党のエライ人たちは、「ふざけんな」とお怒りの模様だ。
さらに、民主党派閥のポリコレさんは、中絶禁止からの同姓婚禁止を懸念しているとかで、怒髪天をついている模様だ。
LGBTQ擁護団体GLAADのサラ・ケイト・エリス氏は「中絶反対派とLGBTQ反対派は同じだ。どちらも私たちの体に対するコントロールを否定し、私たちがありのままに生きることを危険にさらしている」と訴えた。 pic.twitter.com/DyE2BUHZEj
— ロイター (@ReutersJapan) June 28, 2022
ただ、今回の判断は「中絶禁止」というよりは「中絶についてちゃんと考えましょう」だ。
また、アメリカ南部や中西部等の共和党多数派のレッドステート等では、中絶禁止に動く可能性は高くなっているものの、禁止州住民も合法州で中絶することは可能だ。
この反応は過剰反応と言え、いたずらに分断を招くものとなっている。
さらに、ゼロヘッジさんによると、共和党系の最高裁判事に対して、メディアや政治家からの「攻撃」が行われているとか。
Crisis Of Faith: Politicians & Press Escalate Attacks On Legitimacy Of Supreme Court https://t.co/h6pfnd0Y9f
— zerohedge (@zerohedge) June 29, 2022
エリザベス・ウォーレンやAOC(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス)等の民主党議員や、ニューヨークタイムズ紙などが、最高裁判事の弾劾や懲戒をチラつかせているとか。
裁判所の判断が気に入らないからと言ってパワープレイに出るのは・・暴動を煽るだけだよな。
あのソビエト革命のレフ・トロツキーは「目的は手段を正当化する」と言ったが、今の民主党はまさにトロツキーのようなユダヤ人左派勢力の牙城となっている感じだな。
また、共和党が分断を仕掛けた一方で、バイデン政権側も過剰反応しており、両党が協力して分断を煽っているように見受けられるな。
さて、次に分断を生みそうな決定が「銃規制」で、こちらはバイデン政権(民主党)側が積極的に仕掛けている。
BBCニュース – バイデン米大統領、超党派の銃規制法案に署名 約30年ぶりの規制強化https://t.co/c3uSIg3TD6
— BBC News Japan (@bbcnewsjapan) June 26, 2022
今回の規制の内容は、
新法案は、21歳未満の銃購入希望者に対する身元確認を強化するほか、精神医療や学校警備の強化策に連邦予算150億ドル(約2兆円)をあてる。
このほか、裁判官が危険とみなした人から銃を押収する緊急措置を導入している州を支援する、資金提供なども盛り込まれている。
と言うもの。
「裁判官が危険とみなした人から銃を押収する緊急措置を導入している州を支援」の部分で、民主党による恣意的な運用は懸念されるところではある。
ただ、これまで銃規制に強く反対してきた共和党からも一部重鎮さんが賛成しているように、「銃規制」というほど強いものではない。
しかしながら、500万人もの会員を抱える一大ロビー団体で、共和党に積極献金している全米ライフル協会さんは「銃規制や」と拒否反応を示している。
🚨BREAKING: Gun Control Bill Signed Into Law by Biden. Bill was just introduced on Tuesday, jammed through, & signed just 4 days later.
Make no mistake, behind the façade and the contrived talking points of safety, school security, and mental health, THIS IS A GUN CONTROL BILL.
— NRA (@NRA) June 25, 2022
フロンティア・スピリットを受け継ぐアメリカ人(特に共和党員)は、警察に頼らず「自分の身は自分で守る」信念を持つ人が多い。
インディアンや強盗団の襲撃を受けることが日常茶飯事だった開拓時代の名残と言えるが、広大な国土に3兆丁を超える銃が存在すると言われるアメリカで、警察に頼らない自衛意識が生まれるのは当然か。
こうした経緯から、アメリカでは「相次ぐ乱射事件を踏まえて銃を無くそう」ではなく「銃を持ったイカれポンチに対抗するためにも銃は必要」となる。
また、民主党が強いブルーステートでも、アーカンソーのように銃規制に反対している州もあり、アメリカ人の銃規制アレルギーは根強い。
実のところ、今回のバイデン政権の動きは銃規制をテーマとした分断に加えて、別の目的も見え隠れする。
以下は、ゼロヘッジさんの記事だ。
“Only Criminals Are Gonna Have Guns”: Joe Rogan Warns Against Confiscation https://t.co/2xMzEP8BXZ
— zerohedge (@zerohedge) May 29, 2022
この記事では、ヘタな銃規制により犯罪者だけが銃を保有することになるんじゃないかと指摘されている。
・・・世紀末的な未来を予感させる。
このほか、人々が銃を手放すことで政府権力が強くなり、さらに全体主義的な傾向が強くなる可能性も指摘されている。
この点については「南北戦争の再現!?急速に進む国内の分断 ライフル協会も潰されるか」で紹介したように、銃規制に反対する共和党・トランプ支持者たちが「テロリスト」のレッテルを張られ、そんな「テロリスト(トランプ支持者)」に銃器を持たせないようにする展開も懸念されるところ。
特に、今回の「裁判官が危険とみなした人から銃を押収する緊急措置を導入している州を支援」の部分の運用次第では、この展開はあり得る。
一方の共和党サイドは、バイデン大統領がこの法案に署名する数時間前に、アメリカ連邦最高裁を動かしてニューヨーク州で施行されている自宅外で許可なく拳銃携帯出来ないとする州法を違憲とした。
米最高裁、NY銃規制に違憲判断 他州に影響も 大統領・知事反発 https://t.co/26XRv2g8Wp
— ロイター (@ReutersJapan) June 23, 2022
アメリカ憲法修正第2条には「国民が武器を保有し携帯する権利は侵してはならない」とあるように武器保有権が定められているため、違憲判決もアリではある。
このように、アメリカでは「中絶」「銃規制」という二つの権利を巡って、泥沼の分断が予想される。
そして、アメリカではリセッション入りが確実な状況となっている。
ゴールドマン、米国の金利市場は景気後退リスクを過小評価 https://t.co/SPdx48WJdW
— ブルームバーグニュース (@BloombergJapan) June 27, 2022
しかも、金融引締めによる金融危機へと発展する可能性が高く、社会不安も高まることが懸念される中で、この妥協不可能な議論の盛り上がりがどうなっていくのかは非常に気になるところ。
2020年の大統領選前にはBLMなど暴動を伴うデモが頻発していたが・・現在も11月に中間選挙を控えているし、金融引き締めに端を発したリセッションによる社会不安も加われば、容易に暴動へと発展するだろう。
また、「アメリカ中間選挙 民主党の敗北とバイデン&ファウチ訴追の可能性」で紹介したように、中間選挙では民主党の敗北が予測されているほか、バイデン政権の存続に関わる息子スキャンダルも公になってしまう可能性が出てきている。
バイデン政権が、2020年大統領選前のBLM運動よもう一度的な願望を持っていても不思議ではない。
例えば、中間選挙の結果によっては「不正選挙」と共に暴徒化した民衆を制御出来ず(制御せず)に、内戦状態に陥る可能性もある。
さらに、ゼロヘッジさんの報じるところでは、アメリカに多くのテロリスト(疑い)が入国していることが指摘されている。
Known And Suspected Terrorists Entering US In Unprecedented Numbers: Rep. Higgins https://t.co/cobnc5fQN3
— zerohedge (@zerohedge) June 30, 2022
バイデン政権による国境解放によりメキシコなどからアメリカへの入国者が増えているところだが、その中にテロリストが紛れているとか。
2021年10月~2022年5月までの間に、FBIのお尋ね者リストに載っている50名が御用になっているものの、実際には当局の手を逃れた700名程度のテロリストがアメリカ国内に侵入している可能性が高いとのこと。
内戦機運が高まる中で、こうしたテロリストさん達が暴れ出したら・・。
そして、何よりも気になるのは、この内戦へと繋がる分断を、共和党・民主党双方が協力して仕掛けている点だ。
「アメリカの暴動はイルミナティカードで予言されていた!?」で、アメリカが一国でまとまっていると強すぎるため、国際金融資本により誘発された南北戦争により分裂が図られたという、ドイツ帝国宰相ビスマルクの言葉を紹介した。
現在進行中、米ドル中心の金融システムを崩壊させて、金・資源本位通貨など新たな金融システムを構築する「グレートリセット」を進めるには、アメリカ覇権の低下・縮小が欠かせない。
既に、ユーラシア大陸におけるアメリカ覇権は、ロシアや中国への委譲が進んでいるところではあるが、さらにアメリカ内戦を起こすことで、他国への干渉能力を喪失させる目的があるのかもしれない。
このイルミナティカードの暗示は、来るべきアメリカの内戦or内乱を予告するものなのか・・。
グレートリセットの不可逆的な進行を課せられたバイデン政権の最後の仕事がアメリカ内戦なのかもしれない。
最後まで読んでくれてありがとう!