2月13日に発生した福島県沖地震が、福島第一原発に深刻なダメージを与えたのではないかとの懸念が出てきた。
いくつかの点で懸念はあるものの、一番大きく報道されているのは、福島第一原発3号機に設置された地震計が故障しており、先日の地震を記録出来ていなかったというもの。
東京電力は22日、福島第一原発3号機原子炉建屋内に設置した地震計2台がいずれも故障していたにもかかわらず、修理せずに放置していたため、今月13日深夜にあった震度6弱の地震データを記録できていなかったと明らかにした。東電は、昨年には故障に気付いていたという。 https://t.co/6cXH5eHqEe
— 東京新聞編集局 (@tokyonewsroom) February 22, 2021
13日の地震の話を今さら出してくるのも呆れるが、昨年7月には地震計の故障に気がついていたのに放置していたとか。原子力規制庁にも怒られた模様。
さあ非難してくれと言わんばかりの対応に非難が殺到している。だが、この報道で世間の目を逸らしてもっと大事なことを隠蔽している感じだ。
また、地震後の福島第一原発では、格納容器内の水位低下や圧力低下が起こっているとの報道も出ている。地震直後の報道ではプールから水がこぼれただけで異常なしって言ってたのに・・。
溶けてむき出しになった核燃料を冷やすため、格納容器には水を入れ続けているほか、水素爆発を防ぐために窒素の注入も続けられており、何事もなければ水位や圧力は一定に保たれているハズだ。
地震影響 福島第一原発 原子炉の格納容器 水位低下傾向続く #nhk_news https://t.co/vinC80zwsV
— NHKニュース (@nhk_news) February 22, 2021
1号機・3号機の水位が数十センチほど低下していること、大気圧との差が1.2KPあったところが0.1KPまで低下しており、ほぼ大気圧と同じになっていることが報じられている。
また、NHKの報道では「10年前にできた損傷が広がり、水位と圧力が低下した可能性」としているが、普通に考えて、この水位と圧力の低下は先日の地震で格納容器に新たな亀裂・破損が生じたか広がったものだろう。
さて、水位の低下については東京新聞が詳細に報じている。
原子炉格納容器の水位30センチ以上低下 福島第一原発1、3号機で 震度6弱の地震の影響か
13日夜に観測された震度6弱の地震の影響で、10年前の事故で損傷した部分が広がり、原子炉建屋内に漏れ出る量が増えているとみられる
東京新聞 TOKYO Web https://t.co/RECDhGzpCk
— 東京新聞編集局 (@tokyonewsroom) February 20, 2021
1号機では水位1.9メートルから40~70センチ低下、3号機では水位6.3メートルから約30センチ低下とのこと。特に1号機の低下ぶりが凄いのだが、大丈夫か!?格納容器の底がズレたか、格納容器の亀裂拡大や破損個所が増たのか。
水位低下に対しては、とりあえず注水量を増やしているとのこと。元々3トン/hもの水を入れ続けているところ、さらに水量を増やしたので、汚染排水もそれだけ増えることになる。タンクパンパンなのに、どうするんだよ・・。
また、圧力低下について、格納容器内に入れた窒素が漏れているのは間違いなさそう。水位低下で損傷個所が露出したか、穴が広がったか新しく開いたか・・原因はいろいろ考えられる。ただ、これまでも圧力保持のため窒素注入を続けていたので、注入・排出を繰り返していたハズだ。
大気漏洩しているんだろうが周辺の放射線量も上がってないとのことなので、格納容器内にあった揮発性の放射性物質は、とうの昔に出し尽くしていたと思われる。
なので、大気への放射性物質漏れについては、今のところ大丈夫っぽい。まあ、地震計の故障に気づいていながらも修理しない体質なので、線量変化してない話がホントかどうかわからんけどな。
とりあえず、水量増やして対処するのが精いっぱいみたいだ。
ただ、なんかヤバめな報道が出てきている。
福島県沖 クロソイから基準超の放射性物質 出荷を停止 #nhk_news https://t.co/PjaL86B0bc
— NHKニュース (@nhk_news) February 22, 2021
2月22日に福島県沖で水揚げされたクロソイという魚から、2年ぶりに基準値の5倍の放射性セシウムが検出されたというものだ。NHKによると、クロソイ捕獲場所は沖合8.8キロとのことだが、放射線量の高い福島第一原発の港湾内を出入りした可能性が指摘されている。
ただ、当然ながら、原発港湾内に出入りした可能性よりも原発の水位低下との関連を疑う声も出ている。つまり、水位低下した分の汚染水垂れ流しの可能性だ。
このクロソイが、10歳を超える高齢個体なら10年前の事故発生時に汚染された可能性が出てくる。しかし、若い個体だとしたら、濃い汚染水か高濃度の放射性物質が漏れている可能性が出てくる。地震前2年間は放射性物質が検出されなかったことを考えると、今回の水位低下とは無関係とは言えなさそう。
ただ、13日深夜の地震で早くも基準値超えの魚が出てくるのも、ちょっと早すぎる気もする。
この点を踏まえて、海上保安庁が公開している表面海水温のデータを見て欲しい。表面水温の偏差図で、震災前30年間の平均値を中央値として比較しているものだ。
これを見ると、福島県沖の海水温が高くなっているのが分かる。過去30年間の同時期と比べると、今の海水温がかなり高くなっていることを示している。
なお、同サイトでは過去一か月分のGIF動画を見ることも出来る。
これを見ると、先日の地震の前から既に高いことが確認できる。
この時期に特有の温かさなのだろうか。ただ、海上保安庁の過去データを見ても、同時期に海水温が高くなる様子は認められない。
ネットではこんなファイルが落ちていた。
6年前の同時期だと、むしろ福島県沖の海水温は低い。
これを踏まえると、核燃料の冷却水を直接放流が頭をよぎる。通常稼働の原発の排水でも海水温は上がると言われているしな。
海水温の変化は海流の影響とか自然現象だといいが・・福島県沖のクロソイから、基準値超えのセシウムが検出されたこととの関係も気になるところ。
地震計とか水位低下報道で隠したかったのは、まさかこれ?
原発関係は「風評被害」「不安を煽る」としてあまり報道されないが・・汚染冷却水がダダ漏れだとすれば、アンダーコントロールはもう限界なのかもしれん。先日と同じくらいの地震があれば(あるいはそれ以下でも)、もう耐えられなくなる可能性もある。
破損がひどくなれば、核燃料デブリの漏出や注水が追い付かず核燃料が再臨界する懸念もある。さらに、原子炉格納容器の崩落や放射性物質の大気漏出なども想定されるし、どうやら本当の危機はこれからだと考えた方がいい。
特に、格納容器崩落となれば核燃料を水で冷やすことも困難となる。チェルノブイリ方式で石棺するしかないが、誰が近づけるんだろうか。日本では旧ソ連ほど人命は安くない。石棺するだけで数十年はかかるだろう。それまでに、どのくらいの量の放射線がばらまかれるのか。
アメリカで有名な未来人ジョン・タイターの2020年の日本地図という画像が出回っているが・・
・北海道と青森、秋田の一部は「蝦夷共和国」
・それ以外の東北地方と関東、新潟の東側は「政府管理区域・立ち入り禁止」
・それ以外の地域(東海・北陸・西日本)は、岡京=岡山を新首都とする「新大和皇国」
本当にこれが現実になってしまうのかもしれない。とりあえずは、地震がこないのを祈るしかない。
Fukushima50の原作「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を読んで考える日本の原発で紹介したが、東日本大震災の際には、福島第一原発の吉田所長以下、50数名の東電職員や自衛隊・協力会社社員の活躍により、日本は救われた。
死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発 (門田隆将 著)
あの努力を無駄にしないためにも、原発問題には最優先で取り組んでいかなければならない。オリンピックよりも、はるかに重大な問題だと思うが・・。
最後まで読んでくれてありがとう!