ドルの崩壊

近づくドル崩壊 ゴールドマン・サックスも警告

ドルの崩壊

金(ゴールド)が、連日高値を更新するなど絶好調な展開となっているが、この背景には「ドルの崩壊懸念」がある。

しかし、陰謀論的な扱いを受けがちな「ドルの崩壊」については、これまでもブログで書いてきた。

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ペトロダラー崩壊

しかし、あの天下のゴールドマン・サックスも、ドルの崩壊リスクを指摘し始めたのだ。

ゴールドマン・サックスが指摘する「ドル崩壊」

泣く子も黙るゴールマン・サックス様が「ドルの基軸通貨としての地位にリスク」として警鐘を鳴らし始めた。

ゼロヘッジさんも、意気揚々と報じている模様。

ブルームバーグによると、ゴールドマン・サックスは「基軸通貨(準備通貨)としての米ドルの寿命に対する本当の懸念が浮上し始めた」と指摘するとともに、その原因として、新型コロナ感染拡大・長期化による大不況長期化、新型コロナ対策のための債務膨張をあげている。

弱体化するドル

実は、この指摘が出る少し前あたりからドルは急落している。

これはドル円(USD/JPY)のチャート。

20200801のドル円チャート

7月に入ってから徐々に下落(=ドルに対して円が上昇)しており、7月23日頃から急落している。

こっちはユロドル(EUR/USD)のチャートだ。

20200801ユーロドルのチャート

7月中旬頃から、急速に値が上がって(=ドルに対してユーロが上昇)来ているのが分かる。

このように、ドルは他のメジャー通貨に対して急速に弱含んできている。

とはいえ、現状は通常のボラティリティの範囲内の動きだ。この値動きを持って、ゴールドマン・サックスがドルの基軸通貨性への懸念を指摘したワケでは無いだろう。

一方で、金(ゴールド)やビットコイン等の仮想通貨はハイペースで上昇している。以下は金(ゴールド)のチャートだ。

2020801の金チャート

コロナショックの暴落分を取り戻した4月以降もジワリ上げ続けていたが、7月20日頃から急上昇だ。

ところが、米国債は盤石だ。米国債10年利回りのチャートだ。

20200801US10年債のチャート

米国債利回りは過去最低水準で推移している。

ドルが急落し、ドルの対局にある金(ゴールド)への逃避行動が明らかな中で、米国債はむしろ買われている。株式市場も同様の傾向だ。

明らかに、FRB(米連銀)がQEによって生み出した資金で買い支えていると言える。

MMT理論では、ドルは無限に生み出すことが可能で、どこの国も超低金利でQEをやっているので、ドルの信用は想定的に棄損しない。

そのドルで株式・債券を買い支えるため、絶対に金融崩壊しない。

一方で、ゴールドマン・サックスは「膨大なマネー創造による通貨劣化の懸念」を指摘しており、無限QEは通貨価値を棄損するとしている。そして、経済活動が正常化後に、債務の負担軽減のためのインフレが容認されるとした。

現状ではMMTが言うように展開しているものの、ここ最近の「ドルだけ下落」を踏まえると、ゴールドマン・サックスの指摘は不気味だ。

金価格の高騰とゴールドマン・サックスの指摘

ゴールドマン・サックスの指摘どおりにコトが進むと、今後は金(ゴールド)と仮想通貨は上昇、ドル円は下落(円高)し、長期化するコロナ不況への対処として、FRB(米連銀)がQEでドルを造幣した場合、通貨価値の棄損が進む。

QEによって通貨価値が棄損されているとすれば、金(ゴールド)が値上がりしているのではなく、ドルの価値が下がっていると見るべきだ。

無限に造幣できるドル(フィアット通貨)と異なり、金(ゴールド)は作り出すことが出来ない。仮想通貨も、発行上限を設けている。

一方のフィアット通貨は、コロナが終息してもドルを回収すると経済危機が再発するため、QEをやめることすら出来ないし、その発行スピードは上がる一方だ。

なので、金(ゴールド)が対フィアットで値を上げるのは当然だ。

そして、金(ゴールド)が今まで上がらなかったのは、金先物市場を利用して国際金融資本勢力が下げていたためだ。

リーマンの時は、アメリカで金地金に需要が集中して在庫が枯渇した。その時は、現金+プレミアで支払われたのだが、そんな時でも金の価格は下げていた。あからさまなヤラセ相場だ。

ペトロダラーの力も弱まる中で、金の暴騰は基軸通貨としての力を棄損する。

中国やロシアは何年かけて金の保有量を増やし続けてきたことを踏まえると、今回の金の高騰劇は中露から仕掛けた可能性も考えられる。

また、ちっとも金価格が下落に転じないところを見ると、国際金融資本勢力は金価格コントロール能力を既に喪失している。

ゴールドマン・サックスの指摘するインフレは原田武夫氏も指摘していた

ゴールドマン・サックスの指摘の中に、経済復興後のインフレの話が出てきていた。

元キャリア外交官の原田武夫氏も、中東戦争に起因する原油高による日本でのインフレを予測している。

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日本発の金融危機

何かしらのきっかけで物価上昇した場合、国債の買い入れや低金利政策の継続など、日銀の金融緩和策は継続困難となる。

こうして、国債への信認が毀損するとさらなる国債利回り上昇を招き、日銀と言えどもコントロールは困難となる。

強引に日銀が国債をの無限買入れをした場合、財政ファイナンスと見なされ、国債の売り圧(金利上昇)はさらに強まる。

国債はほとんど国内金融機関が買っているものの、海外からもデリバティブ経由の売りも想定されるため、一気にデフォルトが見えてくる。

同じことは、アメリカでも起こるだろうし、日米欧どこの通貨・債券がデフォルトしても、一瞬で他の通貨もデフォルトに追い込まれる。

金(ゴールド)の保有(と仮想通貨の保有)は、そういったリスク回避となり得る唯一の方法だ。

なお、中東戦争については、ツイッターの謎アカ(れううい)さんも予測するところだ。

どちらにしろ、東京で大きな地震が起きて
東京が壊滅するのと

中東の争いから戦争起きるという
シナリオなんだけど
上手くいけるのか
2020年05月12日 0:12 · Twitter Web Client

また、以前にも紹介した動画で、イスラエル対イランの構図で中東で核戦争が起こることが語られている。

QEでドルがジリ下げ、金が上昇するだけでは、ドル崩壊までしばらくかかる。

だが、中東戦争に端を発する原油急騰となれば、話は別だな。

中国は既にドル経済圏からの離脱を進めている

中国がドル経済圏からの離脱を指示しているとの報道が出ている。

SWIFT(国際銀行間通信協会)とは、本部をベルギーにおく非上場の株式会社で、金融機関同士のあらゆる通信にクラウドサービスを提供している。あらゆる国際決済が、スイフトを通じて行われている。

ドルを使っている限り、SWIFT経由で国際決済をしなくてはいけないが、アメリカが経済制裁を課すことも容易にできてしまう。

中国はアメリカからの経済制裁を予測しているのか、ドルを使わずに人民元や相手国通貨を直接使用して取引をすることにしたようだ。

ゼロヘッジさん報じるところでは、中国が貿易で使用するドルの割合は急減しているようだ。

国際決済に利用される基軸通貨としてのドルは、その価値を失いつつあるようだ。

しかし、ドルを使用しない=FRBにいる国際金融資本勢力と無関係になるということだ。

ドルを使うと国際金融資本勢力に借金し貢ぐということ。

このため、歴史上ドルを使わないことを指向した者はことごとく記されてきた。

リンカーンしかり、ヒトラーしかり。ケネディも政府紙幣の発行を目指したと言われている。

中国共産党も同じ運命をたどるのかもしれないな。

ドルは思ったよりも崩壊の瀬戸際にいる

国際金融資本勢力のど真ん中にいるゴールドマン・サックスがドルの崩壊を仄めかし、中東戦争の懸念や中国のドル離脱の動きを踏まえると、本当にドルは崩壊することになるのだろう。

そして、崩壊するのはドルだけではない。

第二次世界大戦から続いたアメリカ覇権の時代も終焉を迎える。次は一国が覇権を握るのではなく、何ヶ国か連携する多極覇権体制となるだろう。

問題は、その多極化がこれまで世の中を動かしてきた国際金融資本勢力が意図したものなのか、それとも意図しないものなのか。

トランプは、大統領選の延期を示唆したが、その目的は何だろうか。

もしかして、大統領選挙の前に金融崩壊を起こしてしまおうという腹なのか。

MMT理論は信用していないが、しばらく金融崩壊はしないと思っていた。まだまだQEの継続は可能で、数年はドル覇権が続くと思っていた。

だが、ゴールドマン・サックスの指摘が出てきたことで、ドル崩壊が近いと感じるようになった。トランプの大統領選延期は、大統領選前に勝負に出ちまおうという決意の表れなのか…。


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