欧米では、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。
まずは、アメリカの状況だ。以下は時事通信から。
【ニューヨーク時事】米東部ニューヨーク州のクオモ知事は21日、州内の感染者が前日から3254人増え、1万356人になったと発表した。このうち18~49歳が54%を占め、クオモ氏は若者に対し、「スーパーマンでもスーパーウーマンでもない。感染する可能性はあるし、誰かにうつして害する可能性もある」と述べ、自宅待機や他者と物理的な距離を取るよう改めて求めた。
全米の感染者は2万4000人を超え、285人が死亡した。西部カリフォルニア州やニューヨーク州などに続き、東部ニュージャージー州が21日、州民に原則自宅待機を命じ、米メディアによると、全米でおよそ4人に1人の外出が規制される見通しになった。
感染者はニューヨーク州が最多。州が検査数を増やしているのが急増の理由で、連日1000人以上感染者が増えている。クオモ知事によると、検査数が人口比で中国や韓国より多く、検査総数もカリフォルニア州やワシントン州の倍近い。クオモ氏は「感染者を見つければ隔離でき、拡散阻止につながる。だから感染者を探している」と指摘。また、収束まで「数週間でなく数カ月はかかる問題」と語った。
一方、感染者や入院者が増える中、医療現場ではマスクや人工呼吸器などの医療物資が不足。クオモ氏は「文字通り地球中を探し回っている」と訴えた。
また、米メディアによると、連邦航空局(FAA)は21日午後(日本時間22日未明)、新型コロナウイルスに絡む「職員の問題」からニューヨーク圏へのフライトを短時間停止した。ニューヨークの管制センターで働く職員に陽性反応が出たという。
ニューヨーク州だけで、感染者が10000人超えだ!
アメリカでは、ニューヨーク州はじめ複数の州で感染が拡大しており、一日で数千人のオーダーで感染者が増加している。
いくつかの州では、外出規制や営業規制がされており、全米で4人に1人が外出を規制されている状況だ。
感染者急増の背景には、記事にもあるように検査数を著しく増やしていることが原因だ。アメリカは、ウイルス対策として「感染者をどんどん見つけて、どんどん隔離する」戦略を採用している。
だが、新型コロナ感染症(COVID19)は、感染しても症状が出なかったり、症状が出ても軽症で感染に気がつきにくいことが多いため、感染者は知らず知らずのうちにウイルスを拡散させてしまう。
検査すればするほど感染者が出てくるだけで、収束させるのは容易ではない。
記事では収束には数か月かかる見通とあるが、別の報道では収束まで18ヶ月かかるとするものもある。数か月~1年半もの間、経済を止めてはアメリカが耐えられない。
しかも、ウイルス戦争序盤にして早くも医療物資が不足している。このままだと、イタリア同様に医療崩壊する。
アメリカが無意味にガンガン検査をしている背景には、検査キットを開発・販売により莫大な利益を狙う製薬会社からのロビー活動を疑ってしまうな。
以下はWOW!KOREAという韓国のニュースサイトからだ。
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、45分以内に結果の出る“非常用”新型コロナウイルス感染症の診断キットを許可した。
21日(現地時間)英国の通信社によると、米国の医療機器メーカーのセフィエド社は、患者から現場検査(POC)を通して新型コロナ感染症を誘発するウイルスを45分以内に検査できる検診キットの使用をFDAから緊急に許可を受けたと伝えられた。
この検診キットは患者を相手に現場での検診ができ、1時間以内に結果の出る、最初の新型コロナへの検診キットである。
セフェイド社開発の検査キットが一刻も早く現場に投入されるよう、FDAは相当急いで承認したようだ。
おそらく、このロビー活動は日本に対しても行われているはずだ。検査キットの生産・普及体制が整い次第、日本でも検査しまくり戦略に転換していくだろう。
さて、肝心の日本だが、3月20日に厚生労働省に設置されている専門家会議からの提言が発表された。
これをベースに、今後の日本政府の対応方針が決められるのだが、専門家会議は提言の中で「オーバーシュート(爆発的患者急増)」や「ロックダウン(都市封鎖)」に言及するなど、明らかにこれまでとは危機意識のレベル感が異なっている。
専門家会議の提言等は厚生労働省のウェブサイトに掲載されている。以下のリンクからPDFがダウンロード可能なので、読んで欲しい。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020 年 3 月 19 日)
国の文書なので、慣れてないと読みにくい。とりあえず、簡単に専門家会議の提言をまとめたので参考にして欲しい。
- 日本でもどこかでオーバーシュート(爆発的患者急増)して、重症者の増加を起こしかねない。
- 欧州のような感染拡大や、医療提供体制への深刻な影響についても、考えなければならない。
- 分析できる感染者数データは、潜伏期間や報告に要する期間も含めて、約2週間前の状況でしかない。
- なので、どこかでクラスターが大規模化・連鎖しオーバーシュートしても、事前には分からない。気付いたときには制御できない。
- もしオーバーシュートが起きると、医療体制が崩壊状態となる。
- 爆発的患者急増が起きた欧州では、都市封鎖や外出禁止措置、生活必需品以外の店舗閉鎖など、いわゆる「ロックダウン」と呼ばれる強硬な措置が採られている。
いよいよ政府が、オーバーシュートやロックダウンについて言及してきた。
参考までに、これまでの政府の方針・対応を簡単にまとめてみた。
2月24日頃
- 感染の拡大のスピードを抑制することは可能
- これから1-2週間が収束できるかの瀬戸際
- 対策の目標は、感染拡大スピードを抑制し、重症者と死亡数を減らすこと
- イベント等の自粛やテレワーク、時差出勤などを要請
- 安部首相の独断と言われる小中高の春休み前倒し休校の実施
結局、収束できるかの瀬戸際すぎて分かったのは、全然収束できてなかったということだ。
3月13日
- 新型コロナウイルス対策として「緊急事態宣言」が出せるよう法改正
- 「緊急事態」では、外出自粛や学校や映画館の使用制限、イベント停止を要請できる。
- 所有者の同意なしに、臨時の医療施設を開設するため土地・建物を使用できる。
ここで「緊急事態宣言」が出せるように法改正された。
では、現実に緊急事態宣言でどのような制限を課すことが可能となるのか?
「新型インフル特措法」第45条以降に色々定められている。
法律の構成として、「新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるとき」に様々な制限を課すことが出来ることになっているので、何をやるにせよ、まずは緊急事態宣言だ。
緊急事態宣言が出ると、次は「都道府県知事が…」とあるので、実際の制限は都道府県単位で実施されるようだ。
で、何が制限されるかと言うと以下のようなものになる。
- 外出禁止
- 休校や、集客施設・イベントの停止
- 臨時の医療施設を開設するため、所有者の同意を得ずに土地・建物を使用
- 医薬品や食品など、必要物資の売渡し要請(要請を断わられれば収用可能)
- 生活との関連性が高い物資の価格安定
このほか、埋葬・火葬を円滑に行えなくなった場合でも、手続きを簡略化して実施できるなどが定められている。そういえば、中国の武漢市でも火葬場が通常の4倍稼働していたという話があったな…。以下の記事に書いてあるので、参考までに!
まあ、日本政府も危機意識は持っているようで、「大阪周辺が危ない」という認識が厚生労働省にあるようだ。
三連休直前の19日夜に、大阪府知事より大阪・兵庫間の往来自粛の要請がなされたが、実は国からの要請があったころが明かされた。また、知事は国から発出された非公表前提の文書も公開した。大阪知事さんのツイッターからだ。
厚労省から受けたこの提案を重視し、方針を決定した。単なる有識者やコメンテーターが作成したものじゃない。国がこの書類を持って大阪府と兵庫県にわざわざ説明に来て提案された。重要な事実と判断して外に出した。多くのコメンテーターはこんな数字なる訳ないと思うだろうが、僕は無視できない。 pic.twitter.com/hRvR85tcC6
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) March 20, 2020
このレベルのことは僕が19日最初に記者発表した段階で記者が聞いてるよ。国の提案は大阪兵庫間だけなく、その他の府内外も含む。要請期間も3週間の長期。緊急事態宣言もない中で、連休3日間に絞り込み、大阪兵庫間に絞り込みをかけた。国の試算値を重視し、対応は政治判断。 https://t.co/HuLAWpFB9G
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) March 21, 2020
文書では、厚生労働省が出した感染者増加の試算と、今後の対応策が記載されていた。
簡単にまとめるとこんな内容だ。
- 見えないクラスター連鎖が増加しつつあり、感染の急激な増加が既に始まっている。
- 試算では、19日までの間に患者178人(うち重篤者5人)、
次の7日間(20~27 日)に患者586人(うち重篤者30+9人)、
次の7日間(28~3日)に患者3,374人(うち重篤者 227人) - 感染者が急速に増加し、来週には重症者への医療提供 が難しくなる可能性あり。
これらを踏まえ、社会的隔離により感染者の爆発的増大の回避・抑制を図るために必要な対策案が提案された。
第一段「警戒段階」では、今後3週間、大阪府・兵庫県全域で以下の対応
- 市民の感染対策の強化の呼びかけ(有症状者の自宅療養、3要素を避ける、手指衛生の徹底等)
- 学校休校・イベント中止の呼びかけの継続
- 大規模イベントの自粛の呼びかけ継続
- 感染拡大リスクの高い(3要素を満たす)施設の使用自粛、集会の自 粛の呼びかける
- 大阪府・兵庫県内外の不要不急な往来の自粛を呼びかける。
第二段「積極的介入段階」では以下の対応
- 全域の不要不急の外出自粛の要請(緊急事態宣言も考慮)
- 施設の使用制限(緊急事態宣言も考慮)
- 医療提供体制の確保として、 重症者の医療提供体制・医療従事者の感染管理体制を早急に整備する。
現状では、緊急事態宣言も出されていないため、連休中の移動自粛のお願いにとどまったとのことだ。
本田健さん曰く、日本で緊急事態宣言が出されないのはオリンピックのせいなので、中止決定されたら緊急事態が出るかもしれないとのことだ。まあ、その前に検査検査アンド検査になるんだろうけどな。
また、原田武夫氏はオリンピック中止は、IOCとWHOの話し合いで決定されると予測している。
来週中にIOCが臨時理事会を開催するという報道があった。おそらく、中止なのか延期なのか最終決定するのだろう。日経新聞が記事出してるので参考までに。
だが、気になる報道がある。以下は福井新聞からだ。
東京オリンピック延期の是非、安倍首相が「近く判断」トランプ大統領が見通し示す
トランプ米大統領は3月21日、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、7月開幕予定の東京五輪延期の是非について安倍晋三首相が「近く判断する」との見通しを示した。米国など世界各国の競技連盟やオリンピック委員会から延期要請が相次ぐ中、「日本が決めることだ」と重ねて強調した。
以下略
ん?日本が決める!??
も、もしかして・・・中止に伴う損害とか、日本が全部負担するってことですか~!?
そういえば、ワシントンポストでも、オリンピックは中止または延期しなければならない。オリンピックを続けようとする日本の役人は「完全にばかげている」「まったく無責任」などとエライ非難されているぞ。
やっぱり中止or延期は日本の責任ってことになりそうだな…。日本は外圧に弱いからな。
トランプ大統領は演説で「自分は戦時下の大統領だ」と述べており、新型コロナウイルス対策は戦争であり今は「有事」という認識だ。まあ、そんな状況でオリンピック選手団を送り出せないだろうな。
世界が戦争認識の中で、日本だけがのんきだ。自粛も止めようムードが出てきている。
ということで、日本の緊急事態宣言は、オリンピック中止・延期の決定が一つのトリガーだ。これを機に、検査を徹底する方針となり、緊急事態宣言へとつながるのかな。
最後に、新型コロナの感染が止まらないイタリア先輩の状況を見てみよう。以下はロイターからだ。
イタリア、1日の死者が約800人に急増 企業活動ほぼ全面停止
[ローマ 21日 ロイター] – 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻なイタリアで21日、1日の死者が約800人近くに急増した。累計の死者数は震源地となった中国をすでに抜いて世界最悪で、5000人に迫ろうとしている。
イタリア政府は4月3日まで、スーパー、薬局、銀行、郵便などのほか、交通機関や物流サービスを除くすべての企業活動を停止することを命じた。コンテ首相はフェイスブックに動画を投稿し、「第2次大戦後で最も深刻な危機」と述べ、「不可欠な生産活動のみ許可する」と付け加えた。
イタリアでは21日、793人の死者を確認。およそ1カ月前に症例が発生してから、1日の死者数としては最悪となった。累計の死者数は4825人に達した。感染者は4万7021人から5万3578人に増加した。
感染拡大の影響が最も深刻な北部ロンバルディア州は死者3095人、感染者2万5515人と、依然として危機的な状況にある。
イタリアの死者数が4825人…あの中国を超えただと…!?
そして、イタリアでは、北部地域を中心にロックダウン(都市封鎖)してきたが、医療崩壊や死者・感染者の急増を受けて、ロックダウンのレベルを上げてきた。
必要不可欠な生産活動に関わる業種以外は、すべての企業活動が停止だ。
なお、フランスやスペイン、ギリシャなどでも、カフェや映画館といった集客施設の閉鎖や市民の外出禁止が実施されている。
この次に来るのは何か!?気になるニュースが出ている。ニューヨークタイムスからだ(英語版です)。
要約すると、バンカメで一度に多額の現金を下ろす人が多くて、支店の紙幣が尽きたという内容だ。
アメリカでは取り付け騒ぎが起こりそうな気配があるってことか…。
海外で起こったことは日本でも起こる。
イタリアのような強烈なロックダウン(都市封鎖)、そして取り付け騒ぎ防止のための預金封鎖も来る!
緊急事態宣言がそのトリガーだ。準備を怠らないようにしたいものだ!
最後まで読んでくれてありがとう!