もうたくさんだ

トランプの機密文書問題はアメリカ内戦とグレートリセットに繋がる

もうたくさんだ

2022年8月8日月曜日に、FBIがトランプの別荘マール・ア・ラーゴを家宅捜索した。

事件の経緯・概要については、当局からのリーク情報を流すことで有名なワシントンポストさんの記事に詳しい。

さて、FBIがわざわざトランプの別荘を家宅捜索したのは、トランプが大統領退任後にホワイトハウスから機密文書を持ち出して、こっそりマール・ア・ラーゴに隠してるんじゃないか・・との疑惑があったからだ。

トランプは2021年1月に大統領職を退いたのだが、同年後半にNARA(国立公文書記録管理局)がトランプに対して機密文書の返還を求めており、2022年1月に書類等15箱が返還されている。

ただ、「まだあるんやろな~」と考えていたNARAは司法省に捜査を依頼し、FBIが動き始めた。

今年の6月に、国家安全保障部門トップのブラット氏がマール・ア・ラーゴでトランプ弁護士と機密文書の扱いについて協議しているが、その後にトランプ弁護士は「マール・ア・ラーゴの機密文書は全部返したよ」との書簡に署名していたとか。

しかしながら、FBIがトランプ側近や弁護団から事情聴取するなど捜査を進める中で「まだ機密文書がありまっせ」との密告を受けて、今回の家宅捜索に踏み切り、いくつかの機密文書が押収された。

一方のトランプ側は、FBIが押収した文書は機密指定解除済みで安全に保管してあり、求められれば返す用意があったとして、FBIや司法省の権力濫用を非難している。

なお、FBIが家宅捜索で押収した品目リストは公開されており、その中には11組の機密文書等が含まれていることや、うち5つは国家安全保障に影響がある「最高機密(TopSecret)」だったことが明らかになっている。

状況だけ見れば、トランプ側は「全ての機密文書は返ししたぞ、残ってるのは機密じゃないぞ」としつつ、一部はコッソリ保有し続けたことになる。

なお、ワシントンポストさんが報じるところでは、トランプ別荘を家宅捜索したFBIが探してた機密文書とは「核兵器に関連する機密文書」だったとか。

この件について、トランプ自身は「でっちあげのデマ」と否定しているようだ。

イカサマをしてるのはわかっているんだ

※画像はイメージです。

トランプにとっては厳しい状況だが、共和党勢はこの強制捜査に対して一致団結して反発している。

共和党サイド、今回の家宅捜索は絶大な人気を誇るトランプを潰しを目的とした政治的な動機によるものとしており、家宅捜索にGoサインを出したガーランド司法長官に「ワレ、どういうことか説明せい」と迫っている。

グラスリー上院議員は、11月の中間選挙で共和党が上院多数派とったら、この件を徹底的に追及したるでと息巻いているとか。

話は逸れるが、「アメリカ中間選挙 民主党の敗北とバイデン&ファウチ訴追の可能性」で紹介したように、トランプの盟友テッド・クルーズ氏は、中間選挙で共和党が下院を取ったらバイデン大統領を弾劾すると言っているし、ランド・ポール氏は共和党が上院で多数派とったら、NIHのファウチ氏が武漢ウイルス研究所に資金提供して機能性獲得研究させていたことを裁くとしていた。

中間選挙で共和党が勝つと、色々と困る人が出てきそうな感じとなっている。

「もしも中間選挙で共和党が勝ったら・・」シリーズの最新版を提供するグラスリー氏は、FBIがハンターバイデン(バイデン大統領の息子)の捜査を止めてトランプを調査していることを例に、FBIの政治的偏りを批判する。

また、トランプ別荘の家宅捜索令状の取得根拠を説明する「宣誓供述書」の公開も求めているものの、司法省は公開に反対する意見書を裁判所に提出した。

宣誓供述書とは、トランプ別荘の家宅捜索の許可権限を持つ連邦裁判事に対して、「トランプが○○に関する機密文書を××に隠してます。△△さんからの情報で、証拠はこれですぅ」など、捜索を必要とする理由を説明しているものだ。

トランプ捜査が大騒ぎになったことを踏まえて、司法省では捜査令状や押収品リストを公開する異例の対応をしてきたものの、さすがに宣誓供述書は公開しないようだ。

ということで、「誰がFBIと内通していたか」とか「どのような機密文書か(=核兵器関連か否か)」などについては不明のままだ。

また、ランド・ポール氏は、中間選挙後にガーランド司法長官を弾劾することも仄めかしている。

ランド・ポール氏はじめ共和党議員の面々は、FBIによるトランプ別荘への捜査はトランプ失脚を狙った政治目的と指摘しており、ガーランド司法長官に対して何を根拠としたかを問い詰めたい様子。

また、NARA(国立公文書記録管理局)に対しても、大統領記録を収集するプロセスや、NARAが連邦裁判所に提出した文書などについての説明を求めている模様だ。

一部の者しか存在を知らないハズの機密文書があるってどうして知ってるんや・・と問い詰めるのだろうか。

さらに、ゼロヘッジさんによると、共和党は「ヒラリー・クリントンに対する扱いと全然ちゃうやんけ」と憤っているとか。

なお、ヒラリー氏が私用メールを介して機密情報をやりとりしてた件については、ロイター記事に詳しい。

FBIコミー長官(当時)の見解は、

  • ヒラリーが使っていた私用メールの中に、機密情報を含むものは約110通あった。
  • 機密情報がある政府システムと私用メールサーバーは電子的に接続されておらず、ヒラリー氏は機密書類等の情報を110回も入力していたことに。
  • でも、ヒラリーは違法と思ってなかったし、重過失に至るような証拠は見つからなかったから訴追はしない。

というものだ。なお、この判断の根拠は示されていない。

共和党の主張としては、「FBIはヒラリー贔屓しとるやんけ、比例原則(措置の均衡)に反してるやんけ」というものだ。

さらに、トランプが大統領だった時の副大統領で、土壇場でトランプを見限り、次期大統領候補の座を巡ってトランプと対立するペンス元副大統領ですらも民主党を批判している。

このように、共和党がトランプ擁護で結束するのに対して民主党は、元ニューヨーク州知事で反トランプのクオモが「司法の兵器化」とコメントしたほか、ペロシ下院議長やバイデン大統領さえも「ニュースで知ったっす、何も聞いてないっす」と全力で関わらないようにしている。

この背景にあるのは、先に紹介したヒラリー・クリントンの私用メール問題に加えて、マール・ア・ラーゴへの家宅捜索が権力濫用と捉える世論調査の結果もあると思われる。

アメリカの政治専門誌「ポリティコ」の調査では、権力濫用との回答が47%と、約半分のアメリカ人が権力濫用と捉えていることが分かる。

ただ、今回の家宅捜索への賛否について見ると、共和党支持層で24%が賛成、民主党支持層では90%が賛成となっており、共和党支持層以外からは「権力濫用かもしれんけどまあエエで」と一定の賛同を得ていることが伺える。

いずれにせよ、トランプへの捜査は「(絶対何かやってるだろうから)しゃーない」とする一方で、FBIの政治的な姿勢は問題視される結果となっている。

こうした中でヘタにFBIを支持すれば、共和党(と言うかトランプ派)への同情票が集まって勢いづかせることになりかねないため、民主党のエライ人たちも今回の件について全面的に支持は出来ないのだろう。

ただ、トランプ支持で団結する共和党にしても、本当にトランプを助けたいと考えているかは微妙だ。

ペンスやマコーネルと言った重鎮が大統領時代のトランプに反発していたことを踏まえると、トランプを「権力に潰された政治的殉教者」と仕立て上げて、共和党の支持を上げようとしているに過ぎないのではないか。

何せ、今の共和党はトランプ人気に頼っている部分が大きく、トランプの存在感は日増しに高まっている。

圧倒的なトランプ人気は次の中間選挙で必要不可欠だが、だからと言って「トランプ大統領」復活は避けたい・・と言ったところか。

であるなら、共和党の反応には多分に政治的な意図があり、さらに、11月の中間選挙や次期大統領選挙のためにトランプ同情票を集めて民主党を潰し、ついでにトランプも潰すという共和党の策謀という可能性が見えてくる。

途中まで利害が一致していた民主党も、

これは孔明の罠だ

になっているのかもしれない。

なお、公開された捜査令状によると、FBIは公文書の隠匿・破棄だけでなく、諜報活動防止法(防諜法/スパイ防止法)違反の疑いで捜査していたことが明らかになっている。

スパイ防止法違反で有罪になれば、文書ごとに最高で懲役10年の実刑判決を受ける可能性があり、そうなれば、トランプは共和党から追放されて完全失脚する。

情報源がアメリカのインテリジェンス機関からと思われるリーク報道が多いワシントンポストが「核兵器関連文書」を言い出していることを踏まえると、トランプは生きてる間にシャバには戻れないかもしれん。

機密文書の種類はともかく、不適切な取り扱いがあったのは事実だろうから、トランプは脇の甘さを付かれたと言える。

だが、実際には、共和党勝利・トランプ失脚だけでは済まない可能性が出てきている。

先日、トランプ信者と思われる人物が、FBI支局への侵入を試みて、射殺された事件が発生した。

犯人は釘打ち機(ネイルガン)を発射とあり、所持していた半自動小銃を使ったかどうか分からないが、警察に射殺されている。

この事件は、暴走した一人のトランプ信者が射殺された事件に過ぎないが、「中間選挙を前に分断が進むアメリカは内戦へと突入?」で紹介したように、アメリカ国内では銃規制に反対するトランプ支持者に「テロリスト」のレッテルを張るような展開も懸念されるところだ。

トランプ失脚に加えてトランプ信者までテロリスト扱いされることとなれば、「抑圧されたトランプ支持者」が暴走する可能性が出てくる。

なお、アメリカにはホンモノのテロリスト(疑い)が多数入国していることが指摘されている。

バイデン政権による国境解放&放置政策により増加したメキシコからの入国者の中にテロリストが紛れており、水際で当局の手を逃れた700名程度のテロリストがアメリカ国内に侵入している可能性が高いとか。

火付け役は既に充分いる。

さらに、「リセッション入りするアメリカはQTによりバブル崩壊へ」で紹介したように、アメリカでは金融引締めによるQEバブル崩壊が目前に迫るなど、社会不安の高まりを助長するような状況となっている。

アメリカ国内は、容易に着火可能となる。

こうして、アメリカ内戦となれば、アメリカの国力は大きく弱体化する。

ロシアの金・資源本位通貨は新世界秩序に向けたグレートリセット」等で紹介した、米ドル・米国債中心の金融システムを崩壊させ、金・資源本位通貨など新たな金融システムを構築する「グレートリセット」は大きく進むことになりそうだ。

また、アメリカ内戦により、ウクライナ危機などへの対応能力は大きく低下するだろうが、ペロシの台湾訪問によりアチアチになっている中国・台湾への対応能力も削られる。

アメリカが動けないスキを見て中国は台湾に侵攻する懸念は強くなるし、中国軍は沖縄の米軍基地・自衛隊基地を叩きに来るだろう。

当たり前だが、自衛隊だけでは対応不可能だ。

内戦により動けないアメリカは、「アメリカの暴動と新中国連邦構想」で紹介したように中国共産党を「国際テロ組織」に指定し、財産凍結を恐れた幹部が逃げ出した中国共和党は瓦解し中国は4~5つの国家に分裂する・・という動きにも繋がる。

数年前から少しずつ出てきたグレートリセットの兆候が、トランプの失脚(投獄?)により、ついに火を吹くことになるのか。

ちなみに、中共政権崩壊・中国分裂後の新中華連邦構想を打ち出している郭文貴は、中国が中東戦争に火をつける可能性を指摘する。

アメリカ内戦による混乱に乗じた新たな戦禍は、台湾か中東か。

「まさか」が次々に現実化する展開の早い状況にあって、あり得ない話ではないか・・。


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