ツイッターCEOのジャック・ドーシー氏が、「ハイパーインフレが起こりつつある」とツイートしたことが話題になっている。
Hyperinflation is going to change everything. It’s happening.
— jack⚡️ (@jack) October 23, 2021
ジャック・ドーシー氏のツイートは、「ハイパーインフレーションは全てを変える。それは起こりつつある」との内容だ。
なお、ナイジェリアの実業家さんからの「自分の国はすでに年間16%のインフレ率を経験している」とのリプライに対して、ドーシー氏は「まもなくアメリカでもハイパーインフレが起こり、世界的にも波及する」としている。
このジャック・ドーシーCEOは、ウィキペディア情報によると日本の禅寺庭園を愛好し瞑想を嗜む44歳とか。うーん、滲み出る有能感。
また、ドーシー氏は、2009年2月にスマートフォンをクレジットカード決済端末にするSquare社を創業し、こちらでもCEOという立場にある。
ということは、ドーシー氏はカードの決済件数や使用場所、使用者、買い物内容などの「ビッグデータ」から、日常生活品含めてどれくらいインフレしてるかは一目瞭然という立場だ。
ドーシー氏のハイパーインフレ予測は自社の決済データに基づくものでり、多々ある表に出せないデータも踏まえてのものと思われることから、非常に重く捉えるべきだろう。
コインポストさんもこのドーシー氏のハイパーインフレツイートを報じており、その記事の中で、アメリカの著名な投資家YouTuberアンソニー・ポンプリアーノ氏のツイートを紹介している。
Jack Dorsey and Square sit on one of the most important and accurate data sets in the world to measure true inflation of various goods and services.
They are likely materially more accurate in their measure of inflation than any data set from government organizations.
— Pomp 🌪 (@APompliano) October 24, 2021
ポンプリアーノ氏の見解も、「ジャック・ドーシー氏のスクエア社は、インフレの計測に当たり政府のデータより正確な、世界で最も重要なデータを保有しているだろう」としている。
やはり、ドーシー氏のインフレ予測は「正確なデータ」に基づくもののようだ。
ただ、FRBのパウエル議長は、インフレが来年まで続く可能性を指摘しているものの、「高インフレは一過性のもの」との見解を維持している。
#FRB パウエル議長は南ア準備銀行のイベントで講演し、#インフレ の急加速は「一過性」で緩やかなものになる可能性が高いとの見解を維持。しかし、供給側の制約が22年まで残ることから「インフレの上昇は予想以上に長く続く可能性が高い」とし、リスクは上向きに傾いていることを認めた。 pic.twitter.com/P0qHdQu8MS
— オックスフォード・エコノミクス(Oxford Economics Japan) (@OxfordEconJapan) October 26, 2021
ただパウエル議長はハト派の人であり、そのパウエル議長がインフレ長期化を認めつつあることは、テーパリングに留まらず、利上げや資金吸収への方向転換が現実に見えてきたとも言える。
そもそも、アメリカの物価は足元では1年ほど上がり続けている。
今のところ、金融経済界のエライ人たちの公式見解は「アメリカのインフレは一時的」というものだが、「一時的」としているのはコロナ禍からの回復反動を理由に「一時的」と言っているに過ぎず、深い理由があるワケではない。
現実を見ると、例えばインフレ要因の一つである「コンテナ船物流の混乱」は昨年秋ごろから顕著になっており、既に1年近く解消されていない。・・と言うか、解消する気が無さそうであり、もはや「一時的」ではない。また、そもそも「反動」と言えるほどに実体経済は回復していない。株価は回復しているが。
こうしら状況は、「「WHO「コロナはまだまだ終わらない」 迫りくるのはインフレリスク!?」」や「世界で同時多発的にインフレの兆候 金融危機へのカウントダウン!?」等で紹介してきたが、世界超大国オールスターズでインフレ加担している状況であり、一時的で終わろうはずがない。
結局のところ、支配者層のグレートリセットプランでもある「ロックステップ計画」に沿って、このインフレは世界に波及すると見るのが正しいだろう。
例えば、コロナ危機は武漢ウイルス研究所から始まり、無理スジなPCR検査や死者数の誇張、ロックダウンによる実体経済への影響等、ほぼこの計画に沿ってコトが進んでいる。
それを踏まえると・・
- 食料・ガスなどは不足するため、許可制で最低限の買い物しか出来ないようにする。
- そして、更にロックダウンを強化・長期化(6ヶ月以上)して、世界的に経済を崩壊させて食糧危機を発生させる
。 - その後の新たな経済システムの根幹として、マイクロソフト特許番号06060
6の身体活動のデータを使った暗号通貨を使用する。
と言うような内容が起こることが想定される。
「新たな経済システムの根幹」とあるように、現在の基軸通貨ドルや米国債を頂点とした金融システムは崩壊し、別の暗号通貨が使用されることとなりそうだ。
現在の状況を見ると、このインフレは非常にやっかいだ。
インフレには2種類あり、かつての石油ショックのようにモノの価値が高まって物価上昇するものと、戦争などで貨幣価値が下落して物価上昇するものとある。
今回は、物流混乱や半導体不足、エネルギー高などコストプッシュインフレなので、物価価値そのものが高まっている状況であり、QE(金融緩和)で紙幣を刷り過ぎたから貨幣価値が落ちた・・と言うものでは無い。
しかし、どんなインフレであっても、物価上昇は貨幣価値の下落だ。つまり、インフレで下がった貨幣価値を補填するために、インフレ率を加味して金利は上昇することになる。
ところが、リーマンショック以降のQEで各国中銀は大量に国債を買い込んでいる。金利上昇=国債価格の下落なので、大量の国債を抱えたままだとインフレ(=国債下落)により中銀資産は棄損されてしまう。最悪、中銀の信用不安から通貨の信用問題へと発展しかねない。
リーマンショックから復活しつつあった時には、FRB以外はテーパリングしなかった。今回、コロナ禍からの回復を理由にしているが、FRB以外にもテーパリングや利上げ議論が急ピッチで進んでいるのは、インフレに備えるためだろう。
ただ、このような世界潮流に逆行し、日銀は大規模な金融緩和を維持するとか。
【#日銀、#大規模金融緩和策 を維持 #景気判断 「持ち直している」を維持】#日本銀行 は #金融政策決定会合 を開き、現在の大規模な金融緩和策を維持することを決めました。2021年度のGDP=実質国内総生産の成長率の見通しを前の年度に比べてプラス3.4%に引き下げました。 pic.twitter.com/MYMSFkc8JV
— TBS NEWS (@tbs_news) October 28, 2021
実質GDP成長率の2021年度の見通しは、前年比3.8%→3.4%になり、消費者物価指数も前年比0.6%→0.0%へと下方修正された。
このデータを踏まえれば「大規模緩和維持」となるのは当然で、短期金利△0.1%、長期金利0%程度に誘導する金利操作(=国債購入)や、年間12兆円上限の株式ETF買いが継続されることになった。
GDPはコロナ禍の2020・21年合わせて△4%と実体経済の悪さを反映しており、消費者物価は携帯料金の引き下げ効果でインフレ傾向が消されたことで、金融緩和継続にお墨付きを与えることになってしまった。
携帯料金の引き下げは政権の異常な執念を感じたが、まさか世界的インフレでも金融緩和を継続するための意図的なデフレ誘導策だったようだ・・・。
いずれにせよ、欧米諸国ではテーパリング・利上げ議論が出ていることから円安傾向は継続し、さらにエネルギー高や原材料高騰も加わることで、日本でのインフレは続くことが確定した。
さっそく、電気代・ガス代が上がる。
【家計圧迫】12月の電気ガス料金を全社値上げ 、値上げは4カ月連続https://t.co/utUoujapbG
1月の年初からの値上がり額は沖縄電力で1209円、東京電力で1168円、中部電力で1097円となり、1000円を超えた。液化天然ガスなどの輸入価格の上昇などが原因。 pic.twitter.com/BFtrd2TfSd
— ライブドアニュース (@livedoornews) October 28, 2021
さらに、牛丼も。
【吉野家が牛丼値上げ 並盛426円】https://t.co/M7UlC6QpJX
吉野家は29日、主力メニューの牛丼を値上げしたと発表した。「並盛」の店内飲食価格は改定前の387円から426円に39円引き上げた。食材の輸入牛肉の相場高騰と原油高が要因。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) October 29, 2021
並盛39円値上げは微々たる額に感じるが、10%を超える値上げだから結構なものだ。
日本はエネルギーも食糧も輸入に頼っているため、そもそもの物価高+円安でインフレ影響をモロに受ける。
これは、ドル円の週足チャート。
既に週足レベルでボリバンを突き抜けパーフェクトオーダーとなっており、極めて強いブルトレンドとなっている。
世界的コストプッシュインフレ、大規模緩和継続、円安という状況から、日本の実体経済の弱さと合わせ「悪性インフレ(=スタグフレーション)」となることが確定したと言える。物価は上がり、給料上がらず景気も悪い・・と生活は苦しくなりそうな感じだが、そんな程度で済まない話になってきている。
そもそも、物価安定は中央銀行の存在意義そのものだが、足元のCPI上昇を無視した「大規模緩和継続」策を採用する日銀にその機能は期待出来ない。
というか、日銀はQEで膨らみすぎた資産で身動きが取れなくなっており、物価安定どころか緩和を継続する以外に何も出来なくなっている・・というのが正しい状況のようだ。
日本の金融危機やハイパーインフレを警告し続け20年。オオカミ少年として有名になってしまった、元モルガン銀行(現JPモルガン・チェース銀行)の伝説的ディーラーにして日本支店長だった藤巻健史さん。
日本・破綻寸前 自分のお金はこうして守れ!(藤巻健史 著)
この方の唱える「日本のハイパーインフレシナリオ」が、いよいよ現実味を帯びて来た。
増加する一方の財政赤字や国債発行残、異次元緩和による驚異的な日銀の国債保有量・・これらについて「全く心配ナシ」とする楽観論が多数見受けられる。だが、心配なかったのは、各国の中央銀行が国債を大量購入することで低金利を維持していたからだった。
しかし、世界同時多発的なインフレ時代に突入して前提が変わった。インフレにより金利が上がらざるを得ない状況となった。
「自国通貨建て国債を発行し、変動相場制を採用している日本はデフォルトしない」のも事実だが、日本円に対する信頼が地に落ちれば、藤巻氏の言うようにハイパーインフレとなることは避けられず、デフォルトしないだけで、事実上デフォルトしてるのと同じ状態となりかねない。
藤巻氏が以前から危惧しているのは、異次元の金融緩和と(事実上の)財政ファイナンスのため、日銀が金融機関から国債を買いまくった結果、日銀当座預金口座(金融機関が日銀に持っている口座)が異常に膨れ上がった状態となっていることと、日銀が500兆円に迫る莫大な国債を保有している点だ。
2014年以降のFRBのテーパリング戦略では、当座預金口座の金利を上げることで市中金利上昇を誘導したが、FRBと異なり、収益の少ない日銀は当座預金口座の莫大な資産への金利支払い能力を持たないため、実施は不可能であり、日銀は金利コントロールによる物価調整能力を喪失している。
また、日銀は国債市場において7割近くを購入する断トツで最大プレイヤーであり、日本国債市場は日銀無しでは成り立たない。日銀がインフレ対応で購入額を減らせば国債は暴落し、日銀資産を棄損して債務超過に陥りかねない。
さらに、国の一般会計の4分の1は国債償還&利払い費用だ。日銀が国債の大量購入を続け金利を抑えないと、即座に財政問題に発展する。
もちろん、日銀は時価会計ではなく簿価会計なので公式には債務超過にはならず日銀が破綻するわけではないが、国際的な信用の上に成り立つ円や日本株の価値も地に落ちる。信用が全てのマーケットはそれを許さず、ヘッジファンドが苛烈な日本売りを展開するだろう。
つまり、日銀は国家財政と日銀の信用を守るために、テーパリングなど緩和策に舵を切ることが不可能な状況に追い込まれている。時代が藤巻健史氏にようやく追いついてきた。
特別会計からの米国債買いや外資系銀行からの株式ETF買いにより、日本の富が海外に流れ続けている状況においては、どれだけ紙幣を刷っても、財政出動しても実体経済は上向くハズがない。もともと、日本の金融緩和はアメリカの金融システムを支えるためという側面が目立つからな。
つまり、日銀総裁や首相が誰になってもスタグフレーションは続き、国民から富の吸収が続く方向に舵は切られてしまった。
ツイッターのジャック・ドーシーCEOがアメリカのハイパーインフレに警鐘を鳴らすが、日本の金融的脆弱さを踏まえると、アメリカよりも一足早く日本でハイパーインフレとなりそうだ。
ただ、悪いことばかりではない。
世界が一斉に金融引締めする中で唯一大規模緩和を継続する日本では、「名目金利(国債金利)の低さ+インフレ」により「実質金利」が大幅なマイナスとなる。ここに、円安やジャパンプレミアムも加わり、行き場を無くした海外投資マネーが一時的に殺到することが見込まれる。
日本の最後のスーパーバブルとなりそうだが、その時は大和魂を・・心を燃やす最後の重要局面となる。
煉獄さんの言葉を引き継がねばならない重要な局面で、日本はどう動くか。
ひとまず、インフレの展開は思ったより早い。日本円全集中(=貯金)から株式や仮想通貨への資産シフトを急いだほうがよさそうではある。
最後まで読んでくれてありがとう!