六法全書

森ゆうこ「検察の罠」は国際金融資本の傀儡の闇が分かる本だった

六法全書

先日のAmazonブラックフライデーのセールで、色々なKindle本がブラック(クロ)にちなんで96円だったので、適当に目についた本をいくつか購入してみた。

その中の1冊が、衆議院議員の森ゆうこが執筆した「検察の罠」だ。

2009年当時、自民党の55年体制が続くなかで、小沢一郎を中心とした民主党が(当時)政権交代を果たす直前であった。

歴史的な政権交代を目前に民主党の代表だった小沢一郎が、西松建設からの献金等の疑惑に関して公設秘書が逮捕されたことで党代表を辞任した。

辞任の引き金となった一連の疑惑について小沢一郎の無罪を証明すべく、小沢一郎を師と仰ぐ衆議院議員の森ゆうこが東奔西走し、官僚組織や検察、裁判所の闇と戦った。

本書はその一連の戦いについて、一議員の立場から見たノンフィクション、ドキュメンタリー風に描かれており、日本の闇が良く分かる良書だ。

小沢一郎は、官僚組織が主導する政治から政治家が主導する政治への転換を表明していた。政権交代によりそれが果たされる絶好の機会を目前に、検察による証拠偽造、司法による推認に推認を重ねた有罪判決、そしてマスコミによる一連のイメージ操作の前にあえなく失脚した。

小沢一郎失脚後の民主党は、おじさんが言うのもなんだが人材がいなかった。

鳩山由紀夫や菅直人、野田彦などの3流人材が総理大臣となった他は、蓮舫や辻本、枝野といった4流人材しかいなかった。彼らを筆頭とした当時の民主党が取った政策はご存じのとおりだ。

結局のところ官僚組織に取り込まれ消費増税をしたことくらいしか結果を残せずに、敢えなく自民党が政権を取り戻すに至った。

本書では、検察や裁判所、そして、マスコミを活用した政争の様子が克明に描かれている。

日本という国においては、選挙こそ公正に行われているのかもしれない。だが、選挙に至るまでのイメージ作り、場合によっては虚偽の罪状を作ってでも失脚に追い込む勢力が存在するということがよく分かる。

なおかつ、官僚組織のみならず、公正・中立であるべき司法、そして国民を洗脳すべくマスコミすらもその勢力に加担しているという事実に戦慄だ。

本書の一例では、取り調べを行った担当検事により虚偽の供述が記載され、裁判において証拠として採用させている事例が挙げられていた。

そんなんされたら、もう検察は無敵じゃんか。

また、検察審査会の問題点も挙げられている。

検察審査会とは、本来であれば、証拠不十分などの理由により検察が不起訴とした事案について、一般市民の目を入れて起訴相当性を審議するものである。

従って、検察は、審議の場でいかに不起訴が妥当であるかを説明するのだ。

ところが、小沢一郎事案については、いかに起訴すべき事案であるかを力説したとのことだった。そんなに起訴すべきなら、不起訴とせずに検察が直々に起訴すべきだろう。

他にも様々な角度から官僚組織に切り込み、時に協力的な官僚とともに、その闇を炙り出していく様が描かれている。

もっとも、本書では本当の黒幕を「仙谷由人」だと暗示している。

仙谷氏は当時の民主党の重鎮だ。そんな彼が、小沢一郎をターゲットとして検察・司法を意のままに操って証拠や報告書を捏造させたのか。だとしたら、何が彼をそこまでさせたのだろうか。

総理大臣まであと一歩のところにいた小沢一郎に対する嫉妬か、権力欲か。

おじさんはそうは思わないぞ。

日本においては官僚組織や自民党(清話会)が権力を握っているが、その根源となっているのはアメリカへの従属体制であり、さらにその背後には国際金融資本がいる。

そんな状況の中で、田中角栄の米中等距離外交の理念(アメリカからの真の独立)を引き継ぐ小沢一郎が政権交代に王手をかけたのが当時の状況だ。

それを踏まえ、「アメリカへの従属を継続する派閥」と「アメリカから独立を目指す派閥」の戦いという視点で見ることで、アメリカへの従属を望む勢力がいかに強いか、ということが良く分かる。

以下に、森ゆうこの言葉を借りる(本書からの引用)

今までの政治のやり方ではだめだ。根本的なところからこの国を変えていこう、という民主党の考えを…

(中略)

これまでの我が国の仕組みを根本から変えて、お金の使い方を変えて、みんながハッピーになれる国、世界に誇れる国にしよう。そうしなければこの国は大変なことになる。

(中略)

小手先だけではお金の使い方を変えることはできない。官僚依存の仕組みから変える必要がある。

つまり、小沢一郎が本気で政治主導をやることで目指したものとは、官僚組織や清話会がアメリカ(と国際金融資本)の力を背景に、天皇家の簿外資産だけでなく、国民の富を収奪したものとも言える特別会計など好き勝手に使い、やりたい放題やってきた状況を何とか正そうとしたことだと言える。

本書で黒幕と示唆されている仙谷由人といえば、日本社会党から社民党、そして民主党へと移籍するなかで衆議院議員を6期務めた弁護士だ。経歴だけを見ればゴリゴリの左翼であり、自民党(清話会)とは水と油のようにも思える。

そんな彼ですら、小沢一郎の失脚に噛んでいるということか。

アメリカにおいても、トランプ大統領を筆頭に多極化に向けた動きが少しずつ表面化しているなかにあって、日本は相当に出遅れている。

組織的な違法行為をものともしない官僚組織、政治家、検察・司法などが、既得権益を守るためにガッチリとスクラムを組んでいる。

一時は自民党にあって相当な権力者でもあった小沢一郎だが、そんな彼ですら罪状でっち上げにより失脚し、さらには無罪にも関わらず、マスコミによって「カネにダーティー」というイメージを植え付けられ、年齢的にも再起は不可能と思われる。

日本では、今に至るもアメリカへの従属が堅持されている。

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