新型コロナウイルスの起源に関するWHOの調査団が、兼ねてから疑われていた武漢ウイルス研究所へのガサ入れを終えたようだ。
WHO調査団、武漢のウイルス研究所を訪問 ウイルスの起源調査 https://t.co/G87avYbumz
— cnn_co_jp (@cnn_co_jp) February 3, 2021
CNNの記事によると、過去にウイルス研究所の石正麗氏と共同研究の経験がある、調査団のピーター・ダザック氏は「同研究所の安全対策は信頼できる」との見方を示しているとか。
とは言え、この視察がどれほどの意味があるのかは疑問なところ。
CNNの記事でも、ダザック博士の言葉として、「武漢での調査が1年前に実施されていれば、より重要な情報が得られたはずだ」としている。
中国が、最初の報告から一年以上も現地視察を妨害していた。調査を主張したオーストラリアに反発して、石炭輸入を止める制裁まで課しているくらいだからな。今回、さほど抵抗もなく視察を受け入れたということは、証拠隠滅などの準備が整ったということか。
とは言え、中国の立場からすれば、本当は無罪で最初から全てを明らかにしたとしても、トランプに強引に罪を着せられていただろうけどな。
中央日報ではもう少し突っ込んだ表現となっている。以下引用
武漢ウイルス研究所訪問のWHO調査チーム「疑問点多い」(中央日報)
略
一部の科学者は武漢ウイルス研究所で野生から検出されたウイルスが人に感染する実験を進めていたところ、ウイルスが外部に流出した可能性を提起したとロイター通信は伝えた。
WHO調査チームのピーター・ダザック博士は訪問前に「研究所で核心関係者に会って重要で必要な質問をする予定」とし、「生産的な成果をあげることを期待している」と取材陣に明らかにした。
中略
その後、WHO調査チーム側は研究所訪問を終えた後、成果を尋ねる取材陣に「非常に興味深い」とし「多くの疑問点がある」と短く答えた。ただし「何を見つけたか」という質問には答えなかった。
以下略
WHOメンバーの中にも、武漢のウイルス研究所からのウイルス漏洩を疑っている人はいるようだ。多くの疑問点が何なのか、WHOレポートの早期リリースを望むところだ。
それにしても、これが本当なら怖すぎる。
これまでのゲノム解析で分かっていることは、雲南省の洞窟内にいたコウモリから検出されたウィルスと、新型コロナウイルスは96%同じであること、そのウィルスは直接人には感染しないため中間宿主(センザンコウ?)の存在が疑われている。
まあ、ウイルス研究所からの漏洩が、意図的か偶発的は不明だ。ただ、中国では2004年にSARSウイルスをお漏らしした前科はある。
また、「研究所で核心関係者に会って重要で必要な質問をする」としているが、ウイルス研究所の王延軼所長や「バットウーマン」の異名を持つ石正麗は、いずれも中国共産党にとっては超重要人物だ。
以前に「香港大学博士がコロナが中国由来の人工ウイルスとする証拠を提出か 迫りくるチャイナリスク」で紹介した香港大学のイェン・リーモン博士は、「新型コロナウィルスが武漢ウイルス研究所で作られた人工ウイルス兵器」と暴露したが、アメリカ亡命中だ。
身の安全も保証されない中で、WHOのヒアリングに真実などを語る訳がない。
しかも、中国共産党の主張は「新型コロナの発生源は欧米」だ。武漢起源と認めることは絶対にない。もし認めれば、全世界から莫大な損害賠償を求められる可能性も出てくるからな。
さらに、中国共産党は、武漢の視察に備えて市民への締め付けも強めている模様。
口封じされる武漢のコロナ遺族 WHOの起源調査開始目前https://t.co/FmnPlUgpPo
武漢在住の遺族の中には、自治体関係者らを相手取って補償と処罰を求める訴訟を起こそうとした人々もいたが、裁判所は訴えの受け入れを拒否したとされる。— AFPBB News (@afpbbcom) January 28, 2021
武漢のコロナ遺族のSNSグループ(遺族の会)が削除されているほか、当局から口止め料を渡されたり、呼び出されて圧力を受けてるなどの口封じを受けていたようだ。中国共産党としては、コロナ遺族とWHO調査団との接触を、何としても回避したい模様。
さらに、中国国内でのコロナ感染拡大により調査団を足止めするなど、ここまで周到に受け入れ準備を整えられている以上、視察自体に意味はないと言える。
「ちゃんと視察しました。中国からの漏洩はありませんでした、中国無罪です」と公表するための視察で、ヒアリングなども台本通りに行われてそうだ。
ただ、本当に「中国無罪」の結果が出るかは微妙なところだ。
理由は、先日のブログ記事「新型コロナは武漢ウイルス研究所発祥で、アメリカも関与していたとのレポートが出た」でお伝えしたように、トランプ政権末期に、新型コロナウイルスに関する機密指定が解除された。
その結果、2019年秋に武漢ウイルス研究所で複数の研究員がコロナ症状を有していたことや、コウモリ由来のコロナウイルスを使用した「機能獲得」の研究をやっていたことなどが公開された。
ちなみに、「機能獲得研究」とは、ウイルスが本来持っていない機能を付与する研究のことだ。例えば、コウモリ間でしか感染しないコロナウイルスを人間に感染するようにする・・といった研究のことだ。
さらに、イギリス・キャメロン政権で戦略アドバイザーを務めていた、スティーブ・ヒルトン氏による「新型コロナは武漢のウイルス研究所起源」とするレポートが出ている。
「コロナウイルスの起源に関する調査」と題されたレポートが公開された。トランプ政権末期に、ポンペオ国務長官が2019年秋に武漢ウイルス研究所で複数の研究員がコロナ症状を有していたことや、コウモリ由来のコロナウイルスを使用した「機能性獲[…]
ヒルトン氏はキャメロン政権内で「ブレグジット」を主張しており、その後の国民投票では大方の予想を覆しブレグジット実現に至ったことは記憶に新しい。
前のブログで書いたレポートの概要はこんな感じだ。
- オバマ政権時代、アンソニー・ファウチ博士主導により、国立衛生研究所(NIH)を通じて、武漢のウィルス研究所に毎年370万ドルに及ぶ資金が提供されていた。
- この資金を使って「ウィルス機能獲得研究」が行われていた(迂回委託)が、そのウイルスが新型コロナウイルスの原種
アンソニー・ファウチ博士は、バイデン政権においてコロナ対策のトップを任されている。
そのファウチ博士が、武漢のウイルス研究所に資金を出して、コロナの機能獲得研究をやらせていた。
そして、現地(武漢のウイルス研究所)でこの研究に従事していたのが、今回WHOの調査メンバーでメディア記事にも名前が出ているダザック博士だ。
その成果が、武漢研究所所長とダザック博士の「ヒトに感染増殖する人工Sars-Covウィルス研究」の共著論文なのか。
ダザック博士は、中国人研究者を守るため、新型コロナが武漢ウイルス研究所起源であることの火消しに必死とか。
また、「バットウーマン」石正麗氏は、同研究所でコウモリ由来の病原体を研究する第一人者だが、2015年に「コウモリだけに感染するコロナウイルスを人間にも感染するようにした」機能獲得に関する論文を発表しており、2018年以降はコロナウイルスの機能獲得研究に使われていたとも言われている。
いずれにせよ、このような情報がイギリス筋から出てきている以上、今後の方向性は「新型コロナは武漢研究所が起源」というのは事実になりそうだ。
武漢で実際に研究したダザック博士は必死に抵抗しているようだが・・。
読売の報道では、バイデン政権も「武漢ウイルス研究所が新型コロナの起源」という結果を求めてそうな雰囲気を感じる。
コロナ調査で米が批判 中国「強力に協力」 #日テレNEWS24 #ntv #日テレ https://t.co/csNefVQ2KU
— 日テレNEWS / 日本テレビのニュース・速報 (@news24ntv) February 2, 2021
今回のWHO調査について、アメリカ・バイデン政権のブリンケン国務長官が、中国の情報提供に関して透明性の欠如は深刻として批判したとしてメディアが報じている。
バイデン政権は、今のところトランプ政権の強硬な対中政策をまんま継承しているように見えるな。
とは言え、中国も反撃に出ている。
新型コロナの起源について、アメリカのフォート・デリック米陸軍基地を仄めかすような発言をしている。
中国の海外向けメディア「グローバル・タイムズ」が報じている。
US Fort Detrick biolab becomes hot topic on Chinese social media
中国外務省の報道官が、米軍のフォート・デリック基地が中国国内のSNSで話題になっているとしたうえで、WHOの専門家に米国で起源追跡を依頼するよう述べたとのことだ。
フォート・デリックは、メリーランド州にある米陸軍の医学研究施設(管轄は国防総省)で、世界最大のバイオ・デフェンス研究所で、武漢のウイルス研究所と同様に、バイオセーフティレベル4(BSL4)の高度な設備を有している。
フォート・デリックは、第二次世界大戦後に日本(731部隊)やドイツのバイオ関係データを収集・継承したと言われており、過去に何度も細菌・ウイルスの漏洩事故を起こしている。直近では、2019年7月にも事故を起こしており、現在ではCDCによって閉鎖(封鎖)されている。
アメリカ国内では、この事故によって新型コロナウイルスが拡散されたとする声が根強くあり、トランプ大統領にも、事故の全容公開請求が出されているほどだ。
確かに、この施設が閉鎖されたのは、アメリカで謎の肺炎(米政府は電子タバコによる肺炎と主張)が発生した時期と前後している。また、本件に関する調査について、アメリカは強く拒否している。
武漢のウイルス研究所に対するアメリカの資金提供、指揮をしたファウチ博士、現地で共同研究したダザック博士、フォート・デリックの閉鎖(封鎖)、2019年夏にアメリカで謎の肺炎・・・。
アメリカで謎の肺炎が広まった2019年夏頃と言えば、「アメリカの「SARS-CoV-3」とロックステップ計画」で紹介したように、中国が不活化ワクチンの開発をスタートさせた疑いがある時期だ。
研究者・・時期・・アメリカと中国で色々と繋がってるのが気になる。
バイデンは「中国寄り」と言われていたが、トランプと同じく対中政策が強気なのは、この辺りに理由があるのかも。だったのかもしれないな。
最後まで読んでくれてありがとう!