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意図的に誘発されるQEバブル崩壊、そして金融危機

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FRBの金融引締めは怒涛の暴落と円高、そして日本バブルへ」で、インフレ対策を最優先するために、FRBのパウエル議長は景気を犠牲にしてでも金融引締めする「ダンコたる決意」をしていることを紹介した。

断固たる決意

と言うことで、アメリカでは世界に先駆けて金融引締めによって、景気悪化の足音が聞こえ始めてきた。

10月3日に公表されたアメリカの9月ISM(製造業指数)は8月の52.8から50.9に低下しており、事前予想の52.0を大幅に下回る予想外の落ち込みを見せている。

さらに、10月4日公表のJOLT求人件数は、事前予想1108.8万人→結果1005.3万人となっており、雇用状況が悪化していることを予感させるものとなった。

なお、今回のJOLT求人件数の下落幅は過去2番目に大きいものであり、2020年4月のコロナショックを上回るペースで求人が減少していることを示唆しているとか。

このように、比較的重要な指標が悪化するなど景気後退が示唆される中で、株価は急騰している。以下は10月4日時点でのNYダウの日足チャートだ。

20221004ダウ日足チャート

急騰したと言ってもチャートの形は弱く一時的な反発と言った程度だが、ISMさんやJOLTさんが弱い数字となる中の反騰は意外と言える。

なお、10月5日のADP雇用統計は予想+20.0万人→結果+20.8万人と微増していたほか、大本命の雇用統計では雇用者数増・失業率改善の結果を受けて、インフレ要因の一つと見なされる雇用(給料)が強いとして大幅下落する展開となった。

景気後退・雇用減少によりインフレが収束して、金融引締めの早期解除を期待する市場マインドは理解できないこともないが・・・弱い指標が好まれる謎現象と言える。

なお、「コロナ危機の終わりは金融危機と仮想通貨バブルへと繋がる」等で紹介したように、ノーベル賞経済学者のミルトン・フリードマンは、これまでの歴史的な金融危機は「中央銀行による市場からの資金吸収」が原因と指摘している。

日本人だけが知らない戦争論(苫米地英人 著)

経済は「需要と供給」ではなく「貨幣の数量」により規定されるものなので、過去のリセッションは「金融引締めによるマネーサプライ減少」が原因というワケだ。

と言うことで、金融引締め(利上げ・QT)は景気減速・後退を引き起こすのは当然であり、さらに長年のQEによりバブル化した市場が崩壊して金融危機となる可能性もあり、FRBもハードランディングを警戒していることは以前に紹介したとおりだ。

こんな危険な金融引締めなのだが、これがインフレ抑制に繋がるか否かは・・微妙だ。

前々から、昨今のインフレはコロナを契機としたサプライチェーンの混乱やウクライナ危機(ロシア制裁・セルフ制裁)による資源高・物資不足による「コストプッシュインフレ」であり、QEマネー氾濫による通貨価値の下落ではないため金融政策によるインフレ抑制は困難である可能性は何度か紹介してきた。(金融危機が見えてきたアメリカと日本バブル

現実に、金融引締めでリードするアメリカのCPI(消費者物価指数)は8%を超えているが、QEを継続する日本のCPIは3%前後となっており、QEやっても引き締めてもあまり関係なさそう。

直近で公表された大都会・東京のCPIだが、食品・エネルギー除く東京コアコアCPIは+1.7%、アメリカで同等のコアCPI(直近8月分)+6.3%と比較しても、数値の差は明らかだ。

※東京CPIの詳細については総務省統計局のWebサイトで確認可能です。

QEやってる方が、むしろインフレしていない・・・。

また、QEは2008年9月から始まっているが、インフレの兆候は2021年春頃になってようやく確認され始めたものであり、10年以上ものタイムラグがある。(WHO「コロナはまだまだ終わらない」 迫りくるのはインフレリスク!?

さらに、インフレが始まってからもFRBは「インフレは一時的」と言い続けていたが、その認識が修正されたのは2021年11月30日で、インフレ開始から半年以上も経過していた。

結果として金融引締めの初動が遅れたワケだが、この対応からはFRBが「QEとインフレは無関係」との識していたことが伺える。

また、FRBの「QEとインフレは無関係」認識は、そもそもQEとは債権市場を支えるためのものなので、QEマネーが金融市場に流入して株高・債権高となることはあっても、実体経済へのトリクルダウンなど起こるハズがない・・との事実があるからだろう。

アメリカと日本のインフレ状況の違いやQE開始~インフレまでのタイムラグ、FRBのインフレ認識を踏まえると、QEとインフレが無関係な可能性は高い。

となると、金融引締めにより雇用悪化→給与水準低下してもインフレ抑制とならないばかりか、ブツ不足・ブツ高騰で生活困窮した上にバブル崩壊で金融危機になってしまう。

以前にも紹介したように、アメリカではバイデン政権からFRBへのインフレ対策プレッシャーがあるようで、FRBは無謀と知りつつ「ダンコたる決意」させられてると思われ、その点では意図的にQEバブル崩壊を引き起こそうとしている。

なお、一足先にQEバブル崩壊へとひた走るのがイギリスだ。

アメリカに次ぐペースで金融引き締めするイギリスでは、ウクライナ危機の影響もあって史上最悪級のインフレに見舞われている。

金融引締めてもインフレは抑制されないので当然の結果だが、問題なのはイギリス国内ではインフレ(=実質的な可処分所得減少)や欧州エネルギー危機の影響によって、国民の生活困窮が深刻になっていることだろう。

と言うことで、トラス政権は、9月23日に大規模減税を柱とした経済対策を打ち出した。

この財源はもちろん国債だが、イギリスでは相次ぐ利上げで国債利回りが高くなって政府の利払い費用が嵩むと共に、英国債下落(=利回り上昇)で「国債を欲しがるヤツいんの?」となる中での追加の国債発行は、イギリス財政の健全性に疑問を投げかけることとなった。

この疑問は怒涛の英国債&ポンド売りへと繋がったワケだが、その影響によりイギリスの年金基金がマージンコール(追証)地獄に陥るハメになったとか。

追証資金を捻出すべく年金基金さんは手持ちの国債・株式等を放出しており、それがさらなる暴落を招き、別のマージンコールを誘発・・の無限ループに発展する可能性が高くなっていた。

この事態を前にしたイギリス財務大臣さんは、金融業界幹部に対して「ポン売り自粛」を呼び掛けることに。

ただ、財務大臣直々に「ポンド売るなよ?」となれば、金融業界のエライ人たちは「何かヤべーぞ、全部売れぇぇぇ!!」となるのは常識なので、ワザとポンド売りを誘発したと言えるのかもだが・・。

いずれにせよ、ミンスキーモーメントが間近に迫りQEバブルの終焉すら見える中で、イギリスさんはQE再開というドツボにハマることになった。

インフレとは物価上昇であると共に貨幣価値の下落でもあるため、本来はインフレに応じて金利は上がるのだが・・ましてイギリスのインフレ率が10%ということを踏まえると、金融政策のチグハグ感は凄い。

が、ひとまずイングランド銀行の介入により「イギリス売り」は収まったものの、10年英国債利回りの日足チャートを見ると・・・

英国債日足チャート

トラス政権の支援策発表と共に1957年以来の利回り急上昇(=国債大暴落)からのQE再開で落ち着きを取り戻しているものの、利回りレベルは高いままなので、英国債&英国財政への信頼が回復したワケではなさそう。

こうした中で、イギリスは「追加発行分の国債はちゃんと消化されるで」と言っているようだが・・マジか?

ちなみに、ブルームバーグからは、年金基金さんたちからの解約が相次いだことを受けて、イギリスの不動産ファンドが解約制限していることが報じられている。

年金基金さん達の間で、手持ちの現ナマを増やす動きがあることを示唆しており、債権・不動産バブル崩壊を予感させるものとなっている。

さらに、ゼロヘッジさんからは「Calling The UK An Emerging-Market Is No Longer A Joke (英国を新興市場と呼ぶことはもはや冗談ではありません)」とのタイトルで、英国債・ポンド暴落について「新興国の事件かと思ったらイギリスだったわww」的な記事が出ている。

本来的に、先進国の国債が売り込まれて崩壊に瀕する事態は起こり得ないことを揶揄したものだが、金融引締めで中銀が国債を買わない&国債価格下落する中で、事実上の財政ファイナンスに対する懸念が出ている証左と言え、QEから回復することがいかに困難かを示すものだ。

いずれにせよ、イギリス国債はイングランド銀行以外に誰も欲しがる者はおらず、年金基金なども放出機会を伺っているため、イングランド銀行が予定通りに11月にQTを開始すれば、確実に英国債は再暴落する。

年金基金やファンドは追証地獄に陥り、手持ちの英国債や不動産債権、株式など、現金化可能な資産をどんどん売却する連鎖となり金融危機となる。

普通ならイングランド銀行はQTをやれなくなった・・と考えられるが、何とトラス首相は英国経済の「リセット」を求めていたとか何とか。

ゼロヘッジさんによると、私有財産の完全否定&共産主義的な統治経済を目的とした「グレートリセット」を目指すWEF(世界経済フォーラム)主催のダボス会議にトラス首相が出席していたことや、トラス自身が古い経済モデルの崩壊を意味する「リセット」を求めているとか。

あくまで陰謀論レベルの話ではあるものの、トラスの大規模減税ブチ上げは、ユダヤ歴の「シュミータ年エルル月29日」と重なっており、実はトラスは本気で「古い経済モデル=現行の債権発行に基づく経済モデル」を「リセット」するつもりだった可能性がある。

日刊ゲンダイさんによると、1987年のブラックマンデーや2001年の911、2008年リーマンショック等の世界的な大暴落・大事件は、ユダヤ歴に7年に一度存在するシュミータ年(安息年)のエルル月(大晦日)29日付近に起こっているとか。

昨今のインフレ対策としての自滅的な金融引締めやウクライナ危機が始まったのが今年なのは偶然ではないのか・・・。

以前に「占星術は封じられた声が世界を変える流れを示唆する」で、世界を動かすエライ人たちはお抱えの占星術師に従って動くため、結果として世界は占星術に沿って動くことを紹介したが、エライ人たちは「ユダヤ歴」も見ている・・とするなら、シュミータ年エルル月は見逃せない。

また、NYダウは年初から2割下落、英国債・ポンドは瀕死、日銀の円買い介入など、世界は○○ショックな様相を呈している中で、さらに気になるのは「ヨベルの年のスタート」という話だ。

そして、激動第2弾の加速点は22年9月26日です。今年9月25日はシュミータ年エルル29日で前週に株価は急落しましたが、実は、9月26日からヨベルの年のスタートだという説があります。ヨベルの年とはシュミータの7年を7回、49年の翌年50年目で大解放の時です。借りていた土地は返さなくていいし奴隷は解放されるリセットの年です。

借りていた土地は返さなくていいし・・の言葉からだが、これは「負債の帳消し」以外に「崩壊」の意味もあるとしており、英国債・ポンド暴落の時期と重なっていることを踏まえると、国債という負債を根幹する経済・金融システムの崩壊を意味してはいないだろうか。

そして、それはトラス首相が求める「リセット」と同じものだ。

イギリスは、11月になったら予定どおりQTを開始することになるかもしれない。

なお、アメリカの著名な予言者ジョセフ・ティテル氏は2022年10月の予言で、10~11月に複数の国で経済崩壊しかねない最悪の暴落劇が起こることを予言している。

この他、欧州では冬の寒さが厳しくなることもあって、石油を巡り軍事紛争を伴う争いが起こるとの予言や、ドイツ最大のトイレットペーパー企業が倒産の危機にあるが、これは欧州各国に拡大していくこと、欧州諸国で戒厳令がしかれることになる・・など、欧州にとって厳しい予言をしている。

ちなみに、英国債に並んでヤバそうなのが、クレディ・スイスだ。

2008年のリーマンショックは、サブプライム証券(不動産&デリバティブ)の崩壊がきっかけだったが、今回はそれに加えて国債(アメリカ・イギリス・ユーロ圏)がダダ下がりしているが、国債は金融機関が大量保有しており、アチコチの金融機関でマージンコール(追証)の嵐となりかねない危うさも感じられる。

11月にイギリスがQT始めたら・・イギリス崩壊となるかも!?


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