ニジェールのクーデターの黒幕は実はアメリカ!?

先日の「金・資源本位通貨が迫る中で、ロシアはドルを崩壊へ追い込む」では、ロシア・中国はじめとするBRICS陣営が、金・資源の裏付けを持つ通貨を構築する中で、食糧・石油価格の高騰によるアメリカのインフレ再亢進を仕掛けて、利上げ継続→金融危機となる可能性が高まっていることを紹介した。

ただ、7月のアメリカCPI(消費者物価指数)は・・

前回3.0% 予想3.3% 結果3.2%

・・となっているほか、食品・エネルギー除くコアCPIは・・

前回4.8% 予想4.8% 結果4.7%

・・となっており、一見するとインフレ鈍化しているようにも見受けられる。

ただ、あのピーター・シフ氏は「ダマされんな、コアは底打ちしてるし、原油価格急騰で総合CPIも急騰しかけてるぞ」と警鐘をならしている。

ピーター・シフ氏が警鐘をならす原油価格について、WTI原油価格の週足チャートを見ると・・

20230815WTI週足チャート

・・今の価格帯は昨年11月、今年4月頃以来の高値となっているほか、82~83ドル付近のレジスタンスに張り付いていて、いつブレイクしてもおかしくはない状態となっていることが分かる。

さらに、FAO(国連食糧農業機関)が公表する2023年7月の食糧価格指数は急激に上昇しつつあるとか。

黒海穀物イニシアチブからロシアが離脱した影響で植物油や小麦が高騰しているほか、インドの禁輸措置によってコメが大幅上昇したことが指数を押し上げているとのこと。

ただ、前年同月比よりもまだまだ低く、かなり伸びしろはありそう。

また、7月のPPI(生産者物価指数)の前年比比較は・・

前回0.1% 予想0.7% 結果0.8%

・・となっており、すでに上昇に転じ始めている。

コアPPIは・・

前回2.4% 予想2.3% 結果2.4%

・・となっており、コアの上昇が総合指数の上昇に寄与していることが伺える。

ちなみに、10年米国債利回りの週足チャートは・・

20230815米国債10年週足チャート

・・と、危険水域とされる4%代に突入しても勢いは衰えず、昨年10月の4.335%をも超えそうな勢いとなっており、インフレ終了ムードは微塵も感じられない。

このように、BRICS+は金・資源本位通貨と時期を合わせて、アメリカのインフレを鈍化させた食糧・エネルギー価格を再上昇させており、本格的な経済・金融戦争を仕掛けてきた可能性は気になるところだ。

実際のブツ(食糧・資源)を抑えて金・資源本位通貨を創設するBRICS+勢と、債券発行による裏付け無きペーパーマネーの欧米勢との経済・金融戦争は本格化しそうだ。

こうした状況を予測していたのかは不明だが、欧米では2021年のCOP26辺りから「原発は温暖化対策の切り札」と喧伝されているほか、アメリカでも新たな原発が稼働したことが報じられている。

1979年のスリーマイル島の原発事故によって原発アレルギーになったアメリカだが、カーボンフリーの潮流に乗って、バイデン政権は原発回帰を進めている。

ただ、予定価格の倍近くに膨れ上がった建設コストや核廃棄物などの問題もあって、原発回帰の有効性は疑問視されているようで、ビル・ゲイツのテラパワーと東芝の共同開発で話題になった進行波炉のような第四世代原発の実用化を待つ必要がありそう。

さて、欧米勢が原発移行を進めてる中で、ウラン産地のアフリカ・ニジェールではクーデターで親欧米政権が倒され、背後にロシアの影がチラついていることが報じられている。

産経さんの記事では、アフリカ西部の旧フランス植民地の国々(サヘル地域)でクーデターが相次いでおり、クーデター政権とPMC(民間軍事会社)ワグネル社との関係性が指摘されているほか、サヘル諸国でワグネルがニセ情報をバラ撒いて、反フランス感情を高めている可能性が報じられている。

まあ、ロシア(ワグネル)介入の有無は別にしても、クーデターによって親欧米政権が倒されたことによって・・

  • 旧フランス植民地(サヘル地域)の西アフリカ諸国が中国・ロシア陣営覇権下に移行
  • 覇権の移行に伴って、資源(金・ウラン等)も中国・ロシア陣営の支配下に移行

・・と言う覇権の移行に繋がるのは間違いなさそう。

なお、国際金融資本はアフリカ植民地で採掘される「ウラン」で巨額の儲けを叩き出したが、1938年12月に核分裂反応が発見されるまでは、「夜光塗料の原料」だった。

それが、核分裂反応の発見から4ヶ月後(1939年3月)にはアメリカ政府に「原爆開発」が提言され、4月に「ウラン委員会」が設立されてて濃縮ウラン調達が国家プロジェクト化された。

この時点でアメリカは平和主義を貫いていたし、アメリカのWWⅡ参戦は1941年12月の真珠湾を待たねばならなかったので、核兵器が必要な状況にはなかった。

また、核分裂”連鎖”反応は1942年12月にようやく成功したが、ロスアラモスの原爆開発は1942年11月から始動しており、さらにマンハッタン計画開始から数ヶ月でトン単位のウランが調達された点から、国際金融資本は原爆開発の遥か前からウランに投資してきた可能性が高い。

億万長者はハリウッドを殺す(広瀬隆 著)

・・ということで、アフリカのウラン利権とは「核兵器利権」であり、アメリカ覇権の原動力となっていたのだった。

クーデターが発生したニジェールもウランの産地なのだが、重要なのは、EUが輸入するウランの25%がニジェール産という点だろう。

Forbes JAPANの記事によると、EUの主なウラン調達先はカザフスタン(26.82%)、ニジェール(25.38%)、カナダ(21.99%)であり、ニジェールのクーデターによって安定的なウラン調達が懸念される状況となっている。

また、ロシア自身もウラン大国で、カザフもロシア傘下ということを踏まえると、ロシアがニジェールのウランまで抑えることで、世界ウランの6割がロシア支配下となる可能性が指摘されている。

また、世界のウラン濃縮能力の過半は、ロシアのロスアトム社が保有しているため、ロシアはウラン利権の大半を制することになりそう。

ということで、金・資源の裏付けを持つBRICS通貨の登場を前に、石油・食糧を抑えたロシア・中国陣営は、ウランも制した・・と言えそうなのだが、問題はそれだけではない。

このクーデターには不思議な点が2つあるのだ。

1つ目は、クーデターに対するニジェール国民からの反発らしきものが全く報じられていない点だ。

多くの報道では、ニジェール国民の反フランス・新ロシア感情が強いことや、「フランス出てけ」「ロシア万歳」と叫んでフランス大使館を襲撃している様子が報じられている。

BBCの記事の概要は、ニジェールの実業家さんの・・

「フランスはウランやガソリン、金といったこの国の富を全て搾取してきた。最も貧しいニジェール人が1日3食食べられないのは、フランスのせいだ」

・・のコメントに集約されているとおりで、フランスの植民地だったニジェールは1960年に独立を果たしたものの、事実上の植民地支配の継続によって貧困化しており、フランスへの反感が高まっていたことが伺える。

なお、イタリアのメローニ首相(右派)がフランスの植民地経営を非難した動画が拡散されているが・・

・・フランスがクズ過ぎるため、反フランス感情が高まるのはむしろ当然という流れを補強するものとなっている。

しかしながら、産経記事で示唆されたように「ロシアプレゼンツのクーデター」であれば、ウクライナのマイダン革命のように、ニジェール国民がクーデターに反対している様子が(ウソでも)報じられると思われるが、ほぼ見かけない。

むしろ、フランスがクズ過ぎてニジェール国民がキレた・・という正しい説明で、ロシアプレゼンツのクーデターが正当化されているとすら言える。

不思議な点Part2は、欧米サイドにやる気が感じられない点だ。

先のBBCの記事では、クーデターで追い出されたバズム大統領を・・

バズム氏は西側にとって、イスラム主義者との戦いにおける重要な同盟者であり、力強い経済的パートナーでもあった。

・・と評していることから、ニジェールの富(金・ウラン)をフランスに還流させる「現地監督」だったことが分かる。

そして、フランスがニジェールへの支援停止措置を実行したことへの対抗措置として、クーデター政権はフランスへのウラン輸出を停止した。

こうした状況を踏まえると、さっさと軍事介入してバズム政権復活・・となりそうなものだが、そうした動きは見えてこない。

さらに、先日のロシア・アフリカ会議で、植民地支配でアフリカが被った損害補償を、ロシアが一緒になって欧米諸国に求めていくことを宣言した。

アメリカ諸国は、アフリカに大量流入したイスラム系テロに対してワグネル派遣してくれたり、ソ連時代から欧米諸国のアフリカ支配に介入してきたロシアに高い好感度をもっているのに、ここまでしたら「プーチン兄貴!」になるのは間違いない。

アフリカ諸国で反ロシアなのは、政権に居座る一部分のエライ人だけと言える。

つまり、ロシア(ワグネル)はニジェールでクーデターを狙って起こすことも可能であり、それが石油・食糧を高騰させたタイミングと一致している点からは、ドルへのインフレ攻勢と言える・・のだが、アメリカはこの動きを放置している。

アメリカ様は、8月7日に国務省のビクトリア・ヌーランド氏をニジェールに派遣して、軍事政権の高官と会談したが・・

その結果は、「何も成果無かったけど、話し合いでいくわ」となったとか。

ニジェールに行ったヌーランド氏は、ウクライナ戦争を誘発し、第三次世界大戦をも警告した「戦争屋」てあり、この結果はあり得ないと言える。

なお、ゼロヘッジさんは、会談を終えたヌーランド発言をもう少し詳しく報じている。

この記事にあるヌーランド発言の概要は・・

  • 軍事政権トップのチアニ将軍(議長)との面会を拒否されたわ。
  • 会談で「ワグネルに近づくなって言ったった」
  • 「危険な訪問やったわ」としたが、「クーデター」というワードは使用しなかった。
  • 軍事政権で国防長官職を担うバルモウ将軍は、アメリカの対テロ軍事訓練を受け、アメリカ特殊部隊と連携していた御人やったで。

・・とのこと。

クーデター軍事政権に対して、ワグネルに接近すんなと警告した=今は接近していないと認めており、クーデターにロシア関与ナシという米国務省の見解を繰り返したものと言える。

また、「クーデター」という言葉を使わなかった点は、「クーデター」をニジェール国民の民意として尊重する姿勢が伺え、軍事介入する気が無いことを示唆している。

さらに、アメリカが対テロ訓練したバルモウ将軍のような人材が、その成果を活かしてクーデターを成功させている状況を踏まえると「アメリカプレゼンツのクーデターでした~」と見るべきだろう。

なお、アメリカ・フランスの軍事面でのアフリカ諸国への関わりとしては・・

  1. 2011年のカラー革命・リビアのカダフィ政権崩壊を機に、マリ等アフリカ諸国で(アメリカが養成した)イスラム系テロリストが活発化
  2. 米仏、現地駐留軍を派兵して対応
  3. 何の役にも立たず内戦状態となるアフリカ諸国で、シリア内戦を早々に終結させたロシア軍待望論が浮上
  4. しかし、欧米傀儡政権は反対
  5. マリでは2021年5月に、ブルキナファソでは2022年2月に欧米傀儡政権をクーデターしてロシア(実働部隊はワグネル)を招聘

・・となっている。

アフリカ諸国の親ロシア感情と反欧米感情が高まる中でのロシア・欧米の動きを踏まえると、アメリカプレゼンツ&ロシア監督のクーデターという可能性は高く、アメリカが軍事介入しないのも納得だ。

さらに、ニジェール旧宗主国のフランスのやる気も皆無で、早い段階で軍事介入を完全否定している。

さらに、フランス軍は介入どころか、2024年3月までのニジェール駐留軍の撤退計画を進行中なんだとか。

ニジェールから金・ウランの輸出を止められたとは思えない対応だ。

さらに、フランス諜報機関DGSE(対外治安総局)がクーデター直前に「ニアメの大統領府がキナ臭いから、特殊部隊を派遣しましょ」と提案したところ、フランス政府は「植民地主義って言われるからアカン」と握り潰したことが報じられている。

この動きからは、フランスはクーデターを意図的にスルーしたと言える。

と言うことで、アメリカやフランスの動きを踏まえると、アメリカプレゼンツ・フランス協賛・ロシア監督のクーデター劇場という可能性が高そう。

ちなみに、欧米傀儡のECOWAS(西アフリカ諸国共同体)は反欧米・親ロの軍事クーデタードミノに恐怖したこともあって、「1週間以内にバズム大統領復権させないなら軍事介入や」と息巻いていた。

しかしながら、ニジェールと同様にクーデター軍事政権のマリ・ブルキナファソの元ECOWAS勢は「ECOWASが軍事介入したらニジェール側で参戦するで」と宣言していた。

まあ、ニジェールと同じ立場のマリやブルキナファソがニジェール側に立つのは当然だが、目を引くのは、アフリカ経済規模ランキング第4位のアルジェリアがニジェール支援を表明した点だ。

マリ・ブルキナファソの参戦=ワグネル参戦ということに加えて、アルジェリアまでニジェール側で参戦+やる気皆無のアメリカ・フランスの合わせ技で、ECOWASの軍事介入は事実上不可能となった。

ECOWAS盟主のナイジェリアさんも空気を読んだようで、ナイジェリア上院は「ニジェール派兵はアカン」と否決したほか・・

ECOWAS議長(=ナイジェリア・ティヌブ大統領)も「話し合いで行こうや」と軍事介入を否定した。

ここまでを纏めると・・・

  • ニジェールクーデターは、フランスに原因があり、ロシアも無関係と喧伝
  • なので、アメリカ・フランスは軍事介入ナシで、ECOWAS諸国も介入不能に。
  • そもそも、クーデター自体がアメリカ・フランスの仕込みの可能性
  • さらに、ニジェールは、ウラン・金のフランス輸出を停止

・・と言う感じか。

ニジェールの電力の7割を賄っていたナイジェリアからの送電が止まってニジェールは大規模停電になっているが、近いウチに送電は再開される可能性が高そう。

なお、ロシア(ワグネル)を駐留させていたり、ロシア(ワグネル)介入に肯定的なアフリカの国々は・・

エジプト、スーダン、中央アフリカ、リビア、チャド、アルジェリア、マリ、ブルキナファソ、ニジェール

・・となっており、ニジェールでアメリカ・フランスが不介入したことで、アフリカの覇権勢力図は大きく変わることになりそう。

また、ニジェールクーデターで本当にヤヴァイのは、サハラ砂漠横断ガスパイプライン(TSGP)の建設計画が頓挫したこと・・との指摘が出ている。

TSGPとは、ナイジェリアからニジェール、アルジェリアを経由してEUに天然ガス供給する巨大プロジェクトで、対ロシア制裁(セルフ制裁)の強要によってアメリカから高額なLNG(液化天然ガス)を買わされているEU期待のパイプライン計画だったが・・ニジェールのクーデター軍事政権は、このプロジェクトを停止したとか。

このプロジェクト停止は欧州に対する「踏み絵」のようで、中国が一帯一路でアルジェリアに巨額投資をするなど深く関わっているため、欧州も中国に対抗して巨額投資やTSGP参加しないとがアフリカから天然ガス調達も出来なくなるため、今後は「フェアトレード」関係になりそうだ。

そう言えば、8月22日から開催されるBRICSサミットでは、金・資源本位通貨以外にも「アフリカ」がテーマとなるとか。

時事通信さんの記事では・・

アフリカ大陸は現在「欧米」対「中ロ」で影響力を競い合う新たな外交戦の舞台となっている。以前から存在した天然資源の争奪戦に加え、ロシアによるウクライナ侵略後は世界を二分する陣営のどちらに付くかアフリカ各国は選択を迫られる立場に追い込まれた

・・とあるが、アフリカ諸国をロシア・中国陣営に追い込んだのは欧米勢なのだった。

次の金融危機でアメリカ覇権は壊れて世界は多極化する!」で紹介したように、歴史の流れと資本主義の正当な発展を考えると、経済・金融システムの経年劣化した先進国に代わって、今後は途上国が経済発展して消費・経済活動を担うことになるのは当然の流れと言える。

こうしたことを踏まえると、今回のニジェールクーデターとは・・

  • アフリカの経済発展を阻害し続けてきた欧州勢の駆逐
  • 経済面での中国覇権下への移行
  • 軍事面でのロシア覇権下への移行

・・という歴史のダイナミズムとなっている面もある。

もう一つ見逃せないのは、ニジェールのウラン輸出停止で損害を被るのは、フランスの原発電力を大量輸入するドイツという点だ。

ウクライナ戦争の真のターゲットは、EU(ドイツ)潰しであることは以前にも紹介したとおりで、米シンクタンクのランド研究所では・・

  1. ドイツを弱体化させてEU内での影響力を削ぐ
  2. EUからアメリカに利益還流する
  3. そのためにウクライナで戦争を起こさせる

・・との計画書が作られていた。(ロシアの部分動員令と戦争のエスカレートを望むアメリカ

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ユーロ

ドイツは安価なロシア資源を原動力にして経済面で一人勝ちしており、あの佐藤優氏が、EUを「ドイツ第四帝国」、ユーロを「拡大マルク」と指摘しているのは以前にも紹介したとおりだ。

人類の選択 「ポスト・コロナ」を世界史で解く(佐藤 優 著)

しかし、ウクライナ戦争を機に、ドイツはロシア制裁(セルフ制裁)の強要でロシアとの関係を断たれた代わりに高額なアメリカ資源を買わされているほか、ノルドストリームまでアメリカに爆破されて全原発を停止したドイツの電気代は世界一となっているとか。

ドイツは再エネで電力の8割を賄う目標を掲げているが、不安定な再エネは主力電源にはなり得ないし、そもそもエネルギー集約型の鉱工業等が停止するなど、経済面で大ダメージとなっていることは以前にも紹介した通りだ。

また、昨年の夏と比べると欧州ガス価格は1/10くらいになっているが、今年の夏が暑くて普段は使わない冷房需要が急増してLNG不足となる懸念から、発電用天然ガス価格がハネるなど天然ガス価格は安定しない。

また、安定面から再エネ有望株(?)となっている洋上風力にも、暗雲が立ち込めている。

この記事で報じられているのはアメリカの事例だが、インフレによって洋上風力に係るコストが2021年以降で57%も上昇したために、多くのプロジェクトが中止に追い込まれるなど、洋上風力業界では金融危機になっているんだとか。

こうした中で、欧州のエネルギー危機が再発する可能性が指摘されている。

欧州において天然ガス価格が下落したのは、

  1. コモディティ下落に追随した
  2. 欧州の昨冬気温が想定以上に温暖だった
  3. 中国からの石炭輸入で乗り切った

という理由で、環境政策に全州中した欧州のエネルギー問題は何も解決されていないため、さらにキビシイことになりそう・・という指摘だ。

こうした中で、ニジェールのクーデター軍事政権は、原発電力が7割を占めるフランスへのウラン供給を止めたほか、アメリカ・バイデン政権によって、グランドキャニオン周辺の環境保全の名のもとに、ウラン鉱山が操業停止となる可能性が指摘されている。

世界的なウラン権益が、より一層ロシアに集中すると共に、予想される今冬のエネルギー危機の中で、ドイツは電力不足に陥る可能性が見えてきている。

アメリカがニジェールクーデターを誘発したのはEU(ドイツ)潰しの一環という側面がありそう。

さらに、フランスがクーデターを黙殺したのは「アメリカが世界で仕掛ける戦争の目的はドルの崩壊?」紹介したように、フランス・マクロン大統領がフランス主導でのEUを対米自立させようとしていることと無関係では無いだろう。

つまり、「ドイツ第四帝国」と化したEUからドイツを追放してフランスが乗っ取る・・・。

なお、「メドベージェフ元大統領は欧州分裂からの第三次世界大戦を予測する」で紹介したように、ロシア元大統領のメドベージェフ氏は、EU崩壊後の欧州で・・

5. ドイツとその衛星国、すなわちポーランド、バルト諸国、チェコ、スロバキア、キエフ共和国、およびその他の追放者の領土を含む「第 4 帝国」が創設される

6. フランスと第4帝国の間で戦争が勃発する。ヨーロッパは分割され、ポーランドはその過程で再分割される

・・と、ドイツVSフランスの欧州内戦を予測しており、原発電力がその端緒となるのかもしれない。

と言うことで、今回のニジェールクーデターについてまとめると・・

  • 世界的に原発回帰が進む中で、ウラン産地のニジェールでクーデターが発生してフランスへのウラン輸出が止まる。
  • 元から、旧フランス植民地(サヘル地域)では、対テロ戦争のためロシア(ワグネル)を歓迎
  • なので、クーデターの背後にロシア(ワグネル)の影もチラつくが、実際にはアメリカ・フランスによって誘発・黙認された可能性が高い
  • 食糧・原油価格の上昇と時期を合わせている点からは、ロシアが経済・金融戦争を仕掛けている可能性がある。
  • また、アフリカを中国の経済覇権・ロシアの軍事覇権下に移行させることで、これまで西側諸国によって阻害されてきた経済発展を実現する目的も見える。
  • さらき、ドイツをエネルギー危機に追い込んで、EU崩壊させるという狙いもありそう。

・・という感じだろうか。

なお、ロシアルーブル安が止まらないことが報じられている。

対ドルチャート(週足)を見ると、0.0121ドル付近にあったサポートラインを軽くぶち抜いてウクライナ侵攻開始直後に迫るレベルの下げとなっている。

20230815ルーブルドル週足チャート

資源輸出国のロシアとしては、一定のルーブル安は許容範囲かもしれないが、下落しすぎればインフレなど負の影響も大きくなる。

経済・金融戦争もワンサイドゲームとはならないようだ。

ちなみに、ロシアのタッグパートナーの中国人民元はもっと深刻だ。以下は人民元ドルの週足チャートだ。

20230815人民元ドル週足チャート

こちらは、昨年10月につけた安値付近まで売り込まれており、中銀(中国人民銀行)が防衛介入しているとか。

中国は本当にヤバそうだな。


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