ペトロダラー崩壊

迫る金融危機 アメリカ株式市場のバブル崩壊は意外と近い

ペトロダラー崩壊

前回の「ドルの貨幣価値の下落と金・ビットコインの上昇、そしてQE再開」では・・

  • アメリカの経済状況は報道とは裏腹にかなり悪く、インフレする状況にはない。
  • 従って、現在のインフレは、政府債務の急増(=ドルの過剰発行)による貨幣価値の下落が原因
  • このため、本来すべき利下げの実施が困難
  • 一方で、CRE危機に起因した銀行危機が迫っているため、QE再開(=刷って解決)する可能性が高い
  • その先にあるのは、ドル・米国債を中心とした金融システムの崩壊(=金融システムのグレートリセット)
  • このため、金とビットコインがヘッジ先となって高騰する。

・・ということを紹介した。

FRBは利下げ出来ないためCRE(商業不動産)危機が避けられず、事実上のQE再開に踏み切るが、その後ドルの価値は崩壊するという可能性だ。

さて、ドルインデックスの週足チャートを見ると・・

20240327ドルインデックス週足チャート

・・高くもなく安くもなくという当たりで落ち着いているが、ドルインデックスとはユーロや円等の通貨間の比較指数であり、通貨の中ではボチボチのポジションをキープしているに過ぎないと言える。

また、長期トレンドラインの収束が近づいており、数ヶ月以内に上下どちらかに大きく動きそうな感じだ。

一方で、金価格の週足チャートを見ると・・

20240327金週足チャート

・・2000ドル・2100ドル付近のレジスタンスをブレイクして最高値を更新し、高値圏をキープし続けている。

更なる高みを目指しそうなチャートとなっており、「ドルヘッジの金買い」が進んでいる様子が伺える。

金は価値の絶対値であることを踏まえると、ビットコインや金が上がっていると言うよりは、ドル(全ての通貨)の価値が下落していることを示している。

そして、このドル(&全ての通貨)価値の下落は、起こるべくして起こっているのではないか。

現在のドル・米国債を中心とした金融システムは、通貨発行時に債券発行を伴うため、国の借金が嵩んで中央銀行が「国の富(国民の富)」を吸い上げる仕組みとなっているなど、世界全体の経済成長の阻害要因となっており、システムとして綻びが目立ち始めている。

この是正こそが世界の支配者層のエライ人たちの御意(=世界史の大きな流れ)であり、それがドル・米国債を中心とした金融システムの崩壊=金融システムのグレートリセットだろう。

以前にも紹介した、第32代米国大統領フランクリン・デラノ・ルーズベルトが残したこの言葉。

  • 世界的な事件は偶然に起こることは決してない。そうなるように前もって仕組まれてそうなると。私はあなたに賭けてもいい。

左派ユダヤ系国際金融資本の操り人形だったルーズベルト自身が、世界史の重要事件に「偶然は無い」ことを物語るものだ。

これを踏まえると、アメリカで進行中の債務急増インフレ(=貨幣価値の下落)は、支配者層のエライ人たちの御意の一環と言える。

コレを踏まえて、アメリカの経済・金融状況を改めて確認したい。

まず、問題の根幹にあるアメリカの政府債務は、100日で1兆ドル(150兆円くらい)という途方もないペースで増加している。

イラク・アフガン戦争時の財政赤字が年平均で2200億ドルだったので、今の赤字の巨額さは半端ないモノと分かる。

そして、「100日で1兆ドル」の主な使い途は、経済のテコ入れなんだとか。

市場で喧伝されるソフトランディング説が正しいなら、巨額の経済テコ入れは不要だろうから、前回のブログ記事で紹介したとおり「アメリカ経済は弱い」と言える。

また、バイデン政権は「史上最も低い失業率」を達成したのに、「史上最も低い支持率」をマークしているんだとか。

政治経済の基本は自国民を飢えさせないことにある。

つまり、失業率・支持率が同時に低下するハズがなく、実際のアメリカ経済が弱いことを示すものと言える。

直近2月の雇用統計(3月8日公表)の結果を見ると・・

失業率

前回3.7% 予想3.7% 結果3.9%

非農業部門雇用者数(前月比)

前回35.3万人 予想20.0万人 結果27.5万人

・・失業率は上がったものの、雇用者数は予想より3割以上も多くなっており、一見すると堅調に見える。

ただ、先月(1月)分の雇用者数は、35.3万人→22.9万人に下方修正(△35%)されているとか。

さらに、事業所に聞いた「雇用者数」と家庭に聞いた「雇用者数」は乖離しており、ダブルワーク(掛け持ち)の人を重複カウントしている。

その結果、実際の雇用者数は「27.5万人増加」ではなく「18.4万人の減少」になるとのこと。

確かに、27.5万人の雇用者数の増加と、失業率が2022年1月以来の水準となる3.9%に上昇したこととの整合が取れないため、実際の雇用者数が大幅減なのは納得だ。

さらに、雇用状況で問題なのは雇用者数だけではない。

ゼロヘッジさんのまとめツイートを翻訳すると・・

1. 過去1年間で、米国では28.4万人のフルタイム雇用が失われ、代わりに92.1万人のパートタイム雇用が増加した。

2. 2月の外国人雇用は、過去最高となる120 万人の増加となった。

3. 過去3か月間で、240 万人のアメリカ人の雇用が失われた。そのうち、49.4万人が2月に失われた。

4. 最も衝撃的なのは、2018年5月以来、アメリカ人向けに創出された雇用はゼロで、合法・非合法を問わず移民に流れている。

・・とのことで、アメリカ庶民はフルタイムから給料の低いパートタイムへの切り替えに加えて、バイデン政権が大量流入させた不法移民に仕事を奪われ雇用破壊されており、その速度は加速している。

そして、インフレと雇用破壊の結果、クレジットカードの延滞率が増加している。

インフレが進む中で収入が減ったため、クレジットカードの支払いを延滞するアメリカ庶民が増えていることが伺える。

さらに、住宅ローンが払えず家を差し押さえられる事例が増加しており、前月比10%増となっているとか。

デイリーメールによると、インフレや利上げによって住宅価格&ローン金利が上昇し、住居費が2年前より毎月1000ドル増となったことに加えて、雇用状況が悪化したことでローン支払いが出来なくなる世帯が増えているとか。

また、差し押さえ件数が自動車産業のデトロイトで200%増となっている点から、前回ブログ記事で紹介したように製造業が死んだことを示唆している。

NYエンパイアステート製造業指数を見ると、直近の3月分ではマイナス20.9となっているが、10年スパンで見ると・・

202403エンパイアステート製造業指数

・・コロナ前はプラス圏内を維持していたものの、コロナ後はゼロ付近をレジスタンスとしてマイナス圏で推移しており、製造業の衰退を示している。

さらに、4Q企業決算の「収益」は前年比+8%とだったが、Mag7を除くと1.6%減となっている。

これらのデータからは、雇用の裾野の広い製造業が死んで雇用悪化となり、アメリカ庶民がクレカ・住宅ローン地獄に陥ったことが分かる。

コレが、アメリカ政府が100日で1兆ドルも経済テコ入れする理由だ。

だが、政府債務の増(8340億ドル)>>GDPの増(3340億ドル)となっている。

これはテコ入れ効果が出ていないだけでなく、経済成長×2.5倍のマネーを実体経済に注入していることを示している。

金融市場にマネー注入したQE(量的緩和)ではインフレにならなかったが、実体経済に経済成長×2.5倍のマネー注入してインフレ(=貨幣価値の下落)にならないワケがない。

実際に、FRBパウエル議長が重視するインフレ指標のコアPCE(2月29日公表)を見ると・・

(前月比)

前回0.2% 予想0.5% 結果0.4%

(前年比)

前回2.9% 予想2.8% 結果2.8%

・・となっており、概ね予想どおりだが1年ぶりの大幅上昇となっており、インフレが再燃していることが分かる。

また、3月12日公表のCPI(消費者物価指数)も・・

総合(前年比)

前回3.1% 予想3.1% 結果3.2%

コア(前年比)

前回3.9% 予想3.7% 結果3.8%

・・と、予想を上回る伸びとなっている。

ちなみに、バイデン政権になってからCPIは1回も下がっておらず、物価は19%(食費は21%)上昇した一方で、賃金の伸びは18%に留まっているとか。

これは、「バイデノミクス(=実体経済へのバラマキ)」がインフレ(=貨幣価値の下落)の真犯人であることを示唆している。

ここまでをまとめると、アメリカは・・

  1. 経済テコ入れのため、実体経済に成長×2.5倍のマネーを投入(バイデノミクス)
  2. 悪性のインフレ(=貨幣価値の下落)を招く
  3. アメリカ国民は、物価高でモノが買えず高金利ローンで死亡
  4. モノが売れないので製造業も死亡
  5. 不法移民問題も加わって雇用も死亡
  6. ①に戻る

・・のループとなり、スタグフレーションに陥っていることが分かる。

こうした中で、アメリカ株式市場は・・

  • 景気を損なわずインフレ抑制に成功した
  • 「利下げ」も見え始めた
  • NVIDIAの好決算!AI!USA最強!

・・が広く喧伝されて超絶堅調となっている。

NYダウの週足チャートをみると・・

20240327DJI週足チャート

・・昨年秋頃から極めて堅調となっており、最高値更新してなお高値圏を維持するなど、絶好調なことが分かる。

ただ、アメ株バブルを牽引したNVIDIAのAI向けGPU(H100)のリードタイムは、数カ月前の8~11カ月から3~4カ月まで短縮されている。

ゼロヘッジさんの記事では、リードタイム短縮要因が「供給の改善」か「需要の後退」のいずれか不明としているが、アメリカ経済の状況から「需要の後退」は懸念される。

これ以外にも、AI技術が「誇大広告」との話が出始めている。

AmazonやGoogleのAI担当さんは、「AIって精度と価格が釣り合ってないし、お客さんも導入難しいよね」と話しており、AIは砂上の楼閣との可能性も。

さらに、アメリカの大富豪たちは、アメ株バブル序盤で売りに転じていた。

例えば、「オマハの賢人」ウォーレン・バフェット氏は、現在の株価を「カジノ的」「適正価格で投資に値する魅力的な銘柄が見当たらぬ」として、現在の株価が実体経済とは無関係なバブルであることを示唆している。

バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイは、総資産の16%を現金化して警戒モードに突入だ。

また、JPモルガンCEOのジェイミー・ダイモン氏は、CEO就任後、初めて保有するモルガン株を売却した。

なお、ダイモンCEOはモルガン株の売却を2023年10月に宣言していたが、その株は2009年~2016年に「底値」で買ったものだった。

金融界の巨人JPモルガンは、天底を知っているとするなら・・アメリカ株バブル崩壊は近い?

この他にも、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏も保有するアマゾン株を大量売却している。

ベゾス氏は、2月始めに「5000万株売却するで」と宣言して9営業日で全て売り払ったとか。

さらに、メタ(フェイスブック)創業者のマーク・ザッカーバーグ氏も、2023年末に自身の保有するメタ株を大量売却していた。

ブルームバーグの記事によると、それまでの2年間はメタ株安のため売却を見送っていたとか。

メタの週足チャートを見ると・・

20240328メタ週足チャート

・・ザッカーバーグ氏が売却した辺りから一段高となっているものの、ザッカーバーグ氏が売却したのは2021~2022年頃の高値付近だった。

個人投資家なら利確ポイントと言えるが、創業者の大株主がバブル前に売るようなポイントではなく、ナゾに急いで売った感がある。

なお、アップルCEOのティム・クック氏やビル・ゲイツ氏のファンドはアップル株を売り払っていたが、つい先日、アップルはアメリカ司法省から独占禁止法により訴えられたほか、iPhoneの収益性低下などが叫ばれ始めた。

これを受けて、ダウ・ナス・SP500が上昇する中でアップル株は下落したが・・・これが偶然ではないならば、バフェット氏はじめ大富豪の株売りの意味が気になるところ。

また、冒頭で紹介したように、株価だけでなく金価格も最高値更新しているが、これは株高と同時には起こり得ない。

金とは価値の絶対値としてペーパー資産やフィアット通貨の対局に位置するものだからだ。

さらに、アメリカが好景気で株高なら米国債の利回りは低下(=価格上昇)しそうなものだが、実際には利回り上昇(=価格下落)している。

以下は10年米国債の週足チャートを見ると・・

20240327米国債10年利回り週足チャート

・・昨年秋頃の株価上昇フェーズと共に下落した利回りだが、年明け頃から上昇(=価格下落)基調に転じたことが分かる。

実際に、海外勢の米国債離れは深刻で、アメポチの日本ですら米国債残高は減少している。

10年米国債などの長期債は引き取り手が無く、100日で1兆ドルの政府債務を賄うために、アメリカ財務省は短期証券を大量発行しているとか。

さらに、大手ファンドは10年債利回り4.5%突破を見込んでいる。

FRBが米国債を買わないのに、アメリカ政府は異次元レベルで債務拡大しているため、米国債需要は消化不良を起こしている。

ということで、アメ株高の裏では・・

  • AI誇大広告
  • 大富豪たちの株売却
  • フィアット通貨・ペーパー資産と対局に位置する金価格が最高値更新
  • アメリカ国債の下落(=利回り上昇)

・・となっており、何者かが意図を持ってアメ株をバブル化させていると言える。

その仕掛け人は、FRBとバイデン政権だろう。

と言うのもアメ株バブルの資金は、昨年3月の銀行危機を機に創設されたBTFP(Bank Term Funding Program)とリバースレポ資金と考えられるからだ。

BTFPとは、銀行が塩漬け保有する(=利上げで価格下落した)米国債を担保に、FRBが国債の額面価格を融資・・と言うか実質的に買取る制度で、銀行が抱える米国債の含み損を無かったことにすると共に、金融市場にマネー供給する役割を担っていた。(アメリカの巨大金融資本が引き起こした銀行破綻とQE再開

ただ、この制度は2024年3月11日で終了となった。

次にリバースレポ資金だが、その残高はここ半年のアメ株上昇に合わせて1兆5000億ドル→4800億ドルと1兆ドル以上も減っており枯渇が見え始めている。

20240322リバースレポ残高チャート

これら二大ウラQE資金の枯渇を踏まえたのが、先日のFOMCにおける金融緩和だろう。

ブルームバーグの報道によると・・

  • 金利(5.25-5.5%)は据え置きだが、年内3回の利下げ(時期は未定)
  • 経済活動は堅調に拡大し、雇用の伸びも強さを維持
  • インフレの上振れを示すデータは重大視しない、2%の目標に向かっている。
  • 毎月950億ドルペースのQTを、早期に減速させるのが適切

・・と、FRBは利下げだけでなく、QT減速をも示唆しており、

3月のFOMCでFRBがQT減速を言い始めたのは、QEに代わって金融市場にマネー供給してきたこれらのシステムが終わるからだろう。

つまり、アメ株高へのマネー流入はまだまだ続くし、さらに2兆円規模の新NISAマネーの大半が、アメ株メインの全世界株式投信(オルカン)やMag7が3割を占めるSP500投信に流入している。

「積み立て枠」の狙いはコレで、バイデン政権がKISHIDA氏に「よろしく頼む」といった成果だろうか。

FRBとバイデン政権は、更なるアメ株バブルを醸成しているワケだが、各々のアメ株バブルの目的は・・

  • バイデン政権は「アメリカ大統領選で勝つ」ため
  • FRBはアメ株バブル崩壊させて、QT縮小・QE再開するため

・・なのではないか。

前回ブログ記事で紹介したように、FRBは銀行が保有する国債を担保に短資市場に資金を提供する「SRF(常設レポファシリティ)」という、「事実上のQE(=FRBによる米国債買い支え)再開」を目論んでいる。

FRBがSRF稼働を切望するのは、迫りくるCRE(商業不動産)危機・銀行危機を見据えてのことだ。

CRE(商業不動産)危機については何度か紹介しているが、ポリコレ・不法移民による治安崩壊等でテナント・マンション購入者が不在となっており、CREオーナーは空室地獄と建設経費等ローン地獄に苦しんでいる。

例えば、世界有数の不動産投資家となっているカナダの年金基金が、マンハッタン物件の持ち分(全体の29%)を1ドル(約150円)で売却したとか。

他にも、サンフランシスコの高級ホテル、フォーシーズンズを買収したウェストブルック・パートナーズは、高金利・宿泊客の減少・コスト高の打開の目処が立たず、12月から300万ドル以上を滞納してデフォルト(債務不履行)可能性が高まっている。

また、CRE資金を融資した銀行にも影響が出ており、特にCRE融資ヘビーな地銀のNYCB(ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ)は経営が傾いている。

商業不動産をドル箱としてユルユルな融資審査をしていたNYCBの株価は下げ止まらず、フィッチやムーディーズからはジャンク格付けされて破綻待ったなしとなっている。

さらに、CREの多くは融資の借換え時期が迫っており、2024年には25%(約1兆ドル)が満期を迎える。

経営不振のCREオーナーに対して、1兆ドル(2023年比3割増)規模の高金利ローンへの借り替え時期が迫っており、CRE資金繰りの更なる悪化を意味している。

先のゼロヘッジさんの記事にもある意図的なデフォルト(債務不履行)が出始める中で、銀行融資の壮大な焦げ付き&CRE関連証券類の暴落となれば、第2のリーマンショックとなりかねない。

このように、アメリカの金融・経済状況は、

  • 異次元の政府債務によるインフレ(=貨幣価値の下落)
  • 国債利回りの上昇(=価格の下落)

・・という利上げ要素と、

  • 製造業を始めとした実体経済の悪さ
  • CRE危機・銀行危機

・・という利下げ要素があることが分かる。

利下げしないとアメリカ金融・経済は死ぬ・・が、FRBの金融引締めのうち、QTはリバレポ資金が一部相殺していたので、実質的な引き締め策は「利上げ」だけだ。

このため、利下げはドル・米国債の暴落に繋がる可能性が高く、政府債務が100日で1兆ドル膨張する中で25bp×3回の利下げは難しいのではないか。

バンカメ(Bank of America)さんも、100日で1兆ドル膨張する政府債務が、経済の低迷と貨幣価値の下落に繋がると危惧していることが報じられている。

Watcher Guru

BRICS: Bank of America warns that the US economy and the dol…

Watcher Guruによると・・

  • バンカメは、アメリカ政府債務の膨張が原因で、ドルの価値やアメリカ経済が大きく低迷すると予測
  • 債務が制御不能となることで、「US dollar collapse(米ドル崩壊)」の可能性を警告
  • これにより、BRICSの脱ドルが加速して、米ドル価値が下落スパイラルに入ることも懸念

・・とのことだ。

サプライチェーン混乱は沈静化して景気も悪いのにインフレが収まっていないのは、インフレ原因が「コストプッシュ」→「貨幣価値の下落」になったことを示唆している。

既に、米政府債務は制御不能となりつつあって「米ドル崩壊」に繋がりかねないため、FRBとしてドル価値を保つ唯一の手段の「利上げ」の継続が不可欠となる。

これらの動向からは、FRBは「利下げ」ではなくQT縮小とSRF(=事実上のQE再開)によって「刷って解決する」しか選択肢がなく、そのためにアメ株バブルは弾けさせられる。

なお、このバブルは既に弾ける準備が整いつつある。

実のところ、アメリカ株式市場では過度なハイテク集中が起こっている。

アメ株市場では、上位10%の銘柄が時価総額全体の75%を占めており、2000年のドットコムバブルのピークや、1932年の世界恐慌時のピークをも上回る全集中度合いなんだとか。

つまり、アメ株バブルは崩壊の準備が整いつつある。

また、バブル崩壊のきっかけについて、モルガン・スタンレーの投資責任者さんは「ドル高」の停滞が米国株に波及する可能性を指摘している。

責任者のシャレット氏曰く、アメ株高の原動力はドル高なのだが、金・ビットコインの高騰や「日銀の金融引締め転換」がドルの圧迫要因になっているんだとか。

この点を踏まえると、アメ株バブル崩壊の時期は・・

  • 金・ビットコインの火柱上げ高値更新
  • 日本の金融引締め転換

・・が揃った時と言えそう。

こうした中で、ビットコインは高値更新して73794ドルをつけた後、一時調整局面となっている。

以下はビットコイン/ドルの週足チャート。

20240328ビットコインドル週足チャート

ボラティリティの大きなビットコインだが、週足単位で見ると、再度の高値更新を狙っていることが分かる。

また、日銀さんは、3月19日の金融政策決定会合において、「マイナス金利の解除・17年ぶりの利上げ」を柱とした金融緩和政策の転換に動き出した。

しかし、銀行の当座預金の中でマイナス金利の適用対象となっているのはごく一部(5%程度)に過ぎず、残りは元から0~0.1%だったため、「マイナス金利解除」という言葉のインパクトとは裏腹に、今までとほぼ変わらない。

藤巻健史の資産運用大全(藤巻健史 著)

さらに、金融緩和の本丸のQE(国債買入)について、YCC(イールド・カーブ・コントロール)は終了するものの・・

ただ、これまでと同じ程度の国債の買い入れは継続し、長期金利が急激に上昇する場合には、機動的に国債の買い入れ額を増額したり指定した利回りで国債を無制限に買い入れる指値オペと呼ばれる措置を実施したりするとしています。

・・としており、QE(国債買入)は継続される。

つまり、「利上げはしない」「QE(国債買入)は継続する」と言うことで、実際には引き締め転換ではなかった。

ドル円の週足チャートを見ても・・・

20240328ドル円週足チャート

・・日銀政策決定会合を機に、150.8円付近のレジスタンスを突破して円安が進んだ。

ただ、2023年11月高値(=介入ライン)を意識してそこまで上がってもいないが・・・。

つまり、ビットコインや日銀は、今のところはアメ株高を阻害していないものの、何時でも阻害可能な位置にあることが分かる。

そして、ビットコインは半減期が4月に迫っているほか、機関投資家ロングとファンド勢ショートが記録的な水準となっている。

基本的に機関投資家は売らず、ファンド勢はどこかで利確・損切りすることになるため、この状況は壮絶なショートスクイーズ(ショート燃料の上げ)を示唆している。

また、金についても現物の金(Gold)が市場で不足し始めている可能性がある。

イギリスのコイン「ゴールド・ブリタニア」が品切れになった後に再入荷されたが、通常なら数百枚はあるところ、15枚しか入荷されていなかったとか。

日本でも、銀インゴットを中心に品薄が続いているが、何処かで誰かが現物金・銀の買い集めに動き始めている可能性がある。

さらに、日銀の植田総裁は国債買い入れを減らす可能性を仄めかす。

植田総裁曰く、今回の政策変更を市場がどう受け止めるか確認後、国債買い入れを縮小する予定・・とのことだ。

市場の受け止めを踏まえると、日銀は本来の意味での「転換」に動く可能性が出てきた。

さらに、日銀の(わずかな)利上げと世界的な大不況はリンクしているとか。

これらを踏まえると、4月のビットコイン半減期と機を合わせて金価格の高騰・日銀が引締め転換して、

ビットコイン・金の高騰・日銀QE縮小

アメ株バブル崩壊

そして世界的大不況へ・・・となる可能性が出てきた。

ビットコイン半減期と日銀の金融政策決定会合の時期を踏まえると、アメ株バブル崩壊は4月後半~5月頃だろうか。

この後の世界的不況によって、FRBはSRF本格稼働で「徹底的に刷る」ことになる。

これは・・

  1. 米ドル・米国債を中心とした金融システムの正常化は不可能ということが明らかになる
  2. リーマンショック以降積み上げてきた「米国債の買い支え」という巨大QEバブルの崩壊

・・に繋がりそう。

支配者層のエライ人たちの御意どおり、ドル・米国債を中心とした金融システムのグレートリセットに向けた動き・・と言ったところ。

なお、巨大QEバブルが崩壊すれば、米国債を大量保有する日本とてタダでは済まないし、そもそも「いよいよインフレが本格化 そして日本デフォルトとデジタル円」等で紹介したように、日銀は国債市場における最大の買い手なので・・

  • 日銀が国債購入から手を引けば国債価格暴落(=金利急騰)となる可能性が高い
  • 国債価格暴落で、日銀は債務超過となる可能性が高い
  • 日銀は事実上の財政ファイナンスをしており、金融緩和をやめられない

・・となるため、日本もアメリカと心中する可能性が高い。

しかしながら、Mag7から抜けた大富豪&ファンド勢のマネーは日本に流入しており、日経高値更新の原動力となっている。

あのバフェット氏も、日本の5大商社(伊藤忠、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅)の各社の株式を継続保有しているなど、日本へのキャピタルフライトが進んでいる。

この要因として考えられるのは、以前に紹介したゴールデン・リリーとも言われる「簿外資産」だろうか。(原田武夫氏、簿外資産について語る!)(ドル安は簿外資産という巨額マネー流入のサインか)(フィリピンでのマルコス王朝復活と金融システムの転換

そう言えば、天皇、皇后両陛下が6月にイギリスを訪問されるとか。

世界の支配者層のエライ人たちの中で、何かが動き始めた?

最後にまとめると・・

  • 経済テコ入れを目的とした100日で1兆ドルの政府債務によって、ドルは酷いインフレ(=貨幣価値の下落)
  • モノが売れず、製造業等の産業不振で雇用も悪化・・のループに突入(スタグフレーション)
  • こうした中で、アメリカ株式市場はバブル化される
  • CRE危機・銀行危機を前に、FRBはアメ株バブル崩壊を理由にQT減速・事実上のQE再開へ
  • 時期は金・ビットコインが暴騰して、日銀が引締め転換する時

・・ということで、ドル・米国債に大きな影響が出る事態が迫っていそうな感じだ。

なお、QT減速と事実上のQE再開と同時並行して、ドルを支える「ペトロダラー」も崩壊が迫っている可能性が高い。

まさに、世界の支配者層のエライ人たちの御意(=世界史の大きな流れ)が感じられる状況となっているが、「ペトロダラー」は次のブログ記事で紹介したい。

次記事

迫るペトラダラーの崩壊 中東で追い詰められているのはアメリカ


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