爆発炎上

ウクライナ情勢 戦争は無さそうだがロシア優位に展開しそう

爆発炎上

ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部地域の独立を承認した上に、「平和維持」のための派兵命令を下したことで欧米諸国はてんやわんやになっている。

ロシアは、まだ派兵には踏み切っていないものの、ロシア連邦議会上院はドンバスへの派兵に同意したとか。

さらに、プーチン大統領は、あれだけ履行を要求していたミンスク合意について、「もはや存在しない」と断言したとか。

この言葉は、「欧米の傀儡ウクライナに、ミンスク合意履行の意思ナシ」「オレ様がミンスク合意と同じ結果を作ってやるぜ」ということを意味している感じになろうか。

ただ、ミンスク合意は履行のハードルが高いうえに、そもそもウクライナ政府にやる気が無さそうで、みんな「無理やろな~」と思ってて言えなかったことをついに言った感があるが・・。

そこにシビれる

さて、ウクライナでは、2014年にアメリカがデモを扇動して親ロシア派ヤヌコビッチ政権を崩壊させて以降は、親欧米派政権(事実上の欧米傀儡政権?)となっていた。

これに対して、住民の大半がロシア系の「アイデンティティーはロシア」なドンバスでは反政府活動が活発化し、2014年以降は慢性的に軍事衝突していたほか、特にロシア寄りの地域はウクライナ政府の支配すら及んでいなかった。

そんな状況にも関わらず、ウクライナの親欧米派政権はウクライナ東部地域の整備に予算を割くこともなかったし、NATO加盟を模索したり事実上のミンスク合意全否定など「ロシア排斥」を続けてきた。

本来なら、国内の安定を図るために、ロシアの介入に警戒しつつ、ドンバスへの丁寧な根回し・調整で決着をつければ「ウクライナの国内問題」で済んだハズだったのに・・・、強引に軍で抑えこもうとし続けてきた。

そのようなウクライナ政府の塩対応が、今の状況を誘発したと言える。

親欧米派の政権には欧米インテリジェンスも入っていただろうに、このマズい立ち回りとは・・・今の緊張状態は意図的に作り出されたことが伺える。

特に今のゼレンスキー大統領は、排斥ムードの高まりに乗って大統領になったポピュリストのコメディアン俳優に過ぎず、国際舞台での立ち回りなど望むべくもない人材だ。

こうして見ると、今回のウクライナ情勢緊迫化は欧米勢が意図的にウクライナを手放そうと仕掛けた「談合プロレス」のようだ。

やはり「混沌とするウクライナ情勢 ロシアを挑発するアメリカの狙い」で紹介したように、アメリカはユーラシアからの覇権撤退とロシアへの覇権委譲を志向していると見るべきか。

こうした前提で、状況を見ると・・・まず、アメリカやイギリスはロシアへの経済制裁第一弾を発表してきた。

内容としては、欧米から資金調達させないことや、政府系銀行・特定個人の資産凍結などであり、ロシアがまだ派兵していないことを差し引いても非常にショボい。

そもそも、ロシアへの経済制裁は2014年からずっと続いている。

この程度の制裁を前提とした金融・経済体制になってるだろうし、そもそも制裁対象の銀行や政府要人で、アメリカやイギリスに大金置いてるおバカさんはいないよな。

この制裁は、ほとんど意味が無い。

また、今後の展開によってはSWIFTからの閉め出しも考えられるが、以前にも紹介したように、ロシア独自の国際送金ネットワークSPSFや中国の国際送金ネットワークのCIPS、相互通貨での直接取引などが行われており、効果のほどは不透明だ。

ちなみに、中国のCIPSは、世界88か国、450の銀行が参加している。なお、参加数1位が日本、2位がロシア、3位が台湾となっており、日本や台湾と中国の関係性が見え隠れする。

実のところ、国際決済はSWIFTを経由しない部分も大きく、対ロシア経済制裁にはほとんど意味が無い。

また、アメリカやイギリスに続いて、ドイツもロシアとの間に新規敷設された天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の承認作業停止を打ち出した。

しかし、ノルドストリーム2については、アメリカの圧力によりドイツは稼働を承認出来ておらず、お陰様で欧州の天然ガス価格は高騰している。

今さら表明するまでもなく、承認作業は停止した(させられた)ままであり、「制裁やってます」ポーズに過ぎない。

さらに、イタリアさん。

天然ガス輸入は経済制裁の対象外にしろとか。イタリアさん・・都合良すぎっす。

こうして見ると、アメリカ・イギリス・ドイツは、威勢はいいが中身に乏しく、イタリアにいたってはロシア派に寝返ったかのようだ。

こんな状態で、ちゃんと意味のある経済制裁が出来るものなのか・・・。

ちなみに、ウクライナさんはロシアと戦争する用意があるとのこと。

だが、元々アメリカもNATOもウクライナに派兵しないことを明言しているし、経済制裁のショボさを見てもロシアと事を構えるつもりなど無いのは間違いなさそう。

この点からも、ウクライナ情勢は覇権チェンジのためのイベント感がある。

また、ロシアはクリミア併合時と比べてケタ違いに多い10万オーダーの軍を配備しているが、これにより欧米諸国は「NATO加盟国でもないウクライナのために10万規模のロシア軍と衝突しない」とのコンセンサスは得やすかっただろう。

ウクライナを除き、欧米諸国もロシアも最初から軍事衝突する気などさらさら無いのが実情で、ゼレンスキー政権は孤立することになる。

今後の懸念要素としては、ウクライナ軍内部の武闘派が先走ってしまうことが考えられる。

よく考えると、先日のドンバスでの武力衝突も、ロシア軍介入を招く懸念があったことや、欧米勢のウクライナ支援の薄さから、ウクライナ軍の暴走だった可能性が高い。

まあ、軍の一部が暴走するだけなら、小競り合い程度で収まる可能性は高い。瞬間風速的に緊張が高まっても、すぐに収まりそうだ。

ただ、余計な犠牲者を出さないためにも、ウクライナ軍は何とか暴走を抑えて欲しいところ。

なお、欧米では今回のウクライナ東部への平和維持軍派遣を「軍事侵攻」と定義しているものの、ロシア軍はまだ動いていない。

もしかしたら、独立承認したドネツクとルガンスクをロシア主導の集団安保条約機構(CSTO)に加入させ、平和維持部隊の出動を要請させるつもりなのかも。

2022年1月のカザフデモの際にも出動した集団安全保障条約機構の平和維持部隊。ドンバスへはロシア以外のCSTO各国連合軍の体裁を整える可能性が高い。

この辺りで、欧米側は経済制裁第二弾をしそうだが・・実のある制裁は難しいだろう。

なお、アメリカのバイデン大統領は「ウクライナ疑惑」でロシアに弱みを握られている上に、「アメリカ中間選挙 民主党の敗北とバイデン&ファウチ訴追の可能性」で紹介したように、半レームダックであることを踏まえると、とてもプレゼンスを発揮できるような状況ではない。

さらに、役割を終えたゼレンスキー政権の行方も気になるが、

近年、ゼレンスキー政権は権威主義的な方向に進んでいると批判されており、汚職の増加や民主主義の後退が挙げられている。

Wikipediaウォロディミル・ゼレンスキーより抜粋)

とあることから、贈収賄などで退陣させられて親ロシア政権が成立することになるかも。

そうなると、ウクライナのNATO加盟は国民が望んでいないとして棚上げされるだろうし、その辺りで、原田武夫氏が言う「バチカン仲裁」があるのかも。

それにしても、この出来レース・・あのトランプも称賛しているとか。

しかし・・ウクライナの扱いがヒドイな・・・。


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