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【ウクライナ機撃墜】イラン革命防衛隊司令官殺害事件によりイランが得た4つのもの

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この事件に関連して出ている事実は、スレイマニ司令官の殺害とイランのミサイル報復、イラク撤退文書流出、航空機墜落(撃墜?)事件の3つだ。

そして、イランはこれらを通じて4つのものを得た。それは何か、それぞれをみていこう。

まずは、スレイマニ司令官殺害事件と一連の騒動だ。

今年1月3日にイラン革命防衛隊の司令官ソレイマニ司令官は、バグダッド国際空港を車列で走行中にアメリカ軍の無人攻撃機(ドローン)に攻撃を受け殺害された。

スレイマニ司令官の右腕でもあり共に行動していたイラクのシーア派民兵組織カタイブ・ヒズボラの最高指導者でPMF副司令官のアブー・マフディー・アル=ムハンディスも殺害された。

ことの発端は、(アメリカの主張では)イラクの民兵団が米軍基地を攻撃したことだった。報復として米軍が民兵団の拠点を空爆し、怒った民兵団がアメリカ大使館を攻撃した。

これに対して、トランプ大統領がさらなる攻撃の抑止としてスレイマニ司令官を殺害したものだ。

たが、攻撃直後からトランプはツイッターで戦争する気はない旨を表明した。じゃ攻撃するなよって話だが・・・。

一方イランは、報復としてミサイルを米軍基地に打ち込んだ。イランはイラクを通じて攻撃を事前通告していたほか、無人の格納庫などを標的としていたためアメリカ軍の死者はゼロだった。

その後は、両国とも戦争する意思がないことを表明して一連の騒動は幕を閉じた。わずか一週間足らずの出来事だったが、イランは多くのものを得た。今後の中東情勢はイランを中心に変化していくこととなる。

まず、今回の事件でイランは「アメリカを攻撃し負けなかった中東で唯一の国家」として、反米感情の強い中東において覇権国家たる資格を得た。これがイランが得たもの一つ目だ。

この混乱の最中、アメリカ軍がイラクからの撤退を検討している旨を記した文書が流出した。すぐに撤退を検討していないことや、下書きを間違って送ってしまったと発表された。

下書きなので、「検討していた」と言っているに等しいのだが、これはアメリカが意図的に漏らしたものだろう。

その目的として、イラクに「アメリカは早く出ていけ」と言わせることと、一緒に駐留しているヨーロッパ勢に「アメリカ軍は帰るから後は好きにして」とアメリカの意思を伝えることにあるのではないだろうか。

アメリカ軍が撤退すると残るは欧州勢だが、彼らはそこまでイランを敵対視していないので、今後はイランは許されていく流れになる。これが、イランが得たものの二つ目だ。

なお、アメリカは追加の経済制裁と言っているが、既に制裁されているイランにはあまり意味がない。

米、イランへの追加制裁を発表 軍事報復を見送り経済圧力

トランプ米政権は10日、イランの政府高官ら8人と製鋼・採鉱企業など17団体を独自の制裁対象に追加したと発表した。イラク駐留米軍への攻撃を受けた措置。建設・繊維部門でも新たな制裁を科す準備を進めている。軍事的な報復を見送った代わりに経済面の圧力を強化した。

ただ、米国は既に主要部門や高官らに制裁を発動しており、実質的な効果は薄いとみられている。

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次はイランとイラクの関係だ。

イラクにはイランの影響力が強まることをヨシとしない風潮があり、それが反イランデモやアメリカ軍撤退によるイラン支配が強まることの懸念につながっていた。

しかし、スレイマニ司令官殺害事件を機に、イランはもちろんイラクにおいても反米を核に国内が結束、アンチ・イランよりもアンチ・アメリカの声が圧倒的に大きくなった。

これが、イラクで1月5日に議会として初めて、駐留米軍撤退を求めることにつながった。今後はさらに強く求めていくだろう。

イラク、駐留米軍撤退で協議要請米は拒否

イラクのアブドルマハディ暫定首相は9日、ポンペオ米国務長官と電話会談し、イラク駐留米軍の撤退を協議するため代表団を派遣するよう要請した。複数の米メディアが伝えた。米国務省は10日、過激派組織「イスラム国」(IS)対応を継続する上でも駐留は必要とする声明を発表し、撤退目的の協議を拒否すると表明した。

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また、昨年10月頃から、アンチイランを核としたイラク反政府デモが発生し、政府首相が辞任する事態になっていたが、これらのデモも一定程度沈静化し今後はイランの影響力の下に入っていくことになる。

もちろん、イランの影響力の下と言ってもイランだけに従うわけではない。ロシアや中国なども加わって、多極型の世界の一つになっていくのだ。

また、そのようになっていくのはイラクだけでなく、反米感情の強い中東全域でイランの影響力は強まっていく。同時にアメリカは撤退を進めていく。

このように、中東エリアのイラン覇権が強まっていくことがイランが得たもの三つ目だ。

そして、最後だがテヘラン発の航空機墜落事件だ。

映像見ると、やはり撃墜されたことは間違いないな・・・と思っていたところ、こんなニュースが出た!

イランが撃墜認める、主張撤回 ウクライナ機「人的ミス」

国営イラン放送によると、イラン軍は11日、首都テヘランで8日に墜落したウクライナ機について、軍が誤って撃墜したと認める声明を発表した。同機の技術的なトラブルが原因だとしていた主張を撤回した。

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この事件は、イランの「革命防衛隊の」誤射で決着がついた。まあ、あの状況で民間航空機が飛ぶのもどうかとは思うが。

当初は撃墜を否定していたものの、撃墜の瞬間や残骸のなかにミサイルの破片とおぼしき映像が残っており否定しきれないと考えたのだろうか。

この手の事故は素直に過失を認めない場合が多いが、事故からわずか3日で認めた事は好感が持てる。だが、その効果は好感度アップだけではない。

革命防衛隊は聖職者権力の直下にある軍隊組織で正規の国軍ではなく、原田武夫氏の言葉を借りれば、戦前の正規のドイツ軍とナチス党の軍のような関係だ。

その役割は広く、防衛隊はインフラ企業の運営による豊富な資金や独自のプロパガンダ機能など、強大な権力を持っている。

一方、イランのロウハニ大統領は穏健派で、欧米首脳とも積極的に接触を図るなどこれまでにないタイプで、従来の保守強硬派とは一線を画している。

当然、革命防衛隊とは対立関係にあり、利権の剥奪を試みてきたが失敗してきた。

ちなみに殺害されたスレイマニ司令官は、イラン国内において歴戦の英雄として国民的人気を誇り、宗教指導者のハメネイ師に次ぐ権力者でもあった。

撃墜事故は今後もばらくは尾を引くと考えられるため、革命防衛隊の権力低下と穏健派の台頭を招く。こう考えると、素直に「やりました」と言ったのは穏健派かもしれない。

穏健派は政治・経済の自由化を目指しているが、これまではアメリカ(国際金融資本勢力)の傀儡とならないよう、強硬派が国の舵取りをする必要があった。

だが、ここに来てスレイマニ司令官殺害によってアメリカの撤退やイランの影響力が強化されることとなり、強硬派の舵取りをする必要性が低下した。

この状況下で穏健派が台頭することが可能となり、穏健派の台頭により(中国ロシアとの関係はそのままに)日本や欧州勢との関係改善が図られていく。

これがイランが得たものの四つ目だ。

この四つを得たイランは経済的にも復活し、やがて中東エリアの覇権国となっていくだろう。

イランは比較的親日国家だ。日本もアメリカに遠慮せずにもっと仲良くした方がいいと思う。


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